正欲のレビュー・感想・評価
全383件中、381~383件目を表示
正常と異常と偏見
東京国際映画祭の舞台挨拶付き上映会にて。小説は未読です。
登校拒否の小学生がいる家族、田舎の実家で暮らす冴えない女、男性恐怖症の女子大生。
3つの異なるストーリーを少しずつ見ていくうちに、ある共通のものを通じて絡み合っていく…
稲垣吾郎は相変わらずスカした嫌味な役が合うし(褒めてます)、覇気のないガッキーの心の変化や、今年何作出てるの?な磯村くんの空気感も良かった。
正しい欲と書いて「正欲」というタイトル。
正しいとか普通とか何をもってそう捉えるのか、マイノリティが悪なのか。
学校に行けない子供は普通じゃない?
30過ぎて未婚の女はダメな人間?
物語の主軸となるある「欲」にピンとこなくても、そこから派生するこういったことは身近であり想像しやすい。
意識高い系大学生の「私は多様性に理解あります」感は皮肉。
ラストに向けての展開に驚いたが、自分自身もそういう偏見を持っているのではないか?
と突きつけられた気分になった。
大丈夫、きっとそれはどこかには繋がっている
何もかもが真理をついていてグゥの音も出ない。ロマンチックなはずの天沢聖司が好みの系譜の隠語みたいに見えてくる。
好きなものは知らぬ間に繋がりを作っていくけど、同じ好きの中にも細かく分類があることがしんどさを生み出している。楽しみが辛さとセットってどんだけしんどいのか。
多様性の中の多数の中にも多数と少数がある事を知る。マイノリティの中でのマジョリティは多様性で認められるけど、そうでは無い人にとっては多様性という言葉すらしんどいらしいことを学んだ。
一見狂気に見えるものも、実は多様性の一つにすぎない、のかもしれない。
人との違いを個性と呼ぶけど、その個性も多数からみての常識から多くをはみ出さないことで認められている。
人の数だけ個性があるとして、それを擦り合わせて納得いく所で常識ができているのかな。
誰しも生きづらさを抱えているものだけど、こんな種類のしんどさもあるのか、と思った作品。こんな風に明日をみたことが自分はなかったな。
佳道と夏月の共有したものとは。
個人的に印象に残ったのは、部屋が水で満たされるシーン。ああこういう風に表現するのかと感動した。とても納得。こんなに満たされた気持ちになるのね。
心が満たされる状況をこんな風に目で見えるように現すのって面白いしわかりやすいなと思った。
なぜ皆んなと同じように生きられないのかと悩んでいる人たちに観てほしい。
大丈夫、きっとあなたの好きに繋がる人は必ずこの世のどこかに居るから、と伝えたい。
全383件中、381~383件目を表示