塚本晋也監督、「鉄男」の疲労度は『「アバター」の3倍』と自信満々
2010年5月1日 04:44

[映画.com ニュース] 塚本晋也監督の最新作「鉄男 THE BULLET MAN」の公開を記念するトークイベントが30日、都内のギャラリーで行われた。塚本監督をはじめ、6月に発売されるDVDブック「完全鉄男 『鉄男』から『鉄男 THE BULLET MAN』までの軌跡」の編集を手がけた嶋津善之氏、同作を手がけたアスミック・エースの谷島正之プロデューサーが出席した。
塚本監督が代表作「鉄男」の誕生から20年を記念し、海外公開を視野に入れ全編英語劇として製作した最新作。スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカスらによる第1回「グリーンプラネット・フィルム・アワード」の「2010年最も期待するアジア映画」に選出され、4月22日に開幕した第9回「トライベッカ映画祭」にも正式出品された。
昨年、ベネチア、スペイン、韓国で上映された同作だが、塚本監督は「各地とも“上々”の反応で、これは違うなあって。本来、熱狂的に迎えられるか、石を投げられるか、どちらかなんだけど」と戸惑ったそうで帰国後、徹底的な再編集を行った。最終的に10分ほどカットされ、本編のエンディングに現在活動を休止しているナイン・インチ・ネイルズが書き下ろした新曲が挿入された。爆音上映へのこだわりから、“最終完成版”が上映されたトライベッカの劇場ではスピーカーが故障し、21人の観客が途中退場する事態となったが、満足げだ。
塚本監督は、「上映時間は『アバター』の3分の1だけど、疲労感は3倍あると思う」と自信満々。CGも最終的な調整にのみ用い、「完全に80年代のアナログな作り方。本当にお金がなくて、まったくゼロの状態から製作した。ボランちゃん(ボランティア)に感謝ですよ」。とはいえ、仮に潤沢な製作費があったとしても「ブルーバックは、演技するうえでイメージが沸きにくい。あくまでリアリティを追求したい」と話した。
世界を視野に入れた同作の製作を通して、「今後、どんどん海外で頑張るぞというベクトルがあると同時に、英語があまりに難しくて大変という気持ちも。ただ50歳になり、ケリをつけようと思って作ったのは事実」。DVDブックには、「鉄男」(1989)劇場公開版より10分長い「鉄男 THE FIRST CUT」が収録されているが、「あくまで資料。できれば世に出したくないし、今回特別に上映するという話も断った」と明かした。
トライベッカでは、主催者である俳優のロバート・デ・ニーロと会談。「俳優のなかで一番好き。緊張のあまり、会った後は消耗しきって、その日の予定をすべてキャンセルした。一緒に写真を撮ってもらったが、それ以来カメラも壊れてしまって」と会場の笑いを誘っていた。
「鉄男 THE BULLET MAN」はアスミック・エース配給で、5月22日から全国で公開。
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