劇場公開日 2022年10月21日

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線は、僕を描くのレビュー・感想・評価

全277件中、161~180件目を表示

4.0芸術の秋に、すばらしい映画

2022年10月27日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

映画の予告編をたまたま見て「水墨画の映画ってどんな感じだろう?」とあまり期待も予想もなく観に行きました。
結果、すごく良かった。

映像と音楽の合わさり具合がすばらしく、役者さんの演技もじんわりと沁み入るような味わいがあります。
水墨画というテーマのせいか、派手な映画ではありません。展開もそこまで驚くような展開はない。でも今流行りの超展開ではないからこそ、きちんとそこに人が生きて考えて動いている感じがあります。
三浦友和さんをはじめ、役者さん皆さんが本当に水墨画の巨匠っぽい。手元見せながらスッとほれぼれするような線を描くので、皆さんすごいです!あれどうやって撮ってるの? ご自分で描いてるんですかね? どちらにせよすごい!!

→気になって調べてみたら、役者の皆さんすごい時間かけて水墨画の修行をしたそうです。もちろん絵のすべてではないようですが、きちんと向き合って特訓されている姿勢に改めて感動しました。

水墨画って初めてちゃんと見たのですが、素晴らしい世界です。いつか生で書いているところを見てみたい、あわよくば習ってみたいなと思いました。

この感じ何か似てるなと思ったら、前に見た映画「日日是好日」。あれを見た時もじんわりと胸があたたかくなって、お茶を習ってみたいなぁと思ったものでした。

追記:
映画で描かれた水墨画を直に見たくなり、目黒雅叙園でやっている企画展に行ってきました!

映画で登場した作品のほとんどを間近で見ることができます。
素晴らしい文化的価値のある百段階段という会場です。墨汁とお香の匂いのただよう美しい空間で作品が見られました。
役をイメージした作品などもあり、この映画が好きな方ならかなり楽しめると思います。

目黒雅叙園で11/27まで。おすすめです!

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きょん

4.0泣けた・・・!すごくいい映画

2022年10月27日
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しまった、こんな日に限ってハンカチを忘れてしまい、
涙でぐちゃぐちゃに。

これも高レヴューに惹かれて観てみたら。

横浜流星くんめちゃくちゃいいやないの。
(ついこの間「アキラとあきら」出てたよね?寝る暇ある?)
清原果那ちゃんも上手い!
江口洋介と三浦友和もめちゃくちゃイイ!

・・・水墨画、やりたくなる⁇

大学生の主人公が著名な水墨画名人と出逢い、水墨画の世界へ足を踏み入れ、自分の生き方を見つめる話。

「君の生きる力になる」

「できるか、できないか、じゃなくて
やるか、やらないか、でしょう」

優しい物腰だけど力強い言葉で見守り導いてくれる名人に三浦友和。
兄弟子に江口洋介。
名人の孫に清原果那。

水墨画というのは一つの手段であって
これがスポーツでも絵画でもなんでもいいわけです。

要は、自分の居場所、自分を解き放てる場所を
見つけれるかどうか。

若い2人の演技に引き込まれて、気づいたら涙こぼれました。
これからも楽しみな2人です。

江口洋介さんの役、自由でめちゃくちゃ素敵です。
料理美味しそうだし、やる時はやる凄い人。

この映画ぜひ観てください

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Mariko

4.0黒一色の濃淡に己のコスモを賭ける森羅万象絵画!! 水墨画を題材に主人公の人生再生を描くヒューマンドラマ作品

2022年10月27日
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鑑賞方法:映画館

 "水墨画"という一般になかなか馴染みの薄い題材ですが、原作者の砥上裕將先生が水墨画家でもあるということで己が身を窶すフィールドを生かした小説家デビュー作とのことです。
 主人公とヒロインが様々な問題にぶつかりながら切磋琢磨する姿はまさしく青春小説、という瑞々しさを感じさせますが、とみに主人公が過去の悲痛なトラウマに苛まれ、それに向き合うことでしか人間としてのみならず水墨画家としても前に進めない苦悩、命を削るようにして人生を再生させていくジレンマは他のアイドル映画・スポーツ映画には観られない"痛み"が有りました。
 全体として登場人物を絞ってそこからさらにフォーカスするまではよかったものの、各エピソードが厳選する止まりで濃縮まで行き届いておらず、道を究める芸術の煌めきよりも、心を抉る痛みのほうが印象として重めに残ってしまったのが玉にキズではあると思います。
 ともあれ、若手とベテラン双方の実力派俳優陣の魅力は伝わりましたし、そういう意味では青春映画としてだけでなく俳優目当ての需要にもきちんと応えた旨味もきちんと味わえる作品でした。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)

2.5「ちはやふる」の出来に比べると…

2022年10月27日
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鑑賞方法:映画館

決して悪くはないのだが、どうもうわっ滑りしてしまってる感が否めない。題材が“水墨画”という繊細なものだけに、余計それを感じてしまう。

水墨画を見て涙を流すだけで才能を見抜いて、すぐに弟子にするのは流石に乱暴では?

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プリズナー No.6

4.0ほどけてゆく瞬間

2022年10月27日
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ことばには力があると思う。言霊というように呪いでもある。
小さい頃は将来ナニにナリタイノという洗礼を受け、おそらく誰もが大きくなったらナニカになるのだと思い、子どもでいられなくなる頃ナニになろう、なれるんだろうと考える。そして世の中で成人とされる頃にはナニカのなんたるかに惑わされたり、見ないようにしたり、見つけたり、見つけた気になったりして、ナニカをかかえて流れてゆく。まさに「ナニカ」と「ナル」、言霊、呪い。
それを「かわっていく」「ある」にかえたとたん、言霊、呪いがほどけてゆく瞬間をみせてもらった、ような気がした。
咲く椿に、艶やかな薔薇に、昇る龍に、深い山々に、線に、今は会えない人たちや過去の自分、そして自分が、「かわっていく」「宿る」のが描かれていた。

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ヘッラ

4.0映画館の大きなスクリーンで見てよかった

2022年10月27日
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鑑賞方法:映画館

 登場人物たちの奥行き・輪郭が描きたりていない印象をうけました。その描きたりなさには意図があって、省けるだけ省いて本質のみを残す水墨画の表現方法をシナリオにも重ねた、というなら納得ですがそうではなさそうで。個人情報の壁がスクリーンのうちにまであるのかと、もどかしく感じるほど。
 加えて『途中から観てるのでは?』と疑うぐらい、唐突な展開に戸惑いをおぼえました。時間軸をダイナミックに組み替えるストーリーは今どきだから『その手ですか』と落ち着かないまま待ちましたが、後回しにされた登場人物たちの輪郭は、最後まで奥行きがでてこないままでした。揮毫会で描かれていく水墨画のように、大胆に下ろされた太い線が、最終的にどういう絵のどういう部分に収まるのか、そういう構成の妙味を静観するおもしろさをシナリオにも重ねた、というなら納得ですがそうではなさそうで。
 主人公が白紙だという設定は、領域を超え躍動し、物語をも真っ白にした、ということでしょうか。それなら納得です。

 で、物語としては弱いのですが、それでも高く評価したのは、ビジュアル100%の映画だとわりきってみれば、傑作だと思うからです。映画館の大きなスクリーンで見てよかった。真っ白なスクリーンに水墨画の筆跡が躍動するシーンはそれだけで感動しました。
 テクニックをもっと紹介してほしかったという残念さはありますが、それは書籍での宿題にまわせること。 すばらしい線を伝え、線を引く魅力を伝え、線がすばらしくなる心構えを伝えることに、全力を注いだ映画なんだなと受けとめれば、ほかのことはさておき、見てよかった作品でした。

 競技かるたもそうですが、本作のような陽の当たっていない日本の文化を後ろ押しするまじめな邦画こそ、いまの時代に必要なのではと思いました。疫病と戦争を乗り越えんと直接的な経済政策が連日審議され報道されていますが、人々の関心事の幅を広げ奥行きを深めてくれるきっかけとなる機会の提供、間接的ではありますがこれも経済の活性化に少なからず貢献しそうです。

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ピラルク

4.0漫画家や、アニメーターを目指す人にも観てもらいたい作品です!!

2022年10月27日
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観れました!!😃

何も期待せずになんとなく気になった映画でしたので、先日観に行ってとても楽しめた作品でした。

横浜さん、清原さんの美男美女見たいのもあったかも知れませんが…(^_^;)
水墨画すごくスッと入って来ました。
やってみたいと思うくらい!!

紙に命を描き入れる。
アニメにも言えたり、漫画にも言える事ですが、真っ白な紙の中に世界を作れる仕事。無限の可能性のある仕事。
いずれも最近著名な漫画家さんや、東京国際映画祭2022にて上映されたアニメーション作品の監督さんの発言でした。

映画を観ていて再認識させられた思いです。

漫画家さんや、アニメーターさんを目指す人にも観てもらいたい作品です。

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ソッケ

4.0水墨画に興味がわく

2022年10月27日
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水墨画は地味な印象を持っていたがこの映画をみてとても興味がわきました。
清原果耶はTVもいいが、映画の方がもっといい演技に見えるのはなぜか?

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おっけ

4.0水墨画の魅力

2022年10月26日
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テーマは水墨画で、全体的に水墨画の魅力を伝える良い作品だったね。横浜流星扮する憂いを含んで初めて水墨画に挑む青年役が清原果耶扮する水墨画大先生の孫とからんで真面目に水墨画に向き合っていく。三浦友和扮する大先生湖山がなかなか趣深くて良かったよ。突然実力を発揮する湖峰役の江口洋介も熱演だったね。

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重

3.0うん、優しい作品です。

2022年10月26日
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清原果耶ちゃんがどんどん綺麗になってますね❤️
流星君も場数を踏んで、キャリアを確実に積んでますね。

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酒呑童滋

5.0線を見つける

2022年10月26日
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よっちゃんイカ

4.0悪くない感じ

2022年10月26日
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リボン

3.5水墨画の線とともに自由に、伸びやかに、解き放たれてゆく!そして青年は生まれ変わった

2022年10月26日
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楽しい

突然の不幸に、心が凍りついたまま動けなくなってしまっている霜介にとって、水墨画との出会いは
まさに運命的!
声をかけた篠田湖山の才能を見抜く能力もスゴイ!

次第に水墨画に没頭してゆく霜介は
やがて、閉ざされた自分の心の中にあった
抱えきれない思いを作品へ投影し、見事な水墨画へと昇華させてゆけるようになる…
こうして、ようやく前へと踏み出してゆく青年!
清々しい物語だった

もう一つの見どころは、
水墨画の魅力が満載だったこと!
映像のなかにうまく取り入れられていた
一発勝負の迷いのない線と、
墨一色で描いているのに、鮮やかな色彩に見えてくる不思議な画面
筆跡の流れからは、風や水の流れまで感じさせる
本当に、奥が深い…

が、逆に!
ストーリー的には、ちょっと、浅かった
せめて、もうちょっと修行させてから
霜介に新人賞とらせてほしかったなぁ

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ぴーちぱい

4.5白米から先に食べるおとこ・・・

2022年10月26日
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泣ける

興奮

白米から先に食べるおとこ・・・

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ピグモン

4.0こういう映画好き

2022年10月26日
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鑑賞方法:映画館

主役の青山くんの目線で鑑賞していたように思います。全然知らない水墨画の世界に目からウロコが落ちてきたような感じでした。無駄にセリフが多くなくて話の内容もよかったし、どの役者さんもみんないい表情で最初から最後まで穏やかに鑑賞できました。鑑賞後もとても気分がよかった。いい映画でした。

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okuy

4.0水墨画が素敵でした

2022年10月25日
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キャストがよかったので鑑賞しました。
横浜流星さんと清原果耶ちゃんだから楽しみでした。ストーリー展開はシンプルでどんでん返しもないけど楽しめました。

水墨画がとても綺麗で魅了されました。
それだけでもスクリーンでみる価値あり!!

これは続編はあるのかな?

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nekomachi

4.0成るのではなく変わっていく

2022年10月25日
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沼に幸せな出会いが出来た人の映画です。
日本の文化は奥が深いです。
違う沼にハマっているのでよくわかります。

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立丸

すごく面白いし感動した。何で青春映画の金字塔なんてアホな宣伝するんだろう。

2022年10月25日
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鑑賞方法:映画館

西濱湖峰(江口洋介)がぼやく、「本質だの命を描けとか、えらい先生の言うことは面白い」。その通りだが、どういうコトかは分からない。題名も「線は僕を描く」 で 「僕は」ではなくて日本語として意味不明だ。しかし最後まで見ると何となく「線は僕を描く」の意味が分かったような気にななってしまう(^^)

篠田湖山(三浦友和)も偏屈な大家でなくいい人なのがいい。孫の千暎(清原果耶)が水墨画家としての葛藤の末に戻ってきたときの「おかえり」はとても心暖まるものだった。
「ちはやふる」があまり面白くなかったので期待してなかったが、「線は僕を描く」は面白かった。
映画は一冊の長編小説を2時間でまとめるから、話の筋を追うだけのトントン拍子なのは仕方がない。できればPART2と3で今回のラストまでにあった出来事を見てみたい。

【11/10(木)・追記】
原作を図書館で借りて読み終えた。「命を描く」とか「線は僕を描く」の意味がよく分かった。
原作にある水墨画の達人2人の言葉。 湖山「磨かなくても最初から輝いてる才能がある」。西濱湖峰「水墨画が何なのかを知っていれば、才能や技術を越えるものがあるのが分かる」。そして本質、命、心を見つめ問い続ける霜介。彼が賞を取るのも納得できた。
原作には湖山「きっと私も描けない」、「花が君の先生だ、ここには私には伝えられないものがある」とか、湖峰「何も知らないことが大きな力になる」など、言ってることは禅問答みたいに「?」だけど面白いセリフや描写がてんこ盛り\(^o^)/

原作はメフィスト賞受賞だから面白いに決まってる (たしか応募・選考基準が、面白ければ何でもOKみたいなことだった)。 映画で描き切れなかったことも てんこ盛りだ。

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マサヒロ

2.0【商業映画としてはハイスペック◎洗練された106分】

2022年10月25日
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面白さ☆3.5/映画は映画、原作は原作。みんな違ってみんないい。原作を読んでから映画を見に行った人と、映画だけを見た人で評価が分かれるだろう。
この映画は、絵を描くのが上手いと評される画家に、市井の中で話題になっている絵を模写させて、その絵に似合う額縁をなんとなくのニュアンスで選び、大衆に向けて販売した絵画のようだ。

◎本屋大賞原作の映画化について思うこと
本屋大賞原作の映画はまさに現代の消費コンテンツのお手本である。映画の作り手は話題性のある原作の映画化で放映収入を得ることができ、出版社は映画というメディアミックスによる原作の売り上げを向上させることができるという両者がwin-winの関係であるため、映画化はなかなかやめられないのだろう。

出版社側にとって、映画が原作の売り上げを向上させるための話題作り(マーケティング)でしかないならば、映画ほどの予算をかけずとも他に手段があるのではないかと思ってしまうけれど、現実はそこまで熱意のある人がいなければ、予算も知恵もアイデアも潤沢にはないのだろう。

話題性があるからメディアミックスが検討され、さらに話題性が高まることで多くの人に見られる。だからこそ、話題を作っていくことが商業的には大事になる。話題作りにおいて映画化はやり方も既にパターン化されており、尚且つ効果が絶大である。そのため、ある程度原作が話題になれば映画にしない理由がない。

しかし、売り上げが上がれば内容の大幅な脚色、改変をすることを厭わず、それを編集としてまとめてしまうのはいかがなものだろうとも思う。脚色や改変と編集の違いを議論すると長くなってしまうので割愛するが…【そして、バトンは渡された】のレビューにこのように思う理由を記載した。ちなみに本作も原作に忠実とは言えない。薄めるとか、広げるとかではなく、設定そのものをいじっているからだ。

◎映画【線は、僕を描く】について
映画としては悪くない。しかし、個人的にモヤモヤする部分がある。それはこの作品の色だ。本映画は制作スタッフ、キャストともにかなり青春色が強いのだ。そもそも、ちはやふるのスタッフが再集結というのは、小説『線は、僕を描く』の世界とは本質的には関係がない。誰が監督で映画を制作しようと映画【線は、僕を描く】は上映されたことだろう。作品は作品なのだから。それにもかかわらず、誰が作っているかという部分に関してPVを含め、宣伝で押し売りしすぎだと思う。
映画を見た方ならわかるかと思うが、映画【ちはやふる】のスタッフが再集結したということだが、本作は【ちはやふる】のような空色、若葉色、茜色のような鮮やか色はしていない。この映画の青春はむしろ穏やかなセピア色に近く、むしろ【ちはやふる】と比較すれば地味といえるだろう。原作を読み込み、製作陣なりに解釈した結果だろう。その製作人のたちの読み込みに反し、PVや宣伝などは映画以上に青春アピールがなされている。少し露骨だ。これはいただけない。PVを作った人の売れれば良いのだという熱意のようなものは感じる。つまり、チケットを購入する段階までしか見据えていないのだ。映画【線は、僕を描く】の作品を見た鑑賞者が鑑賞後の体験を最大化する意味では、青春色を謳ったPVはバイアスにしかならないのではないだろうか。これでは製作陣が「青春」という記号として宣伝のために映画に起用されたにすぎないようにも感じる。その結果というべきか、ほんのりと青春色のようなものを残した映画【線は、僕を描く】が完成した。原作未読であれば、映画は映画で面白い部類に入ると思う。しかし、原作既読者は何を思うのだろうか。

ただ批判がしたいというわけではないのも事実だ。というのも、総じてこの映画はこの映画【線は、僕を描く】のためのキャストであり、制作スタッフであり、内容であったのは確かだからだ。相変わらず、横浜流星は演技が上手いし、製作陣による映画館ならではの音響の使いこなしはさすがだ。少し音を多用しすぎている気はするが、現代の知識を総動員して制作された技巧的な映画だといえる。ベテラン俳優陣を含め、製作陣の方々は大健闘であった。たぶん、映画だけ見る人はこの映画はこの映画で完成されてると感じることだろう。

自分が求めている映画【線は、僕を描く】ではなかったけれど、素晴らしき小泉監督版映画【線は、僕を描く】の世界がここにはあると思う。

◎原作既読者でも評価が落ちにくいわけとは?
何よりもこの映画【線を、僕は描く】は、小説では掴みきれなかった水墨画を視覚や聴覚への刺激をもってして巧みに表現したことにあると考える。原作でも本作は主人公がひたすら水墨画について考えるシーンかある。筆を何度も、何度も動かしながら。しかし、小説の中だけでは視覚も聴覚も直接的には刺激されない。頭のいい製作陣の方々は原作既読者としてはどしがたい設定改変を一部行いつつも、視覚や聴覚への刺激を多彩に表現することで評価の著しい低下を防いだのではなかろうか。

◎ひとこと
登場人物の背景設定をいじる時点で、少なくとも原作そのままの映像化ではなかったと私は考えてしまう。原作の普及、水墨画の普及、収益の最大化、さまざまな思惑が巡り巡って、芸術性を高めた映画ではなかった。だが、大スクリーンのために作られた映画の完成形のようなものを見た気がする。色々述べたが、商業映画として映画単体で完成度は他に類を見ないレベルで高いとも思ったのは事実だ。ある意味、この映画は原作小説の映画化を商業的に広めるベンチマークのような作品になるだろう。

◎編集後記
この文章だと自分が見たい映画じゃなかった人のただの愚痴、感想になってしまってるんだよな。主張がはっきりしていないのも悪いな。映画単体としては悪くはない。むしろ大衆ウケする作りだと思いました。しかし、これもまた僕の感性ですが、原作を殺してしまったと感じたのも事実です。感覚の違いを指摘しているにすぎないのが良くないが、もはや感性の問題になってしまう。

わたしは原作の文章から本作品には、もっと灰色がかった墨汁の黒や、半紙のように空っぽで透け感のある白色、そして空虚さを内包した無色のような色を想像していた。そして、映画にもそれを求めてしまった。モノクロ映像の挿入などがあっても良かったのではないだろうか。しかし、実際に感じた色はセピア色だった。これは解釈の違いなのかもしれない。しかし、自分が見たい【線は、僕を描く】の世界ではなかった。また、残念ながら、映画は小説『線は、僕を描く』ほど線については哲学していない。くわえて、映画は内面のドロドロした感情や心理描写への言及も少ない。

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山のトンネル

4.5目が綺麗

2022年10月25日
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それぞれ役者の水墨画を描いてる時の目が綺麗。
切なさ、強さ、楽しさ、優しさなど 心で感じてる事が真っ直ぐ現れてて目が奪われた。

早速 この漫画を購入して、映画とは違う ストーリーを読んだ。素晴らしいです。

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やぎ