「トムクルらしさは全開だが、他のキャラの扱いには不満アリ。」ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
トムクルらしさは全開だが、他のキャラの扱いには不満アリ。
トム・クルーズ=イーサン・ハントは相変わらずアドレナリン中毒で、映画の観客のために狂気にも似た体当たりサービスをしていて、そこに関しては好感しかない。公開前からさんざん煽った崖の上からのダイブシーンが、フタを開けてみたらコントのためのアクションであったこともミッションシリーズらしくていい。
なんですけど、どうしても今回はノレない部分があって、それを象徴しているのがイルサの死。思えばミッションシリーズは、イーサン・ハントがさんざんドジを重ねながら、ピンチを行き当たりばったりながら根性で突破するものだと思っていて、その点ではオリジナルの「スパイ大作戦」とはまったく違っている。でもまあ、それはそれで構わない。プロデューサー兼主演のトム・クルーズが長年を費やして推し進めてきた路線なのだから。
とはいえ、今回急にイーサンが関わった女性には危険と不幸が訪れるみたいなことを言い出し、敵の手強さの示すためにイルサが犠牲になってしまったのはいただけない。マッカリー監督がこれがシリーズの世界観だと発言しているが、いままでそんなシリーズでしたっけ? 特にイルサは、女性キャラをわりと活かせてこなかったシリーズがついに生んだ、イーサンに匹敵できる女性キャラだったと思っていて、イルサが死んでヘイリー・アトウェルと交代、みたいな使い捨て展開には正直鼻白んだ。
ポム・クレメンティエフの敵キャラがイーサンに寝返るフラグも実にありきたりで、せっかくのキレキャラも尻すぼみではないか。というか、ちょっとイーサンを中心に置きすぎて、女性キャラの扱いがぞんざいになってないか。イーサン以外のキャラを育てることを怠ってきたしわ寄せが来ているように感じて、いささか心配になってきた。まあ今回は完全に「つづく」で終わっているので、パート2ではどうか挽回してくださいよ、という気持ちである。
追記(2023年8月30日):次作で「実はイルサは生きていた!」となる可能性はゼロではないと思っています。監督はこれは苦渋の決断だったと語っていて生存説を匂わす発言は見かけませんが、まあワイスピ的なサプライズがあってもおかしくはない(今のところ亡くなったものだと受け止めていますが)。ただ自分が不満を感じているのは物語よりもキャラの扱いについてであって、特に女性キャラのぞんざいな扱いがシリーズの足を引っ張り始めていると感じていて、ファンとしては方向性が修正されてほしいところです。
大好きなシリーズですが今回モヤモヤが強くて、世間の感想が気になって見に来たらこちらの感想が正しく明確に語られてて、良いねを押すためにアカウントを作ってしまいました。本当に、今回なんで女性キャラがこんな感じなのか、イルサほどのキャラの使い捨て感に心から楽しめなかったのですが、「次で復活」というパターンもゼロではないの言葉に、ちょっと救われました。
全く同感。
一作目のクリスティーン・スコット・トーマスが呆気なく亡くなってしまった残念感以上のストーリーです。
せっかく育てたキャラクターなのに、この映画の世界観自体に疑問を持ってしまい、観ている間も「なんだかなぁー」という感じでした。
ホンマですよ!
イルサ大好きなのに、まさに殺されるためだけに出てきただけとは。
後編はヘイリー・アトウェルが新たなIMFメンバーになってジ・エンドなんでしょうが、彼女もその後は殺されて退場するのが目に見えてます。
こんなことなら、最高傑作のフォールアウトで終わったほうがきれいでした。
デッドレコニングを観た記憶を消したいです!
そうだ、そうだ!まったく同感でーす‼ 今回はエモいところの描写を雑に切り捨てて、アクションに偏重し過ぎていると思います。観ていて途中でどうしちゃったんだろうって思いました。ハントが仲間のことを必ず助けに行くって啖呵切ってますが、イルサはあっけなく死にました。