イニシェリン島の精霊のレビュー・感想・評価
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不思議な映画でした。
爺さんたちの仲違いを描いた映画で、ボーっと観てたらほんとによく分からない映画だと思います。
説明も少く、特にコルムの行動(指切ったり)などがさっぱり分かりませんでした。
寝る前に観たので、もやっとしながら寝ててら明け方に、おーっと突然気が付きました。パードリックも知的障害者だったんですね。
コルムの行動が全て納得行きました。すごく良い人だったんですね。
こう言うじわっと後からくる作品が賞を取るんでしょうね。
すごい重かったし辛かった
タイトルでちょっとしたファンタジーかと思って鑑賞w
でも、おっさん同士の喧嘩からの仲直り感動映画かな?あー、ヒューマンドラマねー、ってなってからの〜終わってみたらアイルランドの内戦描いた映画やん!
結局のところ自分のことしか考えてない結果が招いた争いなのかなと。
コルムも合わないなと感じても言い方とか距離の取り方を間違えなければ芸術に費やす時間だってとれたし、パードリックも嫌がらせやコルムが指を切ることなんてなかった。それに周りの人達もただ傍観せず仲裁に入ったりしていれば、結果は全然変わっていた。
そしてやられたらやり返す。どちらかが死ぬまで終わらない。
永遠に続く復讐劇。
相手を思いやる気持ちを常に持って行動すれば戦争は起こらないのかな。
とにかく終わってからも、なんかずっとモヤモヤ考えさせられる映画やった。
ってか、ジェニーが可哀想やった😭😭😭
なんで面白いんだろう。
とても面白かった。
冒頭から突然始まる男同士の口喧嘩。
意固地になって、
簡単なはずのケンカはどんどん大事に。
こうやって人間は愚かしい争いをして行くんですよ。
と言う事なのか。
側から見たら馬鹿馬鹿しく、
妹だけが俯瞰で見れてたのだと思う。
兄の事を馬鹿にしてるけど貴方も相当な馬鹿よ、と。
静かな映画なんだけど、
クスッと笑える台詞や、
怪しい雰囲気、
ホラーな描写と飽きさせずに見せてくれる。
ただ、やってる事は中2の男子。
まるで自分のことのようだった。
遠ざけられると近づいて行く、
ほっときゃ良いのに気になって行く。
コリンファレルはまさに僕だった。
おっさん二人の仲違いの話で終わらない。
不思議な映画です。
おっさん二人の仲違いの話です。
でも引き込まれます。
アイルランドの内戦が本土で行われていて
イニシェリン島でも同様のことが二人で行われていました。
ストーリーは島の中だけで進んでいき
世間から隔離された場所での出来事だけ。
島から出られない住人ばかりでコミュニティを形成する。
すごく小さい話ですが、住人にとっては大きな話でした。
コメディっぽく進むのかと思ったらほぼホラー
親友に「お前と話すのは退屈だから喋りかけるな」と言われたおじさんの話。
序盤は「俺よりあいつの方が馬鹿だよな」とかコメディっぽかったのに、親友の決意が狂気的で中盤以降はほぼホラー。
コルムが本当に賢いのなら、そもそもそんなこと言ったらどうなるかぐらいわかりそうなものだし、島を出ていかないのも謎。島の住民も途中から二人を放置しているようで、狂気に拍車をかける。
アイルランド本島の内戦と併せて、どこでも諍いは起こるといいたいのかもしれないけど、ちょっとコルムの行動が理解できない。喋りかけるなと言って完全無視するでもなく、手助けするようなところもあったし、最後も主人公を気遣うような部分もあった。
もうちょっと言動が一致したキャラにしてくれればよかったと思う。
コミュニティの中で起こりそうな出来事をラディカルに描いた
ずっと同じコミュニティの中にいると、たまにその関係性に面倒さを覚え距離を起きたくなることはあるだろうし、逆に距離を置かれてしまうことで生じる疎外感も共感できる。一方で、作中でのその距離の置き方や疎外感への対処がラディカルすぎて衝撃的で、共感と衝撃がバランスよく?演出された作品である。
面白かった
後味の悪さをゴールとして作られた作品だが、この内容なら勧善懲悪の方が私はスッキリした。
それはおそらくブレンダングリーソン演じるコルムの役どころが、作中の騒動の大半の原因を占めているところにある。
劇中でもコルムに対して「12歳のガキ」「イカれてる」などと冗談めかして揶揄している場面があったが、残念ながら揶揄でもなんでもなく、その両方とも正しい評価であることがまたなんとも言えない。
正直この映画の好ましくなかった点は、ほとんどコルムというキャラが一人出しゃばってしまっているところにある。
それ以外は全体的に良かった。
以下、好ましかった点と好ましくなかった点。
好ましい点
・ケリーコンドン、コリンファレルの演技
ケリーコンドン演じるシボーンは、小さな島で狭量な兄や島民に囲まれる、孤独感の強い女性である。
ややヒステリックで感情の振れ幅が大きいケリーコンドンの演技は、如何にも「田舎の独り者の女性」といった雰囲気で、シボーンというキャラクター性に非常に説得力と存在感があった。
コリンファレルの演技もまた素晴らしい。
顔立ちがやや精悍過ぎるせいか、あまりアホっぽく見えないのが残念だが、持ち前の演技力で、朴訥で脳みそが足らない中年男性を見事に演じきっている。
中盤で警官から殴られた帰り道、情けなさが急に湧き上がるように涙を流す場面は、あまりにも痛々しくて最高だった。
・舞台背景に沿った脚本
本土で内戦中のアイルランドと、島での小さな諍いという対比が、劇中において皮肉の効いたスパイスとなっている。
内戦が終わると同時に、パードリックとコルムの諍いが殺し合いに発展する事を匂わせるオチも、非常にアイロニーに満ちている。
「俺たちの戦いはこれからだ^^」と、打ち切り少年漫画のテロップを貼っても違和感がないくらいには、後味の悪さを残せたのではないか。
好ましくない点
・バンシーという存在を活かしきれてない
この映画はバンシーという人の死を予告する精霊をモチーフに描いた作品のはずだが、肝心の死の予告という設定がイマイチ弱い気がする。
カルトじみたBBAが、「今夜二人死ぬお^^」と根拠のない妄言を吐くだけで、誰も以後その事について触れない上に、肝心の予告も当然の如くハズレ。
「何故外れたか明日までに考えてきてください^^」と言わんばかりのオチだが、正直考察して作品の見方がガラリと変わるほどの設定でもないと感じる。
劇中で「誰が死ぬんだろう?」の疑問を観客に植え付ける以上の働きをしていないのが、とても残念だった。
・コルムの言動の破綻
この作品における騒動の原因の8割が、ブレンダングリーソン演じるコルムという男にある。
おそらく製作陣は騒動の原因をコルムとパードリックで5:5くらいの割合にして、どっちもどっち論に持ち込むつもりだったのだろうが、あまりにもコルムのキャラがぶっ飛び過ぎていて、どう見てもパードリックに同じだけの責任があるように見えない。
創作の為に人を遠ざける…ここまでは理解できるが、何故か彼は島を出ていくという選択肢を取らない…これが最大の疑問であった。
内戦で本土に行き辛いというのもあるだろうが、シボーンが最終的に島を出ている以上、指を切り落とすほどの覚悟(笑)を見せたコルムが、島を出ていかないというのはおかしい。
本土には島に来ていた音大生のような、芸術的な人間(笑)が大勢いるだろう。
何故本土に出向かないのか。
フィドルの為にフィドル奏者の命である手の指を切り落とすというのも、もはやギャグにしか見えない。
あまりにも気狂いなコルムの言動が、製作陣が意図した物語の方向性を、ブラしているように感じ取れてしまった。
いったい、何がしたかったのか?
結局、どちらもいい人で、それなのに一体何をしたかったのか、さっぱりわからん。
たしかに腹の立つところはあるにしても。
もう、縁を切りたいと思うほど、鼻につくところがあったにしても。
話し合うとか、言葉で伝えるとか、手紙とか、仲裁者入れるとか?
他にやりようがあったでしょ。
イニシェリン島という、特殊な環境が、人々を追い詰めるのか。
人生に絶望したからといって、独りよがりな行動はどうなんだろ?
12歳か!
ホントに、それ。
愚かなロバと賢いイヌ
時は1923年、内戦が起こっていたアイルランドの孤島、イニシェリン島。
島に住むパードリックはある日突然、友人のコルムから絶交されてしまう。
思い当たる節がなく納得のいかないパードリックは、コルムに理由を尋ね続けるが、コルムの拒否反応は次第に過激さを増していき…
友情とは何なのか考えさせられた。
婚姻関係や血縁関係と違って、何か明確な繋がりがあるわけではない。
友情ほど強い絆はないが、友情ほど儚いものもない。
強くも弱いその糸は明日には切れているかもしれない。
そんなことを考えてしまった。
コルムがなぜあそこまでパードリックを避け始めたのか。
結局のところはっきりとは分からなかったが、決して分からないこともない。
自分の指を切り落とし相手の家のドアに投げつける。
何故だか他人事として片付けられない。
1人だと寂しいけれどずっといると鬱陶しい。
かまって欲しいような、1人にして欲しいような。
好きだけど嫌い。嫌いだけど好き。
友情とはそういうものなのかもしれない。
舞台となったアイルランドのイニシュモア島とアキル島の自然は本当に美しいし、名優たちの会話劇も素晴らしいが、好きな人は好きだろうなという感じ。
なにしろ難解で静かな映画なので、深めたいけれどまた観たいかと言われたら微妙。
みんな大好きコリン・ファレルのハの字眉毛はまた観たいけど。
バリー・コーガンも加わって、聖なる鹿殺しならぬ聖なる〇〇殺しが行われる。
アカデミーは残念でした……
ロバのつぶらな瞳
何とも不可思議な物語だ。思い出されるのは、血が滴る指、自然豊かな島の風景、吉兆•凶兆定かでない、天上から広がる光。そして何より、動物たちのつぶらな瞳が忘れがたい。美しさにおぞましさ、滑稽さ、悲愴感が無いまぜになった114分だった。
ある日突然パードリックは、旧来の友・コルムから絶交を言い渡される。何が何だか分からず戸惑うパードリック。コルムが他の村人たちと楽しげに過ごしている姿を見ると、居ても立っても居られない。しかし、コルムは頑なな態度を崩さず、無理に話し掛けるならば、会話するごとに自分の指を一本ずつ切り落とすと宣言する。
きっかけも、その後の展開も、コルムの身勝手のはず。とはいえ、彼がそのような行動に至るには、何か原因があるのではとパードリックは悩み、焦る。何とか修復を試みたものの、別の生き方をしたい(そこにパードリックはいない)と告げられ、彼は身も心も粟立つ。
パードリックは、別のやり方、別の生き方の術を持っていない。毎日決まったように家畜たちの世話をし、午後になったらパブで酒を飲む。それで満たされていたはずが、友の離脱で歯車が狂い始めてしまう。
習慣を守り日々を重ねるのは、単調ながら平和で、穏やかだ。一方、そこから踏み出すのは難しい。自他を傷つけ、周りの心もかき乱す。こんな季節だからかもしれないが、卒入学、就職に転勤と、半ば外因から人生が動くのは、変化を求めながらも踏み出せない、人の性が少なからず影響しているのかも、とふと思った。
おどろおどろしさが加速する人間たちのやり取りの一方で、変わらず自然は雄大で、音楽は美しく、心に沁みる。さらに印象的なのは、パードリックの飼う羊や牛、そしてロバたちだ。特にロバのジェニーは彼にとって家族同然たが、妹には「家には入れないで!」と戒められる。
動物の潤んだ黒目は、深みがある。人間たちの争いを達観しているようでもあり、呆れているようでもある。(もしかすると、人間には特段の興味さえ抱いていないかもしれない。)友と妹を失ったパードリックは、ことさらにジェニーを可愛がり、昼夜共に過ごすようになる。けれども、所詮はロバと人。彼らには越えられない壁がある。触れ合っても会話はできず、やり取りは一方通行で、距離は縮まらない。その瞳から何かを見出せるのは、受け手であるパードリック自身なのだ。
砲弾の音が響けば、本島の内戦で屍は増える。そして、島でも喪失が増殖していく。幾つもの死を乗り越え、パードリック、そしてジェニーの瞳には、一体何が映ったのだろう。
「意味」と「退屈」の終わりのない内戦
この映画がここまで私の心に触れるとは思っていなかった。最近、人生の意味について考えることが多いからであろう。恐ろしい映画である。
冒頭の見たこともないような美しい景色。「こんなところで住んでみたいな〜」って思うのも束の間、現代人には死ぬほど「退屈」な生活であることが分かる。
自分の「人生の意味」を求めて友人は別の道を歩もうとする。それはかつての友との絶交という過激なものであった。人生についての「意味」「向上」「変化」という新たな思想が、ときに退屈かも知れないが「良き人であれ」という旧い価値観と対立する。
観ていると、我々の住む情報化社会がいかに「退屈」から遠ざかっているか、むしろ「退屈」を悪しき価値としているか、そして人生に「意味」を求めずにはいられないものであるかに気付く。これには「新規さ」「変化」「向上」という変革に付随する価値も含まれている。郵便局を営む中年女性が求めるのはニュース(新しいもの)という刺激である。中身は問わない。むしろ悲惨であるほどいい。姉は「変化」を求め、コルムは「向上」と「意味」の追求に囚われている。
それに対して数少ない村に残っている若者としての主人公パードリックは、愚鈍極まりないキャラクターとして描かれている。彼は砲弾の音を聞いても興味を示さない。ほとんど取り柄のない男に見え、私はコルムの理屈にいつも納得してしまう。しかしパードリックの執拗とも思える執着心を見るにつけ、彼についてもまた考えさせられるのである。「友情」こそが生きる意味である彼は自身の存在をかけてコルムに迫る。もうストーカーであるマジで。
しかし、これらを観ながら何となくどちらにも共感してくるから不思議である。何故なら私もかつては退屈に耐えられない衝動を抑えられずにそのような(と私が認識した)人を軽んじたこともあった。ときにパードリックは「人間に大切なのは人間関係ではないのか?」と訴えているようにも思える。そのせいか私も誰かとの大切な時間を削っている気がするのも確かである。
鑑賞中に様々な思考が駆け巡る。
唯一パードリックに見せ場があるとすればラストしかない。彼がコルムへの復讐を果たそうとしている時の、彼の表情は凛々しく、その姿を頼もしく思ったのは私だけだろうか?
愚者と賢者のすれ違い、その果てにあるものとはといった様な内容の本作...
愚者と賢者のすれ違い、その果てにあるものとはといった様な内容の本作
淡々とした話運びと先が見えない展開で、最後まで楽しませてもらいました
また、芸術や本といった形がある物以外にも時代を超えるものは確かにあるなと再確認させられた、なんともいえない余韻が残りとても良かったです
この島には住めないな
2023年3月9日
映画 #イニシェリン島の精霊 (2022年)鑑賞
アイルランドの雄大な自然を舞台にしながらも、その自然の中に取り残され、何も変わらない日々を送る生活は息が詰まる
対岸の内線の方が生を感じられるのも皮肉なもの
#コリン・ファレル と #ブレンダン・グリーソン の名演も凄い
3.6) 孤島のマウント合戦
二人の男の些細な喧嘩がやがて大事になっていく。
アイルランド内戦を遠景にした孤島の物語は、戦争が発生する仕組みをミニマイズする。
このプロット表層だけでも、茫洋な孤島の風景と相まって十分見応えがあるのだが、さらに本作が秀逸なのは、この喧嘩の理由が明らかではないこと。それによって、様々な解釈を可能にしているのだ。鑑賞前は「理由がなくても始まってしまう。それが戦争だよ」というニヒルな語り口を想像していたのだが、読後感はその真逆で、複数の(そしてそのどれもが人間臭い)理由が考えられた。観客に(遠い戦争の話ではなく)自分の物語として持ち帰らせる。そんな緻密な脚本に凄み。早くも年間ベストに入る一本だ。
★★以下ネタバレ★★
何通りかの解釈の内、私が感じ(自省した)裏テーマは「知性のマウント合戦」とも言うべき、醜いカーストの存在だ。
妹シボーン>コルム>警官ら島民>主人公>ドミニク
の順で「知性のカースト」が無意識に生まれ、みなが下の階層を蔑み「自分は上の人間だ」という行動原理で動いていた。警官が暴力を振るう相手は誰か?が一番わかりやすい例。「気のいい奴」設定の主人公すらドミニクへの接し方は微妙。あれほど狭い島でも、みなカースト上位を目指し下位の人間を遠ざける。
あの島で主人公に優しかったのは、おそらくシボーン、コルム、ドミニクだけ。そして友人とはいえ身内ではないコルムが、遂に耐えられなくなるところから本作が始まっているのではないか。そんな島の煉獄を抜け出したのは誰か?”死の精霊”の予言通りになったのは誰か?残念ながらこのカースト順位の通りになっているのが怖い(あのロバは主人公の身代わりだな)。
海と風と動物たちが、そんなマウント合戦を静かに見守る。
余談:
監督の前作『スリービルボード』は、本作と同じ構造を持ちながら好きになれなかった。その理由は主演の大女優様へのアレルギーと確信した。そういえば彼女の主演作どれも好きじゃないし。
いにしえっぽいので一周回って差し支えない島名
島に人々が住んでいる。
主人公の男が突然に友人に絶交されて、そこからギクシャクしていく話。
基本的には主人公に同情できる。
一見すると意味不明な内容であるが、戦争を人間に例えて虚しさを表現した作品だと思えばよい。
ややグロ注意。
良い点
・演奏
・アドレナリンで痛みがない(戦争)
・誰が死ぬかは分からないが誰かは死ぬ(戦争)
・犬
・演奏や犬は中立なるものなのだろう
悪い点
・死因設定が苦しい。誤解ともとれるが区別しづらい。
その他点
・強要罪、脅迫罪
僕たちの戦争
「何も言っていない、何もしていない。ただ、お前が嫌いになった」
これは...分からんよ。
多分アイルランド人にしか分からないし、少なくとも日本人の理解の範疇を超えている。
純朴は時に罪であり、そして愚かでもある。
生物というものは論理では理解しきれない。
争いの道理を閉鎖的なコミュニティの中に巧みに描き出した、今語るべき、そして観るべき作品。
広大な大地と裏腹な離島という閉鎖的なコミュニティで、憎悪の境い目が曖昧になって行く様を、映画的な緊張を切らすことなく見せきったマクドナーの脚本の構成と的確な演出の手腕が素晴らしい。なにより、現実に世界が紛争に揺れるただ中でこのテーマを語った事に大きな意義がある。
ある日を境に信じて疑わなかった「日常」が、親友の突然の決別で崩壊していく男をコリン・ファレルが感情豊に演じれば、信念を貫く事に人生の意義を見つけた「親友」の男を、ブレンダン・グリーソンが達観した佇まいで存在感を放つ。この二人の動と静の駆け引きが見事にこの作品のサスペンスとなっていて、見応え十分。アイルランドの離島の広大な、しかしどんよりとした環境が、更にその緊張感を増幅させていている。その緊張感に別儀を持たしたケリー・コンドンとバリーコーガンの的確なキャラクター造形も助演として効果的で、一つ一つのピースが理想的なバランスで存在している。
閉鎖的なコミュニティの中に争いの道理を描き出すマクドナーお得意のテーマで、まさに今語るべき、今見るべきという感じ。
インシュリンとランゲルハンス島
なかなかタイトルの島名を覚えられなかったので、このように覚えました。いや、人体内に島があるなんてビックリした記憶があります。そして幼い頃の記憶・・・「○○ちゃん、あーそーぼ♪」といつものように友だちの家に遊びに行ったとき、「やーわいね。あんたのお尻にうんこついとるもーん♪」。ガーン、嫌われてしまった。それ以来、執拗なまでにお尻を拭くようになった。いや、まて、お尻見たことあるんかい!
と、子供の頃の絶交宣言は辛いものがあります。あとから冗談だったことがわかりましたが、もしかしたら、家路につくときボロボロ泣いていたのかもしれません。
舞台となる孤島では本土での内戦の号砲が聞えてきます。IRAだか何だかといったイギリスの内戦。難しいけど、戦争が続けば続くほど本来の意味を失い、ただの殺し合い・・・そうしたメタファーも感じられ、パードリックとコルムの仲違いも理由なんて意味ないことだったのでしょう、多分。
バイオリン=フィドル弾きのコルム。これ以上話しかけたら左手の指を一本一本切っていくとまで宣言。本気度が尋常ではない。そこまでしたら音楽の道も絶たれちゃう。音楽に打ち込みたいがため馬鹿話をしたくないと言い放ったのではないのか・・・覚悟はわかるけどヤリスギ!
人付き合いの本質とは何なのか。動物哀が溢れているのも特徴の一つ。そして、人の死を予言するマコーミックがいい味付け、調味料。なんだかブラックな方向に進んでいくけど、やっぱり最も許せないのがドミニクの父親である警官かなぁ。この警官も物語の中ではいい味付けとなってました。敵がイギリスにしておけばわかりやすいのに、やっぱり難解でした。
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