キリエのうたのレビュー・感想・評価
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松村北斗さんと江口洋介さんがそっくり(笑)
2011年から2023年、登場人物とともに13年を振り返る
2011年に起きた東日本大震災をきっかけに、大きく変化した人たちの交差する人生と人々の絆を描いた音楽映画。
小学3年生だったキリエ(路花)は震災で母と姉を亡くし、そのショックから歌う時以外、声が出なくなった。
また、キリエ(るか)の姉のキリエのフィアンセの夏彦は震災でキリエとお腹にいた子どもを同時に失い、行方を探していた。
宮城から大阪にやってきた路花は小学校教員に助けられる。そこから路花の姉(キリエ)の婚約者が見つかり、路花と夏彦は再会を果たす。
しかし、小学生だった路花は児童相談所に送られることに。
2018年、路花は夏彦が帯広にいることを知り、高校進学のタイミングで帯広に。そこで、同じ高校で一学年上のいっこと出会う。
運命に翻弄されて結局バラバラになってしまった3人だが
5年後の2023年、東京でいっこと路花は再会を果たす。
そして夏彦と路花も、いっこのある事件をきっかけに再会を果たすのだが……。
震災の描写は胸が痛かった。被災者の方々はどのような思いで観ていたのだろうか……。
それぞれがこの12年間、さまざまな思いを抱えて生きている。
本作の夏彦のように十字架を背負って生きている人、キリエのように大切な人を失い、いまも心に大きな傷を抱えて生きている人。
それでも前を向いて歩いていがないといけない。
出会いと別れを繰り返しながら生きていくんだと。
この作品は被災者達、そして震災によって大切な人々を失った人へのレクイエムでもある。
アイナ・ジ・エンドの歌声は本当に素晴らしかった。
青を基調とした映像も申し分ないくらいに美しかった。
2023年の夏彦と路花の再会、路上ライブで夏彦が路花を見つめる姿以降のシーンは涙腺崩壊。
ただ、いっこの婚約者の部分(キリエが襲われそうになるシーン)は気分が悪かった。それくらい、いっこのことを思っているということを描きたかったんだろうけど、製作者の性的嗜好がチラついた。
あと、粗品(霜降り明星)の登場には思わず笑ってしまった!彼の存在が重い空気をフッと緩めてくれていた。
美しい映像
178分間、美しい映像に浸ることができた。
どんな体勢でも腹の底から声を出し、唸るアイナは最強。役者というより、やっぱり歌い手。
東京であろうが釜山であろうが、どんな舞台でも皆を圧倒する。このパワーが、津波を乗り越え各地を転がるように生きてきたKyrieの人生。
だから姉の希は別な人の方がよかったな。
広瀬すず、黒木華は岩井組の映画には欠かせない存在。彼女たちの演技の時に、余計なBGMはいらない。
松村北斗の没入感には舌を巻いた。どんどん声が低くなり、背中を丸めてボサボサになっていく姿が可哀想だった。自宅の部屋に飾られたいくつものトロフィーや賞状が、かつての栄光を想像させる。岩井組にもう一コマできた。
人生の参考にはならないが、相当考えさせられた
予告など一切見ずに話題の映画をなんとなく観ましたら多少長くても大丈夫でした。
映画の中に引き込まれていく…という風にはならなかったけど、私自身も全くゼロではなかった3.11の体験を思い出したり…ちょっとなかなか味わえない不運なことのイロイロから、日常ありがちなこと…思春期の…例えばそんなに好きでもない人と付き合うことになったり……後に惹かれていくとしても…など、トータルして感じたのは生きていくことの辛さや強さを私の中で考えさせられた映画でした。
生きることを断念するひともまぁまぁいるこの世の中で、それはあってはならないと思う一人ですが、
この映画を観ると、「私はこれで生きていく!」みたいな諦めない姿勢はとても力強く勇気が湧いた。
小学生時代のルカちゃん(イワン)は可愛かったし、ホームレスなんて危険すぎる!と信じられなかったけれど小学校の先生に保護されたときはホッとした。
イッコの胡散臭さは好きになれなかった。
ナミダメさんの未遂に終わるレイプシーンは恐怖でした……が、「そうだよなぁ」と納得もしました。やり取りの会話は変だったけど(お願いします、とかゆーなよ!)。
ナミダメさん、結果いい人… かわいそうだった…
ルカ(キリエ)はもっと可愛そうだと思ってしまった。貞操守れてよかったけれどね…。イッコ(まおり)を嫌いにならないのもスゴイ。
路上ライブの様子は自分が客側だったら足を止めて聴くかな、投げ銭するかな……どうだろう…と思ったりしました。
音楽ですから好みは様々だし、急いでいる人もいる。かといって流れてくる数曲をたまたま聴いたら自分の中でしっくりとした曲に巡り合うかもしれないし…という一期一会感。
全ては雰囲気次第のような、こうしてよく生活していけるのは並大抵のことじゃない、と感心してしまいました。
都会に居るからこそ、田舎じゃ無理なことも可能になる…(その逆もしかり?)成功や失敗を繰り返していく生き様っていうのかな…田舎者の私にはやはりこういった映画をみないとわからない世界観であり、シンプルにお勉強になります。
ラストシーンはネカフェのようなカラオケ?のようなところでしたのでキリエはまだメジャーデビューしてない感があり、お家は無いのかな?と思いました。
余計なお世話ですが…
温かいものを食べられる環境、そして暖かい寝床を確保してもらいたい気持ちでいっぱいです…
(音楽業界…エンタメ界の闇も相当怖い…個人的に思う)。
岩井俊二監督のミューズたち
岩井俊二監督作品。
広瀬すずちゃんは25歳。
アイナ・ジ・エンドちゃんは28歳のシンガーソングライター。
おや?
すずちゃんのほうが若いのか。
岩井俊二監督は実年齢より幼くみえて、セーラー服姿に違和感を感じさせない女優さんが大好きな人。という認識でアリマス。
黒木華ちゃん、広瀬すずちゃんが重要な役で出ています。監督の歴代ミューズの中で、たぶんNo.1とNo.2なんだと思うわけです。
映画の冒頭、雪のなか、オフコースのさよならをアカペラで歌うアイナ・ジ・エンドちゃん。
新宿での路上ライブですずちゃんと出会う場面では懐かしい好きなカバー曲がどんどん流れるもので、会話のセリフが聞き取りずらかった。すずちゃんの衣装が眩しすぎる。
シスターフッド感がとても楽しい。
ザリガニ釣り。公園の大きな木から聴こえてくるのは久保田早紀の異邦人。木の上で暮らす少女。鬼太郎ハウスはなかった。
黒木華ちゃんは大阪の小学校の先生役。
ルカを泊めてあげる。
あぁ、小学生に戻りたい。
パソコンで小塚路花、宮城の薬局の住所を検索。震災で小塚を探す書き込みを見つける。
帯広で3代続いているスナック。シングルマザーの女系家族。浅田美代子(2代目間ママ)⇒奥菜恵(3代目ママ)⇒広瀬すず(4代目?)大牧場の経営者の常連客がお金を出してあげるからということになって、急遽大学進学を目指すことになり、突然やって来た家庭教師は牧場で働いているイケメン青年。中学、高校でバンドをやっていて、ギターが弾ける。
出ていった父親のガットギター。
ギターを路花にあげて欲しいと託す。
高3の女の子の数学の家庭教師をしていたことを思い出してドキドキ💓しちゃった。
学芸大学に合格して体育の先生になった。
残念ながら、恋愛関係には発展しなかった。
ええ~っ、すずちゃん詐欺師だったの?
被害額2億越え❗
そこで急に⤵️
高校生の妊婦(姉:キリエ)は昼過ぎにお風呂で下着姿で長電話していて地震が来ちゃう。津波がすぐ来ちゃうのに電話しながら自転車で小学校に向かったりする。妊娠初期は自転車乗らないほうがいいよね。相手は開業医のお坊っちゃんだった。
なんだか、また⤵️
仙台のルカの家族は兄弟がたくさんいた。なんでひとり遠すぎる大阪へ?
警察官、児童相談所職員に保護されて、行方がわからなくなったはずなのに。
帯広の牧場は親戚?里親?
仙台⇒大阪⇒帯広⇒新宿?
ちょっと分かりにくい。
北村有起哉と会った新宿の店でチラッと映った店員は円井わん?
村上虹郎ちょっと痩せたような。
天井から見下ろす松本まりかの足。
なんだかたくさんの俳優さんや芸人が出てた。
群像劇?
路上ライブのお客さんのエキストラはファンにはちょっと見えなかった。
すずちゃんが騙したオジサンに報復され、刺されてしまって残念。
野外ライヴ会場のお巡りさんに捕まってもうひと悶着あるのかなぁと思ったんだけど。
最後はまた雪野原でオフコースのさよなら。
アイナ・ジ・エンドちゃんは新鮮だったけど、3時間が経過するうちに、姉妹のキャラがなんだかよくわからなくなってしまって、少し疎ましくなり、終わってしまった。
ちょっと散漫に感じてしまった。
ちなみに、アタシはリップ・ヴァン・ヴィンクルの花嫁の黒木華ちゃんが今でも一番好き。
プロモーションムービー
岩井俊二と小林武史と言えば、Charaの「スワロウテイル」、Salyuの「リリイ・シュシュのすべて」…そして今回のアイナ・ジ・エンドの「キリエのうた」
夫氏が岩井俊二作品が公開されると毎回観に行くので、どうやら映画公開らしいとは訊いていたけど何もチェックしてなかったンですが、YouTubeの広告でアイナ・ジ・エンドの歌が流れてきて「岩井俊二っぽいな…」と思ったら正にそのプロモーションだった。
曲は「小林武史ぃぃぃ!」って感じだし…で、映画を見た感想は
「っぽいわ~!」でした。
なんとゆーか、ツッコミどころ満載ではあったんですけど、私はアイナ・ジ・エンドさんの声の伸びが結構好きなので歌唱シーンは良かったし、広瀬すずはマジで可愛いな…と。
岩井俊二と言えば、何となく生々しい歪な生理的嫌悪感でお馴染みですが(私だけでしょうか…)それと同時に思春期の危うくも瑞々しい少女達の姿を描くのがマジで天才かなとも思っております。
が、今回は「危うい(色んな意味で)」の方が勝っちゃったかなぁって感じ。
アイナさんの歌声と広瀬すずの顔面で3時間を乗り切った気がする。
決して嫌いでは無かったけど、ツッコミどころと言うか、現実との整合性の取れなさのノイズが多かったなぁ。
ラストの「結局何者にもなれないで終わる」所が正に「岩井俊二って感じだな」と思った映画でした。
なっちゃん老け無さすぎでは???
アイナ・ジ・エンドが好きならば
監督本人の原作を読んで、これがどう映画化されるのか楽しみにしていました。
3時間という長尺の割には端折られている部分が多く説明不足で、原作を読んで観た人と読んでいない人では受け止め方が違ってしまうのではないかと感じました。
エンドロールは原作にないエンディング。そういう生き方があってもいいんだよ。
岩井俊二ワールドとアイナ・ジ・エンドの歌が好きならば最高に楽しめると思います。僕はそうでもなかったので、すみません。
色々思い出させていただきました!
石巻出身で東日本大地震当時は岩手在住でした。地震のシーンをみてその時のことを鮮明に思い出しました。幸い私の家族は皆無事でした。夏彦が石巻まで走るシーン、うちの姉がまさに勤務先の矢本~家があるまで水に浸かりながら歩いたそうです。
あの地震でたくさんの人の人生が変わったと思います。忘れてはいけないことですが10年以上たち日常生活に追われて忘れてしまっていた気持ちを思い出させていただきました。
アイナさんの歌声とてもかっこよく潔くステキでした。広瀬すずさんも可愛かったです。
北斗くんもいいお芝居されるなぁと。心の葛藤がひしひしと伝わって来ました。公開初日に観に行きましたがやっと消化出来ました。
個人的にはもう少し石巻でのシーン使用していただきたかったです(*^^*)
奥深く、実は泣ける作品でした。
タイトルを見る限り「歌」が主役だと思っていましたが、実は深く深く悲しみのあふれる作品でした。
広瀬すすが演じる複雑な背景の女性が、キリエの人生を切り開いているように感じました。
最近の作品に多いのですが、時代背景の切り替わりが早く途中ついていけない場面もありましたが、最後には1本のストーリーが見えてきて感動しました。
良かった、見て欲しい作品。
まず主人公、アイナジエンドの存在感、歌声がグサグサと突き刺さる。
色んな曲を歌うので必見。
で、いっこことまおりさん、広瀬すず。
いやぁ、私が思ってたよりずっといい役者である。
いっこの生き方、悲しいね…
女を売りして生きていきたくない。このままだとスナックを継ぐことになる
そんな状況を打破するための、大学受験だったのに…
結局、そのある意味負の連鎖を断ち切る事は、彼女には出来なかったのだな…という。
あと夏彦、松村北斗。
良かったなー。
これまで見た役とは少し異なる、なんというか
少し弱い感じの男性像
私がこの映画の中で1番グッときたのは、夏彦がキリエに謝り2人がハグするシーン。
なんだか泣いてしまった。
あと個人的に七尾旅人の使い方!
本当にワンポイントで使うのね?!
と思いました。
公園で1人弾き語りをする
るかと2人で歌う
その後、警察に職質を受けてるかを逃がす
主人公の少女時代にしか出てこない。
と思っていたのに!
エンドロール。
あと、彼はライブなどで、観客の子供なんかと一緒に歌ったりするので、それを映画でもやらせるんだなー
着眼点!と思った。
時間軸が3つあって、少し複雑ではあるけど
主人公の生き様、そしてあの震災から13年
こうして生きてきたのだという…
キリエの歌声、そして震災
それが主軸なのかと思うんだよね。
レイプされそうになるシーン
あと震災の揺れるリアルなシーンがあるので
若干、苦手と思う人もいるけど。
私は退屈せず観ましま。
岩井俊二節炸裂なのでは?と。
夏彦の「ずるいよな」はずるいよな
人間の綺麗なとこも汚いとこも全部ひっくるめて抱きしめたくなるような映画でした。自分の嫌いな部分も肯定してくれるような感覚。すごく苦しいお話だけど観終わった後は明日も頑張って生きようと思えました。完璧じゃなくていいんだと言ってもらえた気がします。
余韻が凄い
アイナジエンドさんの魂の歌声に終始鳥肌
一人二役の演じ分けが見事だった
(小説の中の希とは若干違った印象を受けたけど)
松村北斗さんの儚く繊細で震える声、泣きのお芝居にもらい泣き
13年間を肌の質感でまで表現していて素晴らしかったし段々丸くなっていく姿が切なかった
広瀬すずさんの透明感は見惚れるほど
刺されて立ち上がる瞬間、イッコからマオリにスイッチした様に感じてゾクッとした
(流石の意味です)
黒木華さんの安らぎさえ覚える佇まいや表情も流石だった。
主要4人それぞれに感情移入した作品も珍しい
路花の子役時代を演じた矢山花さんも素晴らしかったな。
ただ一点、震災描写の長さは(当時のそれ、で)被災地在住の自分には長くてキツイと感じた
監督はリアリティを出したかったのかも知れないけど
鑑賞から数日経つのに未だ余韻が抜けない感覚
もう一度小説を読み返してまた鑑賞に行きたい
自分が今見ている世界はとても狭い
こんな世界ありえない…という事はないし何処かで未だ起こりえてる世界かも知れない
今懸命に生きている人、なあなあに生きている人みんなに見てそれぞれ感じてもらいたい作品
人生は時として残酷で、だからこそ美しく尊い
岩井ワールドとも言える作品
私には刺さった作品だった
この感情を大切にしたい
好きなテイストだったのに
広瀬すずと松村北斗が美しくてスクリーン向けの俳優だと認識。黒木華もそうだけど、繊細で透明感があるのは稀有な存在なので、この3人のお芝居はもっと見たいです。現在と過去を行き交うのも、アイナさんのキリエ憐れみの讃歌も良かった。178分も長いと思わず、イッコの過去に何があったのか、夏彦や風美は幸せになったのかもっと知りたいと思わせてくれるストーリー。
ただ、希と夏彦の恋愛パートは純愛だと思っていたので、神社で夏彦に迫る希の声がヘビが絡みつくような感じがしてホラー映画並みに怖かった。
家庭教師がいる間クローゼットに隠れてる、シャワーを浴びてたと下着姿で夏彦に電話する。女をアピールする希に嫌悪。(パンフに2人がハグしている写真があるが希は笑顔なく全然幸せそうじゃないし。お金持ちのイケメン男子を身体で落としたようにしか見えなかった)
高校生で妊娠したのに、母娘で将来の心配をする訳でもなくフィアンセと言いたい浮かれ具合。希の家に行った時の夏彦の絶望と諦めと生真面目な表情が印象的だった。一人苦しむ夏彦がキリエに泣いて懺悔する姿を見て、呪縛が解けて良かった、夏彦幸せになってねの感想しか浮かばなかった。
希に嫌悪感を抱いてしまったので、同じ顔のキリエにも嫌悪感が。ひたすらキリエ、これはキリエと頭の中で訂正。キリエは希と違い、生計を立てようと必死に生きているし、でも、上手くいかなくてカプセルホテルでギターを弾く姿はリアルで凄く良かった。
人生は選択の連続で流されず自分の意思で生きろ、だけど頑張っても思い通りにはいかないのも人生だよ、とメッセージを感じて私は凄く好きだった。だからこそ、濡れ場も暴行シーンも不要。(これらを削り、どうしてマオリがイッコになったのかを見せて欲しかった)
あれらの気持ち悪いシーンが無ければ友達や子供を連れてリピートしたし、みんなにお薦め出来たのに残念です。
アンビバレント
名作だとは思わないけれど、岩井俊二監督渾身の一作だと思われる。
とにかくアイナさんとの相性が抜群だ。
烏滸がましい書き方だとは思うけど、岩井監督の世界観はアイナジエンドの歌声によって完璧に確立されたように思う。
鑑賞中、常に胸がざわついてた。
キリエが巻き込まれる人生というか運命というか…彼女は歌声は常に哀しくて儚くて、折れそうで途切れそうで…だからこそ強く響き、だからこそ胸の奥に刺さるかのような。
この感情をどう書き記せばいいのか、的確な言葉を俺は持ってはいない。
キリエは存在自体が揺らぎを持ってるようで、無防備なまでに純粋に見える。
…純粋と書きはしたが他に適切な単語を俺が知らないだけで、ホントはそんな純粋なんて単語が当てはまるとも思っていない。
危うい、のだ。
断崖の上を裸足で軽やかに歩いてるかのように。
劇中に「ミューズ」という言葉があったが、岩井監督はついに自身のミューズと出会えたのだと思った。
そして彼女は、女神とも思える程に至高の存在であった。
時間軸がクロスしていく作風は、戸惑いもするけれど、起点と結果を交互にに見せられてるようで胸につまされる。過去を見ると未来を嘆きたくなるし、現在を見ると過去に逃げ込みたくなる。
現在を見ても過去を見てもいたたまれないのだ。
これから訪れるであろう未来はどうか幸せであってくれと願う。
彼女達の今後がどうか幸せでありますように。
子供の行く末を案じる親の目線のようにも思う。
どんな境遇であっても、次世代を生きる命を支えたいと思う本能が俺にもあるのだろうか?
懸命に足掻く全ての存在を慈しむのだろうか?
役者陣は皆様熱演だった。
広瀬さんはさすがの懐の深さだったなぁ。彼女がいる事でキリエの異色さが際立つ。
色んなものに塗れたイッコがいるから無色に近いキリエが目立つ。彼女は腹を刺されるのだけれど「こんな擦り傷」と吐き捨てる。一体、どれほどの傷を背負ってきたのだろうかとゾクっとした。
煮え切らない兄も良かったなあー。
うずくまってキリエに抱えながら泣くとことか、そこに至るまでがちゃんと残ってなかったら同情もできんもんなぁ。
黒木華さんとか…喫茶店で「悔しい」って台詞があんだけど、どの俳優さんが喋る「悔しい」より、喋る前の黒木さんが悔しそうだった。
正直、話の筋はよく分からないんだ。
クロスする時間軸も、コレ以上だと飽きるからとか、やる事ないからに思えなくもない。節目がないまま唐突に切り替わったりもする。
でも見れちゃう。
とにかく絵が美しい。色が美しい。
綺麗ではない。美しいのだ。
アングルも絶妙なとこに入るし、編集が繊細だ。いや、繊細な編集って何?って事なんだけど、そう思っちゃったんだからしょうがない。
つまり、俺は監督の言葉を100%理解できていない。いや、する程豊かな感受性を持ち合わせないのだろう。
ただただ危うくて砕けそうなキリエを見つめてた。
タイトル「アンビバレント」は「二律背反」と訳す。
互いに矛盾してるモノが成立している様をさす。
岩井ワールドはなんかそんな印象だ。
イッコの気持ちがそうなのかもしれない。
俺には理解しきれないけれど、この作品のメッセージをしっかりと受け止めれる人達には珠玉の作品なのだと思う。
なんせ、胸の内側に棘が刺さる。
不快なものではない棘が。
▪️追記
様々な楽器を従えて歌うキリエは圧倒的だった。
全ての楽器が彼女の声にひれ伏しているようで…何層にもなる音の雲を突き破り、ひたすら空に伸びていく。そんな印象を持つ。
何にも媚びず支配されず、観客すら彼女の瞳には映ってないようで、どこまでも届くその歌声に魅了されてるようであった。
彼女は直向きに歌に埋没していくようだった。
ちょっと苦手
内容よりも何よりも過去と現在が行ったり来たりの流れが見辛かった。
それと、これはあくまで個人的な好みの問題なので一般的な評価には関係ないことだが女性ヴォーカルの声が苦手な私には主人公の歌声に共感出来ず、それも辛かった。
3時間という長さですが、正直、これ要らないんじゃない?と思うシーンもあり、少々中だるみしました。
気になったのは無許可で開催したフェスを中止させるために介入した警察官の描き方。
許可申請をせずに開催した方が絶対悪いのに中止をさせるために介入した警察官側が悪いかのように見えた。
ルールを守らず周囲への騒音等の迷惑も考えず強行突破で開催した側を正義としたことが許せないレベルで嫌だった。
だって、まず許可申請ありき、なのにそれをしなかった、それが肯定されるのはおかしいと思うし、警察官が悪とされるのは可哀相過ぎる。
震災という現実の悲劇を扱っているのに登場人物にも話にもリアリティが感じられないことがあり胸に迫るものが少なかった。
映像は美しかったけれど、今回はこれがリアリティの無さの原因のひとつなのかもという気がした。
被災地の孤児のゆくえ
「映画」としては見れなくて、あの時孤児になってしまった子は、どう生き抜いたんだろうと、感情移入してみてしまいました。筋立てに無理なところもありますが、子どもたちへの「情」に溢れた眼差しに、優しい映画だと感じました。
相変わらずの岩井節作品。もうちょっと進歩が観たかったかな。
本作及びスワロウテイル · リリイ・シュシュのすべて · Love Letterを
観て来たけど Love Letterが一番 心に残ってるかな。
本作はスワロウテイルの 大人しめな焼き直し版だと思う。
本編長いと指摘されるけど、この音楽流してのダラダラ感が岩井節。
気にはしてません。
しかし彼の進歩が感じられない。褪せた感じすら覚えます。
もっと無理せず 普通に撮ればええやんと感じた次第。
スッピン広瀬
主演の女優さん?シンガー?の歌声が響くので、全編を通して見応えはある。
180分超えとちょっと長いのと、場面の切り替えがかなり多いので、途中ダレてしまった。
オリジナルの曲は聴きごたえあるが、もっと皆が知ってるようなカバー曲を入れてくれると良かった。
化粧してる時よりスッピンの方が可愛い広瀬すずが一番の見どころ、と言えなくもない。
20231022 イオンシネマ心斎橋
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