キリエのうたのレビュー・感想・評価
全86件中、41~60件目を表示
張り上げる「キリエ」の歌が凄い
省略の余韻が好きな私は丁寧すぎる描写が気になるも心地よく、久々の揺れるカメラに浸った
性暴力の過去作の嫌な記憶がフラッシュバックしましたが、騙された男の混乱があって迫力ある場面になってました
刺されて血を流すすずさんは描き込まれてないとの批判もあるようですが、なかなか良いですよ
美しい映画でした
描かれない背景、
人物像などが余白となって、
それぞれの人生や想いを
考えさせてくれる映画でした。
ただ、キリエが歌う歌だけは、
そこに確かにハッキリと存在しています。
魅力的な歌声と美しい映像に魅せられ、
ストーリーは進行します。
アイナさんは詳しく存じ上げていませんでしたが、
最後のライブシーンは素晴らしかったです。
フルで聞きたかった…
映画を観た後に主題歌を聴いていますが、
歌詞がスッと入ってきました。
こういう映画だったのかなと。
感想を書いておいてアレですが、先入観無く、
変なバイアス無しに見てほしいと思いました。
雪解け
押し殺した感情を絞り出しすすり泣きが
やがて叫びにも聴こえる絶唱
のびやかな幼少期の歌声から
諦めなかった路花の記憶が
つくりあげていくKyrie
一方
真緒里が諦めた自分は
裏切りや憎しみの化粧をいつかの自分の傷に塗り重ね
仕返しすることで過去を助けるかのように
誰かを欺き続けるイッコとして生まれ変わる
いくつかの重なる糸は
絡みあう再会を呼ぶ
ぬくもりの記憶はお互いの心のよりどころになるが
そんなきれいなことばが翻ることがあるのを
突きつける現実
イッコは助けたいはずの路花を傷つけ
路花はそうして生きてきたように
信じたい何かを離さない
冒頭とおなじ2度目のシーンは印象的だ
たのしそうな2人がいる雪の世界
路花が口ずさむさよならのメロディが
ぽつりぽつりと浮かびあがる
その声を聴く真緒里の安らかな表情
せつない歌声が
この時が永遠ではないことを告げ
静かに消えていくようだった
よかった
アイナ・ジ・エンドさんの喉を詰まらせるような歌が非常に癖が強くて、この映画の予告でほぼ初めて聴いているため好きになるには時間が掛かりそうだ。好きだったらたっぷり聴けてとてもいい。口がきけない役なのだけど、どうもそんなように見えない。目一杯しゃべりそうな顔立ちだ。そんなところが気になるのだけど、震災に非常に向き合っている。
児相を悪く描きすぎている。危険人物でもない限り、あんなに邪険にしないと思う。引き離された子どもの心のケアも考えるはずだ。
せっかくだったのでもっと音楽を楽しみたかった。キリエがカバーする歌が古い。僕にはドンピシャなのだけど、おじさん向け映画になっているのではないだろうか。
お姉ちゃんの方のキリエはバイトの面接で不合格になりそうなタイプだ。
広瀬すずがいただき女子、キリエは東横キッズみたいな暮らしぶりだ。
ファンでもなく一般人の感想
アイナ・ジ・エンドさんの初主演映画ということもあり拙い演技を音楽でカバーするような音楽映画だと思ってましたが、全くそんなこと無く、むしろBGM感覚で流れるくらいで、内容がしっかりと濃く、
「歌で誰かを幸せにしよう」というよりかは自分の存在意義のために歌ってるだけの感じがしました。
全体的に素晴らしい映画だと思いました(話が過去と現在を行き来しすぎて時系列を整理するのに時間がかかったが笑)。
さまざまな環境で生まれ育った男女が、たくさんの苦悩を抱えながらそれでも必死に生きていこうとする、苦しくも切ない映画。。。
観終わった後の余韻が凄すぎた笑。
キャストが豪華すぎてめっちゃ贅沢な使い方してるなぁと笑。子役の女の子のナチュラル感もたまらなく良かったです☺️
約3時間あったが、「まぁこれだけ過去に遡ってるとそれくらいはするよな」と💧
「歌でしか話せない」という縛りは別に無くてもよかった感。。。(話せないなら話せないで徹底してやってほしかったけどそれだとアイナさんも勿体ないし)
今の歌手は演技も求められる時代になったんだなとつくづく思いました。
でもやっぱりアーティストだけあって表現力も豊かで演技もお上手なんだなと。
追記>> 東日本大震災のシーンについて「下着姿になる必要あるか?」との声がよく見られますが、自分はあれはあれで良かったと思います。異性だからとかではなく、実際に地震が起きた時にどういう格好でいるかなんて誰も想像できないからです。きちんとした服装で毎回地震だなんて作りものすぎてつまらないと思いました。
それこそがリアルなんじゃないですかね。
地震のシーンにおいて
「下着姿になる必要があるか」ではなく、
「きちんとした服装でいる必要があるか」
という発想から監督はつくられたのかな、と自分は思いました。
音楽映画に振り切らずきちんと説明
音楽映画。にせずにきちんと説明した印象。謎の女性二人に説明をきちんとしていてそれが良かった。それで長くなった。
マネージャーのマネージャーとしての活躍がもっとあると良かった。途中退場が唐突に感じた。スケジュール確保の都合とかあったのかと思うくらい。
ラストはアンプの電源切られたけどアカペラで歌い続ける。としたら最高なのになあ。と思った。
「声が出せません」と台詞で言ってる時点で設定の甘さにダメって思った
冒頭、話しかけられてメモ帳に「声が出せません」と書いて見せておきながら、かすれた声で「声が出せません」ってかすれ声で発声している時点で「あ、むりかも」と達観しました。普通に喋れてますよネ?設定の緩さ。それが徹頭徹尾、一事が万事で。
ラストシーンを鑑みるに、これはルカとイッコの友情物語なのか?その割にイッコが退場してる時間長くない?だとしたら帯広編でもう少し友情育んだ描写を入れたほうが良いし、東京で再会してからもエピソードが弱いし、そもそも偶然新宿で再会するのか?それを言ったら映画もフィクションもファンタジーも成りたたないので、まぁよい。
終盤のフェスのシークエンスはとても酷い。岩井監督お得意のわかりにくいジョークなのかと思ったが…。そもそもあの物販に積極的な彼はちゃんとしたミュージシャンじゃなかったのか?単なるストリートミュージシャンだったのか?あの世界の業界のパワーバランスがよくわからなかった。無許可でフェスをやってキッチンカーまで呼んでいたのか。許可証に無断着で「あれ?お前持ってる?」みたいになるのか。なんでそこにイッコを追ってるはずの刑事が見物しているのか。イッコを追えよ。別の場所で刺されてるぞ、おい。
なんというか。おっさんが若者らしさを意識して言葉とか服装を若者に寄せてるあの感じ?それを感じました。「あちゃー、あぁなりたくない」と。雪の上歩くのも、それを俯瞰して取るのもお家芸なんだけど、もういいよって少し思った。
物語に引き込まれる要素って登場人物に感情移入できるかが大きいと思うんですね。大抵、その役は主人公が担うわけです。もしくは、主人公は地味だがカリスマ性の在るヴィランが出てるとか、等身大の有象無象の群像劇で「わかる!」ってのが必須でありまして。どうしても主人公のルカには共感できず。歌もうまいっちゃうまいけど個性的方面の属性で、かつそんなにカリスマ性を感じなかったし、演技のほうもなんなら子供時代を演じた子のほうが良くて、更になんならもともとこの子ありきの映画で面影の在る女優さんが居なくてアイナ・ジ・エンドさんに白羽の矢が立ったのではと邪推した。
時間の無駄
北斗くんが好きだからという理由だけで観に行きました。結果、時間の無駄でした。
まず、キリエが喋れないっていう設定を自分で作ったのに、喋れている。
其々のキャラクターの背景も全く分からず、誰にも感情移入出来なかった。路花は何で声が出ないのか?真緒里は何で逸子になったのか?
強いて言えば、夏彦が希に迫られ執着されて何となく関係を持ってしまったのが可哀想と思うくらい。そりゃ、無かったことにしたいよ。
音楽シーンにしても、あの声や歌い方が気持ち悪いから私的には不快でしか無かった。好きな人には歌声が聴けて嬉しいのかもしれないが、バックで流しているシーンが多くて、音楽を推すならもっと歌っているシーンを増やした方が良かったと思う。ラストのフェスにしたって、許可取らずに強行突破しようとするなんて、路上で頑張っているミュージシャンのネガキャンにしかならない。
極め付けは主演の露出シーンが多過ぎること。これは監督の趣味ですか?本人が脱ぎたがっているの?どっちにしたって気持ち悪いわ。あれで喜ぶのなんて、主演のファンくらいでは無いですか?物語上必要ないと思うし、ああいった無駄なシーンが多過ぎるから薄っぺらいストーリーになったんじゃないでしょうか?
途中でトイレ行こうかなって思いながら見てましたし笑
今まで見た映画の中で1番時間を無駄にしたと思う映画でした。
アイナジエンドの唄はいいのだが
アイナジエンドの唄はいいの特にカバーのさよならとか異邦人とかは格別
映画としては情報詰め込みすぎで子供時代 高校生時代 現代と入れ替わり立ち替わりで話がわからんくなってしまったし 長いと感じたということは面白くなかったということだろう
とりあえずアルバムは買います🎵
狐憑きの話
キリエ(路花)は歌を聴かせることにより、ひとに取り憑く。
路上の客の顔は歌を聴いて感動しているというより、つままれている。
夏彦はキリエ(希)に取り憑かれ「狐を妻として子を生ましめし」そうになったが、津波により救われる。しかし、キリエ(希)がいなくなったその後も憑かれ続ける。
風美も路花の歌を聴き憑かれそうになるが、夏彦と共に行政という壁に救われる。この映画で福祉司や警察という公(おおやけ)は風美や夏彦や客を妨げるものではなく、物の怪(もののけ)から護るもの。
真緒里は代々、祖母も母も歌を歌わすことにより、ひとに取り憑く家系だった。真緒里はそれが嫌だった、、、はずだった。しかし、夏彦に会った。夏彦を歌わしても取り憑けない。夏彦はすでに取り憑かれているから。
そして、路花に会った。雪の場面。真緒里は路花に歌を歌わせる。路花は真緒里に歌を聴かせる。この「さよなら」を聴いた時点ですでに、真緒里は憑かれていた。
2023年、真緒里はイッコと名前を変え、路花はキリエと名前を代え新宿でまた出会う。
イッコはキリエに歌わせる。青い服を着させて。儀式として。
(儀式として、キリエ(希)もキリエ(路花)も人に憑く前にシャワーを浴びる)
そして「キリエのうた」により、ひとが引きつけられ集まってくる。
ラストも、隣の客を癒やすのではなく、取り憑いて終わる。
アイナ・ジ・エンドの歌をずっと聴いていたくなる
歌うことは出来ても話せない路上ミュージシャン・キリエ、キリエのマネージャーになった職業不詳の女性・イッコ、3.11で婚約者が行方不明になった青年・夏彦、どこから来たのかわからない喋らない謎の少女・イワン、子供に寄り添う小学校教師のフミ。みんな何らかの悩みや苦しみを抱えていて、彼らがどう絡んでいたのかが徐々にわかってくるという、2010年頃から2023年までの13年間を描いた話。
北海道の帯広、宮城県の石巻、大阪、東京など場面が切り替わり、2023年から突然過去にシーンが切り替わるなど、わかりにくいが、少女イワンとキリエが同一人物なんだろう、というのは序盤から想像出来るので、その過程を謎解きのように追うストーリーは面白かった。
東日本大震災で母と姉を失い、声も失ってしまった少女・イワン役の子役・矢山花が目力のある演技で素晴らしかった。
BiSHのアイナ・ジ・エンドはハスキーでブサカワだが、キリエ役にピッタリ。彼女の歌に引き込まれた。彼女の歌をずっと聴いていたくなった。バックのギタリスト役・村上虹郎もよかった。
黒木華のほんわかした優しさに癒され、松村北斗はカッコよかった。
広瀬すずがカラーウィッグをどんどん変え、何を仕事にしてるのかなかなかわからなかったが、結婚詐欺師とは驚き。彼女が悪女を演じても悪い女に見えないのは美人だから?最後は死んだのかなぁ?彼女は、助かって、罪を償い、更生して欲しい。
最初、キリエとルカをアイナ・ジ・エンドが一人二役で演じる必要性を感じなかったが、これは夏彦が成長したルカを観てキリエを思い出すためなのかもしれない、とその意味を考えさせられた。
いずれにせよ、アイナ・ジ・エンドの歌やダンスを含め、彼女の魅力を堪能した。
3時間と長いが、長さを感じさせない魅力があり、良かった。
やっぱこの人男心がわかってるー!
男って過去の恋愛をいつまでも引きずるもんだから、眼の前にそっくりな妹が現れたらそりゃもう‥
酷評も多いけど、この作品って何かを伝えるんじゃなくて自分の為に描いた作品な気がする。
こうゆう大衆に媚びてないやつ俺は大好き!ただちょっと不幸要素が多かったかな?
よく分かりませんでした。
主要キャストの人生が複雑に絡み合った物語で、ちゃんと最後の落ちまで描かれてはいるのですが、結局のところ何を伝えたかったのかよく分からない作品でした。
映像や雰囲気に浸る作品かとも思いますので、これでいいのかも知れませんが、作中にアイナ・ジ・エンドさんが歌うシーンがとても多く出てくるので、彼女の歌が好きでないと作品に浸るのは難しいかも知れません。
映像と演技は皆さん良かったですが、残念ながら歌は私には合わなかったです。
それと、ラストレターを観た時にも思ったのですが、岩井俊二監督は広瀬すずさんを綺麗に撮るのが上手いですね。
追記>
ラストのライブで使用許可を取っていないため警察が介入してくるシーンがありましたが、あれは色々な意味で考えが浅く、しょぼい演出だと思いました。
切絵のうた
正直、長さの割に描ききったものがないように感じる。
イッコの生死や夏彦のその後、キリエが流浪に戻った(?)理由など何も明かされず。
フミに関しては3番目のクレジットに疑問符が付くレベル。
大学に行けなくなったのは分かるが、イッコが家どころか名前まで捨てた理由も不明。
(警察も「逸子」と呼んでおり、正式に改名済み?)
バレエ設定も、アイナを踊らせたかっただけにしか見えない。
警察や児相を悪者のように描いているが、明らかにメインキャラの方に問題があるのもモヤモヤ。
松本まりかや江口洋介らをちょい役で起用、大塚愛や安藤裕子はまだしも、石井竜也は気付けない。笑
しかしその豪華さも無駄遣いにしか思えない。
広瀬すずの母に奥菜恵という配役と、イワン役の子はよかった。
当て書きとすら思える主演のアイナは、『PCR』の演技では不安があったが、杞憂でした。
歌にもダンスにも真剣に向き合ってきただけあって、台詞や表情のみならず指先まで感情が乗っていて見事。
それだけに、クライマックスの歌唱を綺麗に整えすぎたのが少々残念。
本当に感情の乗った彼女の歌はまさに魂を揺さぶるものだから、監督には最後まで“生”の感情を引っ張り上げて欲しかった。
長くは感じなかったものの、地震のシーンや海のパートなど冗長なシーンも多い。
序盤だけ中途半端に年号を出すのも、時系列が余計に分かりづらくてにくい。
脚本は、せめて主人公であるキリエの感情の動きや変化くらいは描ききらないと、“物語”にならないよ。
らしい映画。
良く言えば日本映画らしい。明確なオチがあるというより、他の世界線でキリエたちが暮らしているような、皆がなにかの形で幸せに(といっても幸せの形は色々でしょうが)過ごしているんだろうと思う内容でした。私は好きでした。
原作未読ですが、少し事前情報を得ていたのでスムーズに理解出来ました。ルカとキリエの二役、イッコの本名など。
松村北斗目当てで見ました。夏彦の心情、弱く、脆い青年の趣を表現してました。(電話のシーンはよく見る松村北斗にしか見えませんでしたがそれはそれで良かったです)横顔の儚さは素晴らしかった。キリエ(ルカ)を前にして泣き出したシーンは切なくなりました。
全編通してアイナさんのMVのように感じましたが、震災やイッコの心情など、色々な物を絡めてありラストの演奏は広瀬すずさんの刺されたシーンを引き立てて美しかった。
広瀬すずさんの美しさと松村北斗さんの儚さ、弱さ、アイナさんの力強い歌声が合わさって人の心を揺さぶる作品になったと思いたいが、割りと見る人を選ぶ作品になってます。歌唱曲の年代やラストのフェスの乱闘(あまり乱れてはないですが)は学生運動のような夢追い人とその他の気持ちを表してますが、今の若い人にはそこまで入れ込めないかもと…。むしろ30代以降の大人の方が感情が入りやすいです。夢を追いかけたけど、妥協したり。夢を夢のまま過ごした経験があれば、スッと胸に落ちる感覚がありそうです。将来を見据えるわけではなく、今を楽しむキリエの姿と歌を感じられると思います。
アイナさんの特徴的な歌声を存分に大音響で楽しめるので、ファンの方はぜひ。
いい松村北斗が見れて良かった。
余談ですが、キリエは「讃歌」や「祈り」の意味を持ち、ルカはキリスト教を説く弟子の一人です。ルカが姉のキリエを名乗ったのは、讃歌として歌う、キリエを忘れないよう伝えていくためかなと思いますが、親はキリスト教信仰者とはいえ、何故姉にキリエと名付けたのでしょうか?名前の意味の姉妹差が大きい気が…そこだけが辻褄が合わない気がして疑問です。
広瀬すずが可愛かった
原作に目を通さず、興味本位で観てきました。
正直な感想は、何を伝えたかったのか分かりづらかったです。
ルカの姉(キリエ)が津波によって亡くなってしまうシーンで、ルカと合流したキリエが亡くなってしまったのになぜルカは、生き延びることができたのかと疑問に思ってしまいました。合流した後にルカとキリエは、はぐれてしまったのでしょうか。
また、キリエは自分が死ぬことが分かっていたかのように夏彦と電話をしていましたが、夏彦の気持ちになって考えてみると、フィアンセの確認などの発言は、今言うことではないだろと、少しムカついてしまいました。早く逃げてほしかったです。キリエがシャワーを浴びた後に、地震の揺れを感じるシーンは服を着て欲しかったです。
広瀬すずの、演技は圧巻で、途中から出てこなくなると物足りなさすら感じました。
アイナも、初主演とは思えないほどの存在感を出していてよかった。
1回目の鑑賞ではカタルシスはなかった。2回見なくては!
個人的な妄想混じりの散文感想です。
頭の中を整理する意味でも書いて見たいと思います。
岩井作品はドラマも含めて全て見ていて待望の新作ということで見にきました。まだ頭の中で整理しきれてないのですか、なんですかね、この、映像からもらった感がないのは。情報量が多すぎて鑑賞中は処理しきれてなかった!
キリエ=切り絵、そしてクリスチャンということでステンドグラスを思い起こさせるのですが、キリエは人から光を当てられることで輝き魅力を発揮する存在なのだと思うと、なるほど最後は幼馴染、レコード会社の人間など誰かに光を当てられなくとも自ら輝き出す(声が大きくなる、一人でネカフェに泊まれる)ようになったっていう自立の話かと思うのですが、ただその一歩が小さすぎて分かりづらくて、、、。
「スワロウテイル」や「リリィシュシュのすべて」「マリア」「花とアリス」など各作品のテイストか合体したようなストーリーや設定が随所に見られ、特にカメラワークでは女の子二人のシーンでは故篠田昇さんを思わせる岩井美学をたくさん感じあぁ岩井さんの作品だなぁとしみじみ。
お話に関しては表題の通りで
広瀬すずさん演じるイッコは、結婚詐欺をしていたので感情移入は出来ず。ただ今思えばそれは結局、おばあちゃんから続く血は争えなかったと取るのか、自分の夢を奪い去ったかの男への復讐だったのか、、、。残念ながらそういった行動を起こすきっかけとなる悔しがるような感情を表すシーンが少なかったかな。なので結婚詐欺して恨まれて、、、。そりゃそうだしか感情が湧かなかったです。その分、夏彦が感情を露わにしていて、恋人を自分の夢を邪魔するものと思ってしまう自己嫌悪に苛まれる。この3人はある意味同じ境遇で本人達の知り得ないところで感情を共有しているのかも。
アイナさんの演技はよかったのです。ただキリエも感情が見えにくいストーリー設定なのでドライなんですよね。悲劇的なシーンにそれほど感傷的にならなかったかな。歌詞があまり入ってこなかったので(ここで感情を爆発させてた?)キリエの感情にも触れられず、、、。
そしてあの場面での武尊、要らなかったと思います。
七尾旅人は最高!
今回一人二役が二人。と言っていいと思いますが、主人公が誰かになり変わることで何かを変えて幸せの青い鳥を探して(途中に砂浜の鳥籠から飛び出した二人が描かれていましたね。)自己実現をするお話だとするとらさらにそこで、過去の名前を捨てたイッコと過去をひきづっているキリエという二人の対比で描いた狙いは素晴らしい。でも、だとしたら二人の関係値は平等であった方がより分かりやすかったような。同級生設定の「花とアリス」ではこの辺がうまくできていたと。
大人になっても姉の彼氏を慰めるシーンでは一人二役が素晴らしく生きた極めて映画的なシーンと思います。
ということで、過去に傷を受けた若者たち3人のその後の身の振り方の話しで、それぞれのどう向き合っていくのかという話というのが今の感想。
歌詞も理解しないとほんとのところお話も理解できないですね。
警察や法律、児童保護施設はほんとに人に寄り添っているの?っていうところ、岩井さんも違和感を感じていたのね。途中に出てくる人智を超えたものの恐ろしさをほんとに胸が締め付けられるくらいたっぷり描くのすごいけど怖い。
ルカのうた、キリエのうた、イッコのうた、夏彦のうた、イワイのうた…全ての思いが重なっていく
最初予告編を見た時、人気ミュージシャンを映画初主演に迎え、単なる路上ミュージシャン少女の話と思っていた。岩井俊二監督作にしては安直な…。
が、少し詳細を調べてみると、13年に及ぶ物語。それを3時間の長尺で描く。興味が沸いてきた。平凡な作品にはならぬだろうと。
で、実際に見てみたら、想像以上の壮大な物語。
4つの時代、4つの場所、4つのエピソード、4人の男女が交錯。
現代。路上ミュージシャンのキリエと不思議な女性イッコの出会い。
2018年。将来に悩む女子高生マオリは家庭教師の妹ルカと友達になる。
2011年。小学校教諭のフミと家ナシの少女ルカの出会い。
2010年。高校生の夏彦は一年後輩のキリエと恋仲になる。
これだけ書き出すと、どういう人間関係?…と思う。同じ名前…? 同一人物…? 別人…?
それぞれが別々ではなく、無論繋がりあり。作品的に言ったら、不思議な縁と言った方がいいだろう。
まず、現代。東京。
路上ミュージシャンのキリエは上手く喋れず、歌しか歌えない。
路上で歌っていた時、一人の女性イッコが足を止める。
不思議な魅力のイッコ。彼女はキリエのマネージャーを買って出る。音楽プロデューサーにも紹介する。キリエの歌はにわかに注目を浴びるように。
実は、キリエは覚えていなかったが、これが初対面じゃなかった。高校の先輩と後輩で、唯一の友達だった。
イッコの本名はマオリ、キリエの本名はルカであった…。
2018年。帯広。
将来の進路や夢も無く、ただ漠然と日々を過ごすマオリ。
母親が再婚。その相手から家庭教師を手配される。
家庭教師としてやって来た夏彦。彼の教えでマオリは大学受験に励むように。
マオリは夏彦から妹と仲良くしてやって欲しいと頼まれる。
そうして話し掛け、親しくなったのがルカであった。
夏彦とルカは実の兄妹ではない。それでも3人は欠けがえのない時と絆を深めるも…。
2011年。大阪。
男子生徒から、何も喋らず家も無い少女の事を聞いた小学校教諭のフミ。自宅に預かる。
所持品から名前は“コヅカルカ”。さらにSNSで調べると、石巻で“コヅカキリエ”という女性を探している“なっちゃん”の投稿が。
連絡を取り現れたのは、夏彦。
彼はルカやコヅカキリエとの誰にも話した事の無かった過去を話す…。
2010年。石巻。
高校生の夏彦は一年後輩のキリエと出会い、付き合うように。この時ルカも紹介される。
やがてキリエは夏彦の子を妊娠。結婚を約束。
夏彦の進路の事で暫く会えなくなり、電話のみのやり取り。
久々の電話。その時…。2011年3月11日の石巻…。
ルカを探しに行ったキリエは…。
独りぼっちとなったルカは、大阪行きのトラックに…。
誰と誰が関係あって、こことここが繋がって…いざレビューにしてまとめようとすると、なかなか複雑。
しかし実際に見ると、自然にスッと話に入り込む。
ルカが持つギター。
何故ルカは“キリエ”と名乗るのか。
何故ルカは歌しか歌えなくなったのか。
ルカにとってのイッコ。
イッコにとってのルカ。
不思議な縁によって、絶たれた絆を再び繋ぐフミ。
キリエと夏彦。夏彦の贖罪。
キリエとルカ。その姉妹愛。
出会いと別れ、後悔とそれぞれの思い。
運命に導かれるようにして、何度も交差してゆく。
どうしようも出来ない事もある。法や社会が立ち塞がる事もある。悲しく、辛く、苦しい事ばかりのこの世界…。
伝えたくても伝えられない、届けようとももう届かない…。
たった一つだけ。歌声に乗せて。この全ての胸の内を、思いを。
名前は聞いた事あるけど、歌手としてもそれほど意識してなかったアイナ・ジ・エンド。
本作で我が脳裏にしかと刻み込まれた。
喋り方や演技の巧い下手、人それぞれ意見が分かれるだろう。
が、キリエ/ルカと一心同体。彼女が演じてこその魅力と輝きがあった。
内向的なルカとアンニュイなキリエ。一人二役。それぞれもしっかりと演じ分け。女優としても原石。
そんな彼女を、劇中同様周囲がサポート。
年齢的にはまだまだ若手枠だが、その存在感も個性的な演技もベテランのよう。つい先日見た『ネメシス』のイマイチさを、軽く払拭してくれた広瀬すず。マオリ時代とイッコ時の演じ分けは勿論、変わる変わるヘアスタイルや衣装も楽しませてくれた。
黒木華も同じく。本当にサポート的な役回りと立ち位置だが、作品や周りを引き立たせる。にしても、彼女の先生役は何度目…?
松村北斗も好演。所々演技が拙かったり、光るものあったり、それがまた作品にシンクロしたナチュラルさ。
周りも村上虹郎、大塚愛、江口洋介、吉瀬美智子、奥菜恵、浅田美代子、石井竜也、北村有起哉などなどなど、若手~ベテラン~実力派~ミュージシャンまで、豪華キャストが彩る。
ツボったのは、『ラストレター』では庵野サンだったが、今回は樋口サンかい!
また、ルカの子供時代を演じた矢山花も忘れ難い。フレッシュさキュートさもさることながら、涙を浮かべる長いワンショットのシーンには引き込まれた。
そして言うまでもなく、アイナ・ジ・エンドによる歌。
美しく歌い上げるというより、ハスキーボイスの心や魂の熱唱。
それが役の心情とリンク。
小林武史による音楽、岩井印のノスタルジックで圧倒的な映像…それらの美しさ。
演出・語り口・編集など巧みというより、岩井監督の感性。
それに魅了されるか否かで、作品自体の好みも分かれる。
話も壮大のようであり、PVのような映像を延々流し、実の所中身は薄いと人によっては思いそう。
アイナ・ジ・エンドの下着シーン、レ○プされそうになるシーンも評価の分かれに拍車をかけそう。
そして、震災シーン。実際の震災と同じくらい長く揺れ、個人的には恐ろしさと共に変に避けたりせずしっかり描いたと思ったが、特にこのシーンは賛否分かれそう。震災題材の作品でもないのに、あんなにリアルに描く必要あったのか…?
ハマれば至高の3時間。ハマらなければただただ長く退屈なだけの3時間…。
私個人は、物語にもキャストのナチュラルな演技にも歌にも映像美にも魅了された。
3時間たっぷりと入り浸った。
実は、直前まで見ようか見まいか悩んでいた。
スルーしないで良かった。
素直に、見て良かった。
バランス
岩井俊二の大長編。覚悟していたよりは見やすく眠気も訪れず。前作ラストレターには感心しなかったが今回は満足できた。決して絶世の美女ではないアイナ・ジ・エンドの声と顔と肢体の魅力が見どころ。姉キリエと妹キリエの演技もしっかり分けられていた。松村北斗とのストーリーは泣かせる。
広瀬すずがイッコとしてかつらを被っているパートはファンタジー要素として入れたくなる気もわかるが、正直無理がありすぎて目立つ弱点になっている。シスターフッド筋として入れたいのなら、イッコをもう少しまともな人物とし、男たちのパートをごっそり削って2時間にまとめたほうが好みになりそう。
最初から最後までかなりの曲が流れっぱなし、ほとんどが監督世代の曲で自分にはぴったり。既に監督のファン層もソコソコ行ってるんで問題ないと思うが、若い客には厳しいかも。
全86件中、41~60件目を表示











