燈火(ネオン)は消えず

劇場公開日:

燈火(ネオン)は消えず

解説

ネオンサインきらめく夜景が失われつつある香港を舞台に、ネオン職人だった亡き夫が残した最後のネオンを完成させようとする妻を描いたヒューマンドラマ。

建築法等の改正により、2020年までに9割のネオンサインが姿を消したと言われる香港。ネオンサイン職人だった夫ビルに先立たれたメイヒョンは、夫がやり残した最後のネオンを完成させることを決意する。メイヒョンが夫の工房を訪れると、そこには見知らぬ青年の姿があった。メイヒョンは香港を離れて移住しようとする娘と反発しあう中で、伝説の吹きガラス製ネオンの存在を知り……。

「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」のシルビア・チャンがメイヒョン役で主演を務め、2022年・第59回金馬奨で最優秀主演女優賞を受賞。「エレクション」のサイモン・ヤムが亡き夫ビル、「返校 言葉が消えた日」のセシリア・チョイが夫婦の娘を演じた。2022年・第35回東京国際映画祭「アジアの未来」部門では「消えゆく燈火」のタイトルで上映されている。

2022年製作/103分/G/香港
原題または英題:燈火闌珊 A Light Never Goes Out
配給:ムヴィオラ
劇場公開日:2024年1月12日

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(C)2022 A Light Never Goes Out Limited All Rights Reserved

映画レビュー

3.5ラストのサプライズが映画ファンの思い出を照らす

2024年1月19日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

幸せ

萌える

 もう一度ネオンを輝かせたいと、ネオン職人だった夫の死後に妻が奮闘する姿を描いており、夫婦愛とともに香港への愛に溢れた映画です。昔気質のネオン職人だった夫ビルを「エレクション 黒社会」などの名優サイモン・ヤム、そしてその妻メイヒョンを名女優シルビア・チャンが演じ、香港映画ファンには垂涎の共演を果たしています。2人の過去の出演作や1980年代から90年代の香港映画の名シーンがネオンに重なって見えてきます。  この物語は、1997年にイギリスから中国へ返還され、2000年以降に徐々に勢いを失っていった香港映画界の状況とシンクロしてきます。ネオン看板への規制が続く香港には今も「その灯を消さない」と奮闘するネオン職人たちがおり、レトロなネオンに魅せられる若者も増えているようです。  そしてそれは、全盛期のような自由のある映画製作が難しくなった中でも、香港映画人が新しい世代とともに「香港映画の灯を消さない」という決意と重ねて見ることができるでしょう。香港映画は“かつての輝きを失った”と言われることもありますが、本作がその“灯”は消えていないことを証明しているようで、ラストのサプライズが映画ファンの思い出を照らしてくれます。

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和田隆

ナショナルのネオン

2024年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 香港の象徴とも思えた極彩色のネオンが、今や殆ど撤去され、違法にすらなっているとは知りませんでした。  誇り高かったネオン職人の亡き夫の遺志を継いで最後のネオンを完成させようと、一から修行を始めるする妻のお話です。時代の流れに押し流されて行く文化は経済的にもはや成立し得ないと分かっていても、それに抗しようとする人々に自動的に共感スイッチが入るのは、僕自身が既にネオンになってしまった証かな。特に輝いてもいなかったけど。  4000本のガラス管を用い、当時ギネス記録だった香港のネオンが、今は無きナショナル・ブランド(現パナソニック)の広告だったとは、ここにも時代の流れを感じるなぁ。

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La Strada

4.0【”燈火には神様がいる。”香港の2010年の建築基準法改正以来「百万ドルの夜景」を彩った多くの燈火が消えて行く中、亡き夫がやり残した仕事を完成させる妻と弟子の姿を、情緒溢れるトーンで描いた作品。】

2024年5月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 学生時代、中国に放浪の旅に行く時に、貧乏だったのでいつも船便で香港経由で中国に入国した。夜の香港の街は、原色の色鮮やかな多くの燈火が灯っていたモノだ。   だが、今作のフライヤーによると、2010年の建築基準法改正以来、この2-3年で9割もの燈火が違法とされ、消えているそうである。- ■腕利きの燈火職人だった夫・ビル(サイモン・ヤム)を亡くしたメイヒョン(シルヴィア・チャン)。  夫の弟子だと言うレオ(ヘニック・チャウ)と工房で出会い、彼から「師匠のやり残した燈火を完成させよう」と説得されたメイヒョンは、燈火作りの修行を始める。  そんな時、娘のチョイホン(セシリア・チョイ)から香港を離れてオーストラリアへ恋人と移住すると告げられる。 ◆感想<Caution! 内容に触れています。> ・個人的に好きな、情緒感溢れる作品である。消えゆく香港文化への郷愁も感じさせる。 ・失われつつある光の芸術を追い続けた燈火職人とその妻の愛情物語でもあると思う。 ・娘のチョイホン(虹)は最初は、借金塗れの工房を考え、燈火再現に反対するが、幼き時に父から言われた”燈火には神様がいる。お前がお母さんのお腹にいた時に、燈火の下で祈って居たらお前が産まれたんだ。”という言葉を父の姿と共に、思い出すのである。 ■独りで暮らすメイヒョンの思い出の中は、何時でも若き夫の姿と燈火のシーンで満ちている。  哀愁を感じさせると共に、燈火の下でのプロポーズを始め、美しいシーンの数々に魅入られる。 <ラスト、メイヒョンとレオ達が作った”妙麗”と言う言葉が中心にある、孔雀のような燈火に光が灯った時に、メイヒョンとレオ、チョイホン、そして制作を依頼した女性と彼女の認知症の父がやって来て、その燈火を見るシーンは美しい。  極彩色の燈火が、彼らの未来への一筋の希望を照らし出しているように思えたシーンでもある。  実在の燈火職人の数々が登場するエンドロールも、印象的な作品である。>

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NOBU

5.0二度と出会えない香港

2024年4月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

昔香港に行ったとき当たり前のようにあふれん秤りのネオンなんだかうるさすぎて看板好きの私だがあまり写真撮ろうとも思わなかった暗い。明るすぎてストレートな欲望にうんざりなくらいな気持ちだったかもしれない。今は後悔しかない。 ネオンと香港人。本当の香港。 この10年20年、失われていくものが多すぎて自分自身も失いたくなる。 出てくる人みんな素敵な映画だった。

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