劇場公開日 2023年6月2日

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怪物のレビュー・感想・評価

全1019件中、1~20件目を表示

4.0ビッグバウンス宇宙と怪物

2023年6月4日
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 どうしてこうなってしまったのだろう。
 昨日観終えた直後は、軽やかな疾走感と美しい緑、そして心に沁み入る音楽に包まれ、不穏な2時間を経て穏やかな気持ちになれた。けれども、一日経って日常の中で思い返すと、子どもたちは行ってしまい、大人たちは置いてけぼりにされたという思いが、じわじわと迫ってくる。朝ごはんを食べながら、小学生ふたりに尋ねてみたら、「…やっぱり、−−ということだと思う。」という返事。あまりにもあっさり反応が返ってきて、少し愕然とした。大人になってしまった私は、決定的な何かを見落したのかもしれない。
 母親、先生、子ども。それぞれの視点で物語が語り直されるたびに、印象が反転する。後からは何とでも言えるのは承知だけれど、母親は押しすぎ、先生は流されすぎた、のかもしれない。とはいえ、その時々の焦りや軽々しさは誰にでもある。母親は、学校に行くために何度も仕事の折り合いを付け、深夜の通院の翌朝も日課をこなしたのだと思うと、何ともやり切れない。さらには、序盤では怒りさえ感じた校長先生に、終盤に至って救われる気持ちになるとは、思いもよらなかった。
 誰かが意図したわけでもないのに、事態が絡まり悪化した大きな要因は、いくつもの噂や、無関心の連なりだろう。そして決定的な打撃になったのは、幾度となく繰り返された、手近な材料での辻褄合わせだ。彼らは、もっと何かあるかもしれない、何かを見落としているかもしれないと考えるのをやめ、あっさりと結論を下してしまった。すぐそこに待つ不吉な予感にさえ、目をつむって。
 湖そばの公園の塔で、子どもたちがビッグバウンス宇宙について話すシーンが美しく、忘れ難い。宇宙が閉じた場であれば、いつしか宇宙は膨張から収縮に転じ、時間は逆戻りするという。創造と破壊が繰り返され、大きく循環するなかで、わずかなゆらぎから、銀河のもとととなる突起も無数に生まれ得る。ならば、映画に描かれた人びとの世界が、本作を観る私たちの世界と反転するのは、良くも悪くも、ごく当たり前のことなのかもしれない。そして、怪物もまた、自在に姿を変えながら跋扈し続けるだろう。
 帰り道、「親に気を遣って大変だねー」「大変だよ、自覚しなよ」と子とやり取りできたのが、ちょっとした救いだった。

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cma

4.0怪物という蜃気楼

2023年6月2日
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鑑賞方法:映画館
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ニコ

3.5Japan's Burning Tire Pit of Adolescence

2024年12月13日
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Just what Japan needs: another film to show the hardship of raising a child as a single-mother. Koreeda as one of Japan's best auteurs of the moment shows a perceptible disparagement to public education admins, perhaps something audiences understand all too well. The strongest point is the emotionally hypnotic soundtrack by Ryuichi Sakamoto, his final before his death prior to the film's release.

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Dan Knighton

4.0人の目線には死角がある

2023年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

長野の諏訪市を舞台にしているのだが、真ん中に湖のあるのがいい。特に夜、俯瞰で街の全景を何度か見せているが、夜には湖がぽっかりと開いた黒い大穴のように見えて、その闇に吸い込まれそうな気分になる。あの闇には何があるのかと考えたくなる。
「怪物、だーれだ」という問いかけがなされるこの映画は、誰かを怪物と思いたくなってしまうその心象こそが怪物であり、街にぽっかりと開いた闇のようなものだと、そう問いかけられているような気がした。
同じ事件を3つの視点から描き直すこの映画を観ると、一度信じたものを崩され、どんな人にも見えない死角があることを自覚させられる。視覚効果による表現である映画は、カメラの向きは一方向を向くので、どれだけ真実を透明に映し出しているように見えても死角が存在する。これは、その映画の弱点に自覚的だから作れる作品だと思う。あの街の真ん中の闇のように見ようとしてもなかなか見えないものが、社会にも人間関係にも必ずある。そのことを忘れずに世の中を見つめることの大切さと難しさが見事に表現されている。

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杉本穂高

4.5是枝裕和監督と同時代に生き、作品に触れられる僥倖

2023年6月8日
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鑑賞方法:試写会

坂元裕二氏が脚本を手掛けているだとか、今回は子役に脚本を渡して撮影に臨んでいるだとか、そういった部分はきちんと取材をしたインタビューをご覧ください。
ここでは多少の主観も交えながら……。これはいつからだったか、是枝監督と同時代に生き、作品に触れられる幸せというものを、噛み締めるようになりました。
黒澤、小津、溝口など、日本映画界に燦然と輝く名匠たちの作品にも数多く触れてきましたが、やはり同時代を生き、時には撮影現場で取材をしながら息をのむ瞬間を目の当たりにすることが出来るのは、幸せなことだと再認識しなければなりません。
ほかにもシンパシーを感じる同年代の監督たちとの出会いも含めて。

是枝監督は、「これが是枝監督の集大成」みたいな表現を嫌がります。当然ですよね。監督ご本人が「これが僕の集大成」と発言するのならばともかく、他者が決めつけることではありません。今回も「集大成」ではなく、是枝裕和という映画監督の通過点であると考えるべきです。この先、もっともっと世界中の映画ファンを楽しませてくれることを切に願いながら。

それにしても、田中裕子さんの演技にはたまげました。
是枝組の常連であった樹木希林さんとは対極の位置から仕掛けてくるアプローチに仰天させられます。安藤サクラ、永山瑛太の芝居も、堪能してください。

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大塚史貴

5.0怪しくて やがて哀しき 藪の中

2023年6月2日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

知的

安藤サクラが演じるシングルマザー・早織が、小学生の息子・湊が担任の保利(永山瑛太)からモラハラと暴行を受けていると確信し学校側へ説明と謝罪を求める序盤のかなり早い段階から、心臓のあたりがぞわぞわするような、なんとも不安で不快な気分が長い時間続いた。

坂元裕二による脚本がカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したことを報じる記事などで言及されていたように、本作の物語構成は、芥川龍之介の小説「藪の中」、またその映画化である黒澤明監督作「羅生門」に似て、真相がわからない一連の出来事を複数の当事者の視点から語り直す手法が採用されている。この「怪物」においては、主に早織、保利、湊の視点の順で(ほかに田中裕子が演じる校長の視点も少し入るが)、学校での数日間に起きたことや、湊と同級生の依里(より)とのかかわり、台風の一夜の出来事が多面的に語られ、当初は不明だった事実が徐々に明かされていく。

だが、坂元の脚本と是枝裕和監督の演出は、“たった一つの真実”が存在しそれを明らかにしようとするのではなく、むしろ各人の考え方感じ方や立場によって事象のとらえ方が変わってくる、言い換えるなら“認知のゆがみ”が生じうることを示唆しているのではないか。たとえば序盤、早織に感情移入して観るなら校長や教員らの心のこもらない釈明や謝罪は役人の答弁のようで腹立たしいことこの上ないが、保利先生ら学校側から語り直すパートでは早織がモンスターペアレントのように映る。

得体の知れない存在や体験したことのない状況を怪しむ、恐怖する感覚は太古から受け継がれてきた自衛本能だ。自分の命やアイデンティティー、家族やパートナー、よりどころになる家庭や職業・職場が何ものかによっておびやかされると感じた時、その何ものかが“怪物”として映り、自衛のため必死に抗おうとする。だがそうして抗う自分もまた、自分のことをよく知らない相手から“怪物”に見えているのかもしれない。

認知のゆがみが「事実でないことを私たちに見せる可能性がある」という理解に基づくなら、ラストシーンも見た目通りのとらえ方とは別に、180度異なる解釈もありうるのではないか。その解釈に思い至ったとき、改めて坂元裕二脚本の深遠さに震えた。

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高森郁哉

4.5是枝裕和監督作品の中で「テンポ」は最も速い。「深さ」についての感じ方は人それぞれか?

2023年6月2日
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是枝裕和監督作品と言えば、大きな特徴として「何気ない日常を切り取る」というのがあります。
そのため、物語はゆったりと流れていくような傾向がありますが、本作では矢継ぎ早に物事が動いていきます。これは、デビュー作以外では監督自身で手掛けてきた脚本を、「花束みたいな恋をした」などで知られる坂元裕二に任せた面が大きいと思います。
もしかしたら、これまでの「是枝裕和監督作品を見る」という姿勢でいると違和感を持つかもしれません。
それは、何の予備知識もなく作品の世界に身を置くという姿勢でいると、珍しく「時系列」が行ったり来たりするため頭が混乱するからです。
親切な作品であれば「(安藤サクラが演じる)母親目線の場合」「(永山瑛太が演じる)担任教師目線の場合」といった切り替えのタイミングを明示してくれますが、本作では似たトーンで映像が続いていきます。
要は「コンフィデンスマンJP 英雄編」などと似た構造にあり、様々な視点から眺めると物事の見え方が変化していくといった手法で、私たちに「種明かし」をしていきます。

「今は誰の目線で、どの時間を描いているのか」を的確に探り当てる、シーンの切れ目を自分で見つける必要があります。
これのヒントの1つはビルの火事でしょうか。
近頃ニュースでは似たようなビル火災が続きますが、本作では「ビルの火事は1回の出来事」なのがポイントです。
さて、そのような映像上のトリックを見極めた後は「結局、どのような全容なのか」を把握するために、組合せを頭の中で行う必要があります。
その結果、どんな物語が見えてくるのか?
私は、結局のところ「是枝裕和作品」という印象でした。
ただ、本作では「理由のない嘘」が少なくなく、これを連発すると「真相は藪の中」となり、やや気になる点でした。
良い点は、クセの強い人物が多く登場し、「この人物はどういう人なのだろうか?」と気になる独自性があり、その優れた「人物像構築」などで第76回カンヌ国際映画祭で「脚本賞」を受賞したのは納得できます。

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細野真宏

3.5『怪物』ってタイトル

2026年1月5日
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悲しい

癒される

ドキドキ

昨今の邦画から『怪物』というタイトルは
『悪人』や『正体』、『告白』などの映画の影響のせいか、
どんな怪物が出てくるのかと身構えて観てしまった。
でも実際は誰も恐ろしくない、淡々とした物静かなストーリー。

『スタンドバイミー』や『E.T.』、『エクスプローラーズ』のような
子供たちが主人公の名作も感じたし、
ある個所『ムーンライト』とまでは言い過ぎかな。
管弦楽器は『スウィングガールズ』まで思い出した(笑)
どきどきさせながらラストまで余韻を残す映画でした。

坂本龍一さんの遺作でしたか。
子供の頃、YMO時代に渋谷の東急ハンズで買い物途中に
握手してもらった経験も忘れられません。

時は過ぎるものですね。
地球もいつ滅びるものやら。

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3.5てっきりホラーかと。

2026年1月4日
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劇場で予告を観た覚えがあり鑑賞しましたがホラーかと思ってました。
登場人物それぞれの視点で話が続いていき終盤までは引き込まれましたががラストはイマイチ腑に落ちない感じでした。

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はまぐりの短い感想文

3.5 重いけど人生にとって観てよかった映画

2026年1月4日
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くまっち

5.0最後が

2026年1月4日
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dd2e07

3.0全体的には面白いが。

2026年1月4日
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怖い

ドキドキ

たまたま、二度目、観た。そういう意味では面白い作品と言える。
ただ、永山瑛太演じる担任教師の最初の頃と後半とは、全くキャラクターが違い過ぎる。
違和感あったなぁ。ひとつ、捻りすぎに思える。

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しゃん

4.0怪物は何処へ

2026年1月4日
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冒頭からサスペンスを思わせる緊張感のある展開が続くが、本作の本当の魅力は、その先に広がる幻想的な空気感にある。『銀河鉄道の夜』を想起させる世界観が、静かに観る者を物語へと引き込んでいく。ミステリアスでありながら詩的で、観終わった後も余韻が長く残る作品。

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NORI

3.0途中までは展開が読めなくて楽しかった

2026年1月2日
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悲しい

怖い

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百太郎

5.0さすが三人トリオ

2026年1月2日
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鑑賞方法:その他

知的

難しい

是枝、坂元、坂本の作品。さすが
一部は母親目線 二部は保利の目線、三部は湊の目線。母親目線では演出がそうなっているからか学校の教師たちの理不尽、不誠実な態度に怒りしかもママ友からの言葉「保利先生のガールズバー通い」を聞くから尚更疑心暗鬼が募る。二部では保利の誤植探しの趣味が依里の作文から謎解きのキッカケを見つける、彼女の資本主義的思考につられる未熟さも三部では湊たちが死に興味をもち始めるまた性の目覚めなど洋画「禁じられた遊び」を思い出させる最後思春期の一段を乗り越えたあとの爽やかさ大人に一歩近づいた感じは洋画「スタンドバイミー」を彷彿とさせるラスト鉄橋のバリケードが消えていたことも印象的。
全体からはまず子どもは親の都合で生活しなければならないことと子どもは親のことを常に気にかけている親が喜ぶように悲しまないように冷静にみている何故靴の片方が強調されるのかシングルマザーシングルファザーを意識させるため、うなり笛は自分をもっとみてくれの合図トロンボーンとホルンの音色は真実を話したいの意味か。などまだまだ深く考えさせられることがたくさん詰まった作品。もう一度観なくてはと思わせるいい作品。

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からす

5.0被害者である存在自体が加害者に

2026年1月1日
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鑑賞方法:その他

何を信じていいのかわからなくなったのは、所詮物事の一部しか知る事なんて出来ないからだと強烈なメッセージを叩きつけられたからだと思う。

物事の一部しか知れないし、時系列も目で見ていない以上いくらでも改竄できる。

毒親の父に酷い思いをされた子は被害者であったがその病んだ心が周りに意図せず加害を加えていく。

私の知人に不治の病で働けない人がいる、そいつは病の被害者だが、絶望から暴れたりネットで大金を課金して家族を苦しめている「加害者」になってしまっている。

…難しいですね、人生とはなんなのか。凄く考えさせられる時間でした。

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かえる代理人

4.0みんなもってる

2025年12月26日
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誰にも見せない
誰にも見えない
決してそこにはない
だけど持っている、小さなつぶ

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iamm

4.0そういうことか!

2025年12月22日
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鑑賞方法:映画館

驚く

ドキドキ

テレビCMで見て重いイジメの話かと思っていました。全く違いました。いい意味で裏切られました。瑛太も安藤サクラも子役も中村獅童も良いです!是枝監督は概ね好きでたまにハズレもありますが私としてはこれはアタリ。マンネリ気味の作風とは違う感じでとても良かった。ネタバレしたくないのでぜひ作品を鑑賞ください。口コミ4以上の評価ついてますが納得。オススメです。

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モロッコガール

5.0事実と真実

2025年12月20日
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鑑賞方法:VOD

誰かが語ったことが事実でも
その本質や真実はどうなのか
知る努力、わかる努力を できる人でいなければいけないと感じた。
子どもがあんな風に苦しむことのない世の中にしたい。

序盤は胸糞悪い、、、と思いながら観ていたけれど
大変考えさせられる良い映画でした。

坂本龍一さんの音楽が美しい。

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Yu

4.0いろんな角度から考えさせる 構成で面白かった

2025年12月10日
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鑑賞方法:VOD

一つの映画なのにいろんな角度、立場から見える景色が描かれていて、とても考えさせる映画でした。

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