こんにちは、母さんのレビュー・感想・評価
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兜を脱いだ吉永小百合、山田洋次九十歳の偉業
(好みではないのですが、所属する映画合評会の課題になっていたので見ることになりました)
もともと山田洋次監督の「下町人情もの」自体がそんなに好きなジャンルではなく、吉永小百合さんも好きではありませんでした。
特に、吉永さんについては、実年齢とかけ離れた(周りの技術やご本人の努力で作り上げられた)若い役をこの先いつまで続けるのだろう…と新作が封切られる度に思っていました。
しかし本作では、今までの吉永さんとは違って、年相応の「おばあちゃん」を軽やかに演じられていました。
ようやく「老いに抗う」兜を脱いだのではないでしょうか。自然体で素敵な向島のご婦人でした。
大泉さんも昨年末の『月の満ち欠け』とは違った抑えめの演技に好感が持てました。
吉永さんとのコンビネーションも、親子独特の遠慮のない、当意即妙なやり取りを面白く見ることができました。
私自身の期待値が低かったことも要因としてあるかもしれませんが、観終わって「いやぁ、意外と良かったなあ」という感想です。
ほかにも、向島や押上、隅田川界隈のロケや地名が出てきて、少し前までの自分の馴染みの地が舞台だったのもプラスに働きました。
こういった、まだ昔の雰囲気を残す街並みを切り取る撮影の美しさや美術にも一流の品質、品格を感じました。
このような素地の上に山田脚本の登場人物のキャラクターが乗ると、底抜けの善人ばかりでホントはあり得ない設定も、なんだかほのぼの見ることができてしまいました。
また、自分も含め、最近の日本語で忘れられてしまった「日本語の美しさ」を感じられる表現が、流れるように台詞の中ではき出され、これが、これまで長く生きて来られた時間の中で紡ぎ出された、山田監督の脚本なのだなぁ…と、しみじみと日本語の良さを噛みしめられる映画に出来上がっていました。
御歳九十歳越え、山田監督の偉業を素直に称えたいと思います。
ホッとしたい時に
待つ
肩の力を抜いて
50代手前の息子とその母親の話なんだけど、2人のやりとりや関係性よりもむしろそれぞれの悩みが丁寧に描かれていく。
引き戸の玄関の家、こけしが並んだ棚。
大人になってから感じる親は、昔から変わらないようでいて、日々を悩みながら一生懸命生きている1人の人間としてだんだん見えてくるものだ。
子どもがそれを受け入れられるようになるのは、親が子どもの自立を受け入れるよりももっとずっとあとなのかもしれない。
優しい登場人物ばかり出てくるが、みんな自分がどう生きるのかを悩んで自分で選んでいる。
朗らかに生きるのは、辛いことや不安があってもそう生きることを選ぶことなんだよな。
吉永小百合さんが美しくてチャーミングで、表情の動き方がいつもおだやかに微笑んで生きてこられたことを想像させ、役柄と重なって見えてくる。
田中泯さんの存在感が圧倒的だった。
空振り三振は取れないがファールでツーストライクまで追い込める
王道の「松竹喜劇」という伝統芸。
下町情緒感出てて良い、吉永小百合さんサスガの演技!
なんかほのぼのとしてて心温まる
大会社の人事部長・神崎昭夫は、職場ではリストラ候補に同期の課長が入ってたりで常に神経的な重圧を受け、家では妻との別居、離婚問題、大学生の娘の家出、などの多くの問題に頭を抱える日々を送っていた。そんなある日、母・福江が暮らす下町の実家を久々に訪れた昭夫は、母の様子が変わっていることに気づいた。艶やかなファッションに身を包み、恋愛している様子だった。そこに娘が寝泊まりしている事を知り、母や娘、下町の住民たちとの会話の中で、色々と決断をしていく昭夫。さてどうなる、という話。
山田洋次監督らしく、ほのぼのとして、吉永小百合以下出演者がみんな良かった。
会社のリストラや別居から離婚など厳しい現実も描いているが、それも含めなんか心温まる。
大泉洋が変なギャグを飛ばさないのも良かった。
永野芽郁も可愛くて良かった。
加藤ローサも素敵な会社員で良かった。
脚と後ろ姿しか映らなかった昭夫の妻は誰だったのだろう?
声.名塚佳織となってたが、脚も彼女なのかな?
それだけちょっと気になった。
あたたかな物語
山田洋次さんの作品はいつもあったかな雰囲気が流れていますね。
吉永小百合さん、いくつになってもきれいです。寺尾聰さん、顔は丸くなりましたが、雰囲気はお父さんの宇野重吉さんにそっくりになってきましたね。
<追記>
今、「プロフェッショナル」で、山田洋次さんと吉永小百合さんのドキュメンタリーがあった。
以前、同じ放送局で「シン・仮面ライダー」のドキュメンタリーがあったが、受けとるこちらの気持ちはずいぶん違ったものになった。
山田さんの「こちらが最後の作品というような気持ちで撮ったものなんてみんな見たくないでしょ。次も撮るつもりでいて、結果、最後になった、でいいのでは」というような主旨の話が印象に残った。
天下の吉永小百合にあんなに厳しい意見を言える監督なんて、きっと山田さん以外にはいないことだろう。
吉永さんが番組の途中で、「この作品を最後の作品にしようと思う」みたいなことを言ったけど、映画の完成を見て、気持ちが変わっていたのが、この映画の力かな、と思った。
裏話を知って、評価を変えるというのは、評価する立場としては、変なことだけれど、この番組を見たら、星5つ以外はつけられないよな。
この番組を見ることができてほんとによかった。
欲を言えば、永野さんや大泉さん、寺尾さん等の話も聞いてみたかった。
うーん、台詞さえ 。
良作!何回も涙しました。それほど心に残らなかったけど。
「こんにちは」と「ただいま」
拝啓、山田洋次様
『こんにちは、母さん』楽しく拝見いたしました
北海道のローカル番組の大ファンの私はどうしたって彼の作品を見ないわけにはいきません、しかしそれ以前に『男はつらいよ』のファンでもあり東京の下町への訳のわからない憧れも相まってこの作品に惹かれるように映画館へ入っていきました。
まんまとお話に入り込み、息子の思いに困惑し、自身の娘への態度はどうだったのだろうかと思い返したり、母への心配や理解が出来ているのかと反省したりとあれもこれもが思い当たることばかりでした。
自分では理解のある親のつもりでいたのですが怖くて真意を娘に聞いたことはなく今も悶々と煮え切らぬ思いでいっぱいです。
また、自分自身の「今」も見直したいと思うばかりで行動にできていない事も多々
映画を通じて己を見直し「明日からは」と誓うも「喉元過ぎれば……」となるのだろうう事も目に見える不甲斐なさ
きっと明日はではないのでしょうね
かわいい小百合さんをありがとうございました
きっとこの映画は天使からの贈り物です
追伸
広岡由里子さんにはたいへん驚きました
あまりにもそっくりだったので
驚きと共に懐かしさが込み上げていっそうこの作品をあの頃のように楽しもうとの思いが大きくなりました。
母さん、よく分からないけど
ああ、温かいなぁ。
山田洋次監督、90歳にして記念すべき90本目の作品。前作の「キネマの神様」は結構酷かったけど、今回は安定の山田洋次流ヒューマンドラマが見れました。「家族はつらいよ」のように大笑いできるような映画ではない(橋爪功いないし)けど、大泉洋と吉永小百合がなんとも言えないいい味を出していました。
それほど目新しいものは無いけど、2時間たっぷりと実家の匂いを堪能出来る。息子愛に溢れた母親の愛、それを気付かぬうちに受け継いでいた息子と孫娘。さすが親子だな。そう思えるシーンがいくつもあって、とっても心が朗らかになります。不器用さだって、母親譲りなんだから。山田組初参戦とはとても思えない、大泉洋の伸び伸びとした演技が、作品を面白おかしく彩っていました。まだまだ美しい、吉永小百合とはどっからどうみても親子としか見えず、最高のコンビネーションでした。
永野芽郁演じる孫娘・舞、大泉洋演じる明夫の妻の描写がかなり薄く、そこをもっと深堀してくれれば更に上質な家族ドラマになったと思うけど、何しろ永野芽郁も山田洋次の作風にぴったりでめちゃくちゃ良かった。なんかココ最近の出演映画でいちばん輝いていたし、可愛かった気がするのは何故だろう笑 山田洋次はやっぱり、役者の魅力を引き出すのが上手い。まだまだ現役で頑張って欲しいな。でも、無理はなさらないで。
この昭和な雰囲気がたまらなく居心地がいい。
高齢者の恋愛でも、どこか美しい。登場するキャラクターに無駄がないし、ヒューマンドラマとして完璧な出来。人事部長という設定も最大限生かされており、多少違和感はありながらも、家族3人ともなんだかんだで人がいいと見事に着地しているのが素晴らしい。色々あるけど、なるようになるさ。3人の涙、3人の笑顔。とても綺麗なまとめ方で、後味スッキリでした。明日から頑張ろう。
やっぱり、いい映画でした。
劇場は空席が10席もない状態で、おじいちゃんおばあちゃん大盛り上がり。一緒に笑って、すごく楽しかったです。だけど、もうちょっと静かにしようね。クレヨンしんちゃんの時の子どもたちよりもうるさいよ。あと、堂々とスマホで写真を撮っているおばあちゃんも。スタッフに報告しようと思っていたけど、せっかくいい映画で気分悪くなるのも嫌だったので、結局そのまま帰宅。でも、絶対にダメだからね!?吉永小百合が綺麗なのは分かるけど!
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