ワース 命の値段

劇場公開日:

ワース 命の値段

解説

マイケル・キートン主演で、アメリカ同時多発テロ被害者の補償金分配を束ねた弁護士の実話を映画化した社会派ドラマ。

2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロを受け、米政府は被害者と遺族救済を目的とした補償基金プログラムを立ち上げる。その特別管理人を任された弁護士のケン・ファインバーグは独自の計算式により、個々人の補償金額を算出する方針を打ち出すが、被害者遺族が抱えるさまざまな事情と、彼らの喪失感や悲しみに接する中で、いくつもの矛盾にぶち当たる。チームが掲げる対象者約7000人の80%の賛同を得る目標に向けた作業が停滞する一方で、プログラム反対派の活動が勢いづいていく。期限が迫る中、苦境に立たされたファインバーグはある大きな決断を下す。

キートンのほか、「ラブリーボーン」のスタンリー・トゥッチ、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」のエイミー・ライアンらが顔をそろえる。監督は「キンダーガーテン・ティーチャー」のサラ・コランジェロ。

2019年製作/118分/G/アメリカ
原題または英題:Worth
配給:ロングライド
劇場公開日:2023年2月23日

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映画レビュー

5.0命は金に変えられない、というけれど

2023年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

人の命はお金には代えられないと誰もが思う。しかし、それを生業にする人がいる。それも酷い意味ではなく、遺族を救うために。911で犠牲になった人々の遺族に補償金を分配する仕事に就いた弁護士が直面する苦難。政府には集団訴訟を防ぐという目的がある、遺族側には大切な家族の命を金でランク付けしてほしくないという思いがある。遺族が本当に求めるものは何か、エリート弁護士が直面する心のひだを丹念に描いた作品だ。
この映画を観て、『「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち』を思い出した。津波で子どもたちを失った遺族は真相究明を何より求めていたが、学校側は自らの過失から逃げるばかりで真相を隠そうとする。最終手段で訴訟に踏み切った遺族たちには子供の命を金に変えるのかと心無い声を浴びせる者もいたという。遺族が求める者は金ではなく、尊厳と真相。どうすればその2つを遺族に届けることができるのか、終わりのない問いを、それでも諦めずに当事者たちは続けているのだと思い知らされた。

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杉本穂高

4.0マイケル・キートンだからこそ体現しえた難しい立場と、その変わりゆく姿に胸打たれる

2023年2月26日
PCから投稿

重く切実なテーマを突きつけてくる良作だ。これは米同時多発テロの発生からそれほど年月が経ってない頃の実話。まだ傷が癒えず気持ちの整理のつかない中で基金説明会に足を運んだ人々の、犠牲者の値段や計算式を突きつけられた胸中はいかに複雑で痛ましいものだったことだろうか。すべての人々を納得させる方法がない中、マイケル・キートン演じる主人公は責任者役として無償で身を捧げる。これは彼にとって疑いようのない正義であり社会的使命だったはずだが、彼の官僚主義的なやり方は思わぬ猛反感を浴びることに。少しバランスを欠くと無神経で気に触る人間に映りかねない役柄を、キートンが実直に演じ、彼の難しい立場と大きな心境の変化を、観客と等身大の目線で分かち合う。彼と理性的に対峙するスタンリー・テュッチの存在感も素晴らしい。人々の悲しみや痛みに寄り添う”あるべき姿勢”は何かを的確に点描していくサラ・コランジェロ監督の筆致が光る。

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牛津厚信

3.5悪賢い起業家、誠実な弁護士。両極端を演じ切るマイケル・キートンの円熟

2023年2月23日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」(2017)でマイケル・キートンが演じたレイ・クロックは、今あるバーガー店のコンセプトを生み出したマクドナルド兄弟と共同で創業しながら、結果的に兄弟を会社から追い出して莫大な利益を手にする狡猾で憎たらしいビジネスマン。一方「ワース 命の値段」での役は、9.11テロ被害者遺族の補償基金プログラムで個々の補償金額を算定する難しい役目をプロボノで引き受け、さまざまな事情を抱えた遺族らに向き合う誠実で忍耐強い弁護士。両極端なキャラクターなのにどちらも説得力十分で、キートンの演技の幅広さを改めて思い知らされる。

よく知られるようにアメリカは訴訟大国で、法廷物の映画や法律事務所を舞台にしたドラマの人気が根強いお国柄もあるのだが、本作の場合、法律家(+国)と遺族たちが対立から、困難な交渉を経て……という大方の予想通りに話が進むので、盛り上がりに若干欠ける面はあるかもしれない。とはいえ、被害者と遺族の事情に合わせて補償額を算定した実話、つまり命の値段を決める過程をドラマタイズして商業映画にするなんていかにもアメリカらしいし、社会派のスタンスとヒューマンな要素のバランスも悪くない。日本だとこの手の題材はまず映画にならないだろうなとは思う。

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高森 郁哉

2.5可哀想可哀想言うだけの先が観たかったのに

2024年9月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

命の値段をつけなければならなくなった主人公が、命に多寡はあるのか?と苦悩する物語だとばかり思っていた。
実際、その要素が全くなかったわけではないし、思い込んでいた自分に非があるので、違ったことによるマイナスは加味しないようにしたつもりだ。
それでも低評価になってしまったのには理由がある。

この作品が、どんな物語だったかというと、過剰なほどに被害者可哀想でしょ、遺族可哀想でしょ、そしてアメリカ可哀想でしょ、するだけのものだった。
確かに亡くなった方は悲劇である。そんなこと言われなくても分かる。そういった要素があることも構わない。しかし過剰だ。
はっきり言ってそれしかなかったともいえる。

被害者や遺族が酷い目にあったことを見るドキュメンタリーが見たいのではない。そんなものが見たいなら最初からそれを観る。
言い換えるならば、「作られた」映画が観たいのである。もう分かりきっている被害者可哀想以上の何かを、創作でもいいので望んでいるのだ。
例えば、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」のように、被害者可哀想、遺族可哀想からもう一歩進んだ部分が欲しかった。

テーマがテーマなだけに内容が悪かったとは言いにくいし、実際悪くもないと言えるが、映画としては全く面白くなかった。
唯一面白かったと言える部分は、経済の安定のために補償金を出すってところくらいだろう。そんなこと考えたこともなかったので、最初から善意などない訴訟大国の恐ろしさを見た気がした。

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つとみ

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