岸辺露伴 ルーヴルへ行くのレビュー・感想・評価
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主要登場人物2人の関係が面白い
総合:65点 ( ストーリー:65点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:75点|音楽:70点 )
荒木飛呂彦原作の漫画ジョジョの奇妙な冒険を基にした作品で、登場人物が特殊能力を持っていて超常現象が普通におきる。原作を知らないとこのような部分はわかりづらいだろう。
ルーブル美術館で初めて漫画家として個展を開いたという偉業を達成した彼の作品ということで、ルーブル美術館が協力した映像は見映えする。
作品自体は物語としては事件が起きるし主人公の個人的経験が絡まってくるものの、盛り上がりには欠ける。しかし犯罪を織り交ぜて暗く冷たい雰囲気がある。その中で、主人公の冷静で皮肉屋の漫画家岸田露伴と、編集部の担当で何があっても動じない明るい泉京香の2人の登場人物の掛け合いが面白い。
NHKの2025/01/05放送分録画
もうジョジョじゃない
最も黒い絵が過去に誘う・・・
テレビシリーズも毎回見てます。 岸辺露伴のシリーズ、面白いですよね。
国営放送まで劇場版に手をだすかって感じで、ちょっとビックリしましたが、この作品も大満足でした。
テレビシリーズ同様の面白さに、ルーブル美術館というスペシャル感も加わって、スケールアップしたんじゃないでしょうか。
高橋一生さんのはまり役はもちろんなんですが、本作品では飯豊まりえさんがテレビ以上に大活躍していたような。こちらもまさにはまり役です。
さて、本編ですが、最初のオークションから始まって、絵の争奪戦。
そして、過去の思い出話を交えながら、舞台はルーブルへ・・・
終始、怪しい雰囲気が漂います。 魅入っちゃいました。
ところで、岸辺露伴って、「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」に出てくるキャラだから
スピンオフになるのかな。
本編の実写化は興業成績が思わしくなかったんで、一向に続編が作られる気配はないですが、こちらはテレビも含めて、かなりの高評価ですよね。まだまだ続くんだろうな。
【ネタバレ】
最後のオチも決まってスカッとした後で、何故、絵描きのエピソードが必要なんだろうか?って、最初に映画館で見た時に思いました。なんかダラダラと続いて、間延びした感じがしてたんですが、今回、改めて見直して必要な場面だったと納得。 すっかり魅入ってしまい、評価も少し上がりました。
ただ、木村さんの演じた奈々瀬って、いったい何だったんだろう?
ヘブンズドアは死んだ人には出来ないはずじゃ?
生まれ変わりが、前世の記録を記憶していた?
結局、彼女とは血の繋がりがあったって事のようだけど、その関係かな?
まぁ、面白かったから良いんだけど。
実際にパリに到着するのは約50分後というのんびりした展開だが、露伴...
映画全体が絵画のよう
後悔…
ドラマ版を観ていなくても分かる内容だったが、この世界観が好きでないときつかった。ヘブンズドア後に顔に本ができる描写、蜘蛛のシーンの多用が単純に気色悪かった。ストーリーも長く感じ、黒の持つ悍ましさの迫力が映像でそれほど伝わってこなかった。
誰もいないルーヴルで撮影
岸辺露伴を実写化するって難しいことだとは思うんだけど
なんていうか、「岸辺露伴」に寄せて、というよりも
高橋一生が「そういう人物」として、一人ちゃんとした人物を作り上げているから、そいつが岸辺露伴だろうがなかろうが、あんまり重要じゃなくなっているというか。
岸辺露伴と合っているかどうか、ということが気にならなくなる。
高橋一生が集中しまくってるから。
そういう納得のさせ方もあるんだな、と勉強になる。
ブラックジャックの時もそうだったけど、こういうちょっと闇や影のあるキレた才能のある人物を演じるのすごく合ってるなあと思う。
彼自身、神経質・几帳面なところがあるだろうし、そういうキャラと相違があんまりないんだろうな(全然違ったらどうしよう笑笑笑)
ちょっと世にも奇妙な感じがこの岸辺露伴シリーズは引き込まれるし、
ちょっと不気味になってきた時の飯豊まりえちゃんの明るさに救われる。
ルーブル、休館日とかを使っての撮影だったのかな?
あんなに人がいないルーブルを体験できるって貴重だよなあ。
先日ルーブルに行ったばかりだったので「あ、あそこだ」とかなって楽しかった。
作中でも言ってたけど、本当にいろんな抜け道があるんだろうな。
実際行ってみて、本当迷路みたいだったし、めっちゃくっちゃ広かったし、
人が紛れたり、ものが隠れたり出てきたり、何か不思議なことが起きても不思議じゃないっていう。笑
そんなことを感じさせる場所だった。
2016年にモネの作品が出てきたらしいけど、
そんなことあるの!?って感じだけど、そんなことあるんだろうなあ。
それが「ありえそう」って思わせるくらい、本当でかくて、不思議な雰囲気があって。ホーンテッドマンションとまでは言わなくても、でもそんなところある。真夜中の誰もいないルーブルの中、絶対何か起きてそうって思うもん。そんなファンタジーなことも思わず考えてしまう場所だった。
青年役岸辺露伴。この子いいね、好きな感じの青年だね。なんて名前の俳優だろ、と思って調べたらなにわ男子の子だった。
なにわ男子のことをあまり知らないけど、あの子はいいなと以前思っていたから、あー私はやっぱりこの子みたいなタイプを「良い」と思うんだなーと改めて再確認。笑 市川染五郎、長尾謙杜、この感じが好きなんだろうな。似てるしね、この二人。タイプが。
カメラワーク、綺麗だなあって思うシーンが結構あった。
画角?かな。あーここから撮るの綺麗、とか
あーここシャッターチャンス、みたいな綺麗な切り取りがいくつもあった。
黒、当たり前のように見ている色たちだけど、
考えてみれば、その色をつくる素、原材料があるんだよなあ。
色なんてもう、なんでも作れちゃうと思ってしまってるよなあ現代だから。
貴重な色、とかあったわけだもんなあ。
吸い込まれるような黒。見てみたいと思ってしまった。
落ち着いて見ましょう。
始まってオークションがあり、
古物商に行き主人とのやりとりも聞き、
小説家なのに漫画も描くのか、今だけかな?
とか考えていたが、
幸田露伴のことを調べて小説家と確認して
尚、首を傾げていた。
突然、岸辺だ❗️と気づいた。
解説見たらTVドラマの映画版だと。
な〜んだ、そういうことか。
相棒の名前にもクスッとなる。
泉鏡花ならぬ泉京香。
飯豊まりえがおちゃらけ編集者。
青年時代の慕う女性が木村文乃。
年齢差に驚き。
ルーヴルに行くのはオリンピックを見込んで。
セーヌ川も出て来た。
ストーリーはというとまぁよくあるヤツで。
ラスト辺り、仁左衛門の話、
木村文乃が妻となって納得。
しかし、上手く行くかに思えたのに
弟の裏切り。
血肉分けた方が恨みがキツいのか⁉️
怨念こもる作品となったのか⁉️
現代に戻り、ファンタジー❓
素晴らしい再現度
まず、ジョジョの奇妙な物語の岸辺露伴の原作がかなり忠実に丁寧に作られてて感動。
多分普通の映画として見ると意味分からんってなりそうなストーリーだけど、奇妙な物語なので…奇妙だなぁと思えば全く問題なし。
原作でも、ん、どゆこと?ってなるストーリーではあるこの作品。
むしろこの映画のストーリーを批判するのは原作批判に等しいと思うのでそこは省くとして、素晴らしいーー!
露伴先生の初恋が叶わなかったのが切ないね、、、
ドラマもそうだけど下手にCGとか使ってスタンドださなくて正解。実写で中途半端なスタンドなんかだしたらあの作品みたいに一気にチープになるからね……。脚本家に敬意を。あと露伴先生相変わらずサイン速いね笑笑
ヘブンズ・ドアー
ルーヴルに日本の絵画
冒頭からもう和風
何か伝えたげな黒髪の女性
で、どう繋がるんじゃと
疑問だらけからスタート笑
最も黒い黒で描かれた絵
これを露伴に教えた奈々瀬は
露伴を何かに引き込もうとしてたように思える
けど、露伴の漫画を切り捨てることで縁を経っていた。
その後、夢のように消えて
露伴も現実だったのか曖昧な思い出を
急に引き寄せられるように思い出していく様が
あり得そうであり得ない、奇妙な
病みつきになっちゃう感じがたまらない笑
モーリスと山本仁左衛門の関係性が
全然浮かんでこなかったけど
ルーヴルに行って出会う東洋美術専門家が繋げてくれた。
どういうこと??って思うことが多かったけど
紐解かれればスッキリ!笑
山本仁左衛門と露伴が関係あるのかと思いきや
奈々瀬の方だったとは笑
山本仁左衛門の恨みは相当なのかもしれないけど
伴侶までもを苦しめるなんて皮肉だね。
奈々瀬もまだ10代の露伴ちゃんを巻き込もうとしたり‥
哀しきかな。
でも10代の露伴ちゃんだったら、耐えきれなかったんだろうな〜
非道なのは変わりないけれど時期が来たという感じ。
山本仁左衛門と岸辺露伴の2役を
演じきった高橋一生さんはすごいね♡
同じ顔なのに別人^^
流石です
あ、蜘蛛のようにって表現があったけど
あれはよく分からなかった。
蜘蛛になる要素全くなかったから謎は謎のまま
あと、樹液が黒い理由も不明
神木に蜘蛛が憑いてたんかね?
神木に憑いてるのに邪悪な蜘蛛だったの?
まぁ、蜘蛛って良い意味では使われないし
山本仁左衛門の恨みも重なって
黒黒しいものにはなりそうだけれど‥
まぁ、そこら辺は原作見ないと分からないのかもね。
楽しかったから、まぁ良し!
高橋一生の岸辺露伴が素晴らしすぎて、映画版のキャスティングに目がつ...
その黒の中に何を見るか
まさに超タイムリー!…な本作。
だから見たという訳ではなく、どんな作品なのかなと気になっていた。
と言うのも、実は当初は知らなかった。漫画が原作である事。それがあの『ジョジョの奇妙な冒険』である事。漫画には疎いもんで…。
NHKで実写ドラマ化。その劇場版。
ジョジョの実写化と言うと、嫌でも“あれ”を思い出す。意気揚々とシリーズ化も見据えたものの、三池崇史に駄作が増えただけのコスプレ映画。
しかし本作は、それとは全く違う。パッと見の印象からも分かる。だって当初は、フランス・ルーヴルでも撮影を敢行したヒューマン・サスペンスと思ったほど。
勿論原作漫画にも登場。主人公は、岸辺露伴。
人気の漫画家。性格はクールでミステリアス。
スタンド能力は、“ヘブンズ・ドアー”。相手を本にし、その記憶を読む。
人の顔に本を取っ付けた特殊メイク(…?)はちと珍妙だが、ジョジョらしい奇妙な能力は健在。
尚、ジョジョ未見者でも分かるように、“スタンド”という言葉や幽霊体のような像(ヴィジョン)は無く、“能力”とされている。
新作構想の過程で知った、フランス人画家が書いたある絵。
オークションで落札し、競い合った相手に盗まれ掛けるが、手に入れる。
露伴はその絵にある思い出があった。
青年時代、祖母の下宿で漫画修行をしていた時出会った一人の女性。奈々瀬。
彼女から“この世で最も黒い絵”について知らされる。
奈々瀬とその絵に取り憑かれ、奈々瀬をモデルに絵を書くも、何故か奈々瀬が発狂してその絵を破き、ほろ苦く儚く狂おしい慕情の日々を思い出す…。
フランス人画家が書いたのは模写で、オリジナルは江戸時代に日本人絵師が書いたもの。
それがフランス・ルーヴル美術館にあると知った露伴は、担当編集・京香と共に現地へ赴くが…。
“世界で最も濃い黒”は何かで聞いた事あるが、光なども一切反射せず、まるで見る者を吸い込んでしまいそうな“黒い絵”。
そこには邪悪な何かがあり、その“黒”に憑かれた者は幻覚を見、怪異な死を遂げる。
各々が抱える後悔や罪…。その魔手は露伴にも…!
その絵が引き起こすルーヴル美術館での奇怪な事件。
アダルトな雰囲気すら漂う青年露伴と奈々瀬の過去。
黒い絵、著者である絵師、奈々瀬、過去の悲劇、そして露伴も絡む関係…。
ミステリアスでアダルトでドラマチック。本当にあのコスプレ駄作とはまるで違う!
『万能鑑定士Q モナ・リザの瞳』以来邦画2度目となるルーヴル美術館での撮影が本作の格調を高める。
秘密倉庫や贋作犯罪グループは勿論創作だが、ミステリーやサスペンスのムード充分。
高橋一生の佇まい。
彼が“陰”なら、飯豊まりえは“陽”。軽妙なやり取りも。
ドラマ版とこの映画版。なるほど、これがきっかけで…と、今見るとやはりついつい思ってしまう。
キャストの“話題”はこの二人かもしれないが、一際印象放つのは木村文乃。
あの色気×妖艶さ! 悩める青年時代にあんな年上女性と出会っていたら、露伴でなくとも生涯忘れられない。
エンタメではあるが、独特の美意識や作風漂う。
すんなりとした分かり易さでもない為、好みは分かれそう。
非常に良かったとまではいかないが、つまらなさや期待外れ感は無かった。寧ろ、
その“黒”の中に何を見るか…?
後悔、罪、自分を押し潰すほどの恐ろしさ…。
ただそれだけではない。
深い黒の中に、見える筈のない一つの光。
様々な思い入り交じった忘れ得ぬ輝き。
それがあの時から今も、自分を包み込む。
その余韻に浸る。
高橋一生 江戸時代へ行く。 おまえの次のセリフは『この程度ならテレビドラマで十分じゃあねえかこのダボがあぁあーッ‼︎』という!
この程度ならテレビドラマで十分じゃあねえかこのダボがあぁあーッ‼︎ はッ!
人の心を本にして読む事が出来る漫画家、岸辺露伴の奇妙な冒険を描くサスペンス・ホラードラマ『岸辺露伴は動かない』の劇場版。
”この世で最も黒く、邪悪な絵”を求め、ルーヴル美術館へと取材旅行へ出掛けた露伴。彼はそこで己の過去と向き合うことになる…。
○キャスト
岸辺露伴…高橋一生。
泉京香…飯豊まりえ。
ルーヴル美術館のキュレーター、辰巳隆之介を演じるのは『バトル・ロワイヤル』や『コード・ブルー』シリーズの安藤政信。
露伴が青年時代に出会った謎の女性、奈々瀬を演じるのは『イニシエーション・ラブ』や『ザ・ファブル』シリーズの木村文乃。
手首の角度は直角90°を保つ。各指は曲げずに真っ直ぐを保つ。ふううう〜〜〜〜〜〜。ううう〜〜〜〜〜。ふう〜〜〜〜〜〜。
手のひらを前へ……。ひじも真っ直ぐ手首の角度は直角を保ったまま…。一本ずつ折る。1、2、3、4、5。
再び一本ずつ指を開く。2、3、4、5。
以上。レビューを書く前の『準備体操』終わり。
ま……知ってるヤツが多かろーが少なかろうがどうでもいいことだが。彼の名は岸辺露伴、マンガ家だ。
「露」ははかなきものーーそして「伴」はともにすごすーーという意味。生年は1979年で国籍は日本。そしてあまり重要な事柄ではないし必要な時もたいしてない行動なのだが……。人を『本』にしてその人物の『人生』を文字で読む事が出来る能力を持っている。
初登場は荒木飛呂彦原作の大人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない(1992-1995)。そこから派生した不定期連載のスピンオフシリーズ「岸辺露伴は動かない」(1997-)では主人公を務めている。
「ジョジョ」の最新シリーズである第9部『The JOJOLands』(2023-)では、実に28年ぶりに本編に復帰。舞台はハワイ、富を集める「溶岩」の破片をめぐり、”ジョディオ・ジョースター”とかいうクズ系のクソガキと出会うことになるのですが…。まだ読んでいない人は書店まで走るんだよォ!
本エピソードの原作は2010年に発表された同名漫画。これは「BDプロジェクト」というルーヴル美術館が展開する企画の一環として制作されたもの。BD=バンド・デシネとはフランスの漫画のことなのだが、芸術性が高くフルカラーで描かれているのが特徴。
BDを通してルーヴル美術館の魅力をより広い層に知ってもらおう、という理念の元に行われているこのプロジェクトでは、他に谷口ジローの「千年の翼、百年の夢」(2014)や松本大洋の「ルーヴルの猫」(2016-2017)などが生み出された。
ちなみに、本作が制作されるにあたりその原画が4点、ルーヴル美術館に展示されたのだが、これは日本人漫画家としては初の快挙である。
この原作はBDの慣習に乗っ取り、読み切りかつオールカラーという形態で描かれている。素晴らしいのはその色使い。第一幕は露伴の想い出/イエロー、第二幕はパリ/ピンク、第三幕はルーヴルの地下倉庫/ブルーという具合に、物語の進行に合わせて基調となるカラーがごく自然に移り変わる。そしてクライマックスで、青い空、赤いワンピース、小麦色の肌というそれぞれの基調色をフィーチャーした奈々瀬の一枚絵がどジャアァぁぁぁ〜〜〜〜ンと描かれる。グレートですよこいつはァ!
ヴィジュアルのカッコよさと詩情溢るるストーリー。はっきり言って、原作は荒木飛呂彦史上最高傑作、いやさ漫画史上最高クラスの大傑作であると評価しているのですが、そいじゃあこの映画版はどうなのかというと…。
監督:渡辺一貴、脚本:小林靖子というテレビドラマ版と同じ座組で作られている本作。なるほど温度感はドラマ版と同じで、漫画のエッセンスを上手く実写に落とし込んでいます。衣装デザインもドラマ版から引き続き柘植伊佐夫が担当しており、黒を基調にしたキャラクターのファッションはおしゃれで、それでいて原作の世界観を壊していない。
本作はまさにドラマ版のファンが「安心」して楽しむ事が出来る映画であると言えるでしょう。
「安心を求める事こそ人間の目的だ」と言い放つDIO様ならばこの映画に納得するかも知れません。しかし本作の主役は岸辺露伴。『自分を乗り越える事』を追求する向上心の塊のような男を主人公に据えて、こんな保守的な映画を作ってはいけない。
ルックのテレビドラマっぽさは非常に気になるところである。これがカメラのクオリティによるものなのか、グレーディングによるものなのか、その辺の事は全くわからないのですが、映し出されている映像がまんまドラマ版と変わらない。映画なのだから、もっとリッチで迫力のある画作りが出来ないものか。
また、原作ではルーヴル所蔵の彫刻へのオマージュを露伴のポージングにより捧げている。そこは映画でも上手く取り入れて欲しかった。特に露伴が奈々瀬の記憶を読み取ろうとするシーンの「アモルの接吻で蘇るプシュケ」(アントニオ・カノーヴァ作)をオマージュしたポーズは絶対にやるべきだった。アモルとは愛の神エロスのラテン語名。ここは先人へオマージュを捧げるとともに、露伴青年が奈々瀬に抱くリビドーを象徴する大切なシーン。本作ではここを省いてしまった結果、2人が醸し出すエロチックな雰囲気が全然上手く表現出来ていなかった。
エロスの観点からもう一つ。露伴が間違えて女湯の扉を開けてしまうというシーン、原作ではちゃんと奈々瀬の裸体が描かれている。17歳の露伴青年が彼女の裸を見てしまう。この部分を絵として見せるだけで、露伴が彼女を意識するようになるという展開に圧倒的な説得力が生まれるというのに、それを省くなんてヌケサクかオメーはよォォォォ!
テレビアニメ版『ジョジョ』(2012〜)でも脚本を務める小林靖子。彼女の仕事っぷりには敬意を表しているのだが、本作における改変はいただけない。原作は120ページほどの読み切り漫画のため、当然それをそのままやるのでは尺が足りない。そこでモリス・ルグランという画家による複製画と、辰巳という悪役を登場させて物語を水増しすることに。
これらのオリジナル要素は苦肉の策であったのだろうが、正直お話の展開的に必要だったのかというとかなり疑問が残る。邪悪な絵が2枚も出てきてしまった事で物語がごちゃごちゃしてしまっているし、辰巳に関しては後半ぽっと出てきたと思ったらすぐ死んじゃうので、何しに登場したのかさっぱりわからん。
どうせオリジナル要素を追加するのなら、パリパートを充実させるべきでしょう。この映画、せっかくルーヴル美術館で撮影しているのにほとんどパリの街並みが映らない。観客は当然そこが観たいのに。これじゃ別にフランスを舞台にした意味ないじゃんねぇ。
パリで繰り広げられる呪いの恐怖、そしてその事件を追う車椅子に乗る謎のフランス人。その男の名はジャン=ピエール・ポルナレフ…くらいのサプライズは見せて欲しかった。まぁ低予算の上に円安×パンデミックの関係でなかなか難しかったのかも知れないけど。バキンは鳴き声だけの登場だったが、犬を雇う金すらなかったのだろうか…?
そしてもう一点。奈々瀬にまつわるエピソードがものすごく野暮。
原作では、青年露伴が出会った女性「藤倉奈々瀬」の正体は、実在の女性なのかそれとも幽霊なのか、曖昧な形でぼやかされている。そしてあの夏以来、露伴は彼女と再会し言葉を交わすこともない。奈々瀬は露伴におけるメーテル。「あなたの少年の日の心の中にいた青春の幻影」なのだ。
それをあんなふうに再会させて、しかもヘブンズドアーで記憶を読ませるなんてあまりにも野暮。奈々瀬はあの露伴が「やめておこう 心の中をのぞく事はしたくない」と唯一踏み止まった女性だったのに…。あの感動的な独白をよく無視出来たな…😓
彼女の正体はわからないが、露伴は自分なりの答えを導き出す。それで良いじゃあないですか。何でもかんでも答えを明示すればいいってもんでもないだろうに。
セリフの改変もスゲー嫌だった。「本当に……。本当にあたしを許して…何もかも」というミステリアスな別れのセリフだったから良かったのに、それを「何もかも、すべて忘れて」という安直なセリフに置き換えるというのは…。観客にわかりやすくしようしようとしすぎ。
原作の後書きで、荒木飛呂彦はBDについて「日本の場合は読者に受け入れられなけらばいけないっていう目的があるけど、それを無視して、むしろ逆走してる」と語っている。「我が道を行かなきゃダメっていう突き抜け感」こそがBDなのであり、おそらくそこに荒木先生も目線を合わせこの作品を描いている。つまり「分かりづらさ」こそがこの物語のアイデンティティ。整合性とか伝わりやすさとか、そんなもんはアリーヴェデルチ!!
終盤突然始まる江戸時代パート。ここで素朴な疑問があるのだが…。このことはギアッチョさんに語っていただきましょう。
👓『山村仁左右衛門を演じるのが高橋一生』……ってよォ〜〜〜。『奈々瀬と山村奈々瀬』が同一人物ってのはわかる。スゲーよくわかる。彼女は呪いを解くために露伴の前に現れとるからな…。
だが『高橋一生』ってのはどういう事だああ〜〜〜〜〜っ⁉︎
露伴は奈々瀬方の子孫であって仁左右衛門とは血が繋がってねーだろがよーーーーーーッ!ナメやがって このキャスティング超イラつくぜぇ〜〜〜〜ッ‼︎
血が繋がってねえのに顔が一緒だってのも意味わからねえし、『黒い絵』の呪いで露伴の前に姿を現すのもおかしいじゃねぇか!チクショーーッ!!
さすがギアッチョ。全くもってその通り。こういう詰めの甘さ、こんなもんでよかんべ精神が癇に障るんだよねぇ。
と、原作愛ゆえに長々と述べてしまった。本作がもしもテレビスペシャルだったのならここまで文句もつけなかったと思うのだが、映画という土俵でやる以上はドラマとは違うものを作らなければダメでしょう。チケット代取ってんだからさ。
まあとはいえ、なんだかんだでドラマシリーズは楽しんでいるので、今後もどんどん新エピソードを作り続けて欲しい。
そして最後に。高橋一生さん、飯豊まりえさん、ご結婚おめでとうございます🎉ハッピーうれピーお幸せにねーー✨
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