線は、僕を描くのレビュー・感想・評価
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線を見つける
小泉監督の前作「ちはやふる」3部作はかなり好きな作品で次回作が待ち遠しいと思っていた。
その小泉監督の四年ぶりの最新作。
期待MAXで見に行った。
小泉監督はその期待をまた軽々しく超えてくれた。
競技かるたに続いて今度の世界は水墨画の世界。
今作も音楽、演出、演技、撮影共に超一流。
特に描き始める前、一瞬の静寂の後筆を紙につけると素晴らしい音楽が流れる。
これが素晴らしい。
又、線を引くという行為を最大限かっこよく撮るカット割り(もちろん水墨画自体とてもかっこいいことだとは思いますが)。
紙の向こう側から描いてる人物の顔を撮るカット割はさすがちはやふるのスタッフといった感じ。
画面も全体的に明るくてその中で役者が生き生きする様子はまさに“真っ白な紙にいきいきと自然が描かれていく”水墨画のよう。
自分を見失って悩む感覚は自分もわかる。
というか今絶賛そんな状態になっている。
何者にもなれないのではないか。
そんな漠然とした不安がある中、この映画の中の人々は「なるのではなく変わっていく」ということを教えてくれる。
自然は春夏秋冬移り変わっていく、その流れに身を任せ生きていく。
そしてその中で自分なりの線を見つける。
当然季節が移る中でその線も変わっていく。
僕が好きな歌舞伎でよく「有為転変の世」という言葉が出る。
この映画を見た時この言葉がなぜか頭に浮かぶ。
自然の摂理には抗えないからそことうまいこと付き合い流れながら生きていく。
湖山先生が霜介にこんな教えを説くシーンでは特に泣かせるようなシーンでもないのに涙が溢れて止まらなかった。
役者さんも素晴らしい。
清原さんの細部までこだわった演技が今作でも遺憾なく発揮されていて、特に最後湖山先生から認められた時に顔が徐々に綻んでいく様は至高の演技。
横浜流星さんのまっさらな青年感が堪らなく素晴らしい。
江口洋介さんは最近のギラギラした悪役とは打って変わった役柄だったが当たり前のように素晴らしく、特に水墨画を描いてる時の楽しそうな表情が忘れられない。
今、自分に迷ってる人に是非見てほしいおすすめ映画。
悪くない感じ
ちはやふるの製作陣ということと、アキラで初めて見た横浜流星さんの私の中の2つ目の作品として見てみました。
まずは富田靖子さんが大御所になってることが意外で、そうかもうそんな時代か。。と思いました。
うん、悪くないです。何か自己表現の1つとして水墨画を選ぶことも、ある程度して1度行き詰まることも、そこから抜け出していく過程も、一皮むけた「生徒」から「弟子」になった姿も。
でも一番凄かったのは江口洋介さんかな〜〜。
るろうに剣心の斎藤一でもあり、アキラとあきらのカタブツ&ベテラン社会人として正しい判断をしている部長も、色々と人生経験ある渋い存在感が至る作品で見られて、主役じゃない時も作品や主役達をきっちり引き立たせる見事な役回りだな〜と感服しました!
本当に豪雨災害などで被害に遭われた方にはきつい映像かもしれません。ただ、いきなり家族を奪われた人には病気看病などでの心の準備が無いままに家族がいなくなってしまうので、残された人はとてつもなく辛いんだろうな、と思いました。
主人公の彼は、家のあった場所の柱、自分と妹の名前が書かれた柱の破片、持って帰れたのかなって気になりました。いつか、忘れるのではなく向き合って自分の時間を進めるとき、そばに寄り添って一緒にいてくれる彼女がいて良かった、と思いました。
そうすけ君とちあきさんは、どちらかに依存とかするのではなく、お互いにお互いの描く線が好き=互いにリスペクトしあっている対等な感じが、とても良いカップル像だと思いました。
わざわざ告白するとかしなくても、既にそばにいるのが当たり前のような、いつの間にか家族になっている雰囲気がとても良い演出の作品でした。
水墨画の線とともに自由に、伸びやかに、解き放たれてゆく!そして青年は生まれ変わった
突然の不幸に、心が凍りついたまま動けなくなってしまっている霜介にとって、水墨画との出会いは
まさに運命的!
声をかけた篠田湖山の才能を見抜く能力もスゴイ!
次第に水墨画に没頭してゆく霜介は
やがて、閉ざされた自分の心の中にあった
抱えきれない思いを作品へ投影し、見事な水墨画へと昇華させてゆけるようになる…
こうして、ようやく前へと踏み出してゆく青年!
清々しい物語だった
もう一つの見どころは、
水墨画の魅力が満載だったこと!
映像のなかにうまく取り入れられていた
一発勝負の迷いのない線と、
墨一色で描いているのに、鮮やかな色彩に見えてくる不思議な画面
筆跡の流れからは、風や水の流れまで感じさせる
本当に、奥が深い…
が、逆に!
ストーリー的には、ちょっと、浅かった
せめて、もうちょっと修行させてから
霜介に新人賞とらせてほしかったなぁ
こういう映画好き
主役の青山くんの目線で鑑賞していたように思います。全然知らない水墨画の世界に目からウロコが落ちてきたような感じでした。無駄にセリフが多くなくて話の内容もよかったし、どの役者さんもみんないい表情で最初から最後まで穏やかに鑑賞できました。鑑賞後もとても気分がよかった。いい映画でした。
水墨画が素敵でした
キャストがよかったので鑑賞しました。
横浜流星さんと清原果耶ちゃんだから楽しみでした。ストーリー展開はシンプルでどんでん返しもないけど楽しめました。
水墨画がとても綺麗で魅了されました。
それだけでもスクリーンでみる価値あり!!
これは続編はあるのかな?
すごく面白いし感動した。何で青春映画の金字塔なんてアホな宣伝するんだろう。
西濱湖峰(江口洋介)がぼやく、「本質だの命を描けとか、えらい先生の言うことは面白い」。その通りだが、どういうコトかは分からない。題名も「線は僕を描く」 で 「僕は」ではなくて日本語として意味不明だ。しかし最後まで見ると何となく「線は僕を描く」の意味が分かったような気にななってしまう(^^)
篠田湖山(三浦友和)も偏屈な大家でなくいい人なのがいい。孫の千暎(清原果耶)が水墨画家としての葛藤の末に戻ってきたときの「おかえり」はとても心暖まるものだった。
「ちはやふる」があまり面白くなかったので期待してなかったが、「線は僕を描く」は面白かった。
映画は一冊の長編小説を2時間でまとめるから、話の筋を追うだけのトントン拍子なのは仕方がない。できればPART2と3で今回のラストまでにあった出来事を見てみたい。
【11/10(木)・追記】
原作を図書館で借りて読み終えた。「命を描く」とか「線は僕を描く」の意味がよく分かった。
原作にある水墨画の達人2人の言葉。 湖山「磨かなくても最初から輝いてる才能がある」。西濱湖峰「水墨画が何なのかを知っていれば、才能や技術を越えるものがあるのが分かる」。そして本質、命、心を見つめ問い続ける霜介。彼が賞を取るのも納得できた。
原作には湖山「きっと私も描けない」、「花が君の先生だ、ここには私には伝えられないものがある」とか、湖峰「何も知らないことが大きな力になる」など、言ってることは禅問答みたいに「?」だけど面白いセリフや描写がてんこ盛り\(^o^)/
原作はメフィスト賞受賞だから面白いに決まってる (たしか応募・選考基準が、面白ければ何でもOKみたいなことだった)。 映画で描き切れなかったことも てんこ盛りだ。
【商業映画としてはハイスペック◎洗練された106分】
面白さ☆3.5/映画は映画、原作は原作。みんな違ってみんないい。原作を読んでから映画を見に行った人と、映画だけを見た人で評価が分かれるだろう。
この映画は、絵を描くのが上手いと評される画家に、市井の中で話題になっている絵を模写させて、その絵に似合う額縁をなんとなくのニュアンスで選び、大衆に向けて販売した絵画のようだ。
◎本屋大賞原作の映画化について思うこと
本屋大賞原作の映画はまさに現代の消費コンテンツのお手本である。映画の作り手は話題性のある原作の映画化で放映収入を得ることができ、出版社は映画というメディアミックスによる原作の売り上げを向上させることができるという両者がwin-winの関係であるため、映画化はなかなかやめられないのだろう。
出版社側にとって、映画が原作の売り上げを向上させるための話題作り(マーケティング)でしかないならば、映画ほどの予算をかけずとも他に手段があるのではないかと思ってしまうけれど、現実はそこまで熱意のある人がいなければ、予算も知恵もアイデアも潤沢にはないのだろう。
話題性があるからメディアミックスが検討され、さらに話題性が高まることで多くの人に見られる。だからこそ、話題を作っていくことが商業的には大事になる。話題作りにおいて映画化はやり方も既にパターン化されており、尚且つ効果が絶大である。そのため、ある程度原作が話題になれば映画にしない理由がない。
しかし、売り上げが上がれば内容の大幅な脚色、改変をすることを厭わず、それを編集としてまとめてしまうのはいかがなものだろうとも思う。脚色や改変と編集の違いを議論すると長くなってしまうので割愛するが…【そして、バトンは渡された】のレビューにこのように思う理由を記載した。ちなみに本作も原作に忠実とは言えない。薄めるとか、広げるとかではなく、設定そのものをいじっているからだ。
◎映画【線は、僕を描く】について
映画としては悪くない。しかし、個人的にモヤモヤする部分がある。それはこの作品の色だ。本映画は制作スタッフ、キャストともにかなり青春色が強いのだ。そもそも、ちはやふるのスタッフが再集結というのは、小説『線は、僕を描く』の世界とは本質的には関係がない。誰が監督で映画を制作しようと映画【線は、僕を描く】は上映されたことだろう。作品は作品なのだから。それにもかかわらず、誰が作っているかという部分に関してPVを含め、宣伝で押し売りしすぎだと思う。
映画を見た方ならわかるかと思うが、映画【ちはやふる】のスタッフが再集結したということだが、本作は【ちはやふる】のような空色、若葉色、茜色のような鮮やか色はしていない。この映画の青春はむしろ穏やかなセピア色に近く、むしろ【ちはやふる】と比較すれば地味といえるだろう。原作を読み込み、製作陣なりに解釈した結果だろう。その製作人のたちの読み込みに反し、PVや宣伝などは映画以上に青春アピールがなされている。少し露骨だ。これはいただけない。PVを作った人の売れれば良いのだという熱意のようなものは感じる。つまり、チケットを購入する段階までしか見据えていないのだ。映画【線は、僕を描く】の作品を見た鑑賞者が鑑賞後の体験を最大化する意味では、青春色を謳ったPVはバイアスにしかならないのではないだろうか。これでは製作陣が「青春」という記号として宣伝のために映画に起用されたにすぎないようにも感じる。その結果というべきか、ほんのりと青春色のようなものを残した映画【線は、僕を描く】が完成した。原作未読であれば、映画は映画で面白い部類に入ると思う。しかし、原作既読者は何を思うのだろうか。
ただ批判がしたいというわけではないのも事実だ。というのも、総じてこの映画はこの映画【線は、僕を描く】のためのキャストであり、制作スタッフであり、内容であったのは確かだからだ。相変わらず、横浜流星は演技が上手いし、製作陣による映画館ならではの音響の使いこなしはさすがだ。少し音を多用しすぎている気はするが、現代の知識を総動員して制作された技巧的な映画だといえる。ベテラン俳優陣を含め、製作陣の方々は大健闘であった。たぶん、映画だけ見る人はこの映画はこの映画で完成されてると感じることだろう。
自分が求めている映画【線は、僕を描く】ではなかったけれど、素晴らしき小泉監督版映画【線は、僕を描く】の世界がここにはあると思う。
◎原作既読者でも評価が落ちにくいわけとは?
何よりもこの映画【線を、僕は描く】は、小説では掴みきれなかった水墨画を視覚や聴覚への刺激をもってして巧みに表現したことにあると考える。原作でも本作は主人公がひたすら水墨画について考えるシーンかある。筆を何度も、何度も動かしながら。しかし、小説の中だけでは視覚も聴覚も直接的には刺激されない。頭のいい製作陣の方々は原作既読者としてはどしがたい設定改変を一部行いつつも、視覚や聴覚への刺激を多彩に表現することで評価の著しい低下を防いだのではなかろうか。
◎ひとこと
登場人物の背景設定をいじる時点で、少なくとも原作そのままの映像化ではなかったと私は考えてしまう。原作の普及、水墨画の普及、収益の最大化、さまざまな思惑が巡り巡って、芸術性を高めた映画ではなかった。だが、大スクリーンのために作られた映画の完成形のようなものを見た気がする。色々述べたが、商業映画として映画単体で完成度は他に類を見ないレベルで高いとも思ったのは事実だ。ある意味、この映画は原作小説の映画化を商業的に広めるベンチマークのような作品になるだろう。
◎編集後記
この文章だと自分が見たい映画じゃなかった人のただの愚痴、感想になってしまってるんだよな。主張がはっきりしていないのも悪いな。映画単体としては悪くはない。むしろ大衆ウケする作りだと思いました。しかし、これもまた僕の感性ですが、原作を殺してしまったと感じたのも事実です。感覚の違いを指摘しているにすぎないのが良くないが、もはや感性の問題になってしまう。
わたしは原作の文章から本作品には、もっと灰色がかった墨汁の黒や、半紙のように空っぽで透け感のある白色、そして空虚さを内包した無色のような色を想像していた。そして、映画にもそれを求めてしまった。モノクロ映像の挿入などがあっても良かったのではないだろうか。しかし、実際に感じた色はセピア色だった。これは解釈の違いなのかもしれない。しかし、自分が見たい【線は、僕を描く】の世界ではなかった。また、残念ながら、映画は小説『線は、僕を描く』ほど線については哲学していない。くわえて、映画は内面のドロドロした感情や心理描写への言及も少ない。
目が綺麗
それぞれ役者の水墨画を描いてる時の目が綺麗。
切なさ、強さ、楽しさ、優しさなど 心で感じてる事が真っ直ぐ現れてて目が奪われた。
早速 この漫画を購入して、映画とは違う ストーリーを読んだ。素晴らしいです。
脚本よく、役者陣好演。
脚本が良く、登場人物の気持ちがよく伝わる。
横浜流星さん、水墨画に対する思いや過去の哀しみに対しての繊細な表現がすばらしかった。清原果耶さん、凛とした美しさの中に、水墨画に対する葛藤を上手に演じていた。
また、江口洋介さん、三浦友和さんもいい味をだしていた。
派手な映画ではないが、人にすすめたくなる作品である。
ただ、エンドロールで流れる歌は、この映画の感じではないのではと少し思った。(私が歳をとってるせいかもしれないが)
おすすめ。躍動し描かれる水墨画
水墨画を描く筆の音、スピードが繊細で時には力強くワクワクした。自分も水墨画が描けるんじゃないかと錯覚しそうになる。横浜流星、清原果耶、三浦友和、江口洋介のキャスティングは見事。若者が苦悩しもがく答えを、指摘するのではなく自分自身で導き出せるよう見守る先生方が温かい。
出演俳優みんな素晴らしい。
特に清原。初見は、ちはやふるで、少し出てて、衝撃的だった!もう、間違いないくファンである。
横浜も。
江口も。
ただ、水墨画と関わる導入部が少し不満かなぁ。
水墨画に興味ある、友達に強引な感じで誘われて、
教室に体験で行って、たまたま書いたものが、
目に止まって、声かけられるぐらいだと、
まあ、普通だけどさ。
水墨画マニアの女子大生出すくらいの、
演習はあるから。
すすり泣く人多数!!これぞ青春ムービーの極み。
原作は未読です。
横浜流星君は、深い悲しみを抱えながら、水墨画を通して成長していく青年役を完璧に体現しました。
清原果耶さんも、心を閉ざした天才水墨画家を、時に凛々しく、時に熱く演じて素敵でした。まだまだ若手女優ですが、これからの伸びしろに超期待大です。
本編は、ストーリーで魅せるタイプではなく、物凄く衝撃的な事が起こる訳でもない、展開も先の読めないものではないのに、こんなにも人々に感動を与えられるのか?それは原作の良さもさることながら、やはり小泉徳宏監督の卓越した手腕だと思います。
涙をぬぐい、心を描けー
すべての人に贈る喪失と再生の物語。
そんな監督の力強く優しいメッセージが胸に沁みわたる、とても秀逸な青春ムービーでした。
大人たちの言葉少ない教えが悩める若者たちの止まってた時間が動き出す
芸術の秋にとっても相応しい映画。
優美で雄大でそれでいて繊細な水墨画の世界の素晴らしさを余すところなく堪能できる充実の100分間。
大好きな役者の横浜流星君の安定の演技以外にも三浦友和さんの演技が素晴らしく映画に重厚な味を添え、江口洋介さんは相変わらずカッコいい。
大人たちの言葉少ない教えが悩める若者たちの止まってた時間が動き出す、人間ドラマと重ねて深く味のある素敵な作品。
私の大切なキャリアを積んだ目黒「東京雅叙園」では映画で使われた多くの水墨画が展示されているらしい。是非行ってみたい。
やばい、失神する...バタッ
な、な、な、な、なんと、なんとですよ!?
福岡に舞台挨拶で、横浜流星が来るらしいじゃないですか!?!?!? これは逃すわけにはいかないっ!!!! 早速、抽選に応募。でも、流ちゃんが来るって、倍率えぐそうだよな...。(今回、ずっとこの調子です笑)
〜応募から2日後〜
さあ、抽選結果どうだったかな...ってぐあ!?
当た、当たっとるやないか!!!?!?!!
大興奮でベットで大ジャンプ。からの天井に強打。
にわかに現実とは思えない至福の出来事。
多分当たらないだろうなと、公開日に見に行こうかと思っていた本作だったが、急遽予定変更。やっぱり、新鮮な気持ちで流ちゃんを拝めたいっ!!!!
〜迎えた当日〜
やってきてしまったよ。ついにこの日が来ちまった。
こんだけ多くの映画を見てきて、その映画の数の何十倍も俳優を見てきて、未だに好きな俳優は?と聞かれたら、迷うことなく「横浜流星!」と答えるくらい好きな人。その人と会えるんだ。緊張で唾を飲み込むのが苦しくなってしまう。あれ、どうやって唾って飲むんだっけ。。。そんな調子で映画がスタート。舞台挨拶は上映後だったので、舞台挨拶については映画の感想の後ということで。
とりあえず、映画の期待値としてはそこそこ高めでした。予告から伝わる上品さ、映像の美しさに魅了され、今月一番楽しみにしていた本作。ちはやふるは苦手な作品だったので、ちょっとの不安はあるけれども、かなり期待。どんなものを見せてくれるのか、どれどれみたいなテンションで見たんだけど...すご!?スゴすぎる!?舞台挨拶があるから、横浜流星に会えるからとか関係なしに、信じられないほどいい映画なのだけど!?!?
横浜流星、清原果耶、河合優美、細田佳央多、江口洋介、三浦友和という、今、邦画界にひっぱりだこの豪華キャストが勢揃いの本作はもう、戦う前から勝ちが保証されていたようなもの。でも、皆想像を超える迫真の演技を披露しており、圧倒超えて圧縮だった(?) ひとりひとり丁寧に語りたいところだけれど、メインキャストである4人の魅力を手短に伝えたいかと。
まず、清原果耶。
横浜流星とは、「愛唄 約束のナクヒト」に続き、2回目の共演。息の根が合っていたし、お互いを尊重し合いながら成長していくという、この人物にピッタリの配役だった。いつだって彼女の演技は繊細だし、そして綺麗で、ずっと見ていたい不思議な力がある。優しく生徒たちに教えるシーンは、先生そのもの。一心不乱に水墨画を描くその姿に、見とれて仕方ありませんでした。
そして、江口洋介と三浦友和。
やっぱり日本の男!って感じがして大好きな江口洋介。タオルを頭に巻いて、農園を手入れしたり、料理を振る舞ったり、色んな人と優しく関わりを持ったり。それが様になるのよ、彼は。三浦友和も同様。師匠!先生!という雰囲気は満載なんだけど、実は穏やかでマイペース。でも、水墨画に関しては一流。やっぱり、この人の演技は絶品だ、!
語らざるを得ない天才俳優・横浜流星。
ピンク髪の高校生になったり、天才ギャンブラーになったり、そして最近では御曹司銀行員になったりと、個性的な役を演じている横浜流星。この人の演技の幅の広さには毎度驚かされます。あんなに、人を見下していたような御曹司をやっていたのに、この映画ではキラキラした目で水墨画を描く、美しい青年になっているんだもん。あれも、これも、本当に素晴らしい。いや、素晴らしいという言葉で収めていいのか?こんなにも、目の色を変えられる役者はいません。国宝級です。アカデミー賞は彼に決定。もし違ったら、もうアカデミー賞の受賞式見ません。
手短にとか言ったのに、ついつい長くなってしまいました。そのくらい、役者の魅力が詰まった一作です。
もちろん、役者以外の魅力もこれほどまでかと思うほどに、沢山あります。
久々に、映画館で見てよかった!と思える映像美。
白と黒のコントラストが水墨画だけでなく、おたまじゃくしで表現するセンスの良さ、映画館に響き渡る虫や鳥、風の音、風鈴の音色。色や音を使って、より映像の美しさを際立たせる。人物の捉え方、水墨画を描く様子、感情とともに変わる視点。そして、草木や花々、朝日、夕暮れなどの天候、室内に広がる光に、体全体が包み込まれてしまう。本作は、映像作品の枠を超えた水墨画のような芸術作品なのです。
水墨画に対する思い、そしてそこから描かれる人生の道筋。ストーリー設計は緻密で濃厚で、とても上品。1秒たりとも無駄がなく、観客を水墨画の世界へと引き込んでくれる。本作は生きるとはなにか、という人間の根本的な部分を描いた作品であり、それ以上に水墨画が人に与える尊さを教えてくれる作品である。正直、ここまで感化されたことは、映画を見ていて未だかつて無い経験。自分でも驚いている。私は水墨画家になりたい。その感情で胸がいっぱいなのだ。
他にも、光陰の使い方、音の有無、テンポのよいカット割りで伝わる水墨がもたらす優しさ。各登場人物が色んな形で活躍する話の盛り上げ方。続編を匂わせるわけでもなく、かといって見せすぎもしない、絶妙なタイミングで終わりを迎え、心を芯から震わせるラスト。からの主題歌。全てが愛おしくてたまらない。言いたいことがすらすらと出てくる。言葉にならないほど面白くていい作品だけど、つい言葉にしたくなるほど面白い作品でもある。
「ヘルドックス」とか「もっと超越した所へ。」とか「さかなのこ」とか、最近信じられないほど神作が多すぎるけど、本作、その神作3つからずば抜けてます。面白いとか次元じゃない。もし、この先人生で3作品しか見てはいけませんって言われたら、「コンフィデンスJP」「恋は光」そして、本作を選ぶ。そのくらい好き。
そして、横浜流星も大好き。
舞台挨拶、とんでもなかったです。30分が3分に感じました。なんか頭真っ白になって、内容全然覚えていない笑 兎にも角にも、カッコよくてカッコよくて仕方がありませんでした。今日は、関水渚と横浜流星に恋をした日です。オーラ半端ない。もう、一生好き。一生、「線は、僕を描く」と横浜流星が大好きって言い続けます!流星くん、福岡に来てくれてありがとうございます!そして、こんなにもいい映画を作ってくれて、ありがとうございます!
黒と白の濃淡で描かれる世界を楽しんだ
原作は未読。
水墨画を題材にしてるという時点で少し地味になってしまうのは仕方ない。白い紙の上に筆か滑って流れていく音が聞こえるだけの場面が多いし、話の展開も派手なものはない。しかも墨だから色彩も黒と白が多くなる。でも、墨と筆で描かれる絵が、なんでこんなに繊細で鮮やかで迫力があって活き活きとしているんだろうと思ってしまう。水墨画を見たことはあったはずなのに初めて見たかのような感想を抱く。黒の濃淡で描かれる水墨画の世界に、主人公の霜介と同じようにただただ魅了されてしまった。
しかも話としてもちゃんとしている。霜介が傷ついた心を癒やし新たな一歩を踏み出す物語だったし、千瑛も自分を再発見する姿に胸を打たれた。その2人のやりとりも、静かなのに内なる感情の激しさみたいなものを感じた。後半、川原で2人が言葉を交わすシーンは、恋愛的な要素がないように見えて、とても深いところでお互いの気持ちを確かめ合う、愛に溢れたシーンだった。
ただ、一つだけ残念だったのが、家族とのエピソード。妹のことが強調されすぎて、両親のことが若干ぼやけてしまっていた気がする。いや、まぁわかると言えばわかるんだけど、これって結局こういうことなの?と想像するしかない。あれで察してくださいというのは若干不親切な気がしてしまう。
でも、いい映画であったことは間違いない。出演者たちは長い年月をかけて水墨画のレッスンを受けて撮影に臨んだという話も聞いた。実際に描いているシーンがやけにリアルだと感じたのは本当に習い技術を磨いたからなんだな。その役者魂にも感動する映画だ。
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