ボイリング・ポイント 沸騰

劇場公開日:

ボイリング・ポイント 沸騰

解説

ロンドンの高級レストランを舞台に、オーナーシェフのスリリングなある一夜を、全編90分ワンショットで捉えた人間ドラマ。一年で最もにぎわうクリスマス前の金曜日。ロンドンにある人気高級レストランのオーナーシェフのアンディは、妻子との別居や衛生管理検査で評価を下げられるなど、さまざまなトラブルに見舞われて疲れ切っていた。そんな中、アンディは気を取り直して店をオープンさせるが、あまりの予約の多さにスタッフたちは一触即発状態となっていた。そんな中、アンディのライバルシェフが有名なグルメ評論家を連れて突然来店し、脅迫まがいの取引を持ちかけてくるが……。主人公アンディ役を「ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ」「アイリッシュマン」のスティーブン・グレアムが演じる。監督は新鋭フィリップ・バランティーニ。

2021年製作/95分/PG12/イギリス
原題または英題:Boiling Point
配給:セテラ・インターナショナル
劇場公開日:2022年7月15日

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(C)MMXX Ascendant Films Limited

映画レビュー

3.0おいおい、そりゃないわ〜。

2022年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

寝られる

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共感した! 6件)
momokichi

3.5一方向に突き進むワンシチュエーションものの面白さ。

2022年8月31日
PCから投稿
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共感した! 1件)
村山章

4.0ノンストップ、リアルタイムで回り続けるカメラがもたらす破格の臨場感はさすが

2022年7月26日
PCから投稿

90分間のノンストップ長回し。その描き方は驚くほどのリアリズムで貫かれていて、物語的な明確な展開部が用意されているわけでもなければ、皆が一致団結して何かをやり遂げようとする高揚感に満ちた演出もない。となると観る側は、単にお客さん目線で何かが起こるのを待つのではなく、むしろ身を乗り出してカメラと同調しながらこの一つの閉じられた小さな世界の中を覗き込む、それくらいの緊張感ある態度で臨むのがベストなのだろう。実際のレストランのホールや厨房を用いているというから、その内部でスタッフが方向転換する余裕も十分にないまま、カメラは持ち場から持ち場へ、登場人物の表情からその手さばきへ照準を合わせる。この切れ目なき、まるで一つの生き物のような時間と空間。そして人と人との関係性。各方面から押し寄せるプレッシャーの波は計り知れない。いかついイメージのS.グレアムが見せるオーナーシェフぶりがこれまたリアルでいい。

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共感した! 4件)
牛津厚信

3.590分長回しにこだわった労作だが、人間劇としての旨味や滋味に欠ける

2022年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

興奮

若い頃に居酒屋でバイトしたこともあって、注文が立て込んで厨房が殺気立つ感じや、接客の楽しさと難しさ、洗い場に食器が山積みになってうんざりする感覚などを思い出しながら鑑賞した。クリスマス前で大忙しの人気レストランを舞台に、オーナーシェフを中心とするスタッフらの奮闘ぶりや次々に生じる問題を、全編ワンショット撮影で描いていくというアイデアは確かに秀逸であり、長回しならではの臨場感と没入感がスリルを一層高める効果も大いに認められる。キャストもスタッフも、本番の途中で一度でもミスしたら最初から撮り直しというプレッシャーの中、高いスキルと集中力で難業を成し遂げたであろうことは想像にかたくない。

ただでさえ多忙な一夜に、衛生検査、食材の仕入れや仕込みの不備、飲酒や薬物や自傷の問題を抱えぶつかり合うスタッフら、黒人ウェイトレスを見下す白人客、アレルギー持ちの客、レストランの出資者でもある著名シェフとグルメ評論家の突然の来店など、いくつもの小さな火種がくすぶり、店全体がまるで火にかけられた大鍋のように温度が上がっていき、ついには“沸点”に達するのか――と観客をあおっていく。撮影手法に加え、緊張感を持続させる脚本も工夫されているのだが、労働環境、依存症、人種差別、ジェンダーなどさまざまな社会問題を表面的に並べただけなのが物足りない。

また、せっかくレストランを舞台にした映画なのに、調理、盛り付け、実食のいずれでも観客の食欲をそそるおいしそうな美しいショットが不足している。カットを割れるなら、料理が最もおいしそうに見えるカメラと照明のセッティングをじっくり作り込めるはずだが、この点も長回しを優先したために妥協せざるをえなかった要素だろう。

俳優の動線とカメラワークはほぼ全編にわたりよく考慮されているように思うが、ある女性スタッフがトイレに行き、個室に入ったあとのドアを外から映し続ける数秒で、にわかに撮影者の存在を意識してしまった。長回しのカメラが追い続ける被写体の人物が視界からさえぎられるとき、観客の意識がカメラのこちら側の撮影者に向かうというのはある意味“発見”だった。

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共感した! 14件)
高森 郁哉

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