アウシュヴィッツの生還者

劇場公開日:

アウシュヴィッツの生還者

解説

「レインマン」の名匠バリー・レビンソンが、アウシュビッツからの生還者ハリー・ハフトの半生を息子アラン・スコット・ハフトがつづった実話をもとに映画化。

1949年、ナチスドイツの強制収容所アウシュビッツから生還したハリーは、アメリカでボクサーとして活躍しながら、生き別れた恋人レアを捜していた。レアに自分の生存を知らせるため取材を受けたハリーは、自分が生き残ることができたのはナチス主催の賭けボクシングで同胞のユダヤ人たちに勝ち続けたからだと告白し、世間の注目を集める。しかしレアが見つかることはなく、彼女の死を確信したハリーは引退。それから14年の歳月が流れ、別の女性と新たな人生を送るハリーのもとに、レアが生きているという報せが届く。

「インフェルノ」のベン・フォスターが主演を務め、「ファントム・スレッド」のビッキー・クリープスが共演。

2021年製作/129分/G/カナダ・ハンガリー・アメリカ合作
原題または英題:The Survivor
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2023年8月11日

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映画レビュー

4.0アウシュビッツに実在した残酷なボクシング試合

2023年8月18日
PCから投稿

泣ける

怖い

いわゆるホロコーストに関する映画から、また新しい作品が誕生した。アウシュビッツでナチスのために同胞相手のボクシング試合を強いられ、試合に勝つことで処刑を免れた実在のボクサーが、アメリカに渡り、ロッキー・マルシアーノと対戦することで注目を浴びようとする。戦時中に別れた恋人を見つけるために。彼の名前はハリー・ハフト。リングアナは"アウシュビッツの生還者"と高らかに歌い上げる。

アカデミー受賞監督のバリー・レヴィンソンはハリウッドの"ブラックリスト"に載った実録小説をドラマチックでエモーショナルな映画に仕上げている。ホロコースト時代と14年後のハフトをカットバックで描くことで、逃れたくても逃れられない過去の記憶に苛まれるハフトの葛藤が伝わる構成だ。

これは、過去と未来に関する物語でもある。ハフトがいかにして生還者としてのサバイバルギルトから脱却し、未来へ歩み出していくのか。そこが見どころであり救いでもある。

地味だが完成度は高い。演出だけでなく、激しい減量と増量にトライして生還者ボクサーを演じるベン・フォスターの俳優としての献身ぶりは、もっと話題になっていいと思う。

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清藤秀人

4.0ベン・フォスターにしか体現し得ない傷だらけの境地

2023年7月31日
PCから投稿

『グッドモーニング、ベトナム』や『レインマン』など80年代から名作を手掛けるバリー・レビンソン監督が、たとえスピルバーグ のような多作ではなくとも、80歳を超えた今こうして新作を届けてくれるのは嬉しい(ただし撮影は2019年)。本作は近年の彼の作品で最も覚悟みなぎる一作と言っていいだろう。まずもって主人公のユダヤ人収容所内での壮絶な日々をモノクロームで描き、戦後のアメリカ時代を、古いアルバムを開くような淡い色合いで彩っていく芸術性の確かさ。その上、ボクシングの死闘があり、愛する人を巡るドラマがあり、心の内側には決して消え去ることのない傷跡が刻まれていたりと、様々な要素が絡まり合って人生を紡ぐ。全ての核となるのはベン・フォスターだ。彼の痛々しいほど徹底された肉体改造と、苦しみや悲しみを心の底から吐き出そうとする人間性がしみじみと胸を打つ。激しさと繊細さと愛を織り交ぜた、味わい深い一作である。

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牛津厚信

3.5The Grimmest of Boxing Dramas

2023年7月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

Add Levinson's experience of Haft, a boxer who had to fight in the ring to survive, to this year's list of interesting films that explore the Holocaust. The oddball "friendship" between him and his SS manager as well as the pathological aftermath in his family life after war make for a fresh story in a film that welcomingly feels unusually 1990's. A film that shows it hasn't all been done before.

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Dan Knighton

3.5希望が見えてくる

2024年11月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

楽しい

怖い

 1949年、アウシュビッツの生還者というふれこみのボクサーハリーは、生き別れとなった恋人レアを探していた。もっと有名になるため、とアウシュビッツでの壮絶な経験を取材記者に語る。1963年、ミリアムと家庭を築いていた彼はついに。
 ハリー・ハフトの息子アランが記した、実話をもとにした物語。アウシュビッツの厳しい経験と、公表した後の周囲の扱いが悲しい。それでも彼が報われたことに、胸が熱くなりました。悲劇を背負ったハリーに対し、子供のアランがきらきらしていて、希望が見えてくるようでした。そしてジョークのオチはちょっと笑えます。もったいぶった割にたいしたことない、それがまた平和で笑えました。
 ダニー・デビートとジョン・レグイザモが、思ったより目立たないのがちょっと残念。
 モノクロシーンと、役者の激しい体重の増減から、「レイジングブル」を思い出しました。

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sironabe

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