キリエのうたのレビュー・感想・評価
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一点突破
長いし、ストーリー的にも疑問点は多い。きっと賛否両論出てくるだろう。
特に、『アレ』がきっかけになった路花/キリエの数奇な運命については、良いのかな、っていうか許されるのかな…?と思いながら観てた。かなり複雑で無理のある流転劇。
広瀬すずも松村北斗もそしてもちろん黒木華も好演しているが、それでも路花/キリエの運命を盛り上げるためだけに創造されたようにも思えるキャラクターたち…
そんなちょっと岩井俊二らしいとも、らしくないともいえるこの映画を、真に生きたものにしているのは、アイナ・ジ・エンドのうたの力だった…
うたの力による一点突破。それだけの力があった。それを観るためだけにでも、劇場に行く価値がある。
tcxは避けた方が。
予想してたサクセスコメディじゃなかった。
すずが出てるから、絶対楽しめると思いながら着席。
予告編で、変だなって思っていた主人公のキリエが、歌えるけど喋れないって設定。納得いかなかった。だってキリエ、本名ルカは子供の頃から喋らない。でも男の子達に呼ばれて、ザリガニ釣ったりして楽しんでるし、バレエも踊れるし、歌も歌える。そんな奴が会話をしたくないなんて不自然すぎない?何故喋らなくなったかも分からなかった。
そんな女子が東京で路上歌いやってたら、イッコに声をかけられる。ん?イッコは芸能プロダクションのやり手かと思ったら素人なのにキリエのマネージャーになる。それからなんだか変な展開。とにかくイッコは髪がバンバン変わる、なんだこりゃ?あ、時間の設定が変わってんのか。ずっと過去と現代を行ったり来たり、バンバン入れ替わる。登場人物も大量。この手の演出って大の苦手なのよ。えっ!イッコは犯罪者だったの!超金持ちじゃん。最後、生きてる?死んでる?
アイナの歌、昭和の名曲をたくさんカバーしていて、自分の歌にしているのは良かったけど、自分はこの歌声嫌いだ。何より楽しみにしていた、プロを目指すキリエの努力や失敗の積み重ねのコメディが一切無し、天才だったのね。
とても長くてとても残念でした。
監督欲張りだね、Charaの次はアイナ?
岩井俊二監督って言ったら『スワローテイル』が好きで
その他は映像の美しさへの主張が強すぎて
海外のファンの好評を博したけど、重みが欠けてて好みじゃなかった・・・
今回は割と?欲張になったか、のようにいろん要素を詰めて詰めてさらに音楽を上手いこと使ってた。
最初の30分にいろんな疑問を抱かせられたせいで、あとで伏線回収に忙しくて全くつまらなさを感じる暇がなかった。
残念なことにテーマ一つ一つがありふれたもので、多くの映画が取り上げてる社会問題ばかり。まさか途中に震災の話が出るとも予想できなかったし。いかにも「王道の日本映画」になっちゃう。それらを全てキリエの「過去」や「現在」に入れて、
彼女の歌と希望と対峙させるのは、不自然じゃないけど....やはり「欲張りだ」、との一言だ。
ただ今回は、キリエの歌が彼女自身またはそれを観る人の感情の出口になってくれて、悲しみを抱きながらも歌って生きること、そんな今が最も大事だとちゃんと伝えたと思う。時間線があんなに縦横往復するにも関わらず。
映画全編を貫く彼女を歌を聴いたら、こんな、映像だけきれいな映画でもいいじゃないか、と。
こんな、「(映画の題材としては)普通な問題」を抱いてる人たちを描く映画でもいいじゃないか、それこそ現実、揺れるカメラと地震と感情と同じく、リアリティそのものであればと。
その歌を聴いて思った。
一生懸命で綺麗な歌だから。
物語性のあるライブを見た気分になった。
ただ長いだけあって、感情が湧きすぎて疲れる...お休みの日に観ることを勧めよう。
描き切れていない部分が…
あらかじめ小説を読んでた者からすると、映画では描き切れていない部分があったような気がする。真緒里がイッコになった経緯とか…。映画を観て、違和感が残った人には小説を読むことをおすすめしたい。
あとは、テーマが「歌」なら、もう少し歌に集中させてほしかった。過去と現在を行き来するタイプの映画は好きだけど、その反面、感情移入したり、歌に感動するのが難しかったような気もする。でも、やっぱりアイナさんの歌声は良かった。演技も自然だったし、誰が演じてもアイナさん以上にはならないと思う。
驚いたのは松村北斗さん。恥ずかしながら、ちゃんと松村さんの演技を観たのは初めてだったが、惹き込まれた。夏彦がキリエに再会するシーンがこの映画の中で最も感情移入できたし、泣いた。松村さんの出演作を漁ってみたいな、と思ったり…。
小説をもう一度読んで、また映画館に足を運ぼうと思う。
憐れめよ
アイナジエンドしかかたん
アイナジエンドのうた
とにかくそれに限る
ストーリーは落とし所よくわからなくて
???
岩井俊二監督作品はよくみてるほうだが
今回何を伝えたかったのだろうか?
キリエとルカは別人が演じた方が良かったかなぁ
なんか夏彦と一緒にいると夏彦が変な人にみえてしまう。
キリエに対する罪悪感とかではなく
キリエと昔から好き通しでフィアンセとかそういう
綺麗な設定にしてくれたほうが
今回の夏彦の行動とか納得出来る
岩井監督のストーリーはいつも少しこういうとこあるが
多分映画での描写不足からくるものかな?
原作では補われて納得できるんだろうな
とはいえ、私は好きな作品でした
最後のイッカさんのオチの展開は予想出来たし
またこのパターンかよってなった
もう少し違う方向とかでお願いしたかったな
ディレクターズカット版とかきたら
すごくみたい
期待。
だって、迷惑だから
「だって、迷惑だから…」夏彦に向けたキリエ(路花)の言葉に号泣する夏彦。唯一登場人物に共感出来たシーンであり自分も涙が止まらなかった。
それにしてもキリエを演じたアイナ・ジ・エンドさんの初めてとは思えない映画主演を見事に演じていたし歌は心に染みた上にめちゃめちゃ可愛かった!すずちゃん目当てだったが一気にアイナさんのファンになった。
もちろん、JKの真緒里やすっぴんのイッコさん、カラーウィッグとサングラスで変装したイッコさんのどれをとってもすずちゃん(広瀬すず)の魅力が溢れていた。
この様な展開になるとは思っていなかったが…
3時間は長いなぁと思ったが名曲を数多く聴けただけでも儲けものだったし以外と長くは感じなかった。
タイトルなし(ネタバレ)
松村北斗を見つけた時に岩井俊二の世界にハマりそうだなと思っていたので、夏彦には期待していました。
繊細な演技がとても良かった。
切なくて苦しくて自分を責めて赦せなくて赦せなくて…
夏彦を誰かが、Kyrieが生きる歓びや赦す存在になってくれれば…と思いました。
あなたはそんなに大きい十字架を背負わなくていいよ。
広瀬すずはもう日本映画には欠かせない存在ですね。
ただの若手可愛い枠では絶対にない。
彼女の演技好きです。
コロコロ変わる姿が可愛くて、自由奔放に生きる振りをしているイッコが切なくて…
真緒里と路加があそこで出会えて良かった。
真緒里生きててほしい。
Kyrieのアイナジエンドもすごく良かったんですが、他の方も書いてた通り一人二役がちょっとしんどかったかな…
最後の夏彦が「もう1回顔を見せて」っていって泣いたの所のために両方やらせたのかな?って思ったんですがどうなんだろう?
正直キリエ(姉)は重すぎるしちょっと怖かった。
クリスチャンのキリエ家族もきっと夏彦に不気味に映ってしまったのではないかな。
地震の場面が結構長くてしんどくなる人は多いと思うので観れない人もいるかもしれないけれど、
歌声が素晴らしくて心が震える場面が多く、多くの人に共有したい映画だと思いました。
歌
による人との結びつきによる波乱の13年間。父親を早くに亡くしたけど、幸せな家庭に育っていたのに、震災が人生を大幅に変えてしまうが、歌が色んな人を呼び、生き方に大きな影響を与えてくれます。岩井監督の悪い場面でも何故か透明感を感じる映像が凄くらしさがある感がありました。
悲しい苦しいけれど音楽が包み込む
こんなにも残酷なほど悲しくて、けど温かさもあって色々な種類の涙が溢れて、心に響きすぎて体温が上がるような映画は初めてです。それぞれの時代やシーンを行ったり来たりして感情がかなり忙しいけれど、重たい場面のあとに音楽の描写があることで上手く調和されていてなんとか心が保てるような感じでした。むしろ感情が忙しく揺さぶられる続けることこそ一つの映像体験として心に刻まれるようで、編集の絶妙さに感服します。
生きていると色々な種類の苦しみや悲しみが人の数だけあって、けれどその重さは誰にもはかれなくて、真実は本人の中にしかなくて、どこまで行っても悲しくて辛くて苦しくて希望はないのかもしれない。登場人物に思い巡らせながら、それでもその絶望の先にあるものを見つめていくこと、生きていくということを考えさせられました。決してスッキリ腑に落ちるような映画ではないのだけど、観終わった後には、余白と余韻で整理がつかない混沌とした気持ちさえも心地よくて、簡単に言葉にしてしまうのも勿体無いような大事で大切なものが心にじんわりと残ってる、そんな映画です。
この映画、音楽とアイナさんの歌声がとにかく素晴らしい。
個人的には広瀬すずさん演じるイッコ(真緒里)が不思議な魅力のある人物でハマり役。キリエ(路花)とイッコ(真緒里)2人のシーンは、どのシーンもどこか儚くて、でも可愛らしくて魅力的で、音楽と同様にこの映画の醍醐味かなと思います。
夏彦を演じた松村北斗さんは、希と出会った頃の精神的な幼さや危うさ弱さも、罪悪感や後悔などを背負い続け葛藤し続けるさまも、彼の表情セリフ回し一つ一つに夏彦という人物が透けて見えてくるようで、人の弱い部分生々しい部分を繊細に演じられていて素晴らしかったです。特に異邦人のシーンは、あの表情だけで夏彦という人物が見えてきて、ある意味ものすごい衝撃が走りました。
それから路花を演じた矢山花さん、なんだかすごい子を発見してしまったような感覚。自然に溶け込むように物語の中に存在していて、歌も上手で、とてもナチュラルなお芝居。彼女演じる路花が、教会で目に涙を浮かべたシーンは忘れられません。
震災の描写は想像以上で被災者ではない自分でも相当なダメージで、思った以上にリアルできつい描写がずっしりと体に心に響いて残ります。それだけではなく色々な意味で1度観てしまったからこそ、2回目以降の方が観る覚悟がいる作品だと思います。けれどそのきつさ重たさなくしてはきっとこの物語は成立しなくて、それでも映画の余韻の中で「キリエ憐れみの讃歌」が全てを包み込んでくれるような気がしています。
岩井俊二の『青の時代』
Kyrieの歌声をずっと聴いていたい。
Kyrieの青いステージ衣装、イッコの淡い青のウィッグ、岩井俊二が青の時代に突入したのでは、と思うくらい青に彩られたショットはとにかく美しい。
パワフルなハスキーヴォイスに圧倒される北村有起哉の顔には笑ったな。演技じゃないよね、あの表情は。向かい合わせに座った席から、振動が伝わる声量で、魂から湧き上がってくる言葉をぶつけられたら、真剣に聞き入ってしまう。
アカペラのKyrieの歌声に聴き入った後は場面が変わり、村上虹郎が扮するギタリストが加わる。ギターを弾く村上虹郎が、また決まっている。キャップを後ろかぶりで、Kyrieをサポートする姿は、ビリー・アイリッシュの兄貴を彷彿とさせる。
ギターで音の厚みが増したところへ、ストリングスの深みのある音が加わり、トランペットの高音が重なる。そこにKyrieのハスキーヴォイスがオーバラップ。その過程をさりげなくシナリオを組み込むあたりが心にくい。
ほぼ3時間の長さなので、途中で眠くなってしまうのでは、なんてことは全くの杞憂でした。
オフコースの『さよなら』、久保田早紀の『異邦人』をKyrieがアカペラで何度も歌うんだけど、歌うたびに歌詞の内容にハッとさせられる。今まで、気がつかなかったのが不思議。
アイナ・ジ・エンドは、歌も演技もダンスもただものではない。全くの初見ですが、トリコになりました。
心の影を破天荒ない行動で覆い隠そうとするイッコ。破滅型の人間の心情をありありと見せてくれる広瀬すずも最高でございました。
震えるほどかっこいいシーン
最初の鑑賞では、ハチャメチャなストーリーと思ったけど…
★2回目の感想(原作既読)
原作を読んでから、もう一度鑑賞してみると、それぞれ切り取られたパートが繋がって、きちんとストーリーが理解できるので、キリエを取り巻く悲しい物語にずっと涙をこらえて観てました😢
この映画は、時間と場所が行ったり来たりするのと、人間関係が複雑なので、一度の鑑賞で理解するのは難しいと思いますね(-_-;)
それに原作を忠実に映画化されてない=大事なところがカットされているので、わからないことが出てきて、ストーリーがハチャメチャに思えてしまうんじゃないかと思います(^^;
最初の評価が🌟二つ半で、2回目の評価が🌟四つ半と高評価になったんですが、こんなことは今まで記憶にないです😅
何はともあれ、主演のアイナ・ジ・エンドという役者さん、演技も歌も、最高に良かったです🈵
2回目の鑑賞では、3時間はアッという間に過ぎました😋
★最初の感想(原作未読)
キリエの独特の歌声は、何とも言えず心に響いて心地よかったし、劇中で歌われる曲も、好きな曲ばかりで、とても良かった(^^)
現在と過去が交錯するストーリー展開も、複雑な人間関係が徐々に解明されていくことを期待しながら観ていたんですが、散りばめられた伏線が回収されないまま、だらだらとしていつの間にか終わってしまった感じです😓
せっかく、いい歌といいキャストといい題材を使っているのに、何とも理解できない脚本で、しまりのない意味不明な映画になってしまった感が強い😥
岩井俊二監督は、この映画で何を伝えたかったのだろう、映画の落としどころはどんな風に考えていたんだろう、私にはさっぱりわかりませんでした😨
私の評価基準の中には、ストーリー、テンポ、落としどころというのがあるんですが、ストーリーはハチャメチャ、テンポは一部だらだらと辛気くさくて、落としどころはさっぱりわからないので、これらを評価すると、🌟ひとつ(10点~20点)の低評価しかつけられないですね (-_-;)
ただ、音楽とキャストが良かったのでこの評価になったということですかね (^^;
いずれにせよ、無駄な描写が多すぎて、肝心な伏線の回収がないのに、3時間は長すぎるでしょ‼️
悲惨すぎるが惹きつけられる
タイトルなし
3時間は長かったけど、震災の長い地震のシーンなど、エピソードも多かった。
歌の力が中心。
松村君は本当に難しい役を演じたと思う。顔を見せて欲しいといい、謝り泣き崩れる最後の方のシーン。男の方がダメになる、弱い存在だということをDV男に変身する男の描写も含め、よく描いている。
岩井さんの映画は、いつも男と女は幸せにはなれなくて、女の友情が描かれる映画なのか。
黒木さんも珍しく骨太で強い。
キリエの家が漁師でキリスト教というのは、リアリティがあるのかどうか。
キリエの女の子はちょっと賢くない感じがあり、松村君への性的な迫り方とか、2人の関係はいまいち見えない。
警察や福祉の描き方は、ケンローチのよう。リアリティがある。
ホームレスで、路上コンサートの旅をする女の子の設定が力強い。
すずさんは、たいてい、彼女がドラマの枠をはみ出てしまうのだけど。この映画は扮装も含めよかった。松村君のことを好きな複雑な感情の表現もいい。雪の中のオフコース、さよならのシーンもいい。全部歌った。
村上くんは、背景わからなくても存在感だけでいい。
素直に面白いです
正直、予告を見る限り、あまり期待しないで─なんて思っていたのですが、単純に表現しきれない濃密な面白さ満載でした。なにせ3時間近いですからねー。でも、尺の分の意味合いも面白さも展開も、ありました。率直に、すごいお話を考えるものだなぁと思ってしまいます。
絵も、手持ちでテキトーに撮って上手く繋いでいるんだろうと思って油断していると、見事なフォトジェニックがバンバン映し出されて、めっちゃ見入ってしまいました。しかも今回は音楽がいいし。
でも、最初の方は音楽の使い方があまりに劇的過ぎていやらしいのでは─と危惧したんですけど、とことんドラマチックに音楽を魅せていくという終始一貫した演出に嵌まった気がします。
時間軸がかなり複雑に行き来して、混乱を招きかねない構成だったと思うんですが、その複雑な感じもまた深みみたいなものになっているような─
また一つの世界観に魅せられたという思いです。
お家芸の「一人二役」が裏目に出てしまったとしか思えない
泣いているような、絞り出しているようなアイナ・ジ・エンドの歌は、確かに心に響いてくる。彼女の歌唱シーンこそ、この映画の目玉であると言えるだろう。
その一方で、ストーリーはといえば、同時並行で描かれる異なる時代と場所での物語には引き込まれるものの、結局、3時間もかけて何を描きたかったのだろうか?という疑問が残る。
そもそも、主要な登場人物達のキャラクターが、最後まで把握できない。
アイナ演じる路花は、震災で自分だけが生き残ったことに後ろめたさを感じ、贖罪の気持ちから姉の名であるキリエ(希)と名乗っているのだろうが、それにしては、ただ歌手としてデビューしたがっている女性にしか見えない。
村松北斗演じる夏彦にしても、本当に希を愛していたのか、それとも「できちゃった婚」から逃げ出そうとしていたのかが分からなかった。
黒木華演じる風美については、路花を救い、寄り添う姿に菩薩のような慈愛が感じられるのだが、その背景が描かれないため、単なる「善い人」で終わってしまっている。それどころか、ストーリー上、この大阪のパートは、丸々なくてもよかったのではないかと思ってしまった。
広瀬すず演じるイッコ(真緒里)に至っては、スナックを継ぐことを嫌がっていたのに、それ以上に「女」を武器にする結婚詐欺を働くというのは、いくら大学進学に挫折したからといっても、一貫性が無さ過ぎるのではないか?それ以前に、帯広で知り合いだった真緒里と路花が東京で出逢うという偶然は、通常ではあり得ないし、その一方で、夏彦が東京に出てきても、イッコ(真緒里)と再会することはない。
こうしたご都合主義や不自然さを排するためにも、真緒里とイッコは別々の人物にして、違う女優が演じた方がよかったのではないかと思う。
似たような思いは、アイナが一人二役て演じた希と路花という姉妹についても抱いてしまう。
アイナのキャラクターは、心に傷を負って声を失い、歌でしか自分を表現できない路花のイメージにこそピタリとはまっているのだが、普通の高校生である希のイメージからは乖離しているように感じるのである。それどころか、粘着質の希に迫られる夏彦が、なんだか気の毒にさえ思えてしまう。ここは、やはり、姉妹のそれぞれを違う女優が演じた方がよかったのではないだろうか?
「一人二役」は岩井俊二監督のお家芸だが、残念ながら、本作では裏目に出てしまったとしか思えない。
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