イニシェリン島の精霊のレビュー・感想・評価
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インシュリンとランゲルハンス島
なかなかタイトルの島名を覚えられなかったので、このように覚えました。いや、人体内に島があるなんてビックリした記憶があります。そして幼い頃の記憶・・・「○○ちゃん、あーそーぼ♪」といつものように友だちの家に遊びに行ったとき、「やーわいね。あんたのお尻にうんこついとるもーん♪」。ガーン、嫌われてしまった。それ以来、執拗なまでにお尻を拭くようになった。いや、まて、お尻見たことあるんかい!
と、子供の頃の絶交宣言は辛いものがあります。あとから冗談だったことがわかりましたが、もしかしたら、家路につくときボロボロ泣いていたのかもしれません。
舞台となる孤島では本土での内戦の号砲が聞えてきます。IRAだか何だかといったイギリスの内戦。難しいけど、戦争が続けば続くほど本来の意味を失い、ただの殺し合い・・・そうしたメタファーも感じられ、パードリックとコルムの仲違いも理由なんて意味ないことだったのでしょう、多分。
バイオリン=フィドル弾きのコルム。これ以上話しかけたら左手の指を一本一本切っていくとまで宣言。本気度が尋常ではない。そこまでしたら音楽の道も絶たれちゃう。音楽に打ち込みたいがため馬鹿話をしたくないと言い放ったのではないのか・・・覚悟はわかるけどヤリスギ!
人付き合いの本質とは何なのか。動物哀が溢れているのも特徴の一つ。そして、人の死を予言するマコーミックがいい味付け、調味料。なんだかブラックな方向に進んでいくけど、やっぱり最も許せないのがドミニクの父親である警官かなぁ。この警官も物語の中ではいい味付けとなってました。敵がイギリスにしておけばわかりやすいのに、やっぱり難解でした。
退屈な冒頭部分が愛おしい
何も無い退屈な島での暮らしが
些細な仲違いを機に歯車が狂い出し
破滅的な展開に発展するアイランドヒューマンドラマ。
おおよそどんな展開になるか予想がつくものだが
常に想定していない方向に物語が運ばれていく。
退屈な冒頭部分が愛おしいと思えてしまうラストは秀逸。
なぜ人は争い合うのか。
人は殺し合うのか。
戦争は起こるのか。
深く考えさせられる。
いつの間にか情けない中年男性が鉄板役になった
コリンファレルは今回もお見事。
じゃあ、どうすればいいのだろう……
話はつまらないが気のいいパードリック(コリン・ファレル)と、芸術家肌で気難しいコルム(ブレンダン・グリーソン)。私はどちらかというとパードリックに近いのかなと思う。しかしこれはもちろん寓話であり、どの登場人物にも普遍性がある。誰の中にもパードリックがいて、コルムがいて、シボーン(ケリー・コンドン)、ドミニク(バリー・コーガン)がいる。
個々の人間関係の中で、これほど理不尽に関係が崩れることはあまりないだろう。しかしそれが国同士の対立、地域紛争レベルにまで広がると、もはや何が原因でここまでこじれたのか、からんだ結び目をほどくことが困難な事例は山ほどある。舞台となったアイルランドも、複雑な政治情勢の上に立っている。
この作品は「いかんともしがたい環境の中で、それでも生きていくにはどうすればいいのか」考えさせられる映画であった。シボーンのように、しがらみを捨てて自分のために新たな場を探すことも正解だが、なかなか今いる環境を変えることは難しい。ドミニクのような選択をすることはもっと難しい。本作のラストシーン、完全に関係性の崩れたパードリックとコルムの二人が、同じ地平に、同じ方向を向いて立っているという描写は、そのまま現実世界の構図そのものだと感じた。
この作品の中で正解は示されない。二人がこれからどうなっていくのか、それもわからない。しかし一つ正解があるとすれば、警官に殴られたパードリックを何も言わずに抱き上げ、何も言わずに馬車でともに帰ったコルムの行動ではないか。たとえ拒絶した存在であっても、救わなければならない状況であれば助ける。関係性が悪くても、なくても、窮地に立たされた人を救うことはできる。
ここ数年、ますます正解のない世の中になったように感じる。自分のこだわりを通して他者を傷つけることも、他者に依存しすぎて己をなくすこともしたくない。しかしコルムがパードリックを助けたシーンに最も共感した私は、他者依存的な存在なのかなと思う。普遍性が高いだけに分かりにくいが、それだけに自分の様々な場面に当てはまる作品だと感じた。
厨2病は突然に
イニシェリン島の精霊鑑賞。
自分自身も孤島ではないが田舎の出身。勉強も運動も苦手でどちらかといえば落ちこぼれ。思春期に突如サブカルに傾倒し、10代の頃、なぜか田舎の周囲の人間を見下していたように思う。大人になったら今は他者に対して退屈と思うことはなくなったが、思春期の頃は作中にでてくるコルムがパードリックにたいして退屈と思うような気持ちを他者に対して抱いていたように思う。偶然に生まれ落ちた土地と年代で出会った他者と学校という小さい箱の中、作中だと小さな島が舞台になっているが無理矢理に押し込まれ他者と仲良く暮らしていくというのは無理ゲーな気がしてならない。。けれども人間は運命を受け入れて生活を送る。しかしコルムのように突然現実を受け入れられなくなる人もいるのかもしれない。全然関係ないが、フリーガイという映画でNPCだった主人公がとあるきっかけで繰り返される毎日に破壊するのを思い出した。急に思い立ってタガが外れるのわからなくもない。思春期おじさん。急に歴史に名を残したいからあんたと話す無駄な時間過ごしたくないとか言われたら私なら爆笑してしまうかもしれないが。優しいパードリックは深く傷ついてしまう。アイルランド本島での内戦と絡ませて進んでいくコルムとパードリックの決別劇。島民とロバと家族と犬を巻き込んで進んでいく。まさに狂気と狂気のぶつかり合い。友情の決裂をここまで壮大に陰湿に描けるマーティンマクドナー監督の才能はすごい。加えて前作のスリービルボードほどの起承転結もないのにここまで惹きつけられるのはコリンファレル とブレンダングリーソンと最愛のバリーコーガンら俳優陣の圧巻の演技だと思います。バリーコーガンが本当に好きすぎる。ドミニクの役は彼にしかできないと思う。争いで得るものはないが変わるものはあるのかもしれないと観たあとも考えさせられる映画でしたが、オススメはできない作品ですw
聖鹿コンビ
親友だと思っていた相手に突然嫌われてしまったことから、平穏な日々のルーティンが狂い始める。
嫌いだからってそこまでするか?というところもあり、この仲違いはアイルランドの歴史になぞられたメタファーなのかな?と。(アイルランドに詳しくないのでわからないのですが)
平穏に暮らしてきて悲しみを知らなかった主人公が、親友を失ってから思慮深い表情に変わっていくのも感慨深い。
バリーコーガンのキャラが聖鹿を思い出して笑ってしまいました笑
ロバは草食
アイルランドが舞台というと反射的にジョン・カーニーのさわやか音楽ものが思い浮かぶが、本作は、閉塞した島でおっさんたちがあたふたする話。で、その寓話的意味をあれこれ考えてね、ヒントは100年前の内戦、正解はどこにも書いてないから、みんなで話し合ってみ!みたいな。
いろいろ考察を始めると、ぶった切っちゃった先っぽをそのままにしてる意味や、ロバちゃんの紐状ウンコの話にまで答えを求めたくなるので、自分のない頭で考えてモヤモヤするより、著名な映画評論家の読み解きや公開から日が経ってたくさんあがっているレビューに膝を打つのが手っ取り早かった。
ただ、そこに意識を向けずとも、観ているだけで笑えたり哀しい気持ちになったり感情が揺さぶられ、また、どいつもキャラが立っていてなにかと楽しめる作品でもある。発達障害テイストが絶妙なバリー・コーガンの恋の行方や、退屈しのぎに人の手紙を勝手に開ける雑貨屋BBAの横柄さに、警帽被ってマッパで寝てるクソ警官。なによりコリン・ファレルが八の字眉一発でおかしみ・哀れみを誘ってくる。同じ眉毛キャラでも河野太郎のゲジゲジ眉はイラつくだけなのに(個人の感想です)。
まあ、ロバの糞の話を2時間するとか、実はお前が一番バカで孤独というのもやむを得ない気もするが、スマホどころかテレビもない時代、全員顔見知りで毎日パブでビール飲むしかない島ならではの煮詰まり感はじめ、現代の我々も他人事ではない話だと思った。
マーティン・マクドナー監督は、もともとは演劇畑のひと。 なるほどね...
マーティン・マクドナー監督は、もともとは演劇畑のひと。
なるほどね、というのが感想なのですが・・・
いまから100年ほど昔、1923年のアイルランド本島から離れたイニシェリン島。
第一次大戦は終結したものの、本島では内戦が勃発。
とはいえ、島ではそれは対岸の火事。
そんなある日、妹と暮らす独身中年のパードリック(コリン・ファレル)は長年パブで飲み仲間だった年長の友人コルム(ブレンダン・グリーソン)から、「俺にかかわるな」と言い渡される。
理由がわからないパードリックは、聡明で教養のあるオールドミスの妹シボーン(ケリー・コンドン)や知恵遅れで島の皆からバカにされている青年ドミニク(バリー・コーガン)の助力を借りて、以前のようにコルムと仲良く付き合いたいと努めたのだが、コルムは「これ以上、俺に関わるな。さもないと、俺は俺の指を切り落として、お前に送り付けてやる」と宣言した・・・
といったところから始まる物語。
コルムの宣言を「これ以上、俺に関わるな。さもないと、お前を足腰立たないほど殴りつけてやる」ならば、まぁ、普通の話。
そうなのよ。ちょっと言い換えれば普通の話。
コルムにとって重要なのは「俺に関わるな」であり、そこんところをパードリックが理解していないので、どんどん泥沼化してしまう。
無理解から泥沼にはまってしまうのはキリスト教的社会のお約束のようなもので、他の島民から「いいやつだが愚鈍」と評されるパードリックは、友だちであることが最重要であり、それ以外には頓着せず、コルム宅への無断侵入やコルムの新たな友人に嘘を告げて追い払うなど、良心を欠いていくような行為に出ていく。
(ここいらあたりは『スリー・ビルボード』に似ている)
最終的には、火付けにまで発展するわけだが、パードリックの行為は、見ていて不愉快になってきます。
で、コルムの方の言い分なのだが、
1.俺は、もう老いさき短い
2.子どももいないし、なにかを残したい
3.お前とのパブでのバカばなしに時間を費やしたくない
4.わかってるだろ? わかってくれるだろ?
5.だから、これ以上、俺に関わるな
6.さもないと、お前を足腰立たないほど殴りつけてやる、と言いたいところだが、クリスチャンの俺には、他人を殴るなんてできない。
7.かわりに、俺の指を切り落とす。その痛みをわかってくれ
これは結構、映画の早い段階でわかるので、これがわからないパードリックは愚鈍としかいいようがない。
で、こんなわかりきったふたりを行動をみつづけるのは些か苦痛で、興味は脇役へ。
パードリックの妹シボーンと青年ドミニク。
シボーンは、コルムの裏面みたいな存在で、他人のあらさがし、噂話、秘密の暴露で人生つぶしをしているような島民に嫌気が差し、結句、島を出てしまう。
一方、島いちばんの愚か者と呼ばれるドミニクは、愚かかもしれないが、何かを残したいという欲望に忠実。
何か、とは幸せな子孫であり、「当たって砕けろ」の精神でシボーンに告白する。
個人的には、このふたりの挿話を膨らませてほしかったところ。
なお、そこそこ教養もあるコルムだけれど、それほどでないことが今回の事態を重くしたかもしれず、
シボーンに指摘されるようにモーツアルトの生きていた時代を誤ったり、そもそも他傷は罪だが、自傷は罪だと思っていなかったあたりが、欧米の観客には「まぁ、結局、どっちもどっちだねぇ」と思わせているのかもしれません。
原題「THE BANSHEES OF INISHERIN」の「バンシー」は、「人間の死を予告する老女の妖精」で、映画では、黒装束の老女がその役回り。
日本タイトルの「精霊」は間違いでないが、ややミスリード。
『イニシェリン島のふたつの死体』あたりが適切かもね。
風景描写もよく、アイリッシュ音楽もよいですね。
後者、コルムの演奏は、ブレンダン・グリーソン自らの演奏ということがエンドクレジットでわかります。
雨降って地固まる?
昨日まで仲良かった友人が急に意識高い系になって、もうおまえとつるむのやめるわと言われる冒頭。
大学生にありがちだなと思った。
パードリックとコルムを通して、幼い頃友人とけんかしたときの居心地の悪い空気感がひしひしと伝わってきて、終始居たたまれなかった。
コルムが頑なにパードリックを拒絶するのには重い病気に患ったとか罪を犯してしまったとか誰にも言えない理由があり、最後は分かち合い仲直りする結末だろうなと思って観ていたら、新しい自分になりたい、それにはおまえと付き合っている時間はないという理由で、最後も関係は完全には修復しなかった。
人間関係もっと上手くやれやと言いたくなる。
序盤から始まったパードリックとコルムの内戦だがコルムの自傷行為をはじめ段々とエスカレートしていき、パードリックが可愛がっていたロバが亡くなったことをきっかけに一線を越えてしまう。
だが一線を越えたことにより二人の新たな関係性が生まれたような終わり方だった。
今作は内戦について描かれており、身内でも分かり合えない人や国は時には衝突し、新たな関係性を築いて歩んでいくという希望を持たせたラストだと感じた。
キリッとしている印象があるコリン・ファレルだが今作ではハの字になる眉で物語る冴えない演技が愛おしくて良かった。
また『グリーン・ナイト』や『ザ・バットマン』でも感じたが、風変わりな役を演じるバリー・コーガンは他の俳優よりも一際輝いていると今作でも感じた。
誰しもそんな感覚が
生きてると誰しもそんな感覚を持つんじゃないだろうか?
美しく満たされた日常の中でも、人間が存在の充足を得るとは限らない。
遠くに響く砲弾の響きに、「愚かなことをやっている・・・」と蔑みつつも、外の世界の存在に思いをはせる。自分と自分を取り巻く世界は何なのだと自答を繰り返すのは人間の性なのかもしれない。
存在への不安を描き出した秀作。
人間の愚かさ、不可解さを見せつけられました。
映画ファンが一年で一番ソワソワするアワードシーズンに本格的に突入しましたね。
第95回アカデミー賞では作品賞・監督賞他主要8部門9ノミネートされた本作。
助演男優賞には二人もノミネートされてしまったので票が割れてしまうのが残念ですが。
さて今作は第90回アカデミー賞を席捲した「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督作なので期待と緊張の中鑑賞しました。前半こそブラックコメディの要素もあってくすっと笑えましたが、徐々に全く笑えない展開に。「スリー~」よりさらにダークで難解でした。
1923年のアイルランドの孤島が舞台。パードリックはある日突然親友のコルムに絶交宣言をされます。パードリックも観てる私たちもその理由がわかりません。一応「残りの人生、おまえとのくだらないおしゃべりで無駄に過ごすヒマはない」という理由はあるのですがもちろん納得できません。なんとか関係を修復しようとつきまとう男と頑固に拒絶しどんどん行動がエスカレートする男。
一体何を見せられているのか。
と、思っていると気づきました。遠く離れた本土から聞こえる大砲の音。海の向こうではまさに親兄弟も引き裂くアイルランド内戦が激化しているのです。そう、二人の男の不毛な諍いは内戦のメタファーだったのですね。
それに気づくと見方も変わってきました。
なんてくだらないことで争っているのだ。
その行動に何の意味があるのか。
こんな閉塞した島での生活、私には耐えられません。
妹シボーン同様に島を離れるでしょう。
どうしても気になってしまったのはなぜ兄妹は同じ寝室だったのか。
仲が良いとはいえ、それはありえないのでは?
いろいろな読み方のできる作品です。
主演コリン・ファレルをはじめブレンダン・グリーソンもバリー・コーガンも素晴らしいいです。
グリーソンは「パディントン2」であの囚人シェフを演じていた人ですね!
グリーソンもコーガンも助演男優賞候補ですが、個人的にはコーガンにあげたいかな。
首を捻りながら
一体何の話?と思いながら、分からないままに終わってしまって、本土の内戦のメタファーというのは、分かるけど、何が分からないかというと、コルムが急に友達をやめると言い出した理由で、人生の残りの時間を無駄に過ごさないためという、理由は語られるけどそれの腑に落ちなさで、劇中のパードリック同様に困惑してしまう。話しかけたら指を切り落とすからな!(俺の!)も、何で、そこまで・・・??とやっぱり困惑。自体がエスカレートしてって最後、和解?したような?決別したような?この話は何なんだろうと。
コルムがパードリックを嫌いになったようには見えないというところ、暴力警官に殴られたあと助け起こす仕草の優しさ。ここがすごく切なく、映画では冒頭から絶交がはじまってて描かれていなかった2人の友情が思われて、やっぱり、何故・・・?となる。
町山智浩さんの解説を聞いて、コルムが急にパードリックと関わりを断とうとしたのは、コルムがパードリックを愛していたからではないか、
という、
観点から思い返すと結構腑に落ちる。
そういえばパードリックと妹がベッドを並べて寝ていたのには引っかかりがあった。仲が良くても、成人した兄妹で同じ部屋にベッドを並べて寝るかな?と。
コルムはパードリックを愛していることに気付いてしまって、一緒にいない方がお互いに良いという判断をして、という風に考えると、指を切り落として投げつけるという常軌を逸した行動も、パードリックの方はコルムの気持ちに気付いてないからただただ困惑するという状況も、解けていくような気がする。神父に聞かれて、「まさか!」と答えてたから、そう思わないで観てしまってたけど、そうだったのではないか。
マクドナー監督の前作スリービルボードも、そいうえばサムロックウェル扮する暴力警官が実はゲイだったのではと仄めかすようなところがあって、だから本土内戦のメタファーとしてのおじさんたちの喧嘩の裏には、もうひとつ監督が意図していたものがあったのでは?
あとは、とにかくイニシェリン島の閉塞感がやばい!死ぬまでひたすら暇を潰していくしかない・・・。妹は出て行けて良かった。妹が船から見た黒い影は誰だったのか?私は島の精霊(死神)的なものかなと思った。
バリーコーガンの演技が素晴らしく、見ているとこっちまでソワソワと居心地が悪くなってくる!
なぜ? 意味不明でした
自然以外にはこれといったものがないような島に住む老年の男が親友の中年男に突然「退屈なおしゃべりで時間を無駄にしたくない。音楽に打ち込みたい」と言って避けるようになります。一応理由は明らかにしているんですが、老年の男の行動が常軌を逸していて、そこまでする理由がまったく理解できません。絶交の理由はいろいろな解釈が可能かもしれませんが、最後までこの老年の男の意図がわからず、主人公同様あっけに取られるばかりでした。人生には理解不能なこともあるという意味が込められているのかもしれませんが、見終わった後に何か心に残るものが欲しかったです。
テンポが悪い
・良い点
演者の演技力はかなり良い。感情的に難しい場面でもその複雑さが伝わってくる演技がそこにはある。
・悪い点
テンポが悪すぎる。前半の仲が悪くなった所から描いた(仲良い時から描かない)ところまでは良かったものの、中盤のテンポが悪く退屈するシーンが多い。
終盤の衝撃的な展開があるのに非常に勿体無い。
さらに、すっきりとしない終わり方からネットでは内戦のメタファー説が挙げられているが、だとしたらあまりにもわかりづらすぎる。洋楽の「マザー」を見習って欲しい。
2度みることはない、星1。
一度失ったものを取り戻すことはできない。
一度失ったものを取り戻すことはできない。
友情と引き換えに静寂と平和を手に入れた男は、指と家を失い、
退屈だと言われた男は、退屈さを捨てるとともに善良さを失った。
恐ろしいのは、これが終わりではなく始まりであるということ。
いま、世界中で起きている終わりなき報復の連鎖のように。
個人間の些細な諍いを眺めていたと思ったら、有史以来愚かな人間たちが引き起こす大きな構造の中に飲み込まれていた、そんな物語。
愚かに見える主人公たちだが、犬を大事にするところはとても素晴らしい。犬は癒し。
冷たい風が鳴く島で
退屈な描写を退屈させずに牽引する語り口、お見事でした。好みは分かれる所ではありそうですが、体験する価値は十二分にあると思います。
不毛な戦争の中でもより不毛な「内戦」。そのきっかけや落とし所の無さ等を、二人の諍いを軸に描いている。更には周囲にもクソな奴らを配置して(クソ警官クソ神父クソ店主)、昨今の〇〇警察な社会も描いてみせる。何一つ他人事じゃない物語。
個人的にはドミニク(少し発達障害のある青年)が好きだったが、「素直さは美徳ではない」役割りを課せられ、「優しさ」に"当たって砕けた"一人なのが何とも物悲しい。
退屈の果て
何もない
アイルランドの果て、イニシェリン島
長年の友人の絶交宣言を受ける
自身、周りから天然と言われるが
本人はまるで気付かず
「今度話しかけたら、指を切り落とすぞ!」
玄関に投げつけられた一本の指
シュールな笑える作品ではなく
シュールなのです
シリアスでもなく
この独特な路線を行く映画
妹は退屈な島を出る
片手の指全部を無くしたコルム
死に誘われたドミニク
雄大で美しいイニシェリン島
たしかに行ってみたいと思うが
住みたいとは思わない
少し変わった人間ドラマでした
諍いの砲弾は止まらない
親友から唐突に絶縁されてしまう
理由はお前のくだらない話に人生を取られたくないから
己れの否定を認められない主人公は絶壁的に理解できない
切り取った指を投げつけられても自分しか見られない
もうお互いの愚かしさはとどまることはないのだ
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