ザリガニの鳴くところのレビュー・感想・評価
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ある少女の女への成長物語…
全世界で1500万部の大ベストセラーとなり、日本の本屋大賞の海外部門小説で大賞に輝いた、同名小説の映画化。海外小説は苦手な自分が面白くて、のめり込んだ作品だっただけに、映画化を待ち焦がれていた。500ページの長編小説を、オリビア・ニューマン監督が、2時間の枠に上手にまとめて仕上げている。 1950~60年代のアメリカ・ノースカロライナの湿地帯を舞台にした、ヒューマン・サスペンス。決して、派手な演出があるわけでもなく、登場人物も限られた中でのストーリー。しかし、広大な湿地帯の木々や草花、動物、虫等の色彩や匂い、音、温度等が息づくように伝わってくる。 そんな湿地帯の中で暮らす少女を主人公に、切なさや痛み、感動、そして驚愕の真実のどんでん返しを兼ね備えた、映画ファンが好みそうな作品となっている。 当時、貧困問題、人種差別などはアメリカの黒歴史でもあり、そんな時代背景の中で、両親、兄弟から見放され、何もない湿地の粗末な家に、一人取り残された6歳の少女・カイアが主人公。学校に通えず、文字の読み書きもできない、家族もいない。唯々、母の帰りを待って生きてきた悲運のカイアが、いったい何をしたというのだろう…。 そんな幼かった彼女が、凄まじい苦境を乗り越え、『生』にしがみついて生きようとする様や、思春期の芽生えからの淡いラブ・ストーリーを中心に、少女が美しい女として成長していく様を描いていく。 一方で、湿地帯で変死体で発見されたカイヤの2人目の恋人の真相を巡って、彼女への偏見から事件の容疑者とされ、裁判で無罪を勝ち取るための法廷ドラマとして、サスペンスの要素も高まっていく。 主演のカイヤを務めたのは、デイジー・エドガー=ジョーンズ。テレビドラマでは出演していたようだが、スクリーンではお初の女優さん。世間からは隔絶され、6歳から一人で生きてきた、汚れのない無垢な少女から、恋を知り、女性としての輝きを放ちだし、魅力的な女性へと変貌を遂げていく演技に魅了された。その美しさも演技も素晴らしく、これから、アン・ハサウェイの様な魅力ある女優への期待を、十分に備えていると感じた。 原作も既読で、内容も結末も分かってはいたが、それでも、デイジーの魅力的な演技もあり、個人的には、今年のベスト3に入る作品となった。映画の余韻に浸りながら、原作をもう一度読んでみたくなった。
ミステリーというより一人の女性の自伝
ポスターがすごく不穏なミステリー!て感じだけど実際は一人の強く賢い女性の半生を、美しい自然と共に描いた映画って印象だった。 もちろん彼女の過去を語る中で謎が解き明かされていくけど、事件の真相がメインというよりも彼女自身の話がメイン。 けれどダラダラとつまらないものではなくて、厳しい環境でも決して腐らず知性と品位、信念を保ち続けて唯一の存在として生き続けた女性が描かれていた。 いやあの環境で生きてて肌とか髪とか美しすぎるんだけどね笑 でも悪意の中にも善意があって、孤独と愛があって、やっぱり目頭が熱くなったよ〜〜いい映画でした! 最後のテイラースウィフトの歌が味わい深くて良かったですね!
アメリカならありそう。
いろいろ保護されている日本ではなかなかない設定だと思うけど、生きて行く大変さをジワジワと見せつけられた。過酷な人生でも一条の光があるだけ救いか…。サスペンスとしても秀逸。ラストまで気が抜けなかった。
じわじわと沈殿していくような余韻に満たされる
不遇な人生を送ったカイアに深い同情を感じると共に、ほんの少し突き放されたような気持ち。観賞後に互いの感覚が私を引っ張り、不思議な後味となって残った。
でもやはり、最後に母を求める小さなカイアの眼差しが忘れられず、じわじわと哀しみで胸が浸たされていった。成長しても「小さなカイア」は彼女の心の中にずっと住み着いていて、その傷は癒えることはなかったのではと思うと、涙が出てきしてまう…。
暴力的だった父が一時みせた優しさの象徴である鞄を、成長してもずっと使っていたいじらしさ。皆に捨てられても誰かが帰ってくるのではと細い可能性にすがるいじらしさ。
「軍でもらった」という鞄。父親も戦争で傷つき、国に棄てられた元兵士なのだろうか。人を信用するななどの台詞から、彼もまた、気を病み、人に疎まれ無理解に苦しんでいた様子が窺える。
この映画が特別な魅力を放っているのは、移ろいゆく自然と湿地の美しさに、人間の心の移ろいやすさも同時に描かれ残酷さが加わっていることだろう。
カイアは、町の人々からは恐ろしい湿地に住んでいる世捨て人として拒絶され、ティトやチェイスにとっては童話のように美しい世界のお姫様でもある。しかし、チェイスの態度は希少な動物を狩るハンターそのものであり、カイアを所有物と勘違いし、力でねじ伏せようとする。
カイアがテイトにも黒人夫婦にも頼らず自力で恐怖に立ち向かうことを決意したのは、それまでも湿地で生き延びてきた強(したた)かさを身につけたからでもあり、人に何度も裏切られてきたことによる心の防衛でもあり、自然の成り行きだったと思う。
人として法で裁かれるなら罪になる。しかし人間も動物であるのならば、彼女は本能に従ったまでである。カイアが言ったように、そこに善悪というものはない。動物は縄張りを守るため、同じ種と戦う。捕食者がやってくるのならば、全力で抵抗する。
彼女を癒し支えになった動植物たちが、最終的に、生きるなら戦いなさい、と彼女の背中を押したのかもしれない。
裁判後にテイトの手を一瞬離したのは、罪悪感からだろうか。それともまた傷つくことを恐れたからだろうか?
カイアの心の淵と、人知れず小さな幸せを守り抜いた人生に思いを馳せる。小さなカイアの魂はあの沼地で、安らかに眠っているだろうか。
時代背景も重要で、スマホがある現代ではこれほど魅力的なストーリーにはならなかっだろうし、まだ社会的弱者であったであろう黒人夫妻が味方になるのも違和感がなく、自然の流れであった。白人であるカイアの父親に緊張し警戒する様子など、細かな演技もこの作品に複雑さを与えていると思う。
良作
手放しで最高とは言い難いが、良作だと思います。
ミステリー要素というか、オチというか、このあたりは正直良くあるものといえば良くあるもの。
現実と回想をザッピングさせながらの展開も、新しさは正直無い。
なので目新しさや意外性などはそんなにでも無いです。
最後の展開も読めたし。
ただ、話の流れや展開の仕方、映像などは、話的に明るいものでも無いが、十分に見入ってしまえるレベル。
キャラクターも良かった。
多分、今作の魅力としてはそれぞれのキャラ設定だったんじゃ無いかな、と思う。
不自由がないからこその野生感への憧れや、その逆で何も知らないからこその都会への憧れ、そして純粋性など。
それぞれが絡み合って起きる人間ドラマが今作の良いところなのかな、と。
だから、ミステリー部分は弱くても面白かったと言えるのかな。
女の一生
謎解き系ミステリーかと思っていたら、 法廷ムービーで人物伝だった。 どうしてそうなったかを過去へさかのぼってたどっていくストーリー。 結果は最初に示されているのでオチは分かるが、引き込まれる展開。 構成がいいんでしょうな。 最後に一応謎は解けるが、真相は藪の中。 ◯◯◯が犯人だと思ったのになぁ…(笑)
巨大ザリガニを捕らえる為、禁断の湿地帯を目指す!
そんな映画では全くなかった。それどころかザリガニは一瞬も映りません。 爆発ヒットしたミステリー小説が原作で、2021年の本屋大賞も受賞して、この短期間で映画化にまで至った経緯から話の面白さはお墨付きということでしょう。 作者自身が保護活動をしているというノースカロライナの湿地帯の自然、動物、虫達の映像が美しい! 音楽は「ライフ・オブ・パイ トラと漂流〜」のマイケル・ダナ!君に決めた! そして主人公が暮らす湿地帯の家の実在感が半端ない。舞台美術がすごい!宮崎駿もビックリ。ジブリパークにこれが本物だと見せつけたい!この時点で映像化して良かったと思った。 そして撮影監督は「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」のポリー・モーガン! 恐怖に対峙する子供の成長を捉えるキャメラ!B級ホラー映画で鍛えられた無駄な金を掛けない工夫を凝らしたワンショットのカメラワークで決めてきます。かっこいい! 配役も完璧。本作の為に書き起こされたテイラー・スイフトの主題歌「キャロライナ」も、ラストの余韻に浸りながら歌詞が全てを補完する素晴らしい主題歌だった。ちゃんと歌詞を翻訳して流した配給会社!素晴らしい! 原作のクライマックスにあった巨大ザリガニとのバトルシーンがカットされていた(嘘)ので、★マイナス0.5
塩茹でのザリガニを期待した浅はかさ(笑)。
主演の女優さんや湿地帯の風景など、なかなか綺麗で目の保養になったこと、そして最後のゾッとするオチも含めて大変印象的な作品でした。 ただ、全体的に「湿地帯に住む生活感」というのが表現出来ておらず、寓話的、悪く言うと絵空事みたいな雰囲気がただよっていた点は唯一のマイナスだったと思います。 生活感の演出という点で、欠けて居たのが日々の食材調達、調理、食事シーンですね。 貧しそうな小さな子供が居たとして、一番気になるのが「毎日どんな食事をとっているか」です。採集活動で生活資金を得ることが出来たとして、購入したとうもろこしの粉(でしたか?)を当時、どうやって調理してたか気になって仕方ありませんでした。 彼女が成長するにつれて湿地帯で採取できる食材だけで日々の暮らしは全く困らない、なんならフルコースでも作れる、って設定にしたらより、鑑賞者との距離が近くなり共感度が上がったと感じました。 題名にあるザリガニも、幼少期に母親からザリガニの群生するポイントを教えてもらっていて、お腹空いたらそこで食材調達しなさいって仕込まれていた可能性をまじめに予想してました。ザリガニは当時から日本でも普通に食べられており、意外に美味しいそうな。 古びてはいるが、カラッとして湿気をまるで感じないアトリエみたいな彼女のお家は、撮影用のセットなんでしょうけど、不便な田舎暮らしの経験のある私には観光宣伝用にしか見えませんでした。 では。
綺麗と美しいは違う
原作未読、あくまで映画内の情報のみの感想です。 原作がベストセラーということで、映像化に重きを置いて所々描写を端折った感がありますがそれはさて置き、映るもの全てがとにかく小綺麗過ぎて終始気になってしまいました。 主人公は文字通り沼地でその日暮らし、毎日貝を拾い集めて主食はとうもろこし粉。そんな劣悪な環境でも髪のキューティクルは保持され日焼け肌荒れとも無縁……というのは彼女の生得的な体質だと言えなくもなく、何より美男美女の恋愛ドラマがあるのでギリギリOKですが、それでもシーンが変わる度にばっちりスタイリングされた衣装を纏う必要は?というか、資本は? 翻って学校に行くシーンだけわざわざボロ衣装で顔も当てつけのように泥だらけにしたりと、なんともインダストリアルな美醜のコントロールに見えてしまう。 ※いくらなんでも裸足というのはやり過ぎじゃないですかね。人生難易度インフェルノモードの『少女ムシェット』ですら木靴は履けていたのに。 恋仲になる男も貧乏設定ですが、同じく小綺麗過ぎる。整髪料を撫でつけ、パリッとしたインナー白Tシャツに無骨なワークジャケットを着こなす絵に描いたようなハンサム。私が夏場愛用している、今年3年目に突入したヘインズ赤パックTシャツの首元なんて見るも無惨にヨレヨレですよ。現実、貧しさというのはまず視覚から表れるものなんです(だからみんな金持ちになりたがる)。 また、この映画は最近たまに見かけるようになった無煙映画でもあります。50〜60年代のアメリカの片田舎で、登場人物はおろか道ゆく人すら誰も煙草を吸っていないなんてあり得ないですが、喫煙は絵面が汚いので綺麗な映画には不要なんでしょう(煙草を買うシーンだけは辛うじてありますが、パッケージも写さない徹底振り)。 おそらく、主人公を通して描きたかったのは宣伝文句の「美しい自然」ではなく「野生」でしょう。 裸足は野生の象徴で、10代半ばを境に激しく入れ替わる衣装はオスを引き寄せるための擬態にも見えるし、動植物への異常な興味は生存本能からくる知恵とも言えなくもない。 そのテーマがあるのならば、人工的で作為的な画面はどうしてもノイズになってしまう。 キャラクターも良い人は知的な人格者、悪い奴はふしだらで暴力的、老弁護士は清貧で大衆は排他的。とてもモダンな道徳観で、自然や野生とは縁遠いものです(だからこそ、あの終わり方だとも言えますが)。 成功が約束された期待値の高い作品なので、美しいとされるものしか見せたくない気持ちは分かります。が、貧しく愚かで汚いものにも美しさは宿るし、その部分を表現しないと本作のウリである「衝撃のラスト」に正しく繋がらないのではないかと思いました。
ザリガニの鳴くところは何処?
基本的に恋愛映画であり、1人の女性の成長物語
死体から始まるので、ツインピークスのような、サスペンス、ミステリーを想像していたのだけど、結局は殺人か事故か、だけが争点で容疑者も1人しか居ないから、ミステリーの要素は薄め
その代わり、恋愛ものとしては、しっかり描かれているし、湿地帯の自然美がこれでもかと、盛り込まれている。
個人的にはそんなところで寝ていたら、蚊に刺されて大変では?とか、風呂はあるのか?とか、いらん事ばかり気になって、ロマンチックな気分にはなれなかった。
田舎が最高な彼女を都会に連れ出す難しさに、ボーイフレンド達に同情したりもした。
この映画では、彼女を助ける雑貨屋の夫婦や弁護士といった暖かな人々と、暴力や偏見、陰口で支配しようとする人々との対比が見事で、法廷シーンも、不利だった状況を、少しづつ勝訴へ持っていく流れも見事。映画としてつまらないかというと、そんな事はないのだが、単純に好みでは無かった。
この映画の最大のミステリーは、ザリガニが鳴くところとは何処なのだろうか?と言う謎には残念ながら解答は用意されてはいない。
考察ブログなどを探してみたが、原作者の説明より、Crowdedとの聞き間違い説が一番腑に落ちた
もちろん、映画にはない事ですが、本当に父親は、あの家を出て行ったのだろか?
自然の美しさと恐ろしさを圧倒的な映像美で描く
2022年に見た映画の中でTOP5に入る。 「ザリガニの鳴くところ」は、ノースカロライナ州の湿地を舞台にした物語である。主人公の少女カイアは、幼い頃に家族に見捨てられ、一人で湿地で生きていくことを余儀なくされる。彼女は自然と共生する方法を学び、その過程で自然の本質を深く理解していく。この作品は、カイアの人生を通じて、我々が忘れかけている自然本来の姿や、人間と自然の関係、そして孤独や生存、偏見といったテーマについて考える機会を提供してくれる。 この物語を支えているのが、湿地帯の美しさを余すところなく描き出す卓越した映像美だ。デイジー・エドガー=ジョーンズ演じるカイアの繊細な演技と相まって、観客は冒頭から現代社会から切り離された自然の世界に引き込まれていく。 しかし、この美しい自然は同時に危険も内包している。湿地帯は美しくも危険な場所であり、カイアは常に自然の脅威と向き合いながら生きている。これは、我々が忘れてしまった自然の両義性、つまり慈愛と無慈悲さを併せ持つ存在としての自然を思い起こさせる。 この環境の中で、カイアは生存のための知恵と技術を磨いていく。彼女の習得した技能は、自然の一部となることで得られた、本能的かつ洗練された知恵の結晶といえる。 「ザリガニの鳴くところ」は、現代社会で失われつつある自然との共生の在り方も問いかけている。カイアの生き方は、自然に耽溺することで得られる自由と、同時にそれがもたらす孤独や危険にも言及している。 カイアが享受する自由は、湿地帯の豊かな自然の中で、彼女は学校教育という社会の枠組みから解放され、自然を教師として生きる術を学んでいく姿として描かれる。鳥の羽根を集め、貝殻を拾い、自然の中で自由に探究心を育んでいく様子は、現代社会では失われつつある子供時代の原風景を思い起こさせる。 しかし、この自由は同時に深い孤独をもたらす。カイアは、社会から隔絶された環境で、人との触れ合いや愛情を得られない孤独な日々を送る。この孤独は、彼女の内面に深い傷を残し、人間関係を築く上での障壁となっていく。 さらに、自然の中での生活は常に危険と隣り合わせである。例えば、突然の嵐や野生動物との遭遇など、文明社会では経験しない危険が日常的に存在する。また、社会から孤立していることで、人間社会の危険にも無防備になる可能性がある。 オリビア・ニューマン監督の繊細な演出は、これらのテーマを巧みに織り交ぜ、観る者に考察を促す。特に最後のワンシーンの見せ方は、鑑賞者にとって「自然」そのものを考える役割として、この上なく機能しているといえるだろう。 この映画は、我々に自然の本来の姿を再認識させ、人間と自然の関係性を見つめ直す機会を与えてくれる。また、自然の中で生きることの美しさと厳しさ、そして人間社会との関わりの重要性を、観る者に深く考えさせる作品となっている。 まとめると、この作品は単なる自然讃歌ではないということだ。それは、自然的であることの美しさと困難さ、自然の持つ慈愛と残酷さ、そして現代の人間が社会から切り離されることの困難さを描き出す、複雑で壮大な物語なのである。「ザリガニの鳴くところ」は、我々に忘れかけていた自然の本質を思い出させ、自然との新たな関係性を模索するよう促している。
エンドロールに掛かる曲の歌詞が沁みる
湿地帯の家にひとり残された少女が生き抜く人生の物語であり、恋愛サスペンスでもある。 久しぶりにちゃんとした良い映画観たなぁ~って感じ。 エンドロールに掛かる曲の歌詞が沁みる。
サスペンスかと思ったけど…
湿地で育った女性の一生についての映画。もっと想定外の展開を見られると思ったけど予想通りの展開だったな…。予告の事件について見られると思ったのに9割女性の人生についてだった。良い話は好きではないので…。
思ってたのと違う
「ザリガニの鳴くところ」なんていうタイトルと不穏なポスター、予告編では死体と法廷。てっきりホラーかサスペンスかと思ったら全然違った。 親ガチャ外れの女性の愛と自立の物語。普通に良い作品でした。
善悪の捉え方
ノースカロライナ州の湿地の大自然を舞台に家族から見捨てられて孤独に生きてきた少女の半生を恋愛、ミステリー、法廷ドラマを混じえながら描いたストーリー ストーリーの主題は、他人からのレッテルや差別 ストーリー展開や内容がとてもよく、自分的には、今年観た映画の中でもトップクラス 主人公カイアは、内向的で純粋そうに見えるが、厳しい家庭、生活環境の中で自然と共に逞しく生きてきただけあり、芯の部分はとても強く、時々殻から出るとすごい行動力を発揮する 一方、殺されたチェイスは、カイアを弄ぶ性悪のDV男と捉えられるが、本当にそうだろうか? 街の有力者の息子と恵まれた家庭環境、街では常に友人に取り囲まれ、孤独とは程遠い、カイアとは正反対の環境 しかし、彼がカイアに話している内容から察するに、やたらと干渉し自分の意見を一切聞いてくれない過干渉な親、周りにいるのは自分が街の権力者の子供と言う肩書きに擦り寄ってくるホントの友人とは呼べない連中、更に勝手に親同士に決められた婚約者 彼は、きっとすごい孤独を感じていたのだと想像できる そこに現れた孤独中でたくましく生きるカイアに、本当に惹かれたんだと思う 彼の本性は、本当に婚約者がいるにもかかわらず、カイアを弄びDVをするような劣悪な人間なんだろうか? 自分は、それ以前のカイアと過ごしていた時の彼が本の彼なのだと思う その証拠に彼女から貰った貝殻のネックレスは肌身離さず、最後まで身につけていたことからも、本当にカイアのことを愛していたのだと想像できます
彼女の名前を耳にしたい
よく聴くラジオ番組で、池澤夏樹&春菜父娘が絶賛していて「ブックマーク」していた原作。遅読で積読が減らない私は、結局今回も「映像化」されたものから先に鑑賞となりました。 で感想ですが、意外なまでに「潔くシンプル」で「美しさが光る」作品です。 シーンは湿地帯の風景を鳥を追いかけながら進みつつ、主人公カイアのナレーションで始まります。まずはこの自然の美しさに目を惹かれます。 そして、発見される変死体から一気に進む捕物がプロローグとなり、そこから回想と法廷シーンで展開していきます。これが過剰な演出を一切加えず、そして淡々と語りながら進んでいく物語はまるで既視感すら感じるほど「古典」で、そしてこれぞ「映画」な仕上がりに惹き込まれます。 おそらく高評価は、単なる「面白さ」への賛美ではなく、「深く感じ入って、強く印象に残る作品性」を讃えるものであると理解することが出来、そして一映画ファンとして喜びを感じます。 さらに、なにより素晴らしいのがカイアを演じたデイジー・エドガー=ジョーンズ。生き抜くために身に着けてきた能力と強い意志を、言葉数少なくも繊細な表情で演じ、とても自然で印象的で且つ美しい。出来ることならこれからの賞レースで「彼女の名前を耳にしたい」と期待しています。 そして勿論、デイジーの演技を惹き立てるのは幼少期のカイアを演じるジョジョ・レジーナの魅力ある演技も忘れてはいけません。素晴らしい。 それにしてもドラマ『ザ・モーニングショー(19)』でも「アンフェアな社会で生き抜く女性」を演じるリース・ウィザースプーンのプロデュース、納得の一本です。今後も彼女の作品に期待が膨らみます。
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