太陽と桃の歌

劇場公開日:

解説

2017年の長編デビュー作「悲しみに、こんにちは」で世界的に高く評価されたスペインのカルラ・シモン監督が、カタルーニャで桃農園を営む大家族の最後の夏を描き、2022年・第72回ベルリン国際映画祭で最高賞にあたる金熊賞に輝いたヒューマンドラマ。

スペインのカタルーニャで、3世代にわたる大家族で桃農園を営んでいるソレ家。例年通り収穫を迎えようとしていた矢先、地主から夏の終わりに土地を明け渡すよう通達される。桃の木を伐採して、その場所にソーラーパネルを敷き詰めるというのだ。頑固者の父は激怒するが、母と妹夫婦はパネルの管理をすれば楽に稼げるという話に心を動かされる。賭け事でお金を稼ごうとする祖父、取り付く島のない父、資金稼ぎに畑の片隅で大麻栽培を始める長男など、それぞれの方法で桃園の危機をどうにかしようとする彼らだったが、やがて大げんかに発展。家族の関係に大きな亀裂が入ったまま、最後の収穫が始まる。

2022年製作/121分/G/スペイン・イタリア合作
原題または英題:Alcarras
配給:東京テアトル
劇場公開日:2024年12月13日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第72回 ベルリン国際映画祭(2022年)

受賞

金熊賞 カルラ・シモン

出品

コンペティション部門 出品作品 カルラ・シモン
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(C)2022 AVALON PC / ELASTICA FILMS / VILAÜT FILMS / KINO PRODUZIONI / ALCARRÀS FILM AI

映画レビュー

5.0失われゆく当たり前の景色

2024年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

大きな事件、特別な出来事は起きずに
桃農家の日常の生活が積み重ねられていく。

動物、植物との共生関係、
何世代に渡って築き上げられる家族関係、
地域のお祭り、神への感謝
ホームパーティ、大家族みんなの食事、
どれも珍しくない景色かもしれないけれど、
立ち退きをきっかけとして、それらの関係性が崩れて全て失われてしまうかもしれない、
と思うと愛おしさ、寂しさを感じずにはいられない。

土地は単なる経済、生活空間ではなく、
そこに住む生物の魂、想いがリレーされていく場所でもあることを
繰り返される劇中の歌は訴えているようで心に染みる。

農業を頑張ろうとする息子への冷たい態度に示されるように
お父さんも次の世代からは変わらなければいけない、とは思っているけど、
興味のないようにみえたデモに参加したり、心中は常に大きく揺れ動いている。

何事も効率を追求し、早く新しくどんどん変化していくことが本当に正しいのか、
ささやかな疑問符を我々に投げかけてくれる。

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HK

3.0言うこと聞かない人達

2024年12月16日
Androidアプリから投稿

ヒューマンドラマの皮を被ったスペインの就農問題提起でしょうか
大家族の心境はよく描かれている、イリスちゃんメインだけど プールに強い陽射し太陽の恩恵は作物のみならずエネルギーにも スペインにもあのような砂漠のような土地が有るのですね、🍑もよく見えなかったけど平べったい、プラムに近い?
農業組合は無いのですかね、商品価値高いもの栽培したり機械化しないと農家はきっとキツイ でも一番辛いのは祖父だよね ずっと土地を管理してきたのにあんな簡単に、貴重な緑も減っちゃうしもうちょっとなんとかならない〜のと思ってしまいました

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共感した! 3件)
ゆう

3.5家族とは・・・・

2024年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

難しい

一族の大勢が集まる場では
大なり小なりの諍いが起きるものと相場は決まっている。

葬儀の場では連続殺人が茶飯事、
結婚式では人間の本性がむき出しに。

前者の代表は〔犬神家の一族 (1976年)〕、
後者なら〔ウエディング (1978年)〕か。

本作ではカタルーニャに住む「ソレ」一家の最後の夏が描かれる。

祖父や大叔母、その子供に孫たちと、
三世代にわたる総勢十三名の大家族。

もっとも、一つ所に住んでいるわけではなく
桃農園の収穫をはじめとし、
ことあるごとに集まっては他愛のない会話を交わす穏やかな日々。

企業による果物の買い叩きはあるものの、
それ以外に取り立てての問題はなく、
今年の夏も過ぎて行くはずだった。

ところが地主から土地の明け渡しを迫られ日常は暗転。

桃の木を伐採し、ソーラーパネルを置き、
太陽光発電の事業を始めるのだと言う。

祖父が結んだ(と、言っている)土地の売買契約は口頭によるもので
エビデンスは残っていない。

地主から持ち掛けられたパネル管理人の仕事に妻と妹夫婦は乗り気も、
今まで農業一筋で生きて来た夫の態度は頑な。

一族は混乱し、ぎすぎすした空気が支配する。

そんな中でも、今年の収穫は始まる。

農園を核とした皆々での生活を続けたい目標は共通ながら、
目指す方向がてんでばらばらのため、
収束点は見い出せない。

なによりも家長として有効性のある打ち手を提示できないジレンマが
父親の心を蝕んでいく。

また、こうした時に限って、
今まで溜まっていた膿がじわりと表に滲み出る。

農業に先行きが無いことを認識し、
子供には学問で身を立てて欲しい父と、
まったく正反対に農業で一人前と認めて貰いたい息子の相克。

が、そうした苦境を表面的にでも救うのは、
やはり毎年のように営々として続けて来た収穫作業なのは象徴的。

とは言え、根本的な解決になっていないことを示唆する
ラストシーンは観る者の心を暗くする。

陽光に包まれた画面とはうらはらに
この一家が背負う将来の重さが、
重機がたてる不協和音と共に迫って来る。

ある一家に仮託した、普遍的な家族の物語り。

そこには血縁の疎ましさが煩わしさがある一方で
情があり、思いやりや絆もある。

が、それだけでは渡れない世間が
周りを取り巻いている。

描かれた世界の様相は
あまりにも重い。

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ジュン一

4.024-146

2024年12月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

地主から土地を返すよう迫られ、
メガソーラーに変えらようとすると
大家族の物語。

ドキュメンタリーなのかドラマなのかわからない自然なやりとり。
世界中で問題になってる事実を知る。
エネルギーも大切だけれど
食料、農作物も大切、
家族の営みも暮らしも命も大切。

歌は豊かな大地と愛する故郷のために

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佐阪航