アンネ・フランクと旅する日記
劇場公開日:2022年3月11日
解説
第2次世界大戦下にユダヤ人の少女アンネ・フランクが空想の友だち宛てにつづっていた「アンネの日記」を原案に描いたアニメーション映画。「戦場でワルツを」のアリ・フォルマンが監督・脚本を手がけ、アンネの空想の友だち、キティーの視点からアンネの生涯をたどる。現代のオランダ、アムステルダム。激しい嵐の夜、博物館に保管されているオリジナル版「アンネの日記」の文字がクルクルと動き出し、キティーが姿を現す。時空を飛び越えたことに気づかないキティーだったが、日記を開くと過去へとさかのぼり、親友アンネと再会を果たす。しかし日記から手を離すと、そこには現代の風景が広がっていた。キティーは目の前から消えてしまったアンネを探し、アムステルダムの街を駆け巡る。
2021年製作/99分/G/ベルギー・フランス・ルクセンブルク・オランダ・イスラエル合作
原題:Where Is Anne Frank
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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あまりにも有名になった「アンネの日記」から、こびりついた「伝説」という殻を引き剥がして、ホロコーストという大きすぎる悲劇の渦中にいたひとりの女の子であることを取り戻そうとする試みだと感じた。アニメーションとしても流麗な表現に目を奪われるし、「アンネの日記」を新鮮な形で語り直すアプローチに感心した。ただ、現代に繋がる問題として、移民や難民の問題を扱っているのだが、イスラエル人であるアリ・フォルマン監督がパレスチナ問題はスルーしてしまっているように見えるのは惜しいというか残念というか。難民を救えというメッセージも、単純化されて絵空事になってしまった感はある。
2022年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
アンネの日記は架空の友人キティーに宛てて書かれている。本作は、その架空のキティーが現代に蘇ったら、という内容になっている。アニメーションが生命を吹き込む技術であるとするなら、まさにアニメーションの本義そのもののような作品だ。日記はとてもプライベートな文章だが、今やアンネの日記は世界で一番有名な日記となり、多くの人に読まれている。隠れ家だった家は記念館となり、多くの人が訪れる。架空の友人としてアンネとともに過ごしたキティーにはなんだかおかしな光景に見える。記念館から街へ出て難民の少年たちと出会い、アンネの最期の場所、強制収容所記念地へと冒険に旅に出る。
隠れ家生活を強いられたアンネが生み出した架空の存在が、家から飛び出て大冒険に出る。大変に感動的だ。そして、アンネの苦難を現代の難民たちの問題へと接続する。想像力は人を救うことができる。そういう希望がこの作品にはある。
想像を邪魔することは、誰にもできない。
アンネの日記と、架空の友人キティ。
それぞれの時間軸が絡み合う過程が、なお気持ちを持っていかれる。
「時代は変わっているはず」
本当に変わっているだろうか。今もなお人間は、歴史を繰り返してしまう。
作品のメッセージを、受け止めるべき。
2022年11月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
いい話でした。原題でも幼い命がないがしろにされていることに声を上げているところが素晴らしい。