レジェンド&バタフライのレビュー・感想・評価
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ここまでやるからには、歴史を変えてよかったのでは?
2023年1月公開。
監督は大友啓史、脚本は古沢良太。
Wikipediaによると、
製作費20億円に対して、興行収入24.7億円。
「成功した」とは言えない収支だ。
コロナの5類移行前の公開が裏目に出たのか?
個人的には、
◆歴史でハジけるなら、とことんハジけて欲しかった
という印象。
本作は、時代劇コメディということだろう。
結果はあるが原因(理由)がわからない、など歴史には必ずブラックボックスがある。
「本能寺の変」における明智光秀の謀反はブラックボックスの典型だ。
そこに新たな視点や解釈を与えて、ドラマや映画で提示することは昔からあった。
本作はブラックボックスでない部分に新解釈を与えている。つまり、虚構に足を踏み入れたストーリーになっている。そこまでやるなら、トコトンやりきってほしかった。
織田信長(木村拓哉)に嫁いだ濃姫(綾瀬はるか)が、いきなり新婚初夜に信長をボコボコにしてしまう、なんて感じからスタートする。なるほど、そういうテイストなんだね(笑)。
格闘技でも弓矢でも、武芸全般、濃姫が信長を凌駕する。キムタクは7割が三枚目の役どころだ。
二言目には、「カッコばかり」と信長を蔑む濃姫。
濃姫は、「諸葛孔明と張飛と関羽を足して割らない」くらいのスーパーぶりだ。
歴史的なイベントにも、ほぼすべて新解釈を与えており、桶狭間前夜には、濃姫の乳母各務野(中谷美紀)が、
「尾張はもう終わり、、、いやダジャレじゃないんです」
という状況から、濃姫の献策とロープレにより奇跡を起こす。敦盛を舞うエピソードも濃姫が仕込む。
斎藤道三と濃姫の夢を、濃姫に焚きつけられた信長が実現していく。
ここまでやるなら、ラストも歴史を変えて良かった気がする。
信長の夢は、覚めなくてよかったのではないか?
という☆2.0
映画という魔法を使った時代劇
映画とは、魔法である。そんなことを久々に感じさせる作品だったなと…。観ている時の高揚も、時間が経つと萎えていくというか。悪く言うと捻らず真っ直ぐに、よく言えば2人の為の映画だった。
70周年を迎えた東映、脚本に古沢良太氏、監督に大友啓史氏の布陣で攻勢をかけたわけだが、なぜ時代劇?とはなる。慣れないことをするなぁ…と思っていたものの、見ていると面白い。織田信長像を再構築しながら、濃姫との30年間をじっくりと描いていく。程々に分かりやすくしつつ、これまでの時代劇と一線を画すように豪勢なカットが続く。威厳がある一方、ちょっと疲れて来るのも事実。二人芝居の為の配役というか、周り方をしているなーという印象。サイドストーリーとして描かれる内容は史実の合戦くらいだった気がする。また、濃姫との物語を妻と夫として見せていく技量を持つ古沢良太氏の凄さに改めて驚かされるが、掴みとしては最悪(笑)。ジッと撒いて引き上げる作風は見応えを感じる。本能寺の変は新しい解釈を踏まえている点も良かったが、あまり残るものでは無かった気がする。
主演は木村拓哉さんと天瀬はるかさん。ほぼ2人の為の関係性を描くための配置になっているので、脇役感が凄い。森田想さんのポジションはおいしいなぁと思ったり。見上愛さんはポツッと出たくらいでちと残念だった。笑
豪華絢爛であるから良いという訳ではないけど、たまには邦画でこういうのも悪くないのかもと思った。
濃姫が主役
2024
33本目
興味ありだったが、腰重めで今まで鑑賞せず。
評価もあまり良くない感じだったので、期待せず鑑賞。
序盤から、ん?なんか信長ってこんな感じ??
って見てると濃姫(綾瀬はるか)の一言で映画が締まり空気が変わった。
これは面白いかも!
信長の解釈が新鮮で、たしかにこの大人子供は木村拓哉はあっていると感じた。
信念を持ちながらも、どこか心の弱い信長を濃姫が導くようなストーリー。
これは時代劇とゆうより、2人のロンマス時代劇。
歴史的な出来事をなぞりながらのストーリーは意外と見やすく、綾瀬はるかの演技が光る。
明智光秀の謀反の理由も斬新だった。
結局、歴史の中で”出来事”は本当だったとしても人物像や関係性は誰にもわからない。
だからこそ、こういった切り口の織田信長もあっていいと思った。
第六天魔王を自ら名乗った織田信長も人の子。
これだけは変わらない事実。
なかなか見応えありの映画だった。
ドジっ子信長くん奮闘記
期待し過ぎてしまった感
ラスト好き。
超大作ホームドラマ
リボルバーリリーを劇場で観て、綾瀬はるかさんのアクションに興味が出たので、遡る形で少し前に公開されていた本作をVODで鑑賞しました。
監督は大好きな龍馬伝やるろうに剣心シリーズを手がけた大友啓史さんという事で、重厚な人間ドラマにかなり期待していたのですが、いかんせん脚本がコンフィデンスマンJPやリーガルハイを手掛けた小沢良太さんであるためか、妙な所で笑いを取ろうとして不発に終わるパターンが多々見受けられ、折角の俳優陣の演技を安物臭くしてしまっていて残念でした。
どうする家康でも感じた事ですが、この人が絡むと、作品がライトウェイトになってしまうので、重厚感が必要な作品には携わるべきではないと思います。
イメージ的には、映画というよりも、長時間ホームドラマという印象を受けました。
連続物のホームドラムにはチョコチョコとギャグを入れるのもありかと思いますが、この系統の作品なら、重厚感を全面に押し出した方が良かったと思います。
シリアスで重厚な人間ドラマを狙っているのか、随所に笑いを入れたコメディなのか、制作意図が掴みかねて戸惑ったというのが、正直な感想です。
リボルバーリリーも興行的には失敗に終わりそうな見込みですし、本作も黒歴史的な扱いを受けていた様ですし、綾瀬はるかさんは非常に良い演技をしていたと思いますが、両作共に脚本がイマイチだったせいで、作品そのものは失敗作扱いされてしまい、気の毒に思います。
ただ、織田信長自身は優柔不断な人間だったが、帰蝶のの機転で、歴史に残る人物へ変貌していったというアイデアは非常に斬新で良かったと思います。
ただ、手違いで浮浪者と乱闘になってから後の豹変ぶりが極端過ぎて、非常に違和感を感じました。
冷静さを維持している帰蝶の一方で、1人だけ勝手にハイテンションになってゆく信長が滑稽に感じました。
元々は信長以上の野心家で夢を描いていた帰蝶が、暴走の止まらない信長に邪魔者扱いされ、呆れから諦め、哀しみへと変わってゆく表情には、非常に切ないものを感じました。
流産もひとつのきっかけなのかもしれませんが、後半どんどんと衰弱してゆく様子は見ていて辛かったです。
ラストシーン直前のシークエンスについては、賛否両論があるかもしれませんが、どうせコメディとかファンタジー要素を中途半端に盛り込んでしまっているのなら、いっそのこと、思いっきりそっちに振り切ったまま終わってくれた方が、まだ潔さを感じるし、一条の希望をたと思います。
観客は初めから史実を知っているのだから、わざわざそれを再認識させる様な寂しい終わり方をここで敢えてしなくても良いと思いました。
みんなが観たい歴史IFではなかった?
本企画の柱は、信長と帰蝶が実は想い合う2人なら?というIFだ。信長と帰蝶のラブロマンスは割と珍しいパターンであり一定数観てみたいという人はいたと思われる。そこにキムタクと綾瀬はるかを載せれば一見盤石に見える。
しかし、本作をラブロマンスとしてみると、2人の距離感が遠い。これは史実との整合性を意識しながら2人を描くと仕方ない面があり、結果ラブロマンス層には物足りない。それは制作陣も理解していて終盤に長尺の空想シーンが入る。
では、歴史もの信長もの層にとって考えてみると、本作の信長は多くのファンにとって観たくない信長像であろうし、歴史ものとしては合戦シーンも排除されているため、この層にもやはり受けなかった。
この映画を堪能出来るとしたら帰蝶ファンであろうか、形式上は信長が主人公だが実質は帰蝶が主人公のようだった。ただ如何せん、帰蝶は記録に乏しく本名すらはっきりしない。人物像としての軸も確立されてないためファン層は限られたのではないだろうか。
信長と帰蝶のラブロマンスという切り口は悪くないのだが、もう少し映画ファンが観たいものに寄せる工夫が必要だったのではないかと思う。
ただ長い
大切に思う人がいるって 幸せで生きてることがとても豊かになると思う...
しいて言うなら…
それなりに楽しめましたが、残念な映画でした。
信長映画にしたくなく、
戦国映画にしたくなく、
歴史映画にしたくなく、
純愛映画にしたくなく、
スター映画にしたくなく、
しいて言うなら…
長編漫画を映画化した感じ。
うーむ、違うな。
なんかしっくり来ない。
前半パートの濃姫と信長の”若者恋物語”は
それなりに楽しめた。
合戦シーンをあえて描かない手法は、私は賛。
歴史もの戦国もの信長ものを好きな人は否でしょうね。
中盤、上洛したあたりからダークサイドな展開も、私は賛。
純愛もの、スターものを好きな人は否でしょうね。
でも、城下町でのスラムとの格闘や、延暦寺焼き討ちなどは
ラストシーンへとつながる問題提起なので必要なシーンでした。
しかし、そここそがこの映画を”否”とする方が嫌いなシーン
になってしまうというカタルシス。
そして終盤、最も賛否が分かれるところ。私は賛。
こういう対策はハッピーエンドにしないとヒットしない。
と、分かった上であえてやった監督には拍手。
「信長は生きていた」的なハッピーエンドは
映画ファン、歴史ファンに総スカンを食らうと
分かってたからこそ、
一瞬”夢オチ⁉”と思わせるサービス精神も
持ち合わせている。
しかも「これは夢ではあるが、オチではないよ」
という作りにちゃんと仕上げている。
そして、いつ信長が「人間五十年~」って
舞を舞うのかなという歴史ファンの
溜飲も下げている。
ですが、残念なのがラストのセリフ。
「ずっと、好いておった」これはいらない。
冒頭から本能寺まで”ずっと好いておった”のは
ちゃんと伝わっているよ!
そういう映画づくりをしてきたんじゃん。
そこは、セリフじゃなく、キムタクの表情で
伝えないと!
蛇足ながら「なぜハッピーエンドにしなかったのか」の考察。
愛する人を守るためとはいえ、上洛後のスラム街で
貧民たちを虫けらのようになぎ倒す権力者とその妻。
天下布武のため、寺を焼き討ちし、女子供を皆殺しにした
”我人にあらず”魔王にまでなったダークサイド信長。
そんな人はハッピーなエンドを迎えさせてはいけない。
という映画人としてのメッセージ。
と、私は受け取りました。
至上のラブストーリー
願わくば、己の今わの際で、ラストシーンに信長が述懐した台詞を呟きたいと思います。
織田信長と濃姫が生きた激動の30年を描く感動超大作と謳う、誰もが知る日本史の英雄伝を描く2時間48分の本格時代劇大作と受け止められていますが、本作は、時代劇の体裁をとった壮大で崇高なラブストーリーです。
歴史の冷酷な運命に翻弄された、一人の男と一人の女のピュアな愛とナイーブな哀しみの30年間を、女(濃姫)が切々と冷静に綴った叙事詩、それが本作の本質です。
カメラは、常に綾瀬はるか演じる濃姫の視点で捉えていきます。粗野で尊大で傲慢な言動を放ちながら、その本性は、実は繊細で小心で惰弱な信長を、時に冷ややかに、時に温かく見つめ包み込む濃姫の、いわば記録者としての”目”を、私は本作を観ていて強く実感していました。
キムタク演じる信長の喜怒哀楽は、露悪的なほど赤裸々に表されますが、濃姫の感情表現は、たった一度を除いて、殆ど出て来ないのは、その証左です。
日本史に燦然と輝く偉大なるレジェンド、その真の姿を、可憐に舞い翔ぶ蝶(バタフライ)が見つめ綴った物語、女性が綴った愛の変遷の究極の物語といえるでしょう。
最近の映画ではやたらと多用される人物の寄せアップが、本作でも冒頭から頻繁に使われます。茶の間で観るテレビのドラマなら緊迫感を出すために使っても良いですが、映画館で観る映画では、寧ろ立体感遠近感を見せるべきで、従い引きロングが適しているはずで、人物の顔アップ映像は必要最小限に抑えるべきというのが私の信条です。
映画館の大画面いっぱいに人の顔が、何度も何度も映されると、粗ばかりが目立って興醒めしてしまいます。本作でも早々に失望しかけましたが、そのうちに、少なくともキムタクの目、その瞳の輝き、そこに漂う勢いであり生気が、時間経過に伴って明らかに変わっていくことに気づきました。
粗暴な青年期、誇りと自信に満ちた桶狭間からの凱旋時、野心と欲望が溢れ出る岐阜城入城時、脂ぎった精力漲る天下布武を唱えた時、虚脱感燃え尽き感も漂う天下人となった最後の壮年期・・・、その時々の歴史上の出来事を経るにつれ、瞳の奥の輝き方が劇的に変わっていきます。それにつれて濃姫に対するスタンスや気持ちが変わっていきます。
一方、濃姫は、カメラ目線の主体であるせいか、目もその奥の瞳にも変化は認められませんし、そもそも濃姫は登場からラスト身罷るまで、一切笑顔を見せませんでした。語り部のクールな立ち位置に終始したともいえますが、たった一度、京の都の賤民部落での大太刀回りを逃げ隠れた所で、生の”女”の感情が噴出していました。それゆえにこの時の二人の抱擁シーンは感動的です。
更に時代劇でありながら、実はあまりアクションシーンの多くない本作で、この賤民部落での太刀回りシーンは、キムタクの機敏な動作・太刀捌き、メリハリの効いた動き、緊迫感に満ちた空気感等など、大いに見応えがあります。
また、最近の映画は、劇中に挿入歌、そしてエンドクレジットロールに歌詞のついた主題歌が流れますが、曲によっては映画テーマと不適合と思うことが屡々あります。本作では、ラストの本能寺の合戦での厳めしい効果音が増幅されて、そのままエンディングBGMとなり、エンドロールのクレジットが流れていきます。如何にも伝説的夢物語が終えていくに相応しい幕引きで、非常に好感が持てました。
東映京都撮影所で製作されたために、京都の多くの社寺でロケされていますが、中でも洛東の古刹・泉涌寺の使い方には驚き、思わず喝采しました。
信長の最期の言葉、「ずっと好いていた」。
波乱万丈の30年間を辿った本作の描きたいことを、この一言が見事に表していて、素直に感動に震えて厳粛な気持ちでエンディングを迎えられました。
織田信長好きにはおすすめしません
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