怪物のレビュー・感想・評価
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kids are alright
怪物はいなかったのか
タイトル、予告編から想像する話と全然違くて
ぐいぐい引き込まれてしまった
三幕目は至高
春から夏にかけての映像
諏訪湖の自然の美しさ
子役演出
彼らの「わからなさ」に何度も涙腺を刺激される
そして(途中で思い出した)坂本龍一のサントラ
エンディングの余韻に震えました
LGBT理解増進法なんておなしな法案ができましたが、
彼らの未来が大丈夫だったらいいなと
「誰にでも手に入らないものは幸せではなくて、誰にでも手に入るものが幸せ」
心の中の怪物
人は誰でも内面に怪物を宿しているのだと思う。
他人の家の火事を見て興奮したり、他人のゴシップをあれこれ詮索して楽しんでみたり。
自覚はなくてもきっかけ次第で誰しもが相手にとって怪物的な存在になってしまう可能性があるのだ。
まずはシングルマザーで小学生の息子湊を育て上げてきた早織。
彼女は湊の言動に違和感を覚え、学校で苛められているのではないかと彼を問い詰める。
すると湊は担任の保利に暴力を振るわれた、「お前の脳は豚の脳だ」と暴言を吐かれたと衝撃の告白をする。
真相を確かめに学校に乗り込んだ早織だが、校長を初め学校の教師たちはまるで血の通っているとは思えない事務的な態度を取るばかりだ。
やがて現れた保利は誠意の欠片もなく、誤解を与えてしまったことだけをぼそぼそと謝罪をする。
誤解ではない、実際に暴力を振るったのかどうかを厳しく問い詰める早織だが、学校側はまったく真摯な対応を見せない。
その後も保利の湊に対する接し方は変わらず、早織は何度も学校に詰めかける。
そして湊の友達だという依里の証言で、ようやく学校側も保利が生徒に暴力を振るっていた事実を認める。
しかしそれだけで事態が収まるわけではなかった。
夜中に家を抜け出し山の中の廃トンネルに入ったり、自傷行為をしてしまう湊に早織はついつい感情的に接してしまう。
そしてある台風の夜に、湊は姿を消してしまう。
人はどうしても自分や自分の大切な人を傷つけられると、周りが見えなくなってしまいがちだ。
どこか自分を俯瞰する視点を持たないと、焦れば焦るほど事態は悪くなってしまう。
早織にとっては不誠実な教師たちが怪物に見えたかもしれないが、学校側も早織をモンスターペアレントだと認識していただろう。
そして物語は保利の視点へと変わる。
早織の目からは不誠実に見えた保利だが、不器用な彼は彼なりに児童と真摯に向き合おうとしていた。
ある日保利は教室で暴れる湊を抑えようとし、誤って怪我をさせてしまう。
彼の視点では確かに暴力を振るったと湊に誤解をさせてしまったようだ。
彼は早織に弁解しようとするが、学校側は事態がややこしくなるからと黙っているように彼を促す。
かと思えば最終的に学校を守るために彼にすべてを認めて謝罪するように迫る。
依里による日常的に保利が湊に暴力を振るっていたという証言は、彼にとってはまるで心当たりのないことだった。
やがて彼は辞職に追い込まれ、誤解を解こうと湊に迫るが、それがまた事態を悪化させてしまう。
保利にとっては学校側も自分に不利な証言をした児童たちも怪物に見えたことだろう。
大切な一人息子を助けたい早織と、誤解を解きたい保利の心情はとても共感出来る。
が、最後に描かれる湊と依里の心情は非常に個人的で共感するのは難しいと思った。
死んだ父親のようにはなれないとコンプレックスを抱く湊と、父親に虐待を受け、「お前の脳は豚の脳だ」と蔑まれ続けてきた依里。
お互いに強く惹かれ合うものがあるのだが、依里はクラスで苛めにあっており、湊は仲良くしているところを人に見られたくない。
だから人前では湊は依里に対して残酷な仕打ちをしてしまう。
他人から見れば湊が依里を苛めていると受け取られても仕方がない。
二人が誰にも気兼ねすることなく心を通わせることが出来るのは、廃トンネルを越えた先にある廃電車の中だけだ。
ここは二人にとって特別な場所となる。
鬱屈したものを抱えた二人は、いつしか保利を悪者に仕立て上げてしまう。
二人にとっては正統的な理由があったのかもしれないが、人生を狂わされてしまった保利があまりにも不憫である。
それでも保利が自分に落ち度があったのだと、湊を救おうと懸命に働きかける姿には心を動かされた。
この作品を見て、例えば残酷な事件を起こした犯人がいたとして、真相を知らない人々はその犯人を怪物のように捉えるだろうが、ひょっとするとその犯人は誰も理解者がいないまま追い詰められるところまで追い詰められてしまった犠牲者である可能性もあるのではないかと思った。
無自覚に、あるいは無神経にその犯人を追い詰めてしまった人々の中にも怪物は存在するのだろう。
「怪物だぁれだ」という呼び掛けが何度も繰り返されるが、真相を知るうちに真の怪物などいないのだとも、どこにでも怪物はいるのだとも感じた。
一番印象的だったのが、事務的で感情のこもらない、孫の事故死に関与しているのではないかと囁かれていた校長の伏見の「誰でも手に入れられるのが本当の幸福」だという言葉だ。
本当は幸福はすぐ近くにあるのに、人は人と比べたり、高望みをすることで幸福を手放してしまう。
そしていつしか心に怪物を宿すようになる。
とてもメッセージ性の強い作品で、是枝監督らしいリアルで自然な演出が今回も際立っていたが、やや脚本が技巧的すぎて、『誰も知らない』のようなストレートにずんと心に響くような感動は薄まってしまったようにも感じた。
全員のそれぞれの視点からみた時に分かる作品
あれこれ納得いかない
まず怪物というタイトルがやり過ぎ
相互理解がどうのやら誰もが怪物になり得るやら解説してるが人間なんてエスパーじゃないんだから言われなきゃ分からんのは当然
あんな明確に子供に嘘つかれたらそりゃ大人社会も混乱するわ
だいたい同性愛だのイジメだのより「自分の嘘のせいで何も悪くない教師が自殺未遂まで追い込まれた」方が一生のトラウマだろうがその辺淡白すぎないか
飴もやり過ぎで、あれで保利のキャラがぶれてしまった
いい先生だけどちょっとズレてるかな?程度にすべきなのに完全に非常識なアホだ
子供に嘘つかれて教師に飴食べられたら安藤サクラもモンペになって当然
小学生の同性愛というテーマもピンとこない
体つきも声つきも未分化な小学生同士で本当に自分の性指向をはっきり認識できるのか?
自分が小学生の頃もそんな周囲に性的興味あった記憶もないし単に好きな友達と一緒にいたいってくらいしか無かったしスキンシップしてたらはずみで勃起くらいすることもある
小学生なら男の子っぽい女の子やその逆の男の子もよくいるがそれは性自認というより家庭の環境だろう
自分の性指向を意識して思い悩むのは第二次性徴後なのでは?
同級生の女の子の猫についての話も分からん
湊が猫の遺体を埋葬のため運んだところを見て「遊んでた」と言ったのかもしれないが、聞いた方は「猫を殺した」と誤解する可能性は十分あり、小学生高学年なら誤解されたことくらい察するだろうに何で説明し直さないのか
大事になって怖くなったから、とかならもっと頭の悪い無責任そうなキャラにすべきだった
中村獅童の「豚の脳」という不自然な表現は理由あるのかと思ったが唐突に出てきただけで意味不明
息子に男らしさを求めるくせに花の名前に詳しいという男らしくない趣味に反発せず庭の花にご丁寧に水やってるのも不可解
全部捨てるくらいせえよ
ラストも「わざとギリギリ不自然な描写入れて生死不明にしたろ!」というのが透けて見えてなんだかな
視点切り替えが面白い
何の予備知識も入れず、映画館で観た予告だけで惹かれて観にきたので、ナニか森に得体の知れない怪物が潜んでる…とか、そーゆー類の映画だと思ってましたw
だからホントに途中まではいつ、どんな怪物が出てくるんだろーって、ワクワクドキドキしてましたw
麦野親子のシーンから始まって、お父さんが亡くなってシングルマザーと小学生の男の子の2人での生活だとすぐわかる。
少しずつ様子がおかしくなる息子の湊に不安になり、息子が学校の保利先生にいじめられてるかもしれないとなり、学校に抗議に行く母。
学校の校長先生はじめ、保利先生、その他の先生の様子がおかしい。対応が酷くてイライラする。
特に校長先生。
話合いの中でもしかしたら息子はクラスの男の子を虐めてるかもしれない…という問題も浮上してきた。
その男の子がクラスメイトの星川依里君。
と、物語は湊の母役の安藤さくらの目線で展開していく。
で、その後、息子の湊目線、保利先生目線、校長先生目線、星川君目線と切り替わってちょっとずつ答え合わせをしていく感じで物語が進んでいくのが、すごく面白かった。
大人の醜さ、子供の危うさ、言葉の重み、イジメだけじゃなく、色んな感情をとても上手く表現してた。
全部を解明してくれてはなくて、『え?これって?』という疑問がいくつか残されてて、観る人によって解釈が分かれる部分が散りばめられてた。
かと言ってモヤモヤが残るのとはちょっと違う感じでした。
坂本龍一さんの音たちも、物語ととてもいい重なりをしてて、良かったです(^-^)
是枝監督こそが「怪物」である。
奥深い作品
本当の怪物は?
最初はモンスターペアレントとやる気のない学校組織の話にリードして、気がついたら全く違った方向に引き込まれていました。
見終わってしばらくして、これだけの
大騒動を引き起こした本当の怪物はだれなんだろう?と思うようになりました。
あえて疑問点を残したままで終わったのは、見終わった後も考えさせようという深慮遠謀なのだろうか?
是枝監督の作戦にはまってしまった。
ちょっと違う
いつもと違うよね、
是枝さんじゃないなー。
脚本家変わると味も変わるもんだ。
先ず、タイトル。
是枝さんならこーゆータイトル付けない。
タイトルが台詞に出てこなかったりする。
「怪物」このタイトルは、
探してしまうし、当てはめて観るし。
そして、役、台詞、ダイレクトですね。
分かり易い。
この役、安藤と瑛太じゃなくても出来るが、
彼ら2人の怪物級役者だと凄みは増す👍
安藤は丁度良い間で、丁度良い音量で、
丁度良いツッコミしてくれるし、
瑛太はポンコツ具合が程良く、
「友罪」の時の少年Aを彷彿とさせる。
多分だが、今回是枝さんが言いたかったのは、
少年2人のパートではないだろうか。
あそこはとっても、是枝作品ぽい作り。
抽象的で叙情的な演技の味付けと、
それをやり切った2人の怪物級少年👍
「やっぱり嘘」アレ良かった👌
第二の柳楽優弥か、
それとも仮面ライダーか🤣
(鈴木福の事です🙇🏻♂️)
ラスト、クビになった先生は気づいた。
母親は多分気づいてない。
先生の口から全て話して欲しいが、
そこは、野暮な話か、
「真摯に受け止め」ましょうかね😜
ちょっと違ったけど、
テーマが身近で惹き込まれ、
観応え十分で面白い。
「花束みたいな〜」観てないからなー😅
ソレ観てたら、
気合いと期待込めて観たかもしれない。
※追記
「ロストケア」に続いて、
またしても諏訪湖でのロケ。
貨物列車は中央線かな。
あの公園は、
ずんのやすと坂井真紀が手を繋いでた場所。
諏訪湖は映画誘致に頑張ってるのですね。
怪物は自分たちだった
まず、是枝監督の作品はやはり面白い。
それから田中裕子さんの実力がすごい。
少しの動きとわずかな表情だけで憎らしく思えたり、苦しさを飲み込んでいるんだなと思わせる。
立場によって誰が怪物にみえるかは各々だと思う。
だけど結局、怪物は私たち世間ではないか。
他人の過ちを糾弾したり、ほんの一言に過剰に攻撃したり。
その怪物から自分の社会的立場を守るために、教師たちは必死になった。
必死になって身を守ろうと自らも怪物となり、増長していく。
皆が自分を守るために長いものに巻かれたり、忖度しあって嘘をつく。
子供の世界であっても。
マジョリティ側で居ようと、影響力のある側に付く。
見ない振りをしたり、間違っていると思っていても抗わない術を既に身につけている。
息子に依存する母親、嘘の自供をしてしまう教師、自分の置かれている立場やメガネによって、事実がねじ曲がっている。
自分自身が怪物になっているとは気付かず、犠牲者だと思い続けている。
みなとは、純粋がゆえに、自分が嘘をついたり、保身の行動をする度に自分が許せず傷ついた。
子供たちを犠牲にしてしまったのは、自分たちではなかったか。
救いとなっていたのは、人を傷つけ犠牲にし、怪物となった自分の行動に大人も苦悩していたことだ。
すべての根本は保身ではないか。
社会問題を提起する作品だけれど、サスペンス要素が軸となり、終始引き込まれ見ごたえがあった。
結局の処、み~んな「怪物」!!ラストも「皆さん、どうお感じに?」と視聴者に託すみたいな!?
あとから効いてくる
今までとは毛色の違う是枝作品。
今までの是枝監作品と言えば、脚本から編集まで全て自己完結。何気ない日常を切りとったような静かな画がスクリーンに映し出されていた。が、今回の脚本は坂元裕二さん。一つの事柄を立場の違う人たちが多方向から見ることで、感じ方や受け取り方が全く違ってくることの怖さ。そして、誰もが怪物(モンスター)になりうるし、善と悪を単純に線引きも出来ないことが上手く描かれていた。田中裕子演じる小学校校長の能面のよう表情の不気味さに気持ちがザワザワした。無表情の中にも喜怒哀楽を表現しているところが流石と思った。子どもたちには子供たちの、親には親の、そして学校には学校の立場から見えるものや感じることが有って、何が正解で間違いなのか?これって普段の生活の中でも有ることで、一方的な見方考え方に警告を出していてくれているのか?と思ったりもした。
LGBTQ映画とは思わないで見て
カンヌで
LGBTQを扱う作品として
賞をとったので
そういう作品と思って
見てしまうけど、
そう思って見ないで欲しい。
自分は忘れてて
終盤になって、
そういえば、コレのことか
って感じだった。
そんなことよりも
めちゃくちゃ素晴らしい脚本!
視点の変化で
こんなにも変わるのか
という驚き!
はじめの母親目線。
誰もが「ひどい担任教師!」と思う。
ところが
担任教師目線になると
「子どもたちヤバい!」
[怪物]って子どもたちのことか
と思った。
でも、
子ども目線になったら…
まさに
【怪物だ~れだ】
みんな見て下さい!!
懐かしい。日本版スタンドバイミーのような
モンスターペアレント。虐待教師。DV,
LGBT,
色んな問題の要素をふんだんに詰め込んだ作品でした。
3つの視点から物語が描かれていて、どの視点から観てもそれぞれの解釈が生まれて面白かったです。
はじめの視点は、子供の親からの視点
自分の子供が先生からの暴力を受けていると学校に相談に行くが
そこで対応が母親を怪物に変えてしまったと思った。
次に来るのが先生側から見た視点。
そこでの先生は、周りから見られている人柄とは全く違った人物として映っていた。
最後に描かれていたのが子供側から見た視点。
全ての真相があるのだが、それを伝えてしまうと全てが狂ってしまうという恐怖から本当の事を言えないでいた。
それぞれの役者もさることながら、子供達の演技が素晴らしかったです。
誰が怪物なのか?
ではなくて、誰が怪物を作ってしまったのか?
どうして気付けないでいたのか?
そこに物語が詰まっていると感じました。
誰も悪くない。
ただ、他の人の幸せが正しいと思ってしまったばかりにどんどん違う結末を迎えてしまっただけ。
最後は、とても悲しく、とても懐かしく、
とても切ない終わりでした。
ホルンの音色が悲しく聞こえる
物語をそれぞれの視点から作り上げていくと、本当はこうだった。と、見方がどんどん自分の中で変わっていく。
これは、本当にいじめなのか?暴力なのか?
親の視点から見ると、怪物は教師。
教師の視点から見ると、子供も親も怪物。
子供の視点から見ると………
私の視点から見ると、嘘が怪物を作り出す? 言葉にまとめられない…が、本当の感想。
「お父さんみたいになれなくてごめんね」の本当の意味が分かった時の衝撃が、涙になる。
2人がクリーンな緑の中で走り回る姿を見て、じわじわと涙になる。
2人には2人にしか分からないことがあり、2人のこの時間を壊さないで…と願い、観終わった。
やはり、この映画はスゴい。
そして、スゴい演技力です。
田中裕子さんが、ホルン片手に語った言葉とシーンがとても心に残りました。
本当の怪物は…
展開が早く、良かった
人の見方で、こんなにも違って見えてしまう
言い方、表情、タイミング、
これを、テンポよくすすめていくので、
え〜、へ〜、そーなんだ…
言い過ぎも、言葉足らずも、伝わらない
見ても聞いても、理解できない
ほんとに、人間は怪物と紙一重ですね
わたし的には、校長先生がやばいかなぁ…
やっぱり最後・・・。
是枝監督の映画は、好きではありません。
映画の終わり方が気に入らない。いつもどっちなんだよ!とツッコミ入れたくなるから。
毎回モヤモヤします。だからもう2度と観ないと観るたびに心に誓ってました。
でも、今回は脚本が違うということなので、それじゃぁということで鑑賞することに。
観た感想は・・・。
私の息子も義務教育課程の教員をしておりまして、思わず先生やめたほうがいいんじゃない?と言ってしまいそうな、どうにもこうにもやりきれない理不尽さに引き込まれてしまいました。映画の終わり方は好きじゃないけど、この人の映画は観ているほうを引き付ける魅力はあるんですよね。
でも、やっぱり最後はモヤモヤでした。
おい、このあとどうなるの????というところでエンドロール。
そしてまたモヤモヤ。
そのモヤモヤがいいと評価されているのは重々承知していますが。
やっぱりこういうのって好きになれない。
いろいろ社会問題をテーマにするところ、そして、我々が目をつぶってしまっている世界を見せてくれるという点では、いい映画なんだろうなと思いますが、私はスッキリ観終われる映画が好きです。
噂や憶測の醜さ
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