カモン カモン

劇場公開日:

カモン カモン

解説

「20センチュリー・ウーマン」「人生はビギナーズ」のマイク・ミルズ監督が、ホアキン・フェニックスを主演に、突然始まった共同生活に戸惑いながらも歩み寄っていく主人公と甥っ子の日々を、美しいモノクロームの映像とともに描いたヒューマンドラマ。ニューヨークでひとり暮らしをしていたラジオジャーナリストのジョニーは、妹から頼まれて9歳の甥ジェシーの面倒を数日間みることになり、ロサンゼルスの妹の家で甥っ子との共同生活が始まる。好奇心旺盛なジェシーは、疑問に思うことを次々とストレートに投げかけてきてジョニーを困らせるが、その一方でジョニーの仕事や録音機材にも興味を示してくる。それをきっかけに次第に距離を縮めていく2人。仕事のためニューヨークに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めるが……。「ジョーカー」での怪演でアカデミー主演男優賞を受賞したフェニックスが、一転して子どもに振り回される役どころを軽やかに演じた。ジェシー役は新星ウッディ・ノーマン。

2021年製作/108分/G/アメリカ
原題または英題:C'mon C'mon
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場公開日:2022年4月22日

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映画レビュー

4.0大丈夫じゃなくてもいい

2024年9月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

幸せ

日常にはたくさんの音がある。でも全ては聴こえない。聴かなくてはならない音、聞かされる音、聴いてしまう音ばかりで聴きたい音を探す場面は多くはない。
甥っ子ジェシーは父が不穏な状態が続き母と一見穏やかなだがヒリヒリした生活が続いている。そんなジェシーの子守にやってきたジョニーおじさんの仕事道具のマイクで、ジェシーは音を拾い出す。自分の聴きたい音を探しながら。これがエンパワメントのきっかけだったんじゃないかな。
親なき子と子なき親のロールプレイも大人からしたら、うっとおしいけど彼なりに最悪の事態に備えてたところと、まだ最悪の事態ではない自分を確認していたのかも。
大人でも子供でも一本踏み出すキッカケは「神の啓示」のようにはやってこない。

ともかく「この世はしんどいこともあるけど、先へ先へ」と進んでいく価値があるはず。
ジェシーがおとなになってこのおじさんとの、日々を思い出してモノクロなのかしら。

余韻のある素晴らしい作品でした。

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イズボペ

4.0子役がすごい、孤独と寄り添いと癒しの物語

2022年4月23日
Androidアプリから投稿

 とある事情からしばらく甥っ子の面倒を見ることになった、ラジオジャーナリストのジョニー。二人の交流を描く話だが、設定がなかなか重い。
 ジョニーと妹のヴィヴは1年前まで認知症の母親の面倒を見ており、介護における考え方の違いなどでぎくしゃくしていた。ヴィヴが息子のジェシーの世話を兄に頼んだのは、精神を病んだ別居中の夫の世話をするためだ。ジョニーは以前付き合った女性はいたが別れを告げられた過去がある。ジェシーは大人から見れば風変わりな子供で、母親ヴィヴの子育ての苦悩も描写される。子育て経験のある人は特に、ジェシーが気まぐれに姿を消す場面などビリビリ来るのではないだろうか。
 独身男性とやんちゃな甥っ子の邂逅となればほっこりさせてくれる話を期待しがちだが、そう簡単にはほっこりした感情に辿り着かず、特に前半は地味にしんどかった。

 それでもそんな空気が苦痛にならなかったのは、ジェシー役のウディ・ノーマンの愛らしさと神がかった演技に魅入られたからだ。見ている最中は「上手い演技だなあ」とさえ思わせない自然さ。でも、父親の不安定さや伯父に預けられた不安からくる子供らしい憂いがちゃんと滲んでいる。大人を試す我儘な素振りの、ジョニーが苛立つのも分かるしその裏にあるジェシーの寂しさも分かる、絶妙な塩梅。ジェシー自身が自分の中の気持ちを上手く処理出来ない、その不器用さがきちんと伝わってくる。それでいて、安易な御涙頂戴のオーバーアクトはない。
 ホアキン・フェニックスのバディ役とも言える大役を、彼は全く引けを取らずに果たしていた。ジェシー役にふさわしいと100パーセント確信を持てるような子役が見つからなければ本作を撮らないと決めていたミルズ監督が、「この子しかいないというのは明らか」と評したのも納得。

 折々に挟まれた、ジョニーが仕事として行なったアメリカ各地の子供たちへのインタビュー映像が印象的だ。作中に出てきた4都市に実際に住む子供たちの声だという。監督はモノクローム映像にした意図について、現実と切り離した寓話的な物語の世界へ観客を誘導するためと答えているが、このインタビューのくだりはドキュメンタリーの風情がある。
 彼らの語る内容はストーリーと直接繋がるものではないが、その素直で、時に真理を突いた言葉、未来への希望や不安を聞くうちに、子供の頃の世界の見えかたをおぼろげに思い出した。
 ウディが体現した不器用で自分の感情を持て余す子供に対し、じゃあ大人は長く生きた分みんな器用で立派かというと、全然そんなことはない。言葉にならないような感情に振り回されたり、心の安定を失ったり、人生の節目の選択において賢く立ち回れなかったりといったことが往々にしてある。
 予想出来ない未来へ向けて、試行錯誤しながら生きているのは大人も子供もそう変わらないのだ。

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ニコ

4.5愛おしさが胸いっぱいに広がっていく

2022年4月26日
PCから投稿

ただただ愛おしさがあふれて止まらなかった。本作には観客の心をふっと和らげて、肩にのしかかった重みを軽くしてくれる力がある。私の場合、特にインタビューマイクを向けられる子供たちの言葉に胸打たれた。これからの未来を担う彼らが放つ、どんな優れた哲学者や思想家よりも人をハッとさせる考察や思索。それは期せずして叔父と共に取材旅行を続けることになる9歳の甥にも通じることで、とりわけ彼が刻んだ言葉はこの時代を生き抜く上で指針となりうるもの。少なくとも私はこの先ずっと忘れないだろう。さらには、ホアキン・フェニックス演じる叔父と甥が無邪気に戯れるシーンの素晴らしさ。互いに心から信頼しあえる間柄でなければあんな空気感は醸成できない。濃密で生き生きとした関係性がそっくりそのまま映像に焼き付いているからこそ感動はひとしおだった。愛情や温もりに満ちたホアキンにこれほど優しい気持ちにさせられるとは思ってもみなかった。

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牛津厚信

3.5ホアキン力

2024年8月31日
Androidアプリから投稿

どうということないと言えばどうということない話なんだけど、ホアキン・フェニックスの声や佇まいが心地よくて見てしまう。

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ouosou