サラの鍵
劇場公開日 2011年12月17日
解説
タチアナ・ド・ロネの同名ベストセラー小説を、クリスティン・スコット・トーマス主演で映画化。1942年のフランス、パリ。ユダヤ人の迫害が過激化するある日、幼い弟を納戸に隠したサラは、納戸の鍵を手にしたまま収容所へ送られてしまう。そして現代。アメリカ人ジャーナリストのジュリアは、ユダヤ人迫害事件を取材するうちに、あるユダヤ人家族の悲劇を知り……。第23回東京国際映画祭で監督賞と観客賞を受賞。
2010年製作/111分/G/フランス
原題:Elle s'appelait Sarah
配給:ギャガ
オフィシャルサイト スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
2021年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ネタバレ! クリックして本文を読む
何度思い返しても、小さな弟を納戸で発見した時のサラの気持ちを思うと胸が締め付けられる。
サラが小さな弟を納戸に隠した時の気持ち、強制連行された後に弟が心配でたまらない気持ち、そして納戸で変わり果てた姿の弟を発見した時の気持ち。
そして、待望の妊娠が分かると同時に、自分の義父が住んでいたアパートがサラの住んでいたアパートだと、サラが変わり果てた姿の弟を発見したアパートだと知った時のジュリアの気持ち。
それぞれの気持ちが痛いほど伝わってくる、というよりも襲ってくる映画。
自分がサラだったらと思うと、自分だけが幸せに生きていくなんて耐えられない。
そして自分がジュリアだったらと思うと、望んで望んで望んでやっと授かった我が子を中絶なんてできない、ましてやサラの人生を知ってしまった後で、自らが授かった新たな生命を絶つなんて出来るわけがない。
ジュリアが(ジャーナリスト魂からか)過去に起こった惨劇から目を背けることなく、事実が明らかになるまで調べ尽くし、それによってサラの息子にも事実が伝えられ反発されるが、最後にはその事実が受け入れられ、そしてジュリアが連れていた幼子の名前が”サラ”だと分かった瞬間、観ている私たちまで言葉を失う。
そしてそのサラが無邪気に遊んでいる姿に救われる。
観るのに覚悟が必要な、そして一度観たら忘れられない作品だと思う。
2020年4月16日
Androidアプリから投稿
こんな黒歴史があったんですね サラがああしていなければ、何としても生きて弟を助けに行こうとは思わなかった訳だし いずれにせよ 収容所で家族もろとも死んでいた筈だったんですね 何ともちょっとしたことでガラリと変わってしまう数奇な運命を感じた 人は傷ついても真実を知りたがる そして必ず助けてくれる人がいる でも一番はあの犬かな
2019年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
フランスの失政を認めたのはわりと最近のこと。
現代に生きる女性ジャーナリストの目を通して、
真実の尊さを訴えかけてきます。
二度と起こしたくない迫害の歴史ですが、
まだ世界中、至る所で起きているかと思うと暗くなります。
2019年5月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
物語は、1942年のフランスで起きたフランス警察によるユダヤ人一斉検挙、世にいう”ヴェルディヴ事件”とその際に起きた幼きユダヤ人姉弟サラ(メリジェーヌ・マヤンヌ:幼き名優)とミシェルの悲劇。
そして、その60数年後、アメリカ人ジャーナリスト、ジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)とフランス人の夫ベルトラン(フレデリック・ピエロ)と一人娘ゾーイが夫の祖母マメから譲り受けたパリのマリ地区のアパートを観に行くという一見、全く繋がりのないシーンから始まる。
1942年、サラはフランス警察から両親と共に連行される。怖がる弟のミシェルを秘密の納戸に隠し、”鍵”を掛けて・・。彼らが連れていかれたのは、屋内競輪場”ヴェルディヴ”。
余りの環境の酷さに収容されたユダヤ人たちは疲弊し、一人の夫人が上段客席から飛び降りたほどである。
(ここで起きた悲劇に対して、故、シラク大統領が演説でホロコーストにおけるフランス国家の責任を承認し、フランス人には”時効のない負債がある”事を語った事は記憶にある。)
但し、今作ではフランス人もユダヤ人への弾圧を見て見ぬふりをする人ばかりではなく、収容所から逃げるサラたちさり気無く手助けする警吏や、不愛想だが匿うお爺さん(ニエル・アレストリュプ)も描かれている・・。
2009年、ジュリアは担当雑誌の特集で”ヴェルディヴ事件”を担当することになり、当時の状況を調べ始めるうちに、”夫の祖母マメから譲り受けたパリのマリ地区のアパート”について、疑問を持ち始める。
今作は、ここから一気に60年の時空を超えて動き出す。
[過去パート]
・ユダヤ人姉弟サラとミシェルの辿った悲劇。取り分け、過酷な状況の中、弟の身を案じ納戸の”鍵”を肌身離さず持つサラの健気な姿が観ていて辛い。そして、あの悲痛なシーン・・。
[現代パート]
・ジュリアがホロコースト記念館を訪れ、核心に迫っていくシーンやそれを快く思わない夫及び親族との溝が広がっていく。ベルトランはジュリアの体内に宿った命にも拒絶感を示す。(心中で、ベルトランに激しく毒づいた覚えがある・・。)
・サラの親族もジュリアに対しての対応は冷たく、真実を曝す事を良しとしない。
<事実を”知ってしまった”ジュリアが、その事実から目を背ける事無く覚悟を持って、新しい土地で新しい命を生むことを選択する姿に深い感動を覚えた作品。その新しい命に付けられた名前にも涙した。>
<2012年6月30日 劇場にて鑑賞>
すべての映画レビューを見る(全19件)