東京国際映画祭グランプリはイスラエル映画 新藤兼人監督作に特別賞
2010年10月31日 17:12

[映画.com ニュース] 第23回東京国際映画祭の授賞式が10月31日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、イスラエル映画「僕の心の奥の文法」が最高賞となる東京サクラグランプリを受賞した。メガホンをとったニル・ベルグマン監督は、第15回同映画祭コンペティション部門に出品した「ブロークン・ウィング」以来2度目の栄冠。また、98歳の新藤兼人監督の最新作「一枚のハガキ」には、審査員特別賞がおくられた。
ベルグマン監督は受賞の瞬間、主演女優オルリ・ジルベルシャッツと笑顔で見つめ合った。「ありがとう。何も賞はとれないんだと確信していただけにビックリ。いつも重要なのは賞をとることではなくプロセスだと言っているけれど、今言えることはプロセスも賞も大事だということ」と話し、高々と腕を上げた。
同作は、1967年の第三次中東戦争を前に、一時的な平和を謳歌する63年のイスラエルが舞台。成長することをやめた少年アハロンの内なる抵抗を繊細なタッチで描くもので、長年、平和運動にかかわっているデイビッド・グロスマンの「Intimate Grammar」を、ベルグマン監督がオーディションを経て映画化にこぎつけた。

ニール・ジョーダン審査委員長は、「(審査対象の作品を)次々と見ていると、人間がつくったんだと忘れがちになる。今日は、皆さんの顔を見られたことがとてもうれしい」とニッコリ。そして、「(コンペティション部門に出品の)15本を見ていて、特に4、5本が脳裏に焼きついた。どの賞をどの作品に与えるのかを考えるのは大変楽しかった」と説明した。
審査員特別賞を受賞した「一枚のハガキ」の新藤監督は、審査員の根岸吉太郎監督と固く握手。賞状を受け取った新藤監督は、「出演してくれた俳優、裏方の人々に感謝しています。長く映画をやってきましたけれど、これが私の最後の作品。これ以上は無理だと思いますから、この辺でお別れすることにしました。皆さんもどうか元気で良い映画をつくってください」と話すと、場内からは盛大な拍手がおくられた。
依田巽チェアマンは、任期3年目の今回を“ホップ、ステップ、ジャンプ”の“ジャンプ”と位置づけていた。「3年の任期をあと2年延期して、名実ともに世界の国際映画祭として誰もが認めるものにしていきたい。また、日本の映画がもっと力強く羽ばたいていくことも大事だと思った」と締めくくった。
全受賞結果は以下のとおり。
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