エリザベート 1878のレビュー・感想・評価
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美しいという公務があるのね。
これはフライヤーの王妃が中指立ててるポーズが気に入って、観に行こうと思って楽しみにしていた作品。
先日観に行ったエルツおもちゃ博物館のミニチュア展でも、ドールハウスの壁にかかっていたエリザベートの肖像。
美しさと憧れの象徴のような女性だったんだろなと思ってみたのだけど。
映画の中の彼女は美しさをはじめとする自分の公的な役割と、自分らしく生きられないことの生きづらさで、とてもとても美しいのにとてもとてもしんどそうだった。
目に映るどこまでも美しい世界観とは反対に、我慢と忍耐の日々に耐えかねて息抜きしようとすると、それも裏目裏目に出てしまう。なんとも言えない閉塞感の中、ただただ美しい彼女。
これを観て、私は美女に一生なれんと心から思った。(まず美女に産まれるかどうかは別としてよ!)
食欲を捨てるという選択肢を死んでももてないから。
死ぬほど相手が好きかお金と権力が好きなら楽しい世界なんかもしれん。。
楽しいと美味しいを自由に楽しめない世界で生きていけないので、観てるだけでしんどかったわ!
昔話にでてくる美しいお姫様も表向きは幸せに暮らしました、だろうけど、裏側まで取材したらこういう我慢があった、かもしれない。
ラストシーンは幸せになったのか不幸になったのか私には分からなかった。
面白かったので、是非ご覧になってください。
よくできた王朝フェミニスト映画
よくできた王朝フェミニスト映画である。皇后として与えられた役割に拘束され、空虚と退屈に対する自我の闘いが気まぐれと受け取られる苦しみに加え、美貌に翳りが出てくる中年女性としての普遍的な苦しみもある時期の主人公を演じる女優が力演している。エリザベートの肖像を知る人が映画のポスターを見たときの違和感は映画を見ると解消される。脇役の、あのバイエルンのルートヴィヒ2世もいい感じで筋に絡んでくる。
シシィを自由にしてあげた映画!
声は再現されないとカメラマンから聞いたから、(多分)罵り言葉を叫んでジャンプして沢山動いている自分を撮影させたモノクロ動画の中のシシィが愛しい。シシィという愛称にも彼女はうんざりしていたかもしれない。お土産物で映画でミュージカルで博物館で、そして今もストリーミングで消費し尽くされ続けているエリザベート。ハイネを尊敬し詩を書き文学を愛し運動神経に恵まれ外国語習得能力が高く、いとこであるルートヴィヒⅡ世は心の友、そもそもが野生児でお転婆でワイルドでエネルギッシュで知的なエリザベート。その天分が生かされず飼い殺しの見世物状態、何のための人生かと誰が思っても不思議でない。
当時の平民女性の平均寿命は40才だとシシィの主治医は言った。拒食で過度な運動をしてひたすらウィーンから離れる旅を続け、スイスのレマン湖畔で本来のターゲットでなかったにも関わらずエリザベートは暗殺された。60才で。この映画を彼女が見たら笑って喜んだと思う。思う存分泳ぎ馬に乗り、大好きなケーキを食べ、人前でお構いなく煙草を吸い、失神する演技をするお茶目、そんな笑顔の彼女は自由で心から幸せそうだ。
シシィを演じた女優を見て思ったが、ヨーロッパの俳優には色んな側面があって普段の顔もあることを自然に示すから面白い。ハリウッドの女優は皆が24時間「ザ・女優」業をしてます!に見える。
この映画は「バービー」同様、監督は女性で主演女性が製作に入っている。軽やかで自由で音楽がいいし、楽しんで映画を作ったんだろうなと思った。
外は白鳥、内は虎
40才という設定が絶妙!
「同じでいること」に相当努力が必要となってくるお年頃です。
たとえば暴飲暴食をして体重が増えても、1〜2日節制すれば元に戻っていた筈が…
暴飲暴食をしなくても体重が増えていくのが40才。
確実に代謝が悪くなっているので、今までと同じカロリーを摂っていてはダメ。
つまり“同じ”を保つ為には、これまでと同じことをしていてはダメになってくるお年頃なのです。
見られることが商売ではない私なんかは、抗わずに老いを受け入れておりますが。暴飲暴食最高!笑
エリザベートのように、国の広告塔として美しさを外交に利用している立場としては、美しくなくなる=存在価値が無くなるという恐ろしいことに…
は、なりません!
我らがエリザベート1878は、ムカついてます。
中指立ててファッキューです。
“美しさよ永遠なれ”なんじゃそりゃ?
美しさを褒めるしか能のない奴らとは話す価値ナシ!
でも、老いたと思われるのも癪にさわるし、政治の話しができないと思われているのにも腹が立つ。
みんなおべっか使いの嘘つきばかりで、自分の美しさがまだ保てているのかどうかすらわからなくなるから、本心しか言えない相手を探すしかない。
物語のキーとなる挿入歌が、いちいちかっこ良いです!
言葉にしないエリザベートの苛立ちや憤りが伝わるうえに、伏線にもなっています。
伏線と言えば…試写会に参加された方のなかには、舞台ミュージカルのエリザベートのファンも多いようでしたが、私にとってのエリザベートはビスコンティ監督の『ルードウィヒ 神々の黄昏』なのです!
騎乗の姿も麗しい。
あの映画の中では、ルードウィヒの一番の理解者であり同類。唯一彼が渇望した存在として描かれていましたが、本作はそのイメージをエリザベート側から更に強く裏づけてくれました。
少ないセリフのやり取りですが、濃厚で痺れます。
ビッキー・クリープスが流石の演技で、国王との心のすれ違いが本当に辛い。
双方の気持ちが理解できる丁寧な心理描写に心が痛かったです。
レモンティーとウィンナコーヒー(?)も対照的。
お衣装に調度類に建物にうっとりして、見どころ満載。
でも一番の見どころは、全てを自分でコントロールして完全なる自由を手に入れた瞬間の清々しさ!!
外では白鳥。内では虎。
女性に外見しか求めない奴らへの復讐。
見事に欺いた後には、誰にも手の届かないところで得意げに語る彼女がいる。
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