M・キャンベル監督「復讐捜査線」で復活のメル・ギブソンを絶賛
2011年7月29日 14:09
[映画.com ニュース] メル・ギブソンが、02年の「サイン」以来、実に8年ぶりに映画主演を果たした「復讐捜査線」が、7月30日から公開される。英BBC製作のドラマ「刑事ロニー・クレイブン」(85)のリメイクで、オリジナルでもメガホンをとったマーティン・キャンベル監督に聞いた。
何者かに目の前で娘を殺害され、復しゅうの鬼と化していくベテラン刑事トーマス・クレイブンに扮したギブソンを、キャンベル監督は「素晴らしい演技だ」と絶賛する。
「この映画のメルは共感を呼ぶ、力強い演技をしている。『リーサル・ウェポン』での彼を期待する観客は、相当驚くだろうね。それくらいとても抑制の効いた演技だ。メルは(製作時)50代前半だったと思うが、正直に言って同じ年代の俳優をほかに思い浮かべることができなかった。完ぺきな配役だと思う」
たったひとりの家族、愛娘エマはいったいなぜ殺されてしまったのか。マスコミや警察が、クレイブンに恨みを持つ人物の犯行に巻き込まれたと考えるなか、クレイブンは独自に捜査を開始。やがて事件の背後には、国家機密に絡む巨大な陰謀が横たわることが明らかになっていく。
「クレイブンが情報を得て初めて観客も情報を得る。だから、クレイブンが先に進んで事件に関する何かを発見するまで、観客にも状況がわからないんだ」と言うストーリー構成は、キャンベル監督のストーリーテリングの手腕が発揮される注目のポイント。そして、娘のかたきを討とうとする執念の男クレイブン=ギブソンの重厚なアクションも見どころだ。
「クレイブンには生きる理由がない。目の前で娘を殺され、家族が誰もいなくなる。妻も亡くしているからね。だから、相手がどんな人物であれ、報復を果たそうとする彼を止めるものはない。自分の命さえ関係ないんだ。とことん追い詰める覚悟ができている。メル・ギブソンが物語に重みと感情の核をもたらしている。オリジナルのテレビシリーズ以上の深みがあると思うし、観客もきっとそこに心を奪われるはずだ」
鬼気迫る表情で目的に突き進んでいくギブソンは、本作でまさに“完全復活”を果たしたと言えるだろう。