落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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そんな事まで明かされるのかよ
検察側の追及は容赦ない。そんな事まで明かされるのかよ。弁護側は真実はどうでも良くて陪審員への心象を良くするんだってちょっと厳しい戦いなんじゃない。
ドイツ人とフランス人がロンドンで出会って彼の故郷のフランスでの生活を選ぶ。ドイツ人の彼女は母国語を話す事がなくなり英語で暮らすも裁判では仏語で話す事を要求される。
作家としてヒット作を出した彼女と、その作品は俺のアイデアだったと卑屈になって行く彼。
二人の生活がすれ違って行く。でも言ってみれば当たり前でそれを乗り越えて行くのが人生だとも言えるんだけどなあ。
自分の時間って何だろう?料理したり掃除したり洗濯したり子育てしたり生活の全てが生きると言う事じゃないの。確かに彼女は好きなように過ごしているかもしれないけど、それは家庭内であっても隣の芝生が青く見えるだけかもしれない。
そんな風に思うとどちらにしても動機が弱い。
でももし周囲に彼女への疑惑を抱かせる為に彼が故意にふっかけて録音をしたのだと考えるとまた違った解釈が出来るわね。
そしてラストシーンで彼女に寄り添った犬(スヌープ)は何を知っているの?何を依頼されたの?
「ザリガニの鳴くところ」では無罪判決に「
よっしゃー」と思ったけど今作はそうなりませんでした。
邦題も秀逸
落下の解剖学ーは起きた事から浮かび上がる人間関係や内面、そして踏み外したら落ちて上がれない人生も表している秀逸な邦題と思います。
ミステリー仕立てではあるものの、裁判で結局有罪か無罪かを判明させるものではありません。
セリフに「真実は重要じゃない」「はっきりさせるなら心がどっちを選ぶか」とありましたが、そこに集約されています。
客観的事実はあれど真実は各個々人ごとに存在する。自身がどの説を信じたいか、なのだと、生きるとはつまり、そういう事なのだと言ってるように思えます。
明かされない謎はいくつかあり、果たしてテープというのは単に間違えたのか夫が妻の細工なのか。当日の口論の内容とはなんなのか。などありますが、夫のベッドで寝る事から私は愛はあるのだと思うことにしました。
録音の口論は、例えれば不登校の息子がいる、仕事を辞めて専業主婦になった妻と夫の会話の如きです。そこまではよくあることと思います。しかしメンタルなのか薬のせいなのか夫はおそらく不能であり、にもかかわらず妻は婚外恋愛を繰り返す。そして明らかな才能の差。かろうじて妻を支えるために家庭に入ってやってるのに!という己への言い訳もこともなく論破されてしまいます。才能のある者からしたら「じゃあ書けば?」でかけない気持ちはわからない。そして小説ともなれば小説=アイデンティティにも近いものがあるでしょう。アイデンティティに対して理解不能だし伴侶としても無能と言われたに等しい。傷つきやすい夫は死んじゃうかもなあと思いました。とはいえそれも観たわたしの憶測にすぎません。
真実は分からない
冒頭、何の情報もない中、妻が若い女性からインタビューを受けている。夫が大音量で音楽を流していて、聴いているだろう本人もけして心地良いとは思えない。
視覚障害のある子供が1人で飼い犬を洗う。すぐに散歩に出る。
違和感が多い。
妻は女性の質問には答えず何か落ち着きがない。
落ち着かない大音量の音楽
犬を洗ったばかりで外に散歩に連れ出す子供
突然の夫の死により、妻が疑われ、検事と弁護士、第三者の目線から、この事件の真相が語られていく
最後にダニエルのベビーシッターが、「最後は自分で決めるのよ」と言い、ダニエルが信じた信実に事件も終止符を打つのだが、観客には結局どっちなんだと疑問が残る
どんなに状況証拠を並べてみても、結局本当の事は分からない。夫婦の関係も同じ
ダニエルがそうした様に、私も、自分が感じ、選択した信実を信じるしかないのだと感じさせられました。
それにしても、サンドラとダニエルの演技は、ドキュメンタリーを観ているように自然で魅力的でした。
家族の内側を解剖する法廷劇で試される、私たちの曖昧さを抱えておく力
本作はミステリーにカテゴライズされる作品なのだろうが、一般的なミステリーのイメージとひと味違うのは、最後まで「絶対的な真実」が提示されないことだ。
法廷での証言により、主人公夫婦の間に過去に起こったことが徐々に明らかになるにつれ、観客の目に映る主人公の印象が変遷してゆく。私たちの人を見る目のあやふやさ、不確かさを本作は暗に語りかけ、真実を見せないことでエンドロール後にもその余韻を残す。
冒頭、取材に来た女子学生に対応するサンドラの態度に不審な気配はほとんどない。ただ少し、取材を受ける側なのに女子学生に質問しがちなくらいだが、その時点ではそういう性格の人なのかな、くらいな印象だ。上の階では夫が音楽を大音量で流して取材に支障が出るほどだが、その事情も序盤ではわからない。
ところが、裁判で事件前の夫婦間のやり取りが明らかになるにつれ、最初の場面の印象がどんどん変わってくる。検察官が「女子学生を誘惑していたのでは」と言い出した時は邪推だなと思ったが、その後サンドラの隠していたこと(浮気の回数)や嘘(腕のあざ)が見えてくると、彼女を信頼出来なくなり、改めて冒頭のシーンを振り返ると、誘惑のニュアンスが入っていたようにも思えてくる。
(夫に通達した浮気はノーカンというのは特に酷いなと思ったけどフランスではアリなのか?と思ったら後で世論からも批判されててちょっと安堵)
そんな調子で、当初は気にならなかった裁判前のサンドラのなにげない振る舞いまでもが、法廷であからさまになった夫婦の内実を踏まえると全く見え方が変わってくる。ザンドラ・ヒュラーの演技の匙加減にうなった。万華鏡のように移り変わるサンドラの印象は、ヒュラーの演技のバランスがあってこそ成立する。
息子のダニエルの視力障害の程度がわかりづらかったり、母親をかばっているかのように証言を変遷させたり、弁護士ヴァンサンとの関係が微妙に思わせぶりだったり、といったことも見る側の憶測を呼び、惑わせる。サンドラは有罪か否か、という天秤が観客の胸中で不安定に揺れ動く中で、彼女の証言の変化が不審を誘い、あの壮絶な夫婦喧嘩の音声がとどめを刺す。
聞いてみれば、移住や息子のホームスクーリングはサミュエルの希望に沿ったものだ。ダニエルの面倒を見ることと教師の仕事で、作家としての創作の時間が取れなくなっているのも本人の行動の結果のように思える。作家として成功しているサンドラに対する不満には、嫉妬も混じっているのではという邪推も湧く。冒頭の大音量の音楽に、悪意の気配が醸し出される。
しかし、サンドラが夫のアイディアを横取りしていたこと(サンドラ自身は夫の許諾を得たと主張しているが、夫は奪われたという意識であり、認識のズレがあることもまた憶測の元)、言い争いの末サンドラが暴力をふるったこと、隠していた浮気のことなど、彼女の身勝手さも見えてくると、それまで見せられた曖昧な状況についてもことごとく天秤が振れ、彼女の有罪をほのめかすもののように思えてくる。
この流れなら、普通のミステリーであればサンドラが有罪になるか、あるいは判決自体は無罪になっても、内心の描写などにより彼女による犯行であるという「真実」が暗示されたりする、というのがパターンだろう。そういった「真実」の提示によって、観客の心中でも事件が終結する。エンタメ的には座りがいいはずだ。
だが本作では、サンドラは無罪判決を得るものの、観客にとってそれが「真実」であるという手応えはない。しかも判決後のシーンがしばらく続き、打ち上げの後でサンドラとヴァンサンが寸止め的な雰囲気になったりし、犬のスヌープが横たわるサンドラにぴたりと寄り添う場面で終わる。
パンフレットの評論家のレビューには、ラストで突然スヌープがサンドラに懐く様子を見せることから、序盤のスヌープとダニエルの散歩も、実はサンドラの意図(犯行のための人払い)が働いているのではという推測もあった。これもまた真偽は不明だが、ラストシーンが思わせぶりであることは確かだ。
(余談だが、スヌープがアスピリンで倒れた場面はどうやって撮影したのだろう。今時動物愛護的に薬物で眠らせたりすると批判されそうだが。ボーダーコリーはかなり賢いらしいが、まさかの演技だったらすごい)
観客はグレーな描写にあれこれ憶測をし、話が進むにつれその憶測のいい加減さも自覚する。私たちは主観で捉えられる情報だけで誰かをジャッジしたくなる。ひいては、その情報さえ無自覚に選別する。しかし、そのジャッジがいかにあやふやなものであるかについては得てして無自覚になりがちだ。
真実が明確にならないというありがちな現実をありのまま抱えることができず、急(せ)いて白黒はっきりさせようとする人間の悪癖。サンドラは無罪になったが、「無実」なのか、という疑いをあえて残すことで、本作はその悪癖を観客に自分ごととして突きつけているのではないだろうか。
判決の解剖学だった
おおっと!真実の再現はナシか~
そう来たか。
これによって、印象的な台詞、、
「勝訴したら何か見返りがあると思っていた。でも、何もなく、ただ終わったというだけ」
ということを事実確認として、実に!見事に表現していたと感じた。
法廷サスペンスの枠に当てはめきれない。
心の傷や、痛み、感情の動きが生々しく刺さってくる。
法廷モノで面白い作品は多々あるが、、、何かが違う。
いや、凄いぞこの作品。
脚本から、配役も演技もすべて素晴らしいのもあるだろう。
白々しさが無く、人の動き、表情が気になって仕方ない。
のめり込んでしまう。
気がつけば、美しいアルプスの風景もほとんど目に入ってこないほど。
私的アカデミー賞、受賞作品だ。うん、もう正式に受賞でいいよ。
見るあいだ、劇場の観客席はまさしく裁判所の傍聴席だ。
人によっては陪審員にもなるだろうか。
もしかしたらワイドショーの視聴者かもしれない。
いずれにしても殺人なのか、自殺なのか?謎・謎・謎。
わからない。どちらにも思えてくる。
判決とは「そうおもったら、決めること」。
お姉さん、、そうか。でも難しいよな…。これが解剖学の答えなのか。
そんなふうに、観客を物語に入れ込む空気の仕立てが凄かった!
本当の真実はどっち?
見終わった後の疑念が今なお、追いかけてくる私は、
ワイドショーの視聴者だったのかも…
最後まで推理できる映画
事前情報がほぼない状態で見た私
ストーリーの中で、少年が目が不自由であるとか
母が小説家
など背景を少しずつ知る
亡くなった父のことも
ストーリーの中で色んな視点で知っていく
話題性として小説家の旦那さんが亡くなり、
世間は小説家である母を疑う
弁護士が冒頭に言う
真実ではなく、
人にどう見られているか
裁判って改めてそうなのかもしれないと思った
亡くなった父は1人しか存在しないが、
妻から見た旦那
息子から見た父
世間から見た被害者
立場や情報によりその見え方は大きく変わる
裁判としての結末を最後は知って終わるのだが
私は個人的に事実の結末は誰も分からないって感じがした
映画の先の世界を想像したり
帰り道も楽しめた
そして、自分という人間の見え方も考えた。
観てよかった
結局、事件の核心にふれる証言や出来事がないまま終わってしまい驚きました。確かに「やってない」ことの決定的な証明は、現場に居合わせた以上不可能に近いし、途中にテレビのコメンテーターが言っていたとおり、「夫を殺した(かもしれない)小説家」の話の方が世間は食いつき、記憶に残る。無罪判決になったところで、そんなイメージがこびりついた人として、そしてそんな人を親に持つ子どもとして、2人は生きていかねばならない。晴れて無罪を勝ち取ったとは思えない、暗いエンディングが頭から離れません。なんだかわからないけれどとても満足感のある作品でした。
サスペンス……?
ドンデン返し! みたいなものもありふれた昨今だけど
ここまで何も起こらないのも笑
全然ハラハラドキドキもしなかったし
色々面白そうな設定も活かされきれてない気がした。
最後の展開までビックリすることも無く
「まあ、そうでしょうね」という、感想……
法廷シーンが長くて
見応えあるけど、流石に長すぎる
法廷ドキュメントって感じでした。
こういうの、ダメじゃない?
本筋というかドラマのすり替えだろ?
●冒頭は緻密にミステリーを展開させて良かった…が、謎を回収しないのはダメだろ。
あそこまで謎で引っ張っといて、あれはない。
目に障害がある息子の証言がキーになるようにふられて、あっと驚く展開を期待してしまうのだ。
ところがドラマの本筋はそこにはないと言わんばかり映画は終わる。そこに注視していたことがバカみたいだ。観客は意外なオチを期待していたのに。
●誰の成長譚かもわからない。母親の無罪になった理由もわからない。
最初に謎を提示されたから、登場人物の葛藤が本物か虚偽かわからないからだ。
母親の葛藤は本物か?父親の葛藤が本物か?息子の苦悩は?
最後まで心情的な葛藤が虚偽の可能性を残し、真実の心の葛藤とは思えない。
●ラストに謎が明確になってそれらが回収されると思ったが、グレーのままだ。
例えば息子が父を殺して、母がかばったとか明確にオチをつけてくれるなら、登場人物の葛藤も理解できるのだが。
めでたしめでたし風に終わっているが、母が殺人者の疑惑は消えないし、息子も父の自殺の確信を得てない。結局最後まで真実の心情は見えていない。誰一人。
引っ張るだけ引っ張って、本筋が何だったのかわからない映画だった。
思ってたんと違かった。
なかなかインパクトあるイメージ画像(横たわる夫と傍らに佇む母子)に惹かれて、事前情報を入れずに見てみました。もっと何か激しい展開があって、事件の真相を解明して『そうだったのか!』ってなるのかと思ったらさにあらず…。
とりあえず妻が手を下したのではないという審判こそ下ったものの、夫がどうしてああなったかは明言されず、非常にスッキリしない結末。結局事故か自殺の転落ということなのだろうけど…。
法廷でのシーンを中心に、『何がどうなるんだ?』という緊迫感ある展開はするのだが、一番インパクトあるのが終盤での過去回想の夫婦喧嘩シーンという。
冒頭部分で一瞬感じた嫌な予感がある意味あたってしまったと言うか、つまらないとは言わないが、劇的な展開がなく終わって、母子(及び関係者)的には良かったねというお話。無論無罪とされただけであり、それで主人公が何かを勝ち取ったかといえばそんなこともなく、ある意味では2時間半かけて何の成果も得られませんでした、なんですよね。強いて言うなら『夫の居ない、母子だけの静かな生活』が手に入ったのですかね。
序盤に結構な睡魔に襲われたということは、正直そこら辺は特に退屈に感じてたんでしょうね。とりあえず、ある意味頭抜けた演技を見せていたのは飼い犬君でしたかね。
疑ってかかると
冒頭から妙な違和感が漂い、最後までどうなるのかと目が離せませんでした。
いろいろな証言や鑑定から検察や弁護士がそれぞれの主張をする法廷劇としても面白かったですし、心理ドラマとしても考えさせられました。
夫婦の関係性については、経済的に優位な妻が家事負担する夫の意見をまともに取り合わないという、家父長制が逆転しているような状況が印象深いです。
日本では家父長制の意識がまだ根強くあると思うので、この男女逆転した構図は皮肉にも感じますが、フランスでもそういう意識なのかというところはよく分かりません。
そういう男女差を置いておいても、夫婦間でのパワーバランス、相手を理解しようとする姿勢について考えさせられます。
録音や証言も人物のある一面を示すもので全てではない、写真や動画の表情もその場での一面を切り取ったものに過ぎないという気もします。
テレビでの報道の様子も、疑ってかかる目線で見ていた自分には身につまされる部分も。
真実はともかく、家族の死に対してどう向き合うか、周囲や世間がどう想像するか、という部分を描いているとも感じます。
何度か出てきた、真実は問題ではない、といった意味合いのセリフも印象的でした。
実際、個人的には事件の真実は分かりませんでした。
個人的には、妻の犯行ではと思っていましたが…。
妻が通報する時に倒れている夫には触れていないと言っていたので、怪我の状況や生死の確認をしないのだろうか?と思い、息子の最初の証言との矛盾もあり、疑っていたものです。
息子が悩んだ末に行った最後の証言は母を救うための偽証かも、判決後の場面も罪悪感を抱いている様子なのかも、などと考えてしまいましたが。
とは言え、疑ってかかるからそう見えるだけで、妻は冷静な判断で倒れている夫をむやみに動かさずに通報した、息子は父の言葉の意味を認めたくなくて悩んでいた、手にかけてはいないものの妻は夫の死に罪悪感を抱いて息子に対しても後ろめたい、というようにも考えられます。
自分が気付かなかっただけで真実が分かる部分があったのかもしれませんが…、結局最後まで明確には分からず。
現実的な事件報道や裁判なども、証拠から推察するもので真実は分からないと言えると思いますが、そういう点も考えさせられました。
妻の演技もリアルな存在感があり良かったですし、息子と犬も好感が持てますし、どうやって撮ったのか、やはり犬にはハラハラさせられました。
妻と息子そして犬
自殺ならなぜ遺書を残さなかったのか。
妻の犯行ならなぜ凶器を探さないのか。
大きな疑問符が残る。
法廷劇にしては設定が緩いし、どんでん返しを期待すれば裏切られる。
それでも最後まで目を離せないしラストもそれなりに納得させられる。
それは理性と人間味にあふれた妻ザンドラや悲しみを乗り越え成長する息子ダニエルのみごとな人物造形に依るが、傍で家族を見守る犬の存在も大きい。
クレジットに犬の名前があった気もするのだが、たしかに重要な登場人物のひとりだった。
脚本、役者、演出どれもよい。
言うまでもないがあの夫、いくら時間があっても小説なんか書けないね。
「寸止め」映画
延々と裁判を傍聴しているような感じ。
その割には明確な死因や判決の決定的な理由も語られず(推定無罪とか疑わしきは罰せずと言うのはわかるけど)でモヤモヤが残ってしまった。
裁判も終盤になり旦那さんが録音した音声が出て来た時や判決が出た後で、やっとこれから展開が動き出すぞと思わせてからの何も無しでストレスが溜まったままで終わってしまった。
友達の弁護士との関係もいろいろと思わせたままで何も無し。
検察官は荒川良々に似ていた。
犬は2度もアスピリンを飲まされてかわいそ過ぎ。(あれは演技だそうですw)
子供の目の色少し怖かった。
鑑賞者に委ねるタイプの脚本というのは理解できるし、数々の名誉ある賞を獲った(獲りそう)というのもわかるが、楽しく見る事ができたかと考えた場合に決してそうでもなかったので、自分の好みからは大きく逸れていた作品であったという事に尽きる。
ミステリーにしたほうが良かったのでは
ミステリーじゃなくヒューマンドラマ、家族の話でしたか。
法廷での丁々発止のバトルや、新たな事実の発見で犯人が二転三転、伏線とか伏線回収とかスリリングな展開のサスペンスを期待したのに、そういう映画じゃなかった。
ひねりもなく裁判も話も終わった。
結局のところ、彼の自死ということで良かったのでしょうか。
法廷のシーン、検察側の主張が主観と憶測ばかりでシロウトみたいで、こんなんで通用するのかと思った。
暴露された夫婦喧嘩の言い分は、明らかに夫のほうが分が悪い、駄々っ子みたいな言い分で、冷静にズケズケ本質をついた返しをする妻のほうが上手。
夫の、妻の才能への嫉妬とプライドがこんな態度になるんだろうけど、八つ当たりです。
別れちゃえばいいじゃん、なんだが、妻は夫を愛しているのがなんとも。
だったら妻も、もう少し夫を思い遣ってもよかったのでは、と思う。
人間をじっくりみせるためにこの尺が必要だったんですかね。
淡々としており、私には長すぎてところどころウトウトしました。
唯一の現場の証言者である息子が視覚障害者、という条件が生かされていない。
サスペンスにしたほうがよい材料だったと思う。
案はいいのにそれを活かして小説にできなかったという、亡くなった夫がダブりました。
今年度のアカデミー脚本賞受賞も納得の会話劇!(カンヌもグランプリ)
不審死した旦那の殺人容疑で妻が検察側に訴えられて裁判になるんですが容疑者がウソをついていたのが発覚して旦那のせいで息子が視覚障害になる怪我をさせていて容疑者が恨んで居た事実があって更には浮気をしていたけど物的証拠も無いし犯人だという事では無いが裁判のルール上は絶対に不利になります(そんな事をしてる人間なんだから殺したのはこいつだ!って憶測で決めつけがち)裁判で不仲だったから怪しいとか言ってるのも事実だけどそんなの人生の全てでは無いしほんの一部の切り取りでしかないのに恨んで居た!それで片付けられるような単純な話では無いのにルール上はそこが有罪か無罪かの判断に強く関わるから実際に黒とか白とか関係無くて如何に陪審員に良い印象を与えるかが1番重要ってのが怖いです!(リアルに自分にもあり得る話だし) だからこの作品は判決はでますが本当の真相は語られてません!
あとかなり容疑者が不利になる部分があって母国の言葉で話すのでは無いという点でパッと振られた質問で
なんて言っていいのか分からないとか圧倒的に調子悪いですよねこれは!
しかしこんな異常で病的なレベルで作り込まれた脚本の会話劇なんてそうそう無いし(みんな触れて無いのが逆に自分はビックリです)カンヌ映画祭でグランプリ獲得とか!ですよね!当然でしょ!くらいの脚本だと思います。
あと父親の事はあまり語られていないから自殺を本当にしたのか?って部分の判断材料も少ない中で容疑者が有罪か無罪か延々と考えさせられるのが面白かったのとハリウッド的なエンタメ寄りじゃ無いのが良かったし(会話少なくて白黒ハッキリしてるエンタメ寄りの作品だったらカンヌもアカデミーもノミネートは絶対にされてませんね笑)ベタなドンデン返しや真犯人が居たとかでは無く内容勝負に徹してた部分は素晴らしいと思います!(女性が監督で脚本も夫婦でやっていてコロナ禍の時のアイデアと言っていますがコロナで隔離されてる時に夫婦間のいざこざとかを元に書いたんだろうし詳細に至るまでの超クソ細かい会話だったりなるほどって思います!)
最後にこの監督って人を不快にさせたりイライラさせる描写が天才的でオープニングから10分くらいの不快な感じめちゃくちゃ好きです(インタビューしてるのに上の階から観客が会話に集中出来ないレベルの爆音の嫌がらせの音楽と検察側の弁護士の偏見フィルターかかりまくりマンの憶測で犯人と決めつけて高圧的に喋る部分が有り得ないくらいストレスかかって一回本気で大声で叫ぶ寸前まで追い込まれかけたくらいの状態になりましたよ)とはいいつつほぼ間違い無く自分ランキングで年間上位確定レベルの作品でした!
最後に犬が凄いんです!あのシーンとかどうやって撮影したのよ?って思ってたら演技でやってるそうです(死にかけたりする演技をやってるとか本当に凄いです)
あと余談ですが市子の監督がこの作品をめちゃくちゃ褒めていて 市子を作る人なら落下の解剖学めちゃくちゃ面白いってなりますよねって完全同意したところで締めたいと思います!
最近法廷遊戯という裁判モノを見たんですが落下の解剖学と全てが真逆の作りだったのである意味面白かったです。
真実はいつも1つとは限らない。
映画.com様経由、ギャガから試写会へ招待され、『落下の解剖学 』を鑑賞しました。
息を飲む法廷ドラマ。真実がどこにあるのか、怒涛の会話劇が繰り広げられます。あっという間の2時間半。
人が亡くなった事件を取り扱う作品の中では珍しく、真実が鑑賞者にもわからない作品。サンドラが本当に殺していないのかはサンドラにしかわかりません。
この結末がより裁判の実態を生々しく感じさせてくれたと思います。実際の裁判でも、証拠が不十分でありながらも、1つの結論を出します。本当に自分が裁判を傍聴している気持ちになりました。
裁判の中で色々な証人が出てきたり、実証の1つである録音を聞いたりします。出来事は1つであるものの、解釈によって捉え方は人それぞれで、事実なんて本当は存在しないのではないかと思いました。検察からすると、色々な出来事をサンドラが他殺したような証拠として「事実」たらしめようとしています。
1番の注目シーンである、サンドラと夫の口論のシーンを見ても、どちらが悪く見えるのか解釈は分かれるのではないかと思います。ちなみに私は夫のほうが思い込み多そうと感じました。事実なのかは置いておいて。
私達の日常でも人によって解釈が異なるシーンは嫌でも多く出くわすと思います。
友人の恋人との別れ話を双方から聞くと、こういうことがあって相手が悪いとともに主張し合い、どっちの言ってることが正しいのかわからないような場面は皆さんも経験したことはないでしょうか?
立場によってどのようにものを見たら都合良いのかは異なります。僕らは自分の色眼鏡なく、出来事を捉えることは相当難しいのだと思いました。
ミステリーと思って観に行くと、ちょっと肩透かしに合うかもしれないので、あくまでサスペンスドラマを観るつもりのほうが良いと思います。、
2/23公開、是非劇場へ。
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