監督を経験し、俳優としても気合い倍増!「ガマの油」役所広司が語る
2009年6月12日 12:00

[映画.com ニュース] 「Shall we ダンス?」「うなぎ」「EUREKA」「叫」といった国内の名作のみならず、「SAYURI」「バベル」「シルク」といった海外の作品でも知られる日本を代表する名優・役所広司。彼の第1回監督作品「ガマの油」が現在公開中だ。初めて自らを演出した名優に初監督の感想を聞いた。
本作は、一人息子が交通事故に遭ったことにより、自由に生きていた億万長者の父親(役所)が自らの人生や息子との関係を振り返り、妻や息子の恋人、親友らとともに新たな人生を歩み出す姿を、ガマの油売りの寓話を交えながら綴った人間ドラマ。当初は主演として製作チームに入っていたが、話が進むうちにスタッフから「監督をやってみないか」と依頼されたという。
「僕はこれまで一度も“監督をやりたい”と口にしたこともなければ、やりたそうな表情すらしたことがないんです(笑)。だけど、心の中では40台の半ばくらいから、一生に1回くらいは監督をやってみたいと思うようになってました。そこで今回依頼を頂いて、“やるしかない”と覚悟を決めました。でも依頼されなかったら(監督を)やってなかったと思いますね」
これまで名だたる映画監督と組んで多くの名作映画を作ってきたが、裏方に回っての映画製作は初体験。手探りでの監督体験をこう振り返る。
「たしかに僕は巨匠・名匠と呼ばれる多くの監督さんと仕事をしてきましたが、どうやったら自分が今まで出てきた映画のようになるのか分からないんです(笑)。だから、自分に出来ることといえば芝居を組み立てていくことなので、役者の芝居をしっかり撮ろうと思ってました。そんなとき、撮影監督の栗田豊通さんから、画コンテがあった方がスタッフは分かりやすいと言われ、全カット分の画コンテを描いたんです。とてもざっくりとしたものでしたけど、画コンテを描いたことによって、自分がどんなものを撮ろうとしているのかだんだんと分かってきたんです」
クランクアップ後、約3時間近くあった映像を編集し、2時間11分の作品として完成させた役所監督。やはり裏方の仕事を経験したことにより映画製作全般に対しての見方も変わったという。
「とにかく映画を1本撮ってみて思うことは、今まで僕がやってきた俳優という仕事は、スタッフが悩んだあげくに決めた一つ一つのディテールの上に乗っかって芝居をさせてもらっているということ。逆に、俳優さんが入ってくることによって、いろいろなことが完結するということも分かった。これからも俳優を続けるわけですけど、両方を知ってしまった以上、これまでよりはどうしても気合いが入ってしまいますよね(笑)」
「ガマの油」は絶賛上映中。
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