「魔笛」のケネス・ブラナー監督、モーツァルトへの恨みは無し
2007年7月20日 12:00

[映画.com ニュース] 監督デビュー作「ヘンリー5世」から「から騒ぎ」、そして「ハムレット」まで、多くのシェイクスピア作品を映画化してきたことで知られるケネス・ブラナーが今度はモーツァルトの「魔笛」を映画化。公開を前に、PRのために来日したブラナーに話を聞いた。
若かりしケネス・ブラナーがモーツァルト役を志願していながら落とされた映画といえばミロス・フォアマン監督のアカデミー賞受賞作「アマデウス」(84)。今回の「魔笛」の映画化に際してモーツァルトへの複雑な思いがあるのかを聞いてみると「あれは82年頃だったかな。当時『アナザー・カントリー』の舞台に出ていたんだけど、近くの劇場でゲイリー・オールドマン、ティム・ロス、ルパート・エベレットたちが芝居をしてたんだ。あと、『アナザー・カントリー』の引き継ぎでダニエル・デイ=ルイスも一緒だったかな。とにかく、舞台がはねた後に近くのパブで一緒に飲みながら“おれたち映画に出られるのかな?”なんてよく話していたんだ(笑)。そこで、ルパートに“君がもしモーツァルト役を獲ったら、世界が変わるよ”なんて言われていい気になったのがいけなかったのか、モーツァルト役を落とした上に、映画版『アナザー・カントリー』の主役も落としたんだ。これは結局コリン・ファースに獲られて、今でも会う度に彼をからかってるよ(笑)。その後、僕が『フランケンシュタイン』(93)を撮ったときに『アマデウス』でモーツァルトを演じたトム・ハルスが出演してくれたんだけど、彼が素晴らしくいい奴でね。もし、僕の中でモーツァルトに関して何かわだかまりがあったとすれば、トムと出会ったときに消えているよ」とモーツァルトへの因縁を否定した。
97年の監督・主演作「ハムレット」以降は、俳優業より監督業に重きを置いているかのようなブラナーだが、今後について聞いてみると「確かに『ハムレット』以降は変わったかもしれない。ハムレットは映画になるまで15年以上舞台で演じ続けていたから、ある種の疲れはあったかもね。あの後、監督業にシフトしたような感じもするけど、そろそろ俳優業の方を積極的にやっていきたいと思ってるんだよ」と語ってくれた。「魔笛」は絶賛上映中。
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