PLAN 75のレビュー・感想・評価
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国家のために死んでくれ。と言われても負けちゃダメ。的な。
諸々の困難から逃げ出す様にプラン75に応募したが、隣で死に行く男をみて、生き直す事を決意する。何か、少し前にありましたけどね。ランプリング主演で。倍賞千恵子さんに似てなくもないw
イヤイヤイヤ。長編化した甲斐がない事ないですか?と、愚痴が先に出てしまう訳で。
10Yearsの短編は鑑賞済み。短編&長編セットは最近では「スキン」ってのがありましたが、コレは明らかに物足りないです。先ずは近代国家が姥捨に走るに至る背景くらいは。と思ってたら、幼稚なニュース原稿でサラリとスルー。この冒頭部の稚拙で性急な運びに、不安感が膨らみます。
ショッキングなネタからの人間ドラマ部分も社会批判部分も、ボヤッとしてるし、言葉の部分からも、原語下の部分にも、深読みネタに乏しく、行間もクソもねーよ!で河合優美の無言表情演技場面。コレが期待に届かないのが残念でした。ビート板の方がシンプルに良かったです。
てなてな感じで。
広瀬奈々子監督の「夜明け」と同じ後味を感じつつ、たいさーん!
映画館の一番後ろに座ったが、前は白髪の人だらけ。 とても年齢層が高...
映画館の一番後ろに座ったが、前は白髪の人だらけ。
とても年齢層が高いがほぼ満席。
それだけ関心の高いテーマなのだろう。
若い監督だか、語りすぎず想像の余地もあり、上手いなと思った。
倍賞千恵子と磯村勇斗の演技の力も大きいが、ありえない設定だが妙にリアリティがある。考えさせられ心に重くのしかかる内容だった。
音楽もなかなか作品に寄り添っていたように思う。
フィリピン人の子持ちの出稼ぎ女性がまた印象的だった。
自分の人生なのだから、何歳になっても自分だけで何とかせねばならないものなのだろうか。
10万円貰っても使い道のない老後、10万円という金額が安倍政権で配られたあまり使われず貯金されているという10万円を思い出した。
観客の高齢者率高めだけど…
75歳以上の高齢者が自ら安楽死を選択できる制度『プラン75』が施行され、いつまでも生にしがみつく高齢者は卑しいといった風潮が流れ高齢者は肩身の狭い思いを強いられている近未来の日本。
自分が75歳以上の高齢者だったら。自分の家族や親戚、身近な人が『プラン75』を選択したらというお話。
平日の昼間、席はほぼ満席。そして高齢者率の異様な高さ。この映画は高齢者の内でバズっているのだろうか。
映画終了後、それぞれ感想を語りだす観客。『プラン75』や高齢者の扱いに対する呆れや怒り等がほとんどだったと思う。
この中では若者の部類に入る私は少々浮き気味だった。
今現在リアルタイムで高齢者の方達は年金に生活保護等をほとんどの方は問題なく受け取れているのだろうが、これからの未来、今の若者が高齢者になった時、年金は受け取れるのだろうか、生活保護受給資格はどうなっているのだろうか。
安楽死や尊厳死を否定するつもりはないが、自らの意思により選択するのではなく、貧困等により選択肢が他になくなってしまい選択せざるおえなくなってしまうというのは、なんと悲しい人生の最期だろうか。
観客の高齢者率は高いけど、これは、これから将来を築く若者の選択肢によっては本当に実現してしまうかもしれない世界。
誰を国のてっぺんに担ぎ上げるかによって未来はどんどん変わっていってしまう。
若者は流されるままではなく自らが何を必要としているのかを考え、それを実現してくれる人に投票しに行かなければならない。
それがこの国が良い方に進むための第一歩となるのだから。
方向性は見えないが、考えることは多い
主人公が沢山いて、それぞれが何を想っているのか結論を察しきれないうちに終わってしまった。
ただ、前半の高齢者の日常生活を通して本当に現代の日本にもこういう仕組みは必要だと感じました。
自分自身、もう若くはないけどこういう施策があれば利用したいと思います。
棄老国とは…!? 昔話、宗教にもある問題
50歳過ぎた自分には重すぎた作品でした。(^_^;)
日本に訪れる将来の社会なのか!
いますぐ起こりえる社会なのか!
考えさせられる事ばかりの作品です。
自分には75歳になられている倍賞さんの警備員姿は衝撃的でした。
映画ならではの作品を久々に観ました。
映画ならではの作品を久々に観ました。台詞以外の光景一つ一つに釘付けになる想いで役者さんの眼差し、仕草や窓ガラスの雪の結晶、投げつけられたおそらくはトマト、死者の腕時計などを凝視してしまいました。まさに現実世界を眺めているように。
戦争の足音が気になる今だから
介護保険制度が始まって20年が過ぎ、介護費用の高騰が報じられています 私はこういった施設に勤めていますが、入所施設なら一人の要介護者にかかる介護費用が月25万、定員100人なら月2500万、年3億、1割の自己負担を差し引いて毎年2.7億円が100人の要介護者の介護費用として介護保険から振り込まれ、その多くは40名のスタッフの人件費となります 2.7億円の半分は税金、半分は40才以上の方が納めている保険料が原資です 軍事予算を増やしたい人は、こういった費用が税金から賄われることを「もったいない」ときっと思っているでしょう そんなお金があれば「兵器」が買えるわけですから
営利目的で多くの事業者が「介護」に参入してきて、本編でもありましたが保証人を確保できない住宅に困窮している高齢者にアパートを与え、食事(弁当)を与え、生活保護を申請させて、医療づけ・介護づけにして月50~60万を一人の要介護者から稼ぎ出す事業者も蔓延っています こういった「不正」事業者の存在が、障がいや高齢者福祉の「切捨て」の口実となり、その延長線上に「自分の生死は自分で決める」とさも個人を尊重しているかのような、この「PLAN75」に近い発想が権力者から生まれてくる気がします
倍賞さんのあの声は、寅さんを始め松竹映画で昔から聞きなれていて、どのような逆境にも胸を張る、そういった姿を思います どんなに寂しくても、頼れなくても、最後の場面施設から飛び出して歌う姿は、私たちの知っている倍賞さんそのものでした
私のまわりの施設でも介護職としてインドネシアやフィリピンから働きに来ている女性がたくさんいます こういった外国の人たちに、私たち自身の老後を託さなければならない現実がある一方、「国の方針を忠実に実行する公務員」「優しい言葉を使って寂しい高齢者を操る事業者」もいるわけですが、倍賞さん・磯村さん・河合さん演じる人物がそれが誤りであることに気づく姿に、希望を持ちました 皆さんおっしゃる通り、私が観た劇場も高齢者の方がほとんどで、時代劇以外でこういった方々が映画館に足を運んでくれるのは嬉しい一方、強い衝撃を受けられたでしょうね
(6月23日 MOVIX京都 にて鑑賞)
直球のヘビー級
あの大女優が、現実の孤独老人をリアルに演じきった、あの、銀幕の夢や笑いで日本を元気にしてくれた方が、このようなリアルな市民の現実の世界を演じきる衝撃。夢のような近未来のSF映画かと思ったら、真逆の問題作でした。陳腐な説明演出の一切無い力作でした。娯楽映画ではありませんので、深く思考したい方むけです。
もっと深堀してほしかった・・・
安楽死を選択した人との話し相手となったコールセンターの風景とか、なるほどなーって思いましたが、安楽死を国が行ったらどういうことが起こるのか、もっと深堀りした方が映画としては面白かったが、そうなると安楽死について考える映画じゃなくて、単なるSFになっちゃうか・・・
例えば、どういう風に最後の安楽死をさせるのか、安楽死した後はどういう風に火葬するのか。最後の最後に抵抗する人だっているだろうし、安楽死法案に賛成の人や反対の人のデモ行進もあるだろうし(反対派がトマトを公務員に投げつけているシーンはあったけど)
その辺は省略して、主人公の動きに絞っていた。あと最後の死を迎える施設があまりにもセキュリティが緩々すぎて、さすがに突っ込まざるを得なかった。
例えば違うが、おそらく日本の死刑制度と同じくらいのグレーな感じの施設になると思う。そういう雰囲気が全くなかったため、映画とはいえ現実味がないと思った。
身につまされますね
寿命が延びて75ぐらいではまだまだチカラ余っている高齢者。実際は80過ぎてからプラン計画したくなるかも。お客さんが75前後のご婦人多数だったので厳しいセリフを聴かされて身につまされたのではなかろうか。と少々皆さんの心境を案じましたね。近い将来に現実味を帯びてましたね。
同調圧力
同調圧力が強い日本の様な国だと、「PLAN75に申し込まないなんて、図々しい老人だ」「こんなんなっても、まだ生きたいのか?」とか言われそうです。障害者にも同調圧力がかけられそうですよね。
戦争中、「お国の為に死にます」と無理やり言わされていた人も少なくなかったと思うので、全員が全員本人の意思だけでPLAN75に申し込みをするかは分かりません。腐敗した行政が主導だと、中抜きやPLAN75への誘導ノルマがありそうですし、なかなか辛い社会になりそうだと想像しました。
私はずっと老人になったら安楽死したいと思ってましたが、そう簡単ではないかもしれません。また、見送る側も普通ではいられなさそうです。
「わたしを離さないで」を思い出してしまいました。
自己責任論の行き過ぎた世界
構成もキャスティングも上手く、おそらく作り手の狙い通り、腹立たしく感情を誘導されてきました。
公的安楽死、自殺推進のお話。
古今東西、『ソイレント・グリーン』『ハッピーエンドの選び方』など、過去に安楽死やディストピアを扱った映画はあるけども、これは日本に蔓延る「自己責任論」の行き着く、邦画らしい映画に仕上がっていました。
描かれているのは「いずれ自分が老いる」ことが想像できない、自分は生き残る側と勘違いした人々が作り出しそうな未来。
若者と老人とで分断された世界。
そこには、人間に対する敬意、尊厳といったものは存在せず、効率だけを目指し、「国のために国民はあるべき」といった戦前までの思想が、観客に感じ取られるように表現されていました。
また同時に、多くの老人たちが口にする「他人や子供たちの負担になりたくない」「迷惑をかけるのは恥ずかしい」という考え方もまた反映されているように見えました。
そして、日本人には割と多い、親方日の丸・お上への追随精神、「政府が何かやれと言ったら、やらなければならない」という考え方。
同調圧力の強い村社会の中で、「出る杭は打たれる」にならないよう、目立たないよう、大勢(たいせい)に流される生き方を望むうち、自滅していく。
そんな日本人の在り方をありのまま描くことで、不快感を喚起し、「それでいいのか?」と問題提起しているので、当然不愉快に感じるのです。
映画が作られた背景には、間違いなく高齢者施設での虐待事件や、障害者施設における大量殺人事件があるのでしょう。
しかし、人は死ぬまで生きるために、生きているもの。
本来なら、「生きていたくない」「生きづらい」世の中を作らないことこそが肝要。
生きづらさは「いつか我が身」になります。
年寄りの生きにくい世の中は、子どもや若者にも生きにくい。
そんな世の中でいいのか?
という問いかけ。
「政府や役所の人間が、産業廃棄物業者とつるんで、遺品を売ってキックバックを受けている」
「『老人が死ぬ気を無くさないよう』コールセンターで働く若者にマニュアルを渡し、教え、彼らの給料を中抜きする派遣業者の存在」
「老人殺し事業が、3年で1兆円超規模の一大産業になったので、75から65に拡大の案が進行」
などを匂わせるシーンやセリフが挿入されていて、監督の世の中への不信感が随所に滲み出ていました(是枝さんの影響が大きいのだろうなぁ)。
「きっと映画の世界で法律を通した政治家は75歳以上だけども、絶対にPLAN 75は利用しないのだろう」と想像しながら劇場を後にしました。
この映画に同調して、自分もこんな制度があったら利用したいと思った方は、深呼吸して心に余裕が必要です。
落ちついて。
生きていくことは、結局誰かの力を借りて(貴方の力も貸して)みっともなく迷惑をかけていくことですから。
歳を取るのは素敵なことです。
身体のガタは、頑張ってきた証です。
恥ずかしくはないのです。
私は若者でも老人でもない、若者でも老人でもある中年のオッさんですから。
その両方だ。
狭間だからこそ見えることもある。
世界一高齢化した日本の現状をリアルに描くSFミステリー
リアルな今の日本でも40~50年前に造成された郊外のニュータウンの高齢化率は高く、映画の主人公ミチも郊外の坂道のある古い団地に住んでいる。狭い室内のキッチンの設え、スマホではない固定電話など、慎ましい独居高齢者の生活が淡々と詳細に描かれる。これは、今の日本の高齢者の生活をリアルに描いた作品なのだ、と分かる。
映画の冒頭、殺戮シーンではっとさせられる。肝を据えてこの映画を見るようにと、促された感じだ。
それにしても、倍賞千恵子の横顔が印象的。高齢になっても凛々しく美しい人。彼女の登場で救われる。
「老後」という概念が崩れた社会
75歳以上になったら、自分で死を選べるという制度が導入された世界を描いた本作。
カンヌでも高く評価されており、初週から平日でもまあまあ入っている。劇場数も多くないからというのもあるが、より身近に感じる人も多く、かなり注目作であるのは間違いない。
本作は、静かに淡々と話が進んでいく。大衆向けとは言い難く、映像もセリフもかなり抽出している感じがする。倍賞千恵子さんの演技が秀逸で、ミチという女性の真っ直ぐさで純粋な様を表現している。
磯村勇斗演じる役所のPLAN75担当の岡部や、河合優実演じるコールセンターの成宮を通して、若年世代がこのプランを通して命をどう見るか、と言う点もシンプルによく描かれている。特にこの役所のPLAN75担当の岡部と、たかお鷹さん演じる叔父の関係性が、絶妙である。
マリア(ステファニー・アリアン)と言う役どころもまた近未来を想定したような設定で絶妙である。
娘の命を救うためにより収入の良いPLAN 75の最期の施設で働くことになるのだが、命を救うために、命の終わりの後始末をしているという立ち位置はなかなか巧妙である。
本作は、割と観る側に委ねられていると思う。映画を通して、我々は映画の世界を観ているのではなく、自然と自分とその家族を想像してしまう。多分、観た人全員そうだと思う。
あとは、「老後」という概念がもはや崩れている社会を描いている。70歳を越えても働かなければならない人たちが多くいて、自然と働く意志が芽生えている。ここに、社会の需要と供給のアンバランスが生じている点も描いている。
平均寿命が延び、人生100年時代なんて言われているが、それはもうデメリットの方が大きくなっている日本社会。それに対応する社会システムがあまりにも脆弱であることをこの作品を通して感じてしまう。
命の選択。見せかけだけは良く振舞ってるこの国ではそんな法案が到底通るとは思ってないが、我々は自然と自分の命の終わり時を選ぶ時がくるのではないかと思う。
1点だけちょっと雑だなと思った点は、コールセンターのマニュアルでは顧客とバれないから直接会うというのは100%不可能なので(振り込め詐欺のセンターとかならまだしも、政府から委託されてるようなセンターでは全部録音されている)、あそこはコールセンター業の専門家の意見を入れてほしかったかな。
主役は倍賞千恵子が最適役
本作は、近未来の日本での75歳以上の生死選択制度・PLAN75に翻弄される人々の姿を描いた衝撃作である。予告編から、無機質で乾いた作品だと想像していたが、全く違っていた。邦画らしい哀愁漂う情感溢れる秀作である。
本作の舞台は近未来の日本。少子高齢化が進み、75歳以上の人間が自らの意志で生死の選択ができる法案・PLAN75が国会で可決される。本作の主人公は、ホテルの客室清掃員として働く78歳の一人暮らしの孤独な老女・角谷ミチ(倍賞千恵子)。彼女は、同僚高齢者の仕事中の死を理由に突然解雇される。再就職探しに奔走するが職はなく、万策尽きた彼女は、ついにPLAN75への加入を決断する・・・。
主役に倍賞千恵子を起用したことで本作のクオリティーとリアリティーが高まっている。彼女以外に本作の主役適任者は考えられない。倍賞千恵子の過去作でのイメージと本作での自然体の演技が本作を強く牽引している。
倍賞千恵子は、山田洋次監督作品、「男はつらいよ」「家族」などで、日本の産業構造の底辺で淡々、黙々、直向きに生きていく昭和女性を演じてきた。本作の主人公と重なるものがある。本作と彼女の一連の過去作が一本の線で繋がり、典型的な昭和女性の半生を想起させる。故に、台詞は少なくても彼女の言動には強く感情移入できる。何故、ミチは働くことに拘るのか。それは、働くことが彼女の生きる証だからだと推察できる。
PLAN75のプロセスが進んで、死が近づいても、主人公は淡々としているかに見えたが、最終プロセスで、彼女は生きることの大切さに気付き、PLAN75から離脱する。ラストシーンで、彼女が夕陽を見ながら呟くように確かめるように歌う“リンゴの木の下で”の未来を示唆した歌詞に、彼女の再生への決意が込められている。
どんなに、辛く、厳しく、悲しく、絶望的なことが起きても、生きている限り明日は来る、次はある。未来はある。希望はある。ラストシーンに込められた、題名とは正反対の本作の真のメッセージである。
あくまであり得ないフィクションだという前提
フィクションだと解っていても、見るかどうするか迷ってしまった。悲しく辛いものを感じることがわかっていたからだ。
この映画は、ブレードランナーのような近未来的設定演出で撮ることも出来たはずだが、あたかも現代の日本でこういう制度がスタートしたら、というドラマになっている。恐らく高齢化問題解決策の愚かな例を描きたかったわけではなく、そういう設定を通して見える、人との繋がりや距離感、そこで生まれる感情、価値観に気付く瞬間などを表現したかったのかなと思う。
個人的には余計な説明や表現が削ぎ落とされ、情景や設定、表情から読み取らせるこの描き方が見やすかったように思う。やはり賠償千恵子さん、素晴らしい。あの表情と歩く姿で語り尽くしている。それでいて発する声が全く衰えておらず、滑舌もはっきりしているところは普通のお婆さんではない!だからこそ、まだ頑張れるんじゃない?と思えるのかもしれない。
親には見せたくない作品だなあ、と苦笑しつつ非常に難しい設定を作品にした勇気に拍手したいと思う。
人間の尊厳について考えさせられる
日本ではタブー視されている安楽死。そこに踏み込んだ作品。
高齢を理由うに仕事ができなくなる、住む場所も無くなっていく。
そんな希望を断たれた上で得られる、生死を選択する権利。
なんと残酷な権利なのだろう。
また主演の倍賞千恵子がとにかくすごい。
80歳だというのに立ち姿も美しく言葉もすっと出る。しっかりとおばあちゃんなのは間違い無いのだが、どこか瑞々しさすら感じる。
しかしながら先のない芝居はものすごく寂しく、その空気は終始重い。音楽もとても良く作用していた。
そんな中、磯村勇斗や河合優実の立ち位置は良かった。
深く考えず流されている若者を作り、「本当に良いのだろうか?」という光を示していた。
ラストはどちらとも取れる描き方で、観るものに委ねられるというより、作品の中のように選択を問われている気がしてならなかったです。
人間の尊厳について、改めて考えさせられた作品でした。
柴又帝釈天の団子やの女将であればこういう最期は迎えない
カンヌでの受賞とか新人監督、多国籍出資、倍賞千恵子さん主演で高齢者の安楽死問題を扱っているなど気になる情報が入って来てしょうがないので公開初日に行ってしまった。ある程度想像していたとおりの映画でちょっと残念な部分が多かった。まず冒頭の前ピンでぼやぼやの長いフィックスがかなり異様でただものでない感が満載なのだが進むにつれて同様のカットが多くこれは撮影の浦田秀穂氏の趣味なのだろうかと思ったりどちらかというと予算の事情で全部描かずとも行間で感じさせる手法であるのかなと思うと一気に学生映画っぽく見えて興ざめやるせなさが募る。倍賞千恵子が素晴らしい。というか彼女でなければ成立しなかったであろう。日本の超高齢化問題と安楽死の是非、そこがテーマであるかのうように見せかけて避けてしまっているので肩すかしをくらわされて監督の若さゆえの視点の違いに戸惑う。中学生の時に観た「ソイレント・グリーン」を想起する。安楽死施設はもっともっと極楽浄土でなければ…こんな野戦病院みたいな寒々しく暗い施設で誰が安心して死ねるものか。もっと暴れあがく数人がいてしかるべし。75歳で死を選ぶ権利が与えられるというテーマに迫るべきなのに、葬り方埋葬の仕方がひどいとか遺品処理のスタッフがひどいとか、コールセンターのトークマニュアルがねぇとか本筋と外れた部分でばかりこの制度を貶める台本にあきれました。
全364件中、241~260件目を表示