役所広司「光栄」 樹木&宮崎と共演「わが母の記」モントリオールへ
2011年8月3日 05:00
[映画.com ニュース] 役所広司、樹木希林、宮崎あおいが共演する原田眞人監督作「わが母の記」が、第35回モントリオール世界映画祭(8月18~28日)のコンペティション部門に正式出品されることが決まった。配給の松竹にとっては、8月2日に発表された瀬々敬久監督作「アントキノイノチ」に続く同映画祭コンペ部門選出となる。
国民的作家・井上靖が47年前に執筆した「わが母の記~花の下・月の光・雪の面~」3部作(講談社文芸文庫所蔵)をもとに、愛し続けることの素晴らしさ、生きることの喜びを描く、10年にわたる家族の物語。「クライマーズ・ハイ」など社会派監督として知られる原田監督にとって、親子愛という初めて手がけるテーマとなり、時代に先駆け「老い」と「介護」の問題に焦点を当てている。
井上は、自らの分身といえる伊上洪作を主人公に据えた自伝的作品を発表してきた。今作でも、幼少期に母・八重に育てられなかったことに葛藤(かっとう)を抱き、距離をとって暮らしてきた小説家の伊上が物語の軸を担う。その伊上を演じる役所は、今回の吉報に対し「光栄に思います。世界的な文豪・井上靖さんの家族の物語を、井上さんと同郷の原田監督が思いを込めてつくった『わが母の記』は、きっと映画祭の観客に楽しんでいただけると信じています」と喜びのコメントを寄せた。
原田監督にとって、同映画祭への参加は斎藤慶子主演作「盗写 1/250秒」(85)、郷ひろみ主演作「さらば愛しき人よ」(87)に続き3度目。これまではフォーカス・オン・ワールドシネマ部門での上映だったため、コンペティション部門では初参加となる。「16年前、カナダとの合作映画『栄光と狂気』の撮影で半年過ごしたモントリオールには格別の愛着があります。思い出深いモントリオールの、世界映画祭コンペ出品に興奮しています。そこでの観客との出会いが、僕の監督人生のひとつのピークになることを期待しています」。
同映画祭のセルジュ・ロジーク代表は、選考理由を「『わが母の記』が描く、お互いの感情が何層にも秘められた母親と息子の強い愛の物語は、きっと世界の観客の心をも魅了することでしょう」と説明している。
「わが母の記」は、2012年に公開。