アスファルト・シティ

劇場公開日:2025年6月27日

解説・あらすじ

「ミスティック・リバー」などのオスカー俳優ショーン・ペンと「レディ・プレイヤー1」のタイ・シェリダンが主演を務め、ニューヨーク・ハーレムの救急医療現場の知られざるリアルに迫ったスリラー映画。

犯罪と暴力が横行する混沌の街ハーレム。医学部入学を目指し勉学に励むクロスは、その一方で新人救急救命隊員として働きはじめる。腕利きのベテラン隊員ラットとバディを組んだ彼は厳しい実地指導を受けるが、様々な犯罪や薬物中毒、移民やホームレスの終わりなき問題に直面し、自分の無力さに打ちのめされてしまう。そんな中、自宅で早産した女性からの要請で出動するが、新生児への処置をめぐり、クロスとラットの人生は大きく狂いはじめる。

ベテラン隊員ラットをペン、新人隊員クロスをシェリダンが演じ、「ファンタスティック・ビースト」シリーズのキャサリン・ウォーターストン、「ラストデイズ」のマイケル・ピット、元プロボクサーのマイク・タイソンが共演。ジャン=ステファーヌ・ソベール監督が、元救急救命士の経験を持つ作家シャノン・バークによる実話に基づく小説を映画化。過酷な救急医療現場で繰り広げられる生と死の極限のやり取りを描き出した。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

2023年製作/125分/R15+/アメリカ・イギリス合作
原題または英題:Asphalt City
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2025年6月27日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10
  • 画像11
  • 画像12
  • 画像13

(C)2023 BF MOVIE LLC. All Rights Reserved.

映画レビュー

3.5ソヴェール監督らしい凄みと畏れを併せ持った一作

2025年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ソヴェール監督といえば、燃え盛る炎に飛び込むような題材選びで知られる。例えば内戦の混沌を描いた『ジョニー・マッド・ドッグ』。それに続く刑務所内のムエタイ・ドラマ『暁に祈れ』。いずれも尋常でない方法で臨場感を刻んだ秀作だ。そんな彼が拠点の一つに据えるNYを舞台に描いた新作だからこそ、本作はありきたりな街の神話の域を超え、救急救命士が身をもって体験する壮絶な日常の物語となり得ている。仮に前二作を「怪物」と形容するなら、本作はさながら凄みと畏れを併せ持った「死神」。その上、主演のペンとシェリダンを両輪として、彼らの演技、関係性、化学変化によって状況や心理模様をじっくりと切り開いていく様にも見応えがある。突き詰めるならラストの一文。そこに刻まれた言葉が本作の核心とも呼ぶべき意図を告げる。見終わった側から忘れる消費型の娯楽作でなく、観客が自ずと想いを受け取り、問題意識を育んでいく映画と言えるだろう。

コメントする (0件)
共感した! 5件)
牛津厚信

4.5救急救命隊員の理想と現実

2025年7月11日
iPhoneアプリから投稿

映画鑑賞の良さの一つに自分の知らない世界を知れるというのがあるけど、これもそれ。NYの裾野の荒れた感じや隊員達の粗暴な人間模様が、医者を夢見る青年の目線から生々しく描かれる。

ペンは勿論だけど、主演のTシェリダンがとても良かった。彼の今後が気になる。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
石岡将

4.0凄まじい緊張感、体験。

2025年7月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

ドキドキ

タイ・シェリダン、ショーン・ペン、マイケル・ピット3人のぶつかり合いだけでも見る価値がある作品だった。とにかく映画が始まった瞬間から張り詰めた緊張感に息つく間も無く救急車に乗ればどこまでも必死の救命活動が続く。
ニューヨークという魔物が生み出す狂気に呑み込まれないように必死に奮闘する主人公達をただひたすら応援したくなる。タイ・シェリダンがこんな良い俳優になってるとは知らなかった。「レディー・プレイヤー1」以来見たが本当に素晴らしい演技で良い俳優になったなぁと感心。映画の内容としてはひたすら救急車で爆走しながらスラム街のヤバい現場をまわりながらどんな人間も救命活動をするという非常に重たい内容でドキュメンタリータッチで撮影されていて時々カメラの手ぶれに酔ってしまったがあまりに内容が凄まじかったので体験としては100点満点だった。それから最近は録音が優れた作品も多いが本作は特に優れていると感じた。今年見逃してはいけない一本。何回も観たくなる映画ではないかもしれないが映画館で観ないのはもったいない。最近は質の高い作品が全国展開されなくなってきてるので応援するつもりで映画好きは映画館へちゃんと行こう。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ザ・アナキスト

4.0病むか、悪に走るか、以外の選択肢

2025年7月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

職場でメンタルを病んでしまうケースは増えており、その原因も様々。ただ、激務で報われない、そして労りのない仕事をしているとメンタルがやられてしまうよなと感じている。
さて本作。消防士の話だと思っていたが、消防署に勤める救急医療担当者の話だった。ただの勘違い。新人とベテランのバディものと思わせておいて、実は過酷な救急医療の現場を描いた、めちゃくちゃ重いテーマの映画だった。スクリーンに映し出されるのは、まさに激務で報われずに労りもない仕事だ。
ニューヨークの救急医療現場の主な対象は、犯罪者や薬物中毒者、精神疾患を持つ人たち。救急医療隊員が救おうとする人から毎日のように悪態をつかれ罵倒される。感謝などされない(描写が多かった)。これでは病んでしまうよな。どこかで割り切るか、ガス抜きをしないと続けられそうもない。最後にクロスが何かを吹っ切ったように見えたのが唯一の救いだった。いや、それでも今後彼のメンタルが心配だ。それくらいに未来は明るくない。
冒頭からハエの羽音や救急車のサイレンのフラッシュが印象的だった映像は、メンタル的に追い込まれていく様を印象付けるものだと途中で理解した。とてもうまい演出だ。そして、最後に殉職者よりも自殺者のほうが多いと知って愕然とした。同時にその事実もわからないでもない。それくらいに過酷な現場だった。それを理解しただけでも本作の意義はある。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
kenshuchu