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ニキ・カーロ監督が描く、ワイン醸造家と天使の奇妙な友情

2010年10月22日 17:17

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1966年生まれ。長編は本作が4作目
1966年生まれ。長編は本作が4作目

[映画.com ニュース] 「クジラの島の少女」「スタンドアップ」で知られるニュージーランドの女流監督ニキ・カーロの最新作「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」が、10月23日から公開となる。原作はニュージーランドの小説家エリザベス・ノックスのベストセラー小説。19世紀初頭のフランス・ブルゴーニュ地方を舞台に、最高のワインづくりを目指す若い農夫ソフランと、ザスと名のる天使の奇妙な交流と友情が描かれる。

「ワイン醸造家と天使の交流という非常にロマンチックな世界観にひかれたこともありますが、実は何よりもひかれたのは、『人間とは何か』を描いている、その物語の本質だったんです」

もともと天使そのものには特別な興味はなく、天使という存在を使って、人間と精霊の関係性を描きたかったという。

「美術を勉強していた関係で、天使のフォルムを多く目にする機会があったんですが、私はカトリック教徒でもないし、エコノグラフィーとしての天使というものにはひかれていませんでした。それよりも今回の物語で私が興味を持ったのはスピリット、つまり精霊です。ある人間と、その精霊の存在や関係性を映画的に語るには天使という存在はとても適した素材なのではないかと思っていたんです」

その天使を演じたのが「ハンニバル・ライジング」のギャスパー・ウリエル。そして、主人公ソフランを演じたのが「ある子供」「ロルナの祈り」などダルデンヌ兄弟の映画で知られるジェレミー・レニエ。2人はフランス語圏を代表する若手スターだが、カーロ監督は2人がもともと友人同士であることを知らずにキャスティングした。

「天使の役はスクリーン上でピュアな存在感を出せる俳優を、ソブラン役は男性的で情熱的な俳優を探していました。その結果、ギャスパーとジェレミーを選んだのですが、2人はもともと仲のいい友達同士できずなが深かったんです。ある男と、その精霊の関係性を絆の深い男同士2人が演じるということは、その物語を語る監督の私にとっては神様からの贈り物のような気がして、うれしいサプライズでした」

ケイシャ・キャッスル=ヒューズがマオリ族の少女に扮した成長物語「クジラの島の少女」、そして理不尽な差別と戦う女性労働者を描いたシャーリーズ・セロン主演の「スタンドアップ」など、これまでは女性の視点から自然や社会を描く映画を撮ってきたが、今回初めて男性を主人公にした作品を撮った。

「映画作家の仕事は男性も女性も同じように描いていくことだと思っているので、特別な挑戦というふうには思っていません。ただ今回意識したのは、より大きい人間的な視点で物語るということだけです。そういった意味で、ケイシャやシャーリーズと同じように、ジェレミーやギャスパーともうあまく協力できたと思います」

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