劇場公開日 2023年6月2日

渇水のレビュー・感想・評価

全191件中、161~180件目を表示

3.0観たい度○鑑賞後の満足度△ クドカン、水道代くらい払えよ! 「渇いているのは人間の心」と云いたいのだろうけど中途半端にしか伝わらない。

2023年6月3日
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鑑賞方法:映画館

①私も子供の頃は水はタダだと思ってました。
でもそれは世界でも珍しい“飲める”水の豊かな日本に住んでいるものの驕り、だと云うことはシンガポールに赴任して初めて知りました。だってかの国はマレーシアから水を買っているもの。
そういう日本だが、家の近くを流れる川は、私の父親の子供の頃はそのまま飲めたらしいくらいキレイだったのに、最近は大分ましになったとはいえ、とても飲もうとも思えないくらいに汚くしたのも、日本の水の有難味を理解していなかった戦後の日本人のせい(私も含め)。
その水をキレイにして飲めるようにしてくれているんだから水道代くらい払えよ…
でも、その水道代も払えない貧しい人々も日本には居るんだよ、中学しか卒業してない女は身体を売らないと生活出来ない国なんだよ、高そうなマンションに住みながら平気で水道代を払わず口のききかたも知らない若造がいる国なんだよ日本は、という社会派ドラマとしての面も中途半端だし、大体こういうドラマの登場人物はみんな訳ありなのが通り相場だが、みんな自分のせいじゃないか、親や境遇のせいにするなよ、と感情移入できるキャラクターがいなくてこちらも中途半端。
門脇麦も尾野真千子も無駄遣いです。

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もーさん

2.5"渇き"をテーマにした人間ドラマ…?

2023年6月3日
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水の"渇き"
愛の"渇き"
心の"渇き"
と色んなテーマに対する枯渇と、その流れ(ここも水に掛けてる)を変える!というメッセージを感じました。

まず、門脇麦さんが母親役やってることにびっくりしました。母親のイメージなかったんですが、もう1人の母親役としてはかなりはまり役でした。

この作品で言う母親は、ネグレクトを受ける姉妹の"母"と、水道局員の岩切の息子の"母"(つまり岩切の妻)
の2人がいるんですが、両者とも流れを変えました。前者は悪い意味で、後者は良い意味で流れを変えたな〜って感じです。

子役に関してですが、もっとやれたんじゃないかなと思いました。ほぼ主演なんですから。
その子のことはよく知らないので、ただの文句のようになってしまいますが、
物語後半、岩切を止める人たちを引き剥がそうとしていた時に、そんな表情あるか?って表情してました。うーん。

さっきから、流れというワードを使っていますが、やはりところどころ流れが分かるような演出があります。ネグレクト母親は信用出来る男と出会い、岩切の後輩は彼女が妊娠したから、などです。

なので、岩切と岩切の妻はどこで流れ変わったんだろう?って不思議に思いました。
途中で5秒くらい暗いトンネルを車で走るシーンとその後に壮大の滝のシーンがあるんですが、そこですかね???
もっと岩切という人間の内側を深堀して欲しかったです。
滝見てきた→流れ変わりました、で、なんで???ってなりました。

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Octopus(あまりコメント返せません(*_ _))

1.5これ邦画の命綱なんだけどな…

2023年6月3日
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子役に対する演出が甘くて観てらんない。
何故ここまで欲求するレベルが低いんだろう。
いざ演技となれば大人も子供も区別はないはずだ。
料金もなく勝手に観られるテレビならそれでもヨシとしよう。 それとは一線を画す商業映画なら全ての俳優に高い質の芝居を求めるべきだ。

残念ながら かわいそうだけど この姉妹役は2人共ひどい。 経験不足や幼い などと庇っている限り邦画の未来はない。

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すったもんだだよ

4.0それぞれの渇き

2023年6月3日
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悲しい

難しい

渇き、のどがかわくこと。その度合。「―をいやす」。また、比喩的に、うるおいに欠けた環境・状態に耐えず、うるおいを求める心。
 「心の―」

求める心、それぞれが、それぞれのうるおいを。
それは、切なく、苦しい。

「流れ」は、変えられる。
そこに、意志と希望。

赤、青、黄色、水、光り、が印象的な映像、
それらに込められたメッセージとは。

個人的な善意には
限界があることを悟らせるセリフは
グサグサ胸に刺さった。

岩切の「目」、「表情」の変化も素晴らしかった。

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she'lly

4.5お水とネグレクトの話

2023年6月3日
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悲しい

幸せ

育児放棄されてしまった姉妹へ、いろいろな大人の反応の話ですね。いろいろな助け方があると思いますが、どれもいろいろな優しさなのですが、傷てけてしまいます。切ないですね。
お姉ちゃん役の山崎七海さんはいいですね。というか、彼女の演技の善し悪しで、映画の質が大きく変わるかと。強さと儚さが同居してとても良かったです。今後も期待です。

フィルムで撮影したのか、古さも感じます。
1990年の小説が原作ということですので、いつの時代も同じ問題なのだと感じます。

ただ、たぶん撮影は夏ではなかったのでしょう。暑苦しさは感じなかった。汗とか脂っこはを感じない。こればかりは夏に撮影出来れば良かったのですが。

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だるまん

3.5「心の潤い」は無料で享受させて…

2023年6月3日
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悲しい

単純

公開日はあいにくの悪天候でしたが、上映時間の都合がよかったので「怪物」に続けてハシゴ鑑賞してきました。

ストーリーは、水道料金滞納家庭を訪問しては料金徴収や停水執行をしていた水道局員・岩切俊作が、妻と息子に家を出ていかれて寂しい生活を送る中、仕事で訪れた家で、父親不在で母親にも育児放棄された小学生の姉妹と出会い、自身の中にある変化が起こるというもの。

水道料金を払えない側にも、やむにやまれぬ事情がある人が確かにいるのですが、それでもなお停水せざるを得ない水道局員。仕事とはいえ、やりきれない思いから少しずつ心を蝕まれていくように感じるのも無理からぬことでしょう。流されるままに生きてこの仕事に就き、それを粛々と進めてきた岩切も、今や妻と息子にも見放され、もはや心が麻痺しているかのようです。そんな彼の心を揺さぶるのが幼い姉妹の姿です。疎遠となっている息子の代わりにこの二人をなんとかしたいと感じたのかもしれません。それほど心が渇き、己の寂しさを何かで埋めたかったのかもしれません。ネグレクトの母親に思いをぶつけながらも、その資格のない自身の不甲斐なさを振り返っていたことでしょう。

一方で、逆境にもめげず、支え合って暮らす姉妹の姿に心を抉られます。姉は目に力のある子で、大人に頼らず妹を守りきる凛とした姿がなんとも切ないです。妹は屈託ないかわいらしい笑顔の裏で、実は姉しか頼れないことを本能的に察知しているかのような姿がこれまた切ないです。この二人もまた、誰にも頼れず、誰も信じられないほど、心が渇ききっていたのです。

終盤で、給水制限の中、岩切が公園の水道を全開にする行為は本当にささやかなテロですが、からからに渇いた心に潤いを与えてくれた姉妹への感謝のようにも思えます。そして、すべての大人や両親さえも敵視していた姉妹にとっても、この上ない心の潤いになったのだと思います。逆に、彼女の妊娠を知った木田は、このささやかなテロには加わりません。「守るものができた」というのは、木田の心の潤いを表している言葉だと思います。

本作を通して、家族のつながりがどれほど心を潤わせてくれるのかということを改めて感じた気がします。本作が、ネグレクトやヤングケアラーの問題に苦しむ子どもたちの救済の一助となることを切に願います。「心の潤い」だけは、誰もが無料で享受できるものであってほしいです。

主演は生田斗真さんで、流されるままの岩切を好演しています。脇を固めるのは、新たな一面を見せる門脇麦さん、ドラマや映画に引っ張りだこの磯村勇斗くん、安定の演技の尾野真千子さんらです。そしてなんといっても、子役の山崎七海さんと柚穂さんの演技が光ります。

余談ですが、劇中で岩切の自家用車のナンバーが「3274」なのは、「水なし」の語呂合わせなのでしょうかね?

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おじゃる

4.5悲しいドラマ

2023年6月3日
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悲しい

予告編からの予想通り。面白かった。渇きってそういうことか。水道屋さんとシングルマザー家族の物語。

色々と考えちゃいました。
空気、太陽は無料と、水は有料の対比について
公務員は税金で生活に対して
万引きしてでも生きるか、現実を受け入れて死んでしまうか

などなど。

生田斗真、おふざけ系だけじゃなくこんな役もいい!

静かな映画で、そして面白かった。

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ノブ様

3.0プチ誰でもわかる文芸作品。プチすぎて平均点。

2023年6月3日
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悲しい

単純

知的

私、この後、是枝監督の 「怪物」観るんだよ❗️

朝のLiLiCoの情報では、微妙なニュアンス醸し出してた

こっちが 子役に事前に台本渡さず、「怪物」は台本渡す【逆だったらスマン】
の違い と磯村勇斗のガリガリ🥶アイス 何度も取り直し
だけが目立ち、LiLiCo氏 の歯切れが悪かった。

そのまんまの作品。王様の・・って随分前からやってるだけに
LiLiCoさん 信用できる。

まあ 原作は 公務員作家のバブル1990作品
だけに、ベースはリアリティがある。

だが、今は貧乏人が基本マジョリティ だから
映画的に明るく昇華改変している。

公務員の ショボい反乱。

だがキモはそこでは無く
そこに至る心象、過程だろう

まあそこそこ 良い作品⭕️です。

ただ【歯ごたえ】みたいの、バリカタ 求めてる人には物足りないかもね。
小作品、良い話⭕️それ以外の何者でもない。昔の【宮本輝の短編】みたいな感じ・・・・

子役2人が 演技がうますぎて、大人びているのは 評価が分かれる
足りないお金💴2千円に 蛇苺 添えられた 場面 で畳み掛けて欲しかった
もう少し押しがあれば、泣ける場面だったのに・・・

女性の社会的地位、雇用【有料パンフ情報】まで思いを至らすのは深読みしすぎ

リアルだけど1990と違って 令和2023の今は 明らかに 事実上の子供だけ世帯、老人、病人等疲弊が
明らかな場合は 福祉事務所 や 児童相談所 同伴の場合が多いと思う。
だって 飲み水ない→余命1週間以内 で責任を取らされるのは 役人のもっとも忌み嫌うパターンだから
逆に 最後のショボい反乱で 警察沙汰とかは 実際にはあり得ないよ。

規則職務規律違反でも 自分の利益でも無く、初回で やむをやむを得ずという動機だから
普通は【訓告戒告】だってば❗️訴えを取り下げるって・・・イヤイヤ役所が便宜的に警察利用はあり得ない
点は 詰めが甘い 。犯罪かどうかというのは捜査機関にとって可罰性【可罰的違法性ともいう、検索🔍してね】
が全て 100% だから

有料パンフはなかなか良く、全背景、全制作意図が分かったが
映像からはそこまで読み取るのは❓でした。まあ時間も短いから⏰良い作品⭕️ですよ。

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満塁本塁打

4.0生田くん他、俳優は良かったけど、映画はたるい。中二病っぽい。

2023年6月3日
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生田くん他、俳優は良かったけど、映画はたるい。中二病っぽい。

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えみり

2.5白石和彌初プロデュース

2023年6月3日
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あら、この映画も評価高いな…
最近、自分でもレビューがやや辛口な気がするけど、そこは「好み」だけで選んでいるわけではないし、人それぞれ色々な見え方はあるわけだし。とは言え、今日は朝からずっと胃痛に悩まされているし、忙しさなどもあって心が荒み気味なのかもしれません。そう言えば、この作品の登場人物も、木田(磯村勇斗)と次女・久美子(柚穂)以外、ほぼみんな荒んでます。オールモスト・バッドバイブス(笑)。
そもそも、この作品を選んだ最大の理由は「白石和彌初プロデュース」と言うことでのお手並み拝見です。取り敢えず、ちょい役に至るまでキャスティングは豪華ですね。特に(主演を飛ばして申し訳ないですが、)磯村勇斗さん、門脇麦さん、この二人は今回も裏切りません。何気に、昨年引退した佐藤美希さんが出てきたときは「おおお」と思いました。子役のお二人は、次女役の柚穂さんは「子役っぽさ」が出すぎててちょっと苦手かな。一方の長女役、山崎七海さんはまだ拙さが残る部分もありつつ、要所要所で雰囲気ある演技は感心しました。些末なシーンですが、予告でも使われている転び方はなかなか上手ですね。
さて、冒頭でぼやきましたが、自分には他の方の評価が「高すぎる」ように感じます。
私、原作は未読なので元がどんなか、どれくらい脚色で改変があるのかは判りませんが、脚本が陳腐ですね。何というか、悪い邦画に感じがちな「THEおなら映画(『スイス・アーミー・マン』的ということではありません)」。恐らく、私の中でそう遠くない未来、作品に対する印象すら残っていないと思います。
結局何が言いたいの?役所や役人に対するアンチテーゼ?まぁ、確かに映画に出てくる水道局員、暇そうです。厄介な仕事をしているかもしれませんが、やっているのは外回りして「集金or停水(閉栓)」だけ。陽の明るいうちに帰り、ビール片手に庭でガーデニングやら喫煙。こういうリアリティのない設定はこの作品に限りませんが、それにしてもそれを「イメージ」として結びつけているとしたら安易な方法です。ましてや、「子供相手に」ときたらもう見え方のバイアスは決まってしまいます。
で、結局は終盤の展開から、最後のシーンで掛かってくる電話、、、別居の妻にはあの事がどう伝わってたのか?或いは伝えられていないのか、息子よ、前に会ったときはそんなこと言いだす雰囲気全くなかったじゃないか。。ナニコレ?GANBOU?
あああ、ストレス溜まってるのかしら私。まだ胃も痛いし。そんな日に観る映画じゃなかったのかもしれませんね。失敗でした。

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TWDera

3.5タダより高いものはなし。

2023年6月3日
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もしこの作品の脚本を渡されて、出資を誘われれば「今回はご縁がなかったと」謝絶する。本が悪いわけでなく、キャスティングはまあまあではある。しかしテーマが一言で説明しづらい、さらにそれを映像で観客の『腑に落ちる』カタルシスとして描きづらい、という一点で、乗れない。まあ、そういうことだ。

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t2law

4.0柄本明は出ていなかった

2023年6月3日
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大吉

3.0心も乾いてたんだ

2023年6月3日
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悲しい

難しい

前橋市の水道局に勤める岩切俊作は、水道料金を滞納している家に行き料金の徴収を行い、支払いしてもらえない家の水道を停止する、停水執行、の業務を行っていた。雨の降らない日が続く夏、市内に給水制限が発令される中、お金の払えない家に行っては、罵倒されたりし、嫌われる毎日を過ごしていた。そんな時、育児放棄を受けている幼い姉妹の家を停水執行にしたが、その姉妹の様子が気になり、別居中の息子と重ね合わせ・・・てな話。

生田斗真の心の渇きを表現してる作品なんだとわかった。
姉妹の母親、何やってんだ!って観てて、お姉ちゃんがんばれ、ってずっと応援してた。
お姉ちゃん役・山﨑七海の目力の有る演技に引き込まれ、水の無いプールでのエア水泳の時の手首の動きが素晴らしかった。本当に水泳が上手いのかも。
これから姉妹と俊作はどうなるのだろう。

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りあの

4.0水の大切さ

2023年6月3日
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普段何気なく使用してる水。
家庭環境によって使用を止められる。ごく当たり前の事なんだけどなんだか考えさせられました。
また子役の2人の演技が良かったです。子供相手でも仕事をこなさなくてはいけない主人公。日常生活を考える作品でした!

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りきのすけ

4.0これ現実だったらやだなぁと震えがきた

2023年6月3日
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泣ける

悲しい

難しい

水道料金払わないなんて考えたこともなかったので、これが現実だとしたら嫌なものだなぁと。
生田斗真も良かったが、子役の演技が秀逸でした。引き込まれるものがある。

お札をぐしゃぐしゃにして捨てるシーンは、流石に腹立たしかったなぁ…。
生きるための責任というか、その重さは人によってこんなにも違うのかと思い知らされました。演技も良かったし、テーマもオリジナリティある題材だったので、結構いい時間をもらえた気がします。

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さかもと

4.5(6月5日追記分あり)取り上げた話題の「影響範囲」が広すぎて収束できていない…。

2023年6月2日
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今年176本目(合計827本目/今月(2023年6月度)1本目)。

 ※ 原作小説があるとのことですが、解釈は現行の法律(令和5年4月1日施行基準)によるものとします。

 いわゆる取水制限が取られるほどの雨不足に見舞われた市の、水道料金の未払い者(滞納者)に対する(給水)停水執行に関するお話です。

 …といいつつ、それ以上に書きようがないのがこの映画の特徴でもあります。ネタバレありで書かれている方が触れている通り、ラストにいたる主人公のとった行動はかなり突飛で(民法上の事務管理と解するのも妥当か??)、ここから変な解釈になる上に、映画で述べたかった点を多々入れすぎて解釈を一つに定めることも難しく、この映画で取り上げられている「水道」に関することは極めて影響範囲が広いからです。

 さっそく採点にいきましょう。4.3を4.5まで切り上げたものです。

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 (減点0.7/映画が述べたい趣旨に対して考察すべき点が多すぎ、放映時間に対して問題提起も解釈も足りていない)

 ・ 結局ここにつきる点があり、映画館で映画を見ることを娯楽として見る立場(私もそれは完全には否定はしません)では「短くてコスパのいい映画がいいよね」ということになろうかと思いますが、映画で取り上げられている題材(水道法と、未払い者に対する停水執行の話)はかなり「重たい議論」で、この問題提起も(映画なりの)解釈も不完全なまま終わり、ラストはへんちくりんな方向になるので、結構厳しいです。かといってインド映画のように3時間級にすると(映画館の事情として)難しいし、どうしたものかな…というところです。
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 (個々事情/水道法と市町村の条例の解釈について)

 ・ 水道法は15条で「正当な理由がなければ給水を拒否できない」とし、一方で「料金を支払わない場合には、手続きを踏んだ上で給水を停止できる」(15条の3)とし、その具体的な「手続き」は各市町村の条例にお任せというタイプの法律です。

 一方で、水の摂取は人の生命の維持にかかわることなので、水道法にいう水道の供給は憲法が保障する生存権(25条/直接これが現れるのが、生活保護法)にかかわる、きわめて特殊な法律です。

 また、水道は基本的に市町村が行うことを前提とする(水道法6条の2)公的なサービスの意味合いが強く、この意味で、単なる他の法律による一般的な契約とも、あるいは何かと解釈がもめるNHKの公共料金等との法律とも違う、「行政と私人(住民)の純粋たる契約」とはいっても、扱いが違います。学問上は「行政契約」と呼ばれる、行政機関(市町村)と水道供給を受けたいものとの「私人の立場での契約」に当たりますが、上記の事情から、他の法律とはかなり異なった構成になります。

 つまり、水が人の生命に欠かせないという当然の前提である以上、供給者(市町村)は正当な理由がなければこれを拒めない(15条)という、人の命に直接影響するほどの事項を扱うがために、停水執行に関しても各市町村の条例で個別に決まっていますが(停水執行のルール自体も、例えば何回滞納したら、等もすべて市町村ごとに違います)、概して上記の「生命の維持機能に直接関係する」法律であることから、「滞納に関しても、一切の理由を考慮して給水を続けることができる」とするのが各市町村の条例です(これは水道法の役割を考えたときの特殊な論点)。

 ※ 映画内でも示されるように、水道料金の滞納というのは(水道の誤使用(出しっぱなし)等を除けば)滞納4か月でも2~4万円にしかならないので、回収プロセス等を考えればコスパの悪い事業であり、一方で全員が滞納するとどうしようもなくなるので、「道徳的観点での対応」という意味合いが非常に強いです。

 ※ そして、多くの場合、当事者が行方不明であるとか、すでに亡くなっているという場合も多くのケースで考えられるので(水道法の性質から)、その場合に法定相続人に求償するのかとか言い始めると面倒なことこの上ありません(なお、マンション等で「(引っ越した)前の住居者が滞納していた場合、新住居者に対して支払いをもとめられるか」に関しては、法の質疑応答で「できないものと解される」という扱いになっています)。

 したがって、映画内で主に述べられる「事実上、子供だけで住んでいる子」に対して水道法や各市町村の条例を形式的に当てはめて停水執行ができるのか?というときわめて微妙なところがあり(そもそも、停水執行をこのような家庭で行うことを、法も各条例も想定していない)、映画の述べる論点は結局ここに収束されますが、この点の踏み込みが足りない一方、それをどうこう言い始めると映画自体が成立しないところがあり、やや配慮が足りていないのでは…というところです(各市町村条例でも「一切の考慮をして給水を続けることができる」等という規定があるのは、こういう(想定はしていないと思いますが)特殊な事案に対応することができるように、という「特殊な状況を想定した規定」とも言えます)。

 こういった部分にやはり配慮がないので、ただ単に「法や条例を形式的に順守すること」と、「形式的には法や条例に抵触していても、その根本原因が何なのか」という比較論が何もないので、どうしても法律系資格持ちには薄っぺらく見えてしまうのです。

 (減点なし/参考/停水執行の解除と料金の支払い)

 ・ 上記のように、水道法の性質は「行政契約」です。したがってその解釈にはまず民法が最優先で適用されます(もちろん、契約といっても行政と個人との契約になるので、余りに私人に負担がかからないよう、公法(憲法・行政法)と私法(民法ほか)のミックス的な解釈になるように配慮はされます)。

 ここで、一般的には(映画でも描かれている通り)、停水執行を止めて再び給水を受けるようにするには、料金の支払いが必要ですが、これは民法上の「同時履行の抗弁権」によるものです。

 ただし上述の通り、水道法の特殊性上、「滞納分の半額以上の支払いがある」「確実な返済計画が遂行可能と認められる計画表を提出する」等にも認める、個々それと違った「緩やかな規定」を設けているところもあります。これは民法の大原則の「契約自由の原則」のあらわれであると同時に、水道法の特殊性故(憲法が定める生存権にかかわる)によります。

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 (参考/減点なし/この映画がPG12であるのはなぜか)

 ・ おそらく推測ですが、物語中盤で、主人公だったかが包丁で野菜を切っているときに指を切るシーンがあり、そこが引っ掛かったのではないか?と思えます(一応、PG12なりの配慮はあります)。

 (参考/減点なし(今回に限り)/「児童自立支援施設」の果たす役割について、映画の述べる記述がやや曖昧)

 「児童自立支援施設」は、その性質上、非行が確認できた児童を一時的に入所させたり、あるいはこの映画のように、個人に帰責性のない「家庭環境の悪化等で一人にしておけない」児童が「同時に」入所する施設です。当然前者と後者とでは扱いが違いますが、同じ施設の中にいます。

 したがって、上記の事情から、スマホの所持・購入が制限されたり、あるいは、一般的な年齢の児童が一般的に知っているであろう文化に触れられないといった制約があり(もっと身近なところでいえば、「保護者」が常に付き添うわけではないので、自由に映画に行くことができない(各都道府県条例))、これは少年院ほかと違った別の意味で「本人に帰責性のあるもの、ないもの」が両方同時に入所しているという「ある意味ねじ曲がった状態」があるのは、映画内ではちらっと描かれますが具体的な問題提起はなし…。

 ただここは、リアル日本でも問題提起されているところでもあり、どう解釈するかは判断が分かれます(原作が小説である以上、あることないこと付け加えることはできない)。

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yukispica

3.5主人公のブチ切れる様に同調できない

2023年6月2日
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水道料金は、生きていくために必要な最低限度の費用だから、それを払えない者は、ほとんどの場合、本当の生活困窮者なのだろう。
そのため、料金未納で水道を止める係の人が、仕事とはいえ罪悪感を感じてしまうというのは、そのとおりなのだろうと思う。
主人公は、「流される」まま、機械的に仕事をこなす水道局員で、表向きは料金未納者の事情には立ち入らないようにしているが、内心では葛藤を抱えていることが伝わってくる。
そんな主人公だから、母親からネグレクトされた幼い姉妹には救いの手を差し伸べるのだろうと思って観ていると、なかなかそういう展開にはならず、少しイライラする。
ラストになって、ようやく行動を起こす主人公だが、「流れを変えたい」という気持ちは理解できるものの、なぜ、ブチ切れたのか、なぜ、あのような行動を取ったのかがよく分からない。
主人公が、それほどまでにフラストレーションを溜め込んでいたようには見えなかったため、その突然の爆発に、共感することも、納得することもできないのである。
主人公の行動にしても、そこは、お金をあげたり、水をまいたりするのではなく、「まずは児童相談所に通報だろう」とツッ込みたくなる。
「火垂るの墓」や「誰も知らない」を彷彿とさせるような姉妹の姿が胸に迫るだけに、大人たちの描写が歯がゆいだけなのは残念だった。

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tomato

3.0共感

2023年6月2日
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WELOVEMOVIES

“水”で表現する絶望と希望

2023年6月2日
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知的

KADOKAWA様からご招待いただき、鑑賞しましたー!!

水不足により、日々節水を推奨されている日本、水道代を払わない人の水道を止める職員。そして、育児放棄の被害かつお金のない姉妹。彼らの絡み合う先にあるものは?

現代日本社会の負の部分を“水”を軸に描いた物語。
良いことも悪いことも、“水”で表現している。
普通の人達が普通ではなくなる、その様が恐ろしく、ちょっとした絶望にも震えた…。もちろん希望がある人もいるから、プラス面もある。

当たり前のことかもだけど、他者のために何かをすることの大切さを教えてくれる。
なにかの、誰かの“流れ”を変えたくなる、好きな考えです。

また、この物語は、ありそうでない、微妙なリアルさが良かった。

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映画好きのたくや

5.0あなたは渇いてない?

2023年6月2日
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泣ける

悲しい

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SAKURAI