キリエのうたのレビュー・感想・評価
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岩井組オールスターキャスト総出演
岩井ワールド、今回は・・・
あとは哀しみを持て余す異邦人
これまで観た岩井作品の中で1番好き
(因みに当方、リップヴァン~・なぞの転校生→好き ラストレター→面白さ分からず リリィシュシュ→苦手)
そもそも映画館で岩井作品を観たのが初めてだった。
3時間近く及ぶ作品ではあるけど、原作(未読)を端折って端折り尽くした結果なんだと感じた。
一見「この展開必要?」と思う部分も多かったが、原作を読めば納得できるのだろうか。
どうせ長いならイッコを掘り下げて欲しかった。
広瀬すず嫌いだったけれど、違和感しかないあのキャラクターを作品に溶け込ませるあたりは流石だった。ちょっと好きになった。
イッコ・夏彦をはじめ中々の屑揃いな登場人物だけど、憎み切れない描き方が良くも悪くも岩井節を憎たらしいくらいに浴びた。キリエ(姉)はめっちゃ嫌いだけど(笑)
アイナジエンドの演技力は本人の素晴らしすぎる歌唱力とダンススキルに助けられた印象。今後の役者としてのキャリア展望は不明だが、表現者であってほしい。あくまでもその表現の方法の一つに演技があるのみで、歌手として今後の活躍を応援したい。
時をかける少女も撮ってほしい
歌声が沁みる、、、
岩井監督(俊二)!!
限りなく魅力的な絵を描く、さすが岩井監督!という映画。そしてなんとも魅力的なキリエの歌声。最初は「え、壊れた楽器なの?」と思わせられたあの歌声に、なぜこんなに惹きつけられるのだろう。こういうのを、魂を掴まれるような、というのだろうか。
そして、よきにつけ悪きにつけ、これもまた岩井監督らしい、散文詩のような流れ。今回も、時間の前後こそあれ、しっかりしたストーリーがあるにも関わらず、話の流れを振り返ることをしないというか、そんなことには大した意味がないとさえ思えるんだよね。
自分は詩的な映画よりも、小説的な映画が好きだが、それでも、散文詩と映像が見事に溶け合っているような岩井監督の映画たちは、嫌いではない。そう、まるで美術館鑑賞に行ったか、今回で言えばコンサートに行ったような印象だ。
北海道の高校で親友として過ごし、東京で再び出会った二人。路上ミュージシャンとそのマネージャーとして過ごす二人の姿を、二人がそこに行き着くまでのカットバックをまじえながら描く話。2011大阪、2023東京、2018帯広と時空は前後して進む。
描かれようとしているものはなんとなくわかる。望むでも望まざるでもなく、"よりどころ" が何もない人たちの、ただ、揺蕩う(たゆたう) 二人の姿を描きたかったのだよね。そして、俺は勝手にそこに、"どうしようもない悲しさ" や "強さ" を見たりする…しかしおそらく真に描かれようとしているものはそういった、"方向が定まっているもの" ではないのだろうなあ、などと考え、今度は俺が一人、揺蕩うのであった。こんな感じって、いかにも岩井監督の映画。あ〜、めんどくさ。
おまけ
エンドロールの冒頭が、アイナさん(ジ・エンド) なのは当たり前として、広瀬さん(すず)、堂々と最後でしたね。なんか、感動。この作品で凄いわけじゃないけれど、めちゃ難しい中学生役をやっていた頃 (「三度めの殺人」「怒り」。「海街diary」もおまけで入れとくか) から大女優まっしぐらだなあ、と感じているので、なんか嬉しく、かつ感動でした。
おまけ2
黒木さん(華) を筆頭に、頼れる俳優たち! 村上さん(虹郎) もすっかり、欠かせない役者ですねえ。
おまけ3
ラストの路上ミュージシャン集結ライブのみなさん、めちゃ本物ぽい音楽だったけど、もしかしてみんな本物なのかな?
おまけ4
岩井監督が、この映画で一番撮りたかったものは、幼い頃の主人公だったんだなぁと、光が溢れる(こぼれる) 教会のシーンで、俺、確信しました。
キリエ・憐れみの讃歌
私はBiSHファン、いわゆる清掃員でした。
ファンになるのは比較的遅かったですが、6月の東京ドームの解散Liveにも行き、非常に思い入れがあります。アイナ・ジ・エンドはファンになるそのきっかけを作ったひとで、彼女の中からほとばしる表現力と、それにもかかわらず謙虚な人柄(あの歌声を持ちながら、あまりグイグイ前に出ない感じ)を好ましく思っていました。
ダンスが自分のアイデンティティだと思っていたアイナに、この物語の路花が重なって見えました。歌でしか自分を表現できない路花、他の人の気持ちをいつも考えている路花、徐々に周りに歌が認められていくことで少しずつ自信をつけていく(夏彦のセリフ「ちょっと声が大きくなった」がそのことを良く表していると思います)路花、この魅力的なキャラクターは、ひとえにアイナ・ジ・エンドのパーソナリティによるところも大きいと思います。
私は映画好きを周りに話しているような人間ですが、恥ずかしながら岩井俊二作品を観るのは初めてです。いままでなにか食指が動かない(そういう監督、いますよね?)作品ばかりで。。
皆さんのレビューを見てみたら、キャラクターの心情がわからない、物語が理解しづらいというようなレビューもありましたが、時間軸を動かしても入り方が上手いので理解しやすかったですし、キャラクターの心情表現、特に夏彦と希(キリエ)のやりとりは、2人ともその若さゆえに、当然揺れ動く感情だと感じました。慟哭する夏彦に赦しを与える(ように夏彦には感じる)シーンはこの映画の白眉です。
ただ少し、広瀬すずのキャラクターが、あの可愛さがあれば東京で他の生き方がありそうと感じてしまったのでマイナス0.5点です。
3時間と長尺ですが、演出でそれを感じさせない技量を感じました。監督の他の作品も遅まきながら観てみたいと思いました。劇場で観てよかった。
クライマックスのアレについて考えてみた
クライマックスのシーンで感じた違和感。
他の人の感想とかでも同じように感じた人を結構見かけるアレ。
なんで許可証がなくて警察に止められそうになる演出があるのか。
僕も劇場で「うわっ、、何この演出いる?」って思った。
今までの流れが良かった分、ダサい演出に見えてしまったのだけど、なんでこんなシーンを入れたのかを自分なりに考えて僕なりに腑に落ちる自論が出たので書かせてください。
許可証はあった。そして敢えて提出を渋った。
打ち合わせのシーンもあって、キッチンカーまで用意していて、許可証を用意してないとは考えられない。
ではなぜ、警察に疑われるようなことをしたのか。
それは全員が路上ミュージシャンだから。
多くのミュージシャンはSNSでバズって売れるのも今は戦略のひとつである
そして路上ミュージシャンたちのSNSでバズりやすいのが警察に止められる中、歌い続ける姿。
それが路上のかっこよさ。という風潮や考えがある。
なので警察が来た時にチャンスだと思い、許可証を持ってないような対応をして伝説のライブを演出したかったのではないだろうか。
他の共演者もみんな路上ミュージシャンたちなので、その意図を汲み取って演奏を始めたんだと解釈しました。
令和の作品としてあの演出を受け入れるのに僕が一番この考え方が腑に落ちました。
Kyrie
憐れみの讃歌‼️
この作品は岩井俊二監督の作品構成力に唸らされる秀作です‼️物語の軸は4人の登場人物たち‼️主人公の路上ミュージシャンの女性、震災で行方不明の婚約者を探す青年、傷ついた人々を放って置けない小学校教師、過去と名前を捨てて結婚詐欺を働く女性‼️この4人の出会いと別れが石巻、大阪、帯広、東京と舞台を変え、過去、現在と様々な時間軸で巧みにシンクロしながら描かれる様は、さながら映像スペクタクルショー‼️ただ混乱することもなくヒジョーに分かり易く魅せてくれます‼️この作品は監督のメッセージというよりも、その映像世界に身を委ねる作品ですね‼️そして全編を彩るアイナ・ジ・エンドの歌声‼️時に優しく、時に激しく、観る者を勇気づけ、癒してくれる‼️海岸で歌いながらバレエを踊るシーン、雪原でオフコースの「さよなら」を口ずさむシーンはホント印象的‼️岩井俊二監督の集大成とも言える作品ですね‼️
岩井俊二ワールド全開。至極の3時間
映画は長く感じてしまった時点でつまらないに属されてしまうが、3時間あっても面白かった
どうしてキリエとして歌っていたのか?
震災で自分だけ残ってしまった贖罪かと思ったが、ラストに答えが待っていた。
大阪に向かったのも知り合いがなっちゃんだけになってしまったから?だけではないと感じた。
知ってもらうためのカバーと魂の叫びとも言える自作の歌の歌い方を変えるところも歌手ならでは。
Aメロだと詞が聞き取りにくいのは残念だが、サビでの伸びやかな高音は流石。
随所に出てくるこの歌が3時間を長く感じさせない演出
コロナで分かりにくくなったが、やはり震災の爪痕はまだ残っている。この映画のように色んな形で。
松村さんには感心。地震でなにも出来ないもどかしさや自責の念の涙なんかは心が射たれた。
アイナさんは本当の真価は次だと思う。
ロリコンですがなにか
時を経ても変わらない他の映画とは比較できない音楽映画とも違うまさに「岩井俊二映画」の集大成とは言いたくないが代表作の一つが生まれた。原作・脚本・監督、そしてクレジットされていないがおそらくは撮影も編集も全てやるからしてこんなにも岩井俊二映画になるのだろう。いろいろ彼独自のバースというか思い込みによる不自然な描写や展開もあるが全部ひっくるめて岩井俊二が好きだ。まず徹底した「反体制」、今作はつれない児童相談所や職質ポリやクライマックスの路上音楽VS警官隊のガーガーピーピー音と岩井さんどうしちゃったの?なんか嫌なことでもあったんか?というくらいに公権力に対しての反抗が歴然。そして彼の一貫したテーマである姉と妹の入れ替わり的ロマンス構造を今回は演じ分けのできないアイナ・ジ・エンドが二役をやることでますます混沌とさせていて妹が姉の名を芸名にするもんだからややこしいことこの上ない。そして震災、孤児になり石巻~大阪藤井寺~帯広~東京と彼の個人的聖地を巡る物語、その小学生時代を言葉が喋れなくなったと言うテイで可憐な少女がうなずき一本の演技で通し彼がいかにロリコンであるかを再認識した次第である。学生映画の如く雨が降ったら雨の設定で、大雪が降ったらそれをまんま生かして「ある愛の詩」風に雪に倒れこむ少女たちの美しいシーンはまさに神の思し召しであろうエンディングで「さよなら」のサビを歌うアイナ・ジ・エンドにただただ泣けるのである。
美しく素晴らしいストーリーと表現ながら、惜しいところが多い作品でもある。
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