落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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ショパンの前奏曲が映画の魔術の始り
さて。
事故ではない。
なぜなら、事故であったとすると、この映画の意味がないから、少なくとも、自殺か他殺になる。
しかし、
だから、色々矛盾があるので2回目を見たが、やはり、判決に不服が出ずに、簡単に無罪が出る理由が納得いかなかった。
検事側が殺人と見るなら、凶器が必要なはずたが、一切語られないし追及されることも無い。
殺人や自殺を否定する部分もあるが。とにかく、夫が死んだ事もフィクションの中の事実。
映画の初頭で奏でられるカリビアンな曲は良い曲だが『耳栓する位をうるさい曲』に思える。なぜそのうるさい音楽を消さないか若しくは、消させなかったか?
つまり『消せない』と考えれば良いのではないか。
また、この夫婦の争いは悲劇のプレリュードではなかったのか?
と感じた。
やはり、
凶器がない事が矛盾点として、重要になってくる。
追記
フランス人の夫とドイツ人の婦人
その争う姿を見ていると、二つの国が余り仲が良くないのが良く理解出る。まさかそれを言いたいのか?
ん?オチは…?
話の展開が「ザリガニの泣く頃に」に似てるな〜って思ってみてたけど、やたら長尺だからオチの期待度上がってたのもあって、締め方が残念に感じた。
インパクトがないな、、音楽はでかいのに、、、
結局事実は、、?
個人的にお父さんの口パク(回想)にダニエルがアテレコしてる演出好きだった。
わんちゃんの演技力に驚いた。
検証すればするほど真実は分からなくなるもの
法廷劇を通して知らなくても良い事を知らされる残酷さや
事実から引き出される答えの不確かさに疲弊する当事者たち。確かな証拠がないまま裁判は死んだ夫と夫婦間の気持ちが何処にあったのか人の内面を切り開き感情なんて曖昧なものに決着をつけようとしていく。
主人公が弁明時に使う母国語ではないが流暢な英語と慣れないフランス語、どちらも場合によっては嘘っぽく聞こえたり真実味を帯びていたり。一時の感情の激しさや修復不可能な傷があっても家族に愛をもって向き合っている事だって感じる。大切に思ったり憎らしくなったり日常の気持ちのゆれに対してとても敏感な話しでした。
法廷劇であばかれるものが生々しくて途中こんなにも子供に残酷な話ってあるかよと見ていて苦しくなるシーンもありましたが、その子が突きつけられた選択肢の中から自分が進みたい未来を真実として選び取ったのはある意味爽快だった。
そこに落ちて跡を残した証拠、事実、言葉といった動かしようのない事実は存在している。でもそこに落とすまでの真意は何を思ってのものだったのか、心はずっと動いているもので本当の気持ちなんて本人にさえ分からなくなる時がある。第三者も含め登場人物はみんな自分のための真実を選んでいるのだから、そこにある事実がどういった跡を自分に残した事にしたいのか、自分はどう受け取りたいのか、曖昧で前に進めないなら自らが答えを決めて良いのだと思える終わり方だった。
できた息子…
両親は彼の視力も奪い、裁判によって心もズタズタにしながらも、父親殺しの疑いもある中、母親を守った。両親とも自我を主張し過ぎで身勝手だ。殺しの有無の真実は分からない。息子の証言の真実も分からないが、健気で聡明な息子に頭が下がる。彼の精神は大丈夫なのだろうか。子役が素晴らしかった。また、カメラワークがドキュメンタリー風で終始引き込まれ、派手な展開は無いものの、見入ってしまった。
感想メモ
裁判で双方の主張を聞けば聞くほど真相がわからなくなる
誰も信じられない、子供に付き添ってたお姉さんしか信用できない
最後の方の事件前日の喧嘩、凄すぎて笑っちゃった
私は乱暴よ!何かを殴る音
物語のアイデアを盗まれた!?
子供も証言を変えたり、母親を守ろうとしているのだろうか、見てた感じ母親は余り育児に協力的でなかったみたいだけどねー
真実かどうかではなく、どう事件を解釈するのか
ラストはスッキリしない感じではある
自分で体験してみた事を話にする、と最初のインタビューで言っていたのが妙に気になる
フランスの裁判所おしゃれ
弁護士のおじさんの顔が綺麗過ぎる
新しい試み
他の皆さんがおっしゃる通り、真相が明らかにならないまま終わり、一本取られたなぁとはなりましたが…それだけでした。2時間半まで引っ張られてモヤモヤが残った分マイナスかなと思いました。
面白かった
夫は、自分は家事と育児を担当することで息子との絆は感じるが、自分の時間が持てないことを不公平だと訴える。また、事故以来自分が男性としての魅力が果たせず、妻が浮気をしたことに深く傷ついている。自分には才能がないことに気づきながら、プライドだけは高いから、創作のアイデアを盗まれたことがいつまでも引っかかっている。
妻は、本心では私が稼いでいるのだから夫が家事をするのは当然だと思っている。私と息子の絆は無いと言いたいのか、不公平なことなどない、執筆に集中したいなら自分で工夫して時間を作ればいい、何をやっても中途半端、夫の国で暮らしている自分こそストレスを抱えている、自分にはセックスが必要だった、小説のネタも私に書いてもらったことを光栄に思え、と返す。
二人の言語の問題を絡めながら、夫婦関係が終わる様が見事に語られていた。
人間の精神が崩壊し落下するとき、人間は自らの肉体の重さを実感しながらその命を終える。事実はそれだけだ。
人気作家による殺人事件なら大衆は喜ぶし、妻に惚れている弁護人はうつ病の夫の自殺だと主張する。人が落下した真実を二元論で語るのはあまりにもワイドショー的だ。
ここまでワイドショー的ではなくても、裁判というのは最終的にどちらかに決めなきゃいけないという意味で現実の問題を突いている。
意味深なシーンを深読みしがちだけど、重要なのは無罪か有罪かというよりも、少年がどう事件を捉えるか、というのが重要になってくる話。
ラスト。裁判で、息子は母親を殺人犯にしないと〝決めて〟証言する。晴れて無罪になったものの、母親が帰宅したとき「ママが帰ってくるのが怖かった」「私もよ」といったセリフが交わされる。
息子の眼には、母親が父親を自殺に追い込んだ殺人者と映っているかもしれないけれど、事件前の関係性に戻れるように母親は息子に抱擁してもらう。
そしてラストシーンは、スヌープが添い寝をしてサンドラのホッとした表情でおしまい。
言葉の達人サンドラにとって、裁判を含めて言葉なんてどうにでもなるもの。だから言葉を駆使する人間…同業者の夫も弁護士の彼も、面倒くさいしそもそも信用していない。信用できるのは体温を感じる子どもと動物だけ。あとはセックスの相手が時々いればいい。
サンドラにとって、この一家は最初から、サンドラとダニエルとスヌープ、この三者のバランスがベストだったのでは?
事件の真実はわからないけど、そんな感じがくっきりと見えた。
アカデミー賞というだけで期待したのが失敗
旦那が死んだ。
事故?他殺?それとも自殺?
なぜ?真実は?
どんどん出てくる新事実、果たして妻はやったのか、やっていないのか?
何の情報もなく、ただアカデミー賞というタイトルのみで見た。
夫が死んだ妻と子の話。
亡くなった理由はわからず妻がやったのか、やっていないのか。そこら辺をはっきりさせずに物語は進む為、サスペンス形式な映画なんだと思いながら見た。
今思えば、アメリカのエンターテインメントな映画に慣れすぎてしまっていたのかもしれない。
物語はそこに重きを置いていなかったのだろう。
「考えても、情報が少ないけど結論を出さなきゃいけない。そんな時は自分で決めるんだ」
そんな言葉が芯にあると感じるような映画だった。
まあ、大事な言葉というのはわかるけど、ちょっと軽い、若い気がする。
結局真実はわからず終い、しかし親子の絆は強くなったのでした。みたいな話。
大した感動もないし、エンターテインメント性もない。なんだかぼやけた映画に感じた。
フランス映画ってこういうもんか。
時間も長いし、損した気がする。
面白かったけど・・・
第76回カンヌ国際映画祭
パルム・ドールとパルム・ドッグ賞を受賞
面白かったけど、正直賞を獲る程良いとは・・・
まさか法廷劇だとは思ってなかった
それに子供のあの証言だけで無罪になるとは到底思えない。
説得力に欠けるなぁと・・・
しかも最後まで観ても真相は分からず
色々とスッキリしない
あとは観客が勝手に考察しろという感じで
最初からからくりを考えてなかったみたいで
なんかズルいと思う
夫婦喧嘩は犬も食わない
夫が家の三階から落ちて頭を打って死亡、落下で頭を打った事故なのか鈍器で殴打された殺人か定かでない、疑われた妻は裁判に・・。
カンヌのパルムドールをはじめ多くの映画賞に輝いた作品を貶すのは気が引けるが真実が曖昧なまま、ダラダラ進む法廷ドラマ。
そもそもこの夫婦、二人とも作家で夫は売れず、妻はベストセラー作家らしい、夫が妻の才能に嫉妬、売れないのは自身の才能でなく雑事に忙殺されて時間がないからと他人のせいばかり、しかも、夫は生粋のフランス人で妻はドイツ人、共通会話は英語という無理っぽい夫婦、加えて妻はバイセクシャルのレスビアンとも設定、これでもかというややこしさをこねくり回して夫婦関係の真実に迫るが、どうでもいいことばかり、小出しにエピソードを積み上げるが登場人物に魅力が無いので傍観するだけ、検察官も医者も最低でした。
所詮、夫婦の仲は他人には分からないことばかり、夫婦喧嘩は犬も食わないということなのか・・。
冒頭からヒップホップ、Pimp(ポン引き)が爆音で響き渡る、劇中では息子までピアノ演奏、この胡散臭い選曲は何なのでしょう。
タイトルから解剖学で真実が明かされるのかと思ったが物的証拠は乏しく、夫婦喧嘩とか状況証拠だけだから、推定無罪は仕方ない。ラストシーンで母子二人の寝室シーン、やっと真実が語られるのかとラスト5分に期待したが何もなし・・。
背景にある社会的構造は?
自宅のバルコニーから転落死した夫の死が、自殺なのか妻による殺人なのかをめぐる裁判の話。唯一の証人である息子は目が不自由という設定になっている。
全体としては淡々と展開していくが、夫婦喧嘩のシーンと法廷でのシーンが迫力があった。
夫婦間に屈折した関係性がある。成功している妻と挫折した夫。夫の被害者意識とその被害者意識を疎ましく思う妻の関係性。逆の立場も含めれば、多かれ少なかれ多くの夫婦間に見られるのではないか。結局のところ真実は不明である。しかし、妻の殺人だと断じている人達には、自殺であろうと他殺であろうと夫を死に至らしめたのは妻だという思いがありそう。
全体的な構造として女対男になっている。妻の味方は女性で、敵は男性だ。唯一男性で妻の味方なのは弁護士だけ。ただ、この弁護士は古くからの友人であり、かなり親密な関係がある。妻の味方ではあるが、妻の無実を心から信じているとは言い難い気がする。一方でアシスタントの女性弁護士は妻の無実を信じて疑っていないようだ。
なお、息子にとっては夫婦間の争いでどちらの側につくかの結論を迫られることになる。息子の目が不自由なことも家族の関係性を表すメタファーになっている。
登場人物の性別がすべて逆になったら、まったく異なる印象を受ける映画になりそうだ。そう考えると『落下の解剖学』というタイトルは奥深い。この出来事の背景にある社会的な構造を解剖しているようだ。
なるほどなるほど
解剖されてるは、私たちの浅はかな、移ろいやすい感情ってこと?!
真実はひとつ!ってコナンくんが言うけど、この映画はそれは重要じゃないんだ。と思ったら、☆1.5だった点数を2.5にした。
ゲスすぎた検察官?は、SNSだね。
自分の理論正義を押し付けようとする生物。
気をつけよう。
てかそもそもパルムドールをとったという情報で、期待値が高くて、勝手に☆減らしたりしてるから、私の感情は支配されている。
受け継いだ才能
父の不審死、被疑者になった母。
法廷で赤裸々に切り取られ公開される情報や、決められた方向へ導く会話、報道や実際の場面で周りのおとなたちの言動。
「昨日から何を信じればいいのかわからない。
僕を助けて!」
それを浴びなければならなかった少年の惑いがわかる言葉だ。
そして辛辣な日々は彼を決心させる。
「もう傷ついている。
だから話を聞きたい。
立ち直るために。」
その現実で父亡き後の母と暮らしていく為の選択だ。
彼の見えない目は、きっと誰よりもはっきりと表情を捉え空気を拾い組み「ストーリー」を組み立てた。
息子の覚悟を見抜いた母ならではの視線がおもわず一瞬止まり、証言台からわずかにそれていく。
これまでのただの母と子の立場はこの時終わったのだと思う。
あの証言で信頼を得た彼は、両親の人生の歯車のずれに自分が関わっていることをずっと感じながら過ごしてきたはず。
だから、判決後にメディアに対し「息子に電話して家へ帰りたい」と語った母の言葉を聞いた顔は特別に嬉しそうだった。
そしてそれがとても純粋だったことが余計に哀しい。
なぜなら、母が弁護士に判決後の気分を打ち明けたように、ダニエルにもあった期待と現実。
帰りを待ちながらダニエルがどんな気持ちでいたか。
その後母子が交わした言葉と抱き合う姿があるが、そこには疑いが晴れた喜びや幸せはやはりみえない。
過ぎた事実につけた折り合いを分かち合い共に生きる決心だけが通じ母を慰めるように成長したダニエルがいた。
ひと段落ついた深夜、ひとり横になる母の隣りにすたすたと来た犬。
犬は人が隠しても持て余す心を察してそっと寄り添う。
薄明かりの闇の先を真っ直ぐに見つめるその鋭い目は、ダニエルが弾くピアノの音色がその時々の心情をうたう唯一の真実なのだということも知っている気がした。
真実ほど見えない
2023年のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。
カンヌのパルムドール受賞作って、アカデミーの作品賞より時々合わない。一昨年のゲロクソ映画『逆転のトライアングル』なんて何であんなに評価高いの…?? マジ分からん。
しかし今回は…
フランス雪山の人里離れた山荘。
一人の男が不可解な転落死。
発見者は、11歳の視覚障害の息子。
容疑者は、男の妻。
裁判が開かれる。疑惑と嘘が入り交じる中、明かされていく真実。夫婦の関係…。
事件の経緯はこうだ。
その日、妻サンドラは取材を受けていた。サンドラはベストセラー作家。
ところが、夫サミュエルの部屋から大音量の音楽。集中出来ず、取材は中止。
サンドラは仮眠の前に少し仕事を。夫が大音量で音楽を流すのは日常茶飯事で、耳栓すれば支障は無い。
その時、夫婦の間で話が。言い争いか、喧嘩か…?
程なくして、飼い犬スヌープと外に出ていた息子ダニエルが、物置の近くに倒れていた父親を発見する。
状況から、山荘のバルコニーから転落した模様。事故か、自殺か、それとも…?
事件には幾つもの疑惑と嘘が。
転落死した夫だが、致命傷となったのは、頭部の強い殴打。
物置の血痕。ただ転落して付いたようなものじゃなく、突き落とされてその際付いた状況が濃厚。
犬と外に出ていたダニエル。両親の言い合いが始まると、いつも外に出ていたという。
その日の言い合いを外で聞いたと始めは供述。その後一転して、勘違いで家の中で聞いたと。
夫婦は日頃から言い合っていた…?
サンドラの供述も信憑性が…。
一見、良妻賢母。知的。
その一方、底知れぬものも…。
腕の痣についてキッチンでぶつけたと言うが、本当は…。
不倫していた事やその人数も偽っていた。
裁判でマイナスのイメージが付くからと弁解するが…。
元々ロンドンで暮らしていた家族。夫の故郷であるフランスに戻ってきたのは最近。(ちなみにサンドラはドイツ人)
教師であった夫。山荘を改装し、宿泊もやる事で借金を返そうとしていたが、上手く行かず…。
精神科医に通い、薬も飲んでいた夫。借金が理由ではなく、その前から。
ダニエルの失明。ある事故で…。夫が原因。サンドラはそれを責め…。
薬の服用を始め、自殺未遂も…。夫を責める事を止めたサンドラ。
だから今回も自殺したと主張するサンドラ。しかし以前の自殺未遂の事を急に思い出したように言う。
ダニエルの事故があった時、夫は苦悩。サンドラは…。不倫。相手は男ではなく、女性。バイセクシャルであった。
事件当日も、サンドラを取材していたのは若い女性。サンドラは少しお酒を飲みながら。
いい雰囲気。仕事も順調。それは俺への当て付けか…?
裁判中もサンドラはダニエルに心配かけまいと、パパを愛していたと言うが…。
夫のUSBメモリーから事件前日の修羅場の音声が…。
サンドラの為にずっと譲歩してきたと言う夫。仕事も、ダニエルの世話も。
サンドラも反論。
夫は教師の傍ら、執筆も。行き詰まり、書くのを止めた。
そのアイデアをサンドラが貰い、小説を出した所、ベストセラーに。
サンドラは一部のアイデアは了承の上貰い、ほとんど自分のオリジナルと言うが、端から見れば…。特に夫からすれば…。
本の内容も少々問題。自伝を兼ねた内容。息子の事故、夫婦の修羅場。夫へ殺害意欲を思わせる描写も…。
日常の音や会話をよく隠し録りしていた夫。わざと妻を挑発していたようにも…。
疑惑と嘘。憶測と真実。
いずれも確かのようであり、偽りのようでもあり…。
どれもが紙一重。『羅生門』の如く、分からなくなってくる。
そんな時、ダニエルがもう一度証言を。何を話そうとするのか…?
ジュスティーヌ・トリエの緻密な演出と夫アルチュール・アラリとの共同オリジナル脚本は、非常に見るものを引き込む。
第一発見者を視覚障害者にした事、回想シーンでも最も重要な点を敢えて見せない。真実は見えない、もしくは見えにくい。それを大胆にも活写。見る側を惑わし、意欲的な挑戦にも感じた。
初めて知ったのは、2017年日本公開の『ありがとう、トニ・エルドマン』。その時も印象的だったが、本作に於けるザンドラ・ヒュラーは圧巻。普段は物静かで知的だが、あるシーンでの爆発的な感情。女として、妻として、これが本当の顔なのか…? 昨年のカンヌではもう一本の出演作『関心領域』も絶賛され、まさしく“ザンドラ・イヤー”であった。
旧知の弁護士、対する検事も好助演するが、とりわけダニエル役のミロ・マシャド・グラネールくん。視覚障害の第一発見者、作品に於いても事件に於いてもキー。複雑難しい役所を素晴らしく演じ切った。
カンヌでは“パルム・ドッグ”も。あのワンちゃんも好助演。でもお願いだから、ワンちゃんで実験しないで~!
“落下の解剖学”というタイトルから、もっと“ガリレオ”的な科学的ミステリーと解明を期待した人もいるかもしれない。
作品の主軸は事件のサスペンスや犯人より、その背後にある秘密。
超冷めた言い方をすれば、夫婦喧嘩の裁判。それを2時間半延々見せられるだけ。日本のことわざにあるじゃないか。夫婦喧嘩は…云々って。決して夫婦で見てはダメ。家族やカップルでも。
退屈、中身ナシ…。否定派の意見も分からなくはない。私だって『逆転のトライアングル』はダメダメ派なのだから。
しかし個人的に裁判劇が好みという事もあり、見応えあった。カンヌ・パルムドール受賞作としては『パラサイト』以来の当たり。
ラストも尾を引く。
判決が下された。
本当にそれが正しかったのか…?
サンドラもダニエルも本当に真実を語っていたのか…?
ふと、思ってしまう。
何処か晴れない。心に影を落とした母と息子の今後…。何だか映画版『白い巨塔』の最後が頭を過った。
夫婦の関係。家族の関係。子供から親への思い。親から子供への思い。…
真実はいつも一つ!…と何処ぞの名探偵は言うけれど、時に真実ほど見えない。
ずっと、裁判員的な気持ちで観てしまう・・。
劇中の人間描写がうまい作品も多くありますが、
この映画は "観ている側" の心と頭を理解して、それを、かき回してくる作品だと感じました。
みせる順番、時間を間違えれば、単調になってしまうところを、非常にうまく構成しています。
最初「解剖学」という名前に "?" マークでしたが、観た後は納得でした。
この映画は、1つ1つ細かく解剖していくような作品です。
しかも、どこまでいっても、グレーな状態にするのも、ある意味、凄い。
ワンちゃんがグレーなのも、計算だったら、より凄い(笑)
もし、こんな事件の裁判員になったら、自分はどうするのだろう。
どう、その事件を解剖していくのだろうか、と考えてしまう。そんな作品でもありました。
これを観た皆さんは「他殺」「自殺」「事故」「不明」どう解剖結果を出したであろうか?
見方によって
ん?頭殴られて転落してるなら殺人じゃん?
ダニエル(息子)の葛藤もわかるけど、結局母の無罪に心が決まったんだね。裁判員の心はダニエルの証言で100%自殺に流れたよね…。今まで父がやってたことをあの母が果たしてできるのか?
ん…無罪にはなったけど、大丈夫なんか…っていう心配しか残らなかったです。
でも、テンポは好きです。じわじわ出てくる真実。
「〜学」とあるからと言ってロジックのある話とは限らない
気にはなっていたが公開中に見損ねてしまい、単館名画座でやってるのにたまたま出くわしたので鑑賞。映画にあまり予備知識持たずに見る主義だが、こういうこともあるのか、、、と思い知った。
映画としてハズレ、ということはないが玄人好みの人間ドラマ。
尚見終わった後に邦画のタイトル翻訳に問題があつたんだろ、原題は?と思って見直したら「amatomy of a fall」と何のテライも無い原題、ということは監督か、、、。
タイトルに学、とあるからロジックで法廷劇が繰り広げられるのかと思いきや、夫婦仲やら何やらフランス(ユーロ)の社会問題をいくつか投げ込んで視聴者に素のまま判断させる、そんな感じ。
導入でフランス映画、ということが分かつた時点で嫌な予感はしていたが、事件後、法廷に到着するまでの展開は冗長で、カメラワークも単調。2時間半というのはこういうことか、と覚悟を決めた。
法廷での検察、弁護士の丁丁発止のやり取りは面白いが展開がやはり遅い。
息子が何故結審を延期させてまで陳述の場を要求したのか、何故そのときだけ傍聴人が数人しかいないのか、一体真犯人(自殺含め)は誰なのか何も決定的な事実が、明らかにされないまま被告人のベッドに犬が寄り添ってエンドロール、というわけのわからない締め方で終わる。
勝訴を勝ち取った後に御飯を食べて帰る下りや、子供から追い出されて弁護士の車でホテルに向かう道で謎のカット(真っ暗な山道にヘッドライトが照らされてカーブを二度三度曲がる)が挟まったり、最近の尺を詰めて作る日本映画慣れてるとそれ要るの?というツッコミを何度も呑み込む必要あり。
法廷でも一貫して論理ではなく感情で判決を有利に進めようという流れだし、フランス映画はまだこういう情緒で尺を伸ばす映画が許されるんだなあと感慨。
実は自分は最後の最後にドンデン返しで目の見えない息子が犯人説と、クライマックス?の録音喧嘩の後は、「実は前日の、喧嘩のときに既に死んでてそれを翌日まで隠してた」説のどっちかだろうと踏んでた。
ものの見事に裏切られたので、犬が添い寝してエンドロール、というエンディングの後は頭がグルグルして席から立ち上がれなかった。
そういうロマンス、社会問題ネタとしてはいい映画だと思うんだが、いかんせん自分の趣味には合わなかった。
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