劇場公開日 2024年1月12日

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「ラストのサプライズが映画ファンの思い出を照らす」燈火(ネオン)は消えず 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ラストのサプライズが映画ファンの思い出を照らす

2024年1月19日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

幸せ

萌える

 もう一度ネオンを輝かせたいと、ネオン職人だった夫の死後に妻が奮闘する姿を描いており、夫婦愛とともに香港への愛に溢れた映画です。昔気質のネオン職人だった夫ビルを「エレクション 黒社会」などの名優サイモン・ヤム、そしてその妻メイヒョンを名女優シルビア・チャンが演じ、香港映画ファンには垂涎の共演を果たしています。2人の過去の出演作や1980年代から90年代の香港映画の名シーンがネオンに重なって見えてきます。

 この物語は、1997年にイギリスから中国へ返還され、2000年以降に徐々に勢いを失っていった香港映画界の状況とシンクロしてきます。ネオン看板への規制が続く香港には今も「その灯を消さない」と奮闘するネオン職人たちがおり、レトロなネオンに魅せられる若者も増えているようです。

 そしてそれは、全盛期のような自由のある映画製作が難しくなった中でも、香港映画人が新しい世代とともに「香港映画の灯を消さない」という決意と重ねて見ることができるでしょう。香港映画は“かつての輝きを失った”と言われることもありますが、本作がその“灯”は消えていないことを証明しているようで、ラストのサプライズが映画ファンの思い出を照らしてくれます。

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和田隆