タランティーノ絶賛のスリラーがグランプリ!サンダンス映画祭閉幕
2008年1月29日 12:00
[映画.com ニュース] 近年「リトル・ミス・サンシャイン」や「バス男」を世に送り出し、ハリウッドからも熱い注目を浴びる米インディーズ界の冬の祭典、サンダンス映画祭(米ユタ州で開催)が1月26日に閉幕。コンペティション部門の表彰式が行われた。
グランプリに選ばれたのは、トレーラー暮らしの母親とモホーク族の少女の、カナダ国境からアメリカへの密入国を描くスリラー「フローズン・リバー(Frozen River)」。これが初監督となるコートニー・ハント監督の迫真のドラマだ。
今年の審査委員長クエンティン・タランティーノは「映画のように見えなかったし、感じなかった。アメリカでの貧困の描写には驚くばかりで、息をのんだよ。それから後半に入って悪徳が芽生えてくる。最後のひとコマまでその悪徳が心をかきむしるんだ。この完璧で自然な映画は、今年見るスリラーの中でもおそらく最も興奮する1本になると思う」と絶賛した。
観客賞には、メアリー=ケイト・オルセン、ベン・キングズレー、ファムケ・ヤンセンらが出演するジョナサン・レバイン監督のドラマ「ワックネス(The Wackness)」が選ばれた。10代のマリファナ常習者の売人とヤクでいかれた精神科医のひと夏のおかしなトラブルを描くコメディで、医者を上客とした少年はその先生から10代の娘を紹介され恋におちるというもの。また、アンサンブルキャスト賞は、作家チャック・パラニューク(「ファイト・クラブ」)の同名ベストセラーを映画化したクラーク・グレッグ監督のコメディ「チョーク(Choke)」。
ちなみに、過去の同映画祭でグランプリや観客賞や特別審査員賞を獲得し勇躍有名になった映画作家には、ジョエル&イーサン・コーエン、スティーブン・ソダーバーグ、トッド・ヘインズ、クエンティン・タランティーノ、ブライアン・シンガー、ロバート・ロドリゲス、ジョン・キャメロン・ミッチェルらがいる。
一方、世界中でスマッシュヒットを放ったアイルランド映画「ONCE ダブリンの街角で」は昨年のワールドシネマ部門観客賞受賞作。今年の作品賞(審査員賞)はスウェーデン映画「King of Ping Pong」(ヨンズ・ヨンソン監督)で、観客賞はヨルダン映画「Captain Abu Raed」(アミン・マタルガ監督)。前者は学校仲間からつまはじきにされた16歳の少年が卓球に生き甲斐を見つけるというドラマ。後者はホラを吹いてファンタジックなパイロットの人生を語って、子供たちを楽しませる空港清掃員の物語だ。
サンダンス映画祭コンペティション部門の主な受賞結果は以下の通り(ドキュメンタリー映画部門除く、タイトルは英語表記)。
▽グランプリ 「Frozen River」(コートニー・ハント監督)
▽観客賞 「The Wackness」(ジョナサン・レバイン監督)
▽監督賞 ランス・ハマー、「Ballast」
▽脚本賞 アレックス・リベラ&デビッド・ライカー、「Sleep Dealer」
▽特別審査員(アンサンブルキャスト)賞 「Choke」
▽作品(審査員)賞 「King of Ping Pong」(ヨンズ・ヨンソン監督、スウェーデン)
▽観客賞 「Captain Abu Raed」(アミン・マタルガ監督、ヨルダン)
▽監督賞 アンナ・メリキャン、「Mermaid」(ロシア)
▽脚本賞 サミュエル・ベンシェトリ、「I Always Wanted to Be a Gangster」(フランス)
PR
©2025 Disney and its related entities