違国日記

劇場公開日:2024年6月7日

解説・あらすじ

コミック誌「FEEL YOUNG」で2017年から2023年まで連載されたヤマシタトモコの同名漫画を映画化し、人見知りな女性小説家と人懐っこい姪の奇妙な共同生活を描いたヒューマンドラマ。

大嫌いだった姉を亡くした35歳の小説家・高代槙生は、姉の娘である15歳の田汲朝に無神経な言葉を吐く親族たちの態度に我慢ならず、朝を引き取ることに。他人と一緒に暮らすことに戸惑う不器用な槙生を、親友の醍醐奈々や元恋人の笠町信吾が支えていく。対照的な性格の槙生と朝は、なかなか理解し合えない寂しさを抱えながらも、丁寧に日々を重ね生活を育むうちに、家族とも異なるかけがえのない関係を築いていく。

新垣結衣が槙生役、オーディションで抜てきされた新人・早瀬憩が朝役でダブル主演を務め、槙生の友人・醍醐を夏帆、元恋人・笠町を瀬戸康史、朝の親友・楢󠄀えみりを小宮山莉渚がそれぞれ演じる。監督・脚本は「PARKS パークス」「ジオラマボーイ・パノラマガール」の瀬田なつき。

2024年製作/139分/G/日本
配給:東京テアトル 、ショウゲート
劇場公開日:2024年6月7日

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(C)2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会

映画レビュー

3.5 “かけがえのない時間”

2024年6月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

幸せ

 両親を亡くした傷心と、母親とは異なるちょっと変わった大人の女性との同居生活に戸惑う思春期の少女。新垣結衣演じる人付き合いが苦手な小説家の槙生と、早瀬憩演じる天真爛漫な少女・朝のコントラストが互いの心を動かしていき、次第に心を開き交じり合っていく様が心地よい作品です。

 脚本と編集も手掛けた瀬田なつき監督は、本作でも映画制作の喜びに溢れたようなシーンを生み出しています。中でも夏帆が演じる槙生の友人・奈々を交えた3人のシーンでは、早瀬の初々しい演技を生かしたような余白のある演出が印象的。まるで役者のリアクションに委ねたような“かけがえのない時間”から自主製作映画を思い起こさせる自由さを感じることができます。

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共感した! 9件)
和田隆

4.5 安易に共感しない女性同士の連帯を描く。関係の変化を促す触媒としての脇キャラたちもいい

2024年6月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

楽しい

ヤマシタトモコによる同名漫画は未読ながら、映画「違国日記」鑑賞後にネット記事の原作者インタビューで作品に込めた意図や印象的な数コマに触れ、漫画で描かれた人物像や空気感を尊重し適切に実写化できているように感じた。槙生役・新垣結衣と朝役・早瀬憩のキャスティングもはまっているし、原作連載時期が2017年~23年と近く時代背景をほぼそのまま生かせたのも無理のない脚色につながったはず。

瀬田なつき監督が2020年に発表した「ジオラマボーイ・パノラマガール」も漫画原作だが、岡崎京子が1988年に描いたバブル期の高校生男女の恋愛模様を、令和の東京に舞台を置き換えて実写化するというかなり無理筋の企画だったせいか、ストーリーもキャスティングもうまくかみ合っていない感じを受けた。2作の比較で言えば、「違国日記」のほうが断然好みだ。

「違国」という造語で強調されているように、人はみな違う存在で、考え方も感じ方も違うのだから、安易に気持ちが分かるとか共感できるといった馴れ合いはしないが、違いを認めたうえで寄り添ったり支え合ったりすることはできる。そうしたメッセージは昨今の多様性尊重の流れにも沿う。

マンションで一人暮らす小説家の槙生が両親を失くした朝を引き取ることになり、ぎくしゃくした同居が始まる。そんな2人の関係が、槙生の友人・醍醐(夏帆)や朝の親友えみり(小宮山莉渚)といった触媒のような存在とのかかわりにより次第に変化していく流れも好ましい。コミック全11巻分の物語を本編140分弱に収めたので、映画での脇キャラたちの描き込みがやや物足りないとはいえ、限られた時間の中でうまく整理できたように思う。

早瀬憩については、出演歴を見たら鑑賞済みのドラマに結構出ていたのに認識していなかったことに気づいたが、撮影当時15歳、今年6月で17歳になったばかりだそう。無垢な幼さを残しているようで、老成してみえる瞬間もあって、不思議な魅力がある。これからの演者としての成長と活躍に大いに期待したい。

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共感した! 34件)
高森郁哉

4.0 人はそもそも違国の住人

2025年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

知的

姉の死で、姪っ子朝を引き取ることになった人見知りの小説家の槇生。
生前の姉のことが大嫌いで、朝ともうまくいく自信はない。
でも、朝が高校の軽音学部で、作詞を考えていた時、槇生の出番が回ってくる。
「こだま」について二人でしりとりゲームのごとく連想するシーンがいい。
少女っぽい無邪気な発想と、小説家の熟練技の発想が響き合い、とても素敵な時間が流れていく。
もうひとつは、槇生の友人の奈々の存在。ふたりのそれぞれの事情を、敏感に察知しながらの笑顔と空気を読む絶妙な間合いがたまらない。こんな友人がいれば、槇生も朝も救われる。
いつの世もムードメーカーは必要不可欠だ。

人と人って、程良い距離感が大切で、みんなひそかにアウトボクシングに徹したいと思っている。
槇生も朝も、死んだ姉でなり母親と距離感を縮めすぎたんだと思う。でも、それはけっして悪いことじゃない。
距離感を縮めないと見えてこない世界もある。
人はそもそも違国の住人なのだから。

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ジョー

2.0 90分で良い

2025年12月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

原作未読。姉夫婦が突然の事故死、勢いで遺児の朝を引き取ることになった小説家、槙生。槙生は朝に姉のことを今も大嫌いであることを伝える。
大好きな母を嫌う叔母と、大嫌いな姉の一人娘の奇妙な共同生活。
母の教えが全てだった朝は、槙生と暮らす事で多様な価値観を知る。槙生は朝を通して姉を見ることで、子ども時代からの自分の気持ちに折り合いをつけていく。2人の成長の物語といったところ。
題材はとても面白いし、映画化するくらいだから、原作漫画は見ごたえがあるのだろう。しかし、原作の良さは伝わらない。
淡々とストーリーは進み、山場が山場でない。そして長い。もっとメリハリをつけて、切るところは切った方が良かった。
新垣結衣は、この小説家のイメージが無い。長年の染み付いた苦悩とか、内面から滲み出る葛藤とか、そういうものが感じられなかった。そういう負の感情を自然に出せなければ、実写化の意味が無いのではないか。

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hk