オットーという男のレビュー・感想・評価
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それでも愛する
王道でシンプルだけど、これでいい。いや、これがいい。分かっていても、感動してしまう。トム・ハンクスらしさ満載で、彼の魅力がたっぷり詰まった作品。....これが、見たかった洋画だよ。
ルールに厳しく、頑固で、無愛想なオットー。
毎朝見回りを行う彼に、近所の人たちは「ハイ!オットー!」と声をかける。反応は分かっているのに、なぜ?でも確かに、彼は厳格ではあるけれど、言ってることは間違ってないもんな...。「嫌われ者だけど、愛される」というポスターのフレーズの意味が、聞いただけじゃ分からないけど、トム・ハンクスの演技を見ていたら、一瞬で理解できます。3年前の「A Beautiful Day in the Neighborhood(原題)」とは正反対な役柄(邦題嫌いなんで...笑)。やっぱり、いい演技するなぁ...。
トム・ハンクス映画の好きなところのひとつが、しっかり笑えちゃうところ。彼の自然な振る舞いに、つい笑みが溢れてしまう。新たな隣人との出会いと共に遂行される妻と再会への1歩。それがとてもユニークで、トム・ハンクスらしくて大好き。意外と正直者なオットーも大好き。美味しいは世界を救う!ってな。
ストーリー展開はテンポいいし、分かりにくいことなんて一切ないし、オットーが愛くるしくなる一方。こういうのが良いんだよ。アカデミー賞最有力のエブエブとは大違い。誰にでもオススメ出来る作品。笑えて、泣けて、また笑える。心が完璧に浄化されました。エンドロール中の写真にもホッコリ。もっと見たかったなぁ。
この手の映画って、中弛みが...とか、ちょっと退屈...とか思いがちなんだけど、本作はそれがなかった。トムパワー、偉大だな。めちゃくちゃオススメです。ぜひ、劇場で心温まってください。
ご近所物語
最初のホームセンターの一件以外、オットーは嫌なヤツでも嫌われモノでもありません。
近所の住人からは挨拶もされるし、むしろ距離の近い人ほど嫌っていない。
首を吊る際にもスーツを着込み、(天井に穴は開けるが)床に新聞紙を敷き詰める。
寝るときは片側を律儀に空け、左手はちょうど誰かの手を握る位置に。
このあたりで冒頭からアッサリ善性をバラしてしまう点は好みが別れるかも。
派手な展開も意外な出来事もないTHE王道だが、バランスが素晴らしい。
適度なユーモアがご都合主義を相殺し、織り込まれる様々な要素も“添え物”に徹し、本筋を邪魔しない。
台詞で説明しすぎない脚本に、主演、助演から子役、猫(必見!)に至るまでの名演技。
シャツの衿ひとつにもキチンと時代を反映させ、“雪のないシーン”の使い方も単純ではあるが効果的。
ここまでしっかり纏まっている作品も逆に珍しい。
40手前、しかも独身の自分がオットーに感情移入して涙腺緩むくらいです。
不満点は、晩年の夫婦関係が見たかったのと、エンドロール後半のインスト曲がイマイチって所くらい。
マリソルのように無遠慮に、しかし愛情をもって柵を跨ぐ人間に支えられたことのある自分には、とても良い作品でした。
エンドロールの写真でオットーが娘たちに向ける、劇中一番の笑顔が沁みる。
生き抜くこと、最後は幸せな涙が溢れた。
素敵なストーリーです
オリジナルを観ていない人にはお勧め
「幸せなひとりぼっち」は観ていたので良い話だとは分かっていた。まぁ細部は忘れていたので改めて良くできたストーリーだと思ったが、オリジナルにわりと忠実にリメイクしていたのではないかな。
オリジナルの方はもっとお爺さんだったのでトム・ハンクスと聞いて人気スターの起用はいいけどムリあるよなーと思ったが、観ていると慣れるというか、上手いということなんだろう。
主役以外知名度のある俳優はいないが、登場人物はみんな面白い。アメリカって、アメリカ人ってフレンドリーなんだなーと思う。そんな中でオットーはとびきり気難しいわけだが。でも自分の顔のケーキを顔の真ん中からカットされたら怒るよな。
若き日のオットーを演じるトルーマン・ハンクスは想像通りトムとリタ・ウィルソンの息子。妻となるソーニャの魅力から比べてパッとしない上に今のオットーに全然似てないけど、親子なんだったらアリかと納得したりして。
ソーニャの墓前に彼女が好きなピンクの花束をみんなで供えた時、隣人夫婦のトムの「僕もピンクは好き」という言葉に、もちろん拒否反応ではないが単なる喜びでもないトム・ハンクスの複雑な表情が上手い。
今の自分にカオスは要らない?のかなぁ
この題材、このキャラクターならこう書くんだよ。
という、まるで脚本家養成所?の見本のような作品。
分かっちゃいるけど、まんまと笑って泣いて、最後にまたほろりとさせられる。
①小うるさい頑固者(面倒くさいけど、概ね言ってることは真っ当)
②化学反応を起こすに決まってる天然系の明るくお節介な隣人
③クセツヨだったり、事情はありそうだけど、根が良い(心の腐ってる人ではない)と分かるご近所さん
④多様性、ジェンダーなどの要素もキチンと用意
⑤富裕層の高級住宅街のような別世界の話にはしないけれど、それなりに民度の高い(この言葉自体、意味が曖昧で解釈の幅が広いのですが、ここでは一定のルールや公共性が維持されているという意味)コミュニティーを背景として用意。
冷静に考えたら、毎朝街の見回りをするなんて本当は素晴らしいボランティア活動です。この利他的精神も亡くなった奥様が、うま〜くコントロールしてやらせたのだと思います。
無愛想で、口うるさいのも、街の人に善意を押し付けてると思われないないような照れ隠しにもなるし、この辺も奥様が旦那さんの性格をうま〜くコントロールしたのでしょう。
こんな奥様が、あなたは生きて❗️と背中を押すのですから、そりゃあ、いい話になります。
フェイブルマンズとこの映画に素直に感動して、エブエブ⁈がまったく刺さってこない。
ということは、今の自分はかなりの安定志向で、現状を破壊するようなハチャメチャな混乱やカオスなどは求めていない。
それだけ、現状に満たされている、ということなのかもしれません。
ありがたいことです。
【以下、追記】
そういえば、20代の頃の自分は、村上龍さんの『コインロッカー・ベイビーズ』や『愛と幻想のファシズム』が大好きで、今ならそれテロじゃんと簡単に括られてしまいそうですが、体制が大事にしてる何かを破壊する……破壊する行為自体にとても重要な意味があるような気がしてました。
小説や映画は、当時の若者の一部(多かったのか少なかったのかは分かりませんが)にとっては、ある種のガス抜きでもあったのだと思います。
実際は何も壊してないし、その後の社会人生活やバブルの間にすっかり体制に守られる側の一員になりましたが。
今は、若い方々も政治的には保守側という方が大勢を占めているし、大衆民衆の不満も、政府を倒せ❗️という方向には向かわず、政府が守ってくれない‼️とむしろ駄々っ子のような感じです。駄々っ子なら、そのうち疲れて泣き止むさ、と政府もたかを括ってればいいのですから、そりゃ緊張感がなくて、あまりにも迂闊な失言をしたり、お金に公私の区別がつかなくなったりするわけですね。
閑話休題(それはさておき)。
オットーは、頑固者というイメージが先行してるだけで、やってることはまともだし、親切。
偏屈な人は男女年齢を問わず、いるわけですが、高齢男子だと思うどうしても頑固ということで括りたくなる傾向がある。他者のペットの糞尿処理やゴミの分別におけるマナーの悪さにムカつく人が女性だったら、頑固とは決めつけずに、ルールやマナーにキッチリした人なんだな、と思われるだけで、その人をちゃんとした人だと思うか、うるさい人だと思うかも人それぞれ。
つまり、オットーが、愛想が良くて、人を注意する時も穏やかであれば、メチャクチャ素晴らしく得難い人なのです。
というわけで、日本の中高年の男性は、みんな愛想の良いオットーを目指すといいかもです。
私は今日から心掛けていくことにします。
泣いてデトックス
前半、いうほど嫌われて無いじゃんと思う反面
近所の人の方が煩わしく感じた
むしろオットー、なんだかんだ優しいし
愛想が無いだけ
にしてもトムハンクス、泣かせにくるわ〜!
なんでですかね
あの哀愁ある表情
思い出しただけでも……また泣きそう(泣)。
エンドロール、良かったですね
子どもたちとの楽しそうな日々を写した写真
それでも泣いてしまいました
目新しさとかは無いけど、泣きたい人、どうぞ笑笑
最愛の
優等生的に全方位に良く出来てる
原作…というかスウェーデン映画の方は観ていないので比較は出来ないが、本作は抜けやら漏れやらなく、全方位にキチンと配慮された優等生的な秀作となっている。
作劇としても非常に丁寧で、オットーの「やろうとすること」とそれを邪魔する出来事、それがもたらす新たな結びつき、と丁寧に積み重ねられてゆき、それが彼を「ここ」に繋ぎ留める。
ジェンダーや人種の配置とそれが持つ意味合いへの配慮も入念で、百点満点的に良く出来ているだけに逆に突き抜けたエモーションに繋がらないのでは、とすら思えてくる。
そういうのはある種バランスが悪い映画の方が持ちやすかったりするもんだから…
配役も含めてまったく隙がないんだが、この監督、過去作を観てもそれ程でもなかった認識。とすると、トム・ハンクスとともにプロデュースをつとめる彼の妻リタ・ウィルソンの果たすところが大きかったのかな、と邪推…
いや、良い作品が出来るのならなんでも良いんですが…
マリソル役のマリアナ・トレビーニョさん、最高でした。
彼女でなければオットーをこの世に繋ぎ止められなかったのでは、と思わせられます…
やや堅めの邦題とキービジュアルですが、
話の軸はシンプルでポピュラーだけど
くそじじい
くそじじいは嫌いだ。
観ているだけでむかついてくる。
だが、同時にどこかでシンパシーも感じてしまう。
・人間関係は面倒でバカどもと付き合うのはごめんだ。
・規則を守らない連中には腹が立つ。
・他人の家の前に糞尿をまき散らす愛犬家にはうんざり。
・でも、どこかで真のつながりはどこかで欲している。
・妻を心から愛している???
何と言ってもマリソルが効いている。
こういう無神経なようで実は心優しく思慮深い女性は良いね。
予告編からは老いらくの恋?かとも思ったが、そのような要素は微塵もなかった。
逆にその方が良かった。
で、何となく最近どこかで観たような・・・・既視感が・・・・
もう歩けない男のロシア人女性だ!
男を変えるのは恋人じゃなくても女性だね。
亡き妻への想いも心に染みた。
言葉少なながら、いやだからこそ一層胸に迫った。
だから、老いらくの恋は全く不要だった。
私も自分のためだけには生きられない。
護るべきものが必要なのだ。
ラストは悲しむべきものだろうか。
護るべきものができて生きる意義を見いだして、
そんな中他人に思われながら迷惑をかけずに静かに去る。
しかも最愛の妻の元に。
至福の最後に違いない。
ソーニャという女 & マリソルという女
本作は「幸せなひとりぼっち」という作品のリメイクらしいですが、そんなことは全く知らず、トム・ハンクス主演で予告もおもしろそうだったので鑑賞してきました。期待を裏切らない出来ばえで、終盤は何度も涙してしまいました。
ストーリーは、曲がったことが嫌いでルールを守らない者を捕まえては厳しく説教する、町一番の嫌われ者のオットーが、妻も仕事を失って自ら命を絶とうとしていたとき、たまたま向かいの家に引っ越してきた家族と出会い、中でも陽気な女性マリソルとの交流を通して、もう一度生きる意味を見出すというもの。
まずは自己紹介がわりに、冒頭からかなり癖のある面倒なオヤジとして描かれるオットーが、なかなか個性的でおもしろいです。言ってることに間違いはなくても、この態度では煙たがられてもしかたがない…と思っていたら、なぜかご近所からは親しげによく声をかけられます。一見すると偏屈に映る彼の本当の内面、また彼がこうなった経緯を、町のみんなはよく知っているからなのでしょう。実は本来のオットーはこんな男ではなかったことが、ここからわかります。
ネタバレになるので多くは語れませんが、本作は壊れた男の再生の物語です。オットーの人生に最初に彩りを与えてくれた最愛の妻ソーニャ。彼女を亡くしてモノクロとなった彼の人生に再び色を与えてくれた陽気なマリソルをはじめとする近所の人々。これらの人々のおかげで、オットーは幸せな人生を送れたのだと思います。でも、それは単に周囲の人々が優しかったからではなく、彼自身の人柄が引き寄せたものです。素っ気ない態度ながらも何度も面倒を見たマリソルの子供が描いたオットーの絵は、その象徴のようでした。
もはや日本でも希薄となったご近所付き合いですが、本作ではその温かみを改めて感じさせてくれます。心に空いた穴を自分だけで埋めるのは、なかなか難しいものです。頼れる人がいる、頼ってくれる人がいるというのは、誰かと繋がっている証です。そんな人がいるのは、実はとても幸せなことだと気づかせてくれます。
主演は名優トム・ハンクスで、文句のつけようのない名演です。脇を固める俳優は知らない人ばかりでしたが,どの役も上手くハマっていて、作品を盛り立てています。
オリジナルが好きだったが
全303件中、241~260件目を表示