渇水のレビュー・感想・評価
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子供達を救済することで、自分を救済するお話
東京、本日曇り。
と思ったら、途中から雨になりぴえん。
単館作品だよなと思つつも、ご近所全てシネコン上映。
これまたぴえん。
思った以上に子供達が痛々しくて、もう少し早く救済してくれと思い観てたが
考えてみれば、これは「怪物」と違い、
子供がメインではなく、生田斗真くんがメインの物語。
子供達を救済するというていで、
過去と今の自分を救済するのだから、救いが遅くなっても仕方ないのか。
その割には子供達がメインに進んでいくものだから、なんか全体ぼやけてしまった感じが…もごもご。
門脇麦ちゃんの湿っぽさ、磯村くんの等身大なお芝居。
いつも好きです。
水道局員の家族関係についての描写は不要だったような気がする。もうす...
水道局員の家族関係についての描写は不要だったような気がする。もうすこし水道を止める仕事についての掘り下げがあっても良かったかも。それにいくら、雨が降っても水道料金の延滞が免除されるわけではないのだ。水道料金は設備を維持管理するための費用だということがどうしてわからないかなあ。水道料金を払いたくない人は、雨水を貯めてそれを使わざるを得ない(そのためのタンクや配管や衛生管理費を自腹でやるというのがいかに大変か)。昨今、水道事業を民営化するじゃせんじゃの話が出てきているが、人間の生命に関わる事業は民営化には向かないんじゃないかなあと思う。
生命線である水道を止めるという仕事
姉妹の好演が光る。
生きとし生けるすべてのものにとって最も大切なもの。それは「水」ライフラインの最後の砦である水を止めるということは即ち命に直結する。日照り続きの乾いた街で水道料金滞納者に対し粛々と停水を執行する水道局員たち。
自らの生い立ちや現在の家庭に問題を抱える表情まで乾ききった掴み所のない水道局員の岩切。岩切が出会うネグレクトにより2人だけで生きる幼い姉妹。全て分かっている姉と純粋な妹。まるで現代の清太と節子のようです。岩切が起こした真夏の暴挙。恵みの雨がもたらすものが希望でありますように。そう信じたいラストだった。
16ミリフィルムで撮影された本作。ザラザラとした質感がテーマによくマッチしていた。いろんな方が出演してますがせっかくの門脇麦なので、姉妹と母のストーリーをもっと見たかったかな。
本当に求めているのは水ではない
刺さる人と刺さらない人で、評価がかなり分かれる作品ではないだろうか。
個人的には、似たような仕事をしているのもあるが、お金、夫婦仲、子どもとの接し方など、まさに「こうならないように」生活してきたので、あまり共感はできなかった。
作品の完成度は高いと思うが、PG12の割にあまり踏み込んだ描写が無かったのが、少し物足りなく感じた。姉妹の普段の生活や、門脇麦、外回りを外してもらった同僚などに、もっとエグいエピソードがあればとも思ったが、作品の趣旨から逸れてしまう気もして、結果、全体的にバランスが良いのかもしれない。
冒頭、水のないプールを前に、帰ろうと言う妹と、泳ごうという姉。
確かにプールを求めて来たのだが、極論、水を求めていた訳ではない。冷たくて気持ち良いと感じられる、心の癒しが得られればそれで良い。
最後まで、「本当に欲しいもの」への姿勢が揺るがない姉。その描写、本人(子役)の演技は見事だと思う。
水道局員にとってできることは、事前に伝えることだけ。
どうするかは、本人が決めること。
生田斗真だって、奥さんから何度も「通知」を受け取っていたはずなのに、無くなってからその重要さに気づく。
姉にとっては、周りの大人が、みんなそんな風に写るのだろう。
(延滞料金を)いくらかでも払って欲しい、というセリフは、そのまま、姉が母親に言う「髪を切ってくれたら」に対比する。
そんな些細な愛情でいいから欲しい。
水やお金が欲しい訳じゃない。
愛情が欲しいだけ。
水のように低きに流れていく人からは、水の匂いが、自らを叩き上げ続ける人からは、火と鉄の匂いがするのだろう。
結果的に、お父さんもお母さんもいなくなって、あの姉妹は、幸せなのか。いや、これから自ら幸せを掴みにいくに違いない。
ただ、どうにも生田斗真だけが救われたようなエンディングが、もやもやしてしまう。
テーマがわかりにくいと感じた
この映画の物語を通じて、何を言いたいのか、僕にはわかりませんでした。
何かが変わったのかといえば、何も変わりません。
主人公の水道局員の岩切さんは、自分を抑えつけることに耐えきれなくなって、暴走した結果失職しましたが、それによって行政の何かが変わったということはありません。
姉妹も、行政サービスに保護されただけで、母親や父親と幸せになったわけでもないし、大人を信じられないと言ったお姉ちゃんも、岩切さんの暴走くらいで心が晴れるわけはないです。
母親から、アンタくらいの歳には親のこともわかっていたと言われて、歳のわりに大人びて世の中のことを理解していた賢いお姉ちゃんが、たまたま偶然にタイミングよく降った雨だけで、成長するとも思えません。
岩切さんの息子から電話で、海へ行きたいと言われたのも、「その結果のためにどんな努力をしたのか?」っていうと、ヒマワリ持って会いに行ったけど、奥さんや子供には受け入れてもらえずに「考える時間が欲しい」といって追い返されただけです。
物語を通して観客に対して訴えたい何かがあるのかというと、テーマはとても理解できません。
ただ、公務員という仕事の救いの無さを淡々と描いたように見えます。
公務員はただ仕事を任されただけの作業員に過ぎず、公務員の裁量で市民へのサービスが不平等に偏ることは許されません。
姉妹がどんなにかわいそうでも、自分のやった業務の結果、幼い少女が万引きに手を染めてしまったことを目の当たりにしても、なんなら姉妹が生活苦から売春行為に走っているところを目撃したとしても、仕事は仕事です。
人間として耐え難く、ついには暴走してしまうほどに苦しいとしても、それが公務員の仕事です。
そのような苦しい仕事をしていても、市民からは「税金で給料をもらっている」といって後ろ指を差される。
お金のでどころが税金だろうが会社の顧客だろうが、労働者にとって給料は「労働の対価」であって、公務員だって仕事をしてお給料をもらっているのだから、本来ならそのような中傷を受けるべきではないのに。
何かを伝えたいというより、理不尽を見せたかったのでしょうか?
たしかに世の中は夢と希望に満ちてなんかいないけれど、こういう現実を見せつける内容は陰鬱な気持ちになって楽しくありません。
評論家とか、頭の良い偉い人には良いのかもしれないけれど、映画にエンターテイメントを求める多くの観客にとっては、胸糞悪く感じられるのではないでしょうか。
渇いた心を潤すものは何なのか。
初日舞台挨拶の回を鑑賞。
16mmフィルムでの撮影とのことで、設定は令和ながらも昭和の映画を観ているような感覚に陥る。それがジリジリとした暑さを感じさせ、渇いた街や人を上手く表していた。
長期滞納者の水道を止める業務を行う水道局員と、水道を止められた姉妹。
人形のように感情のない目をした先輩生田と、人間味ある後輩磯村のコンビが良い。
姉妹役の2人は芝居が凄く上手いというわけではないのだか、作り込みすぎていない感じで、長女の表情や目力には惹きつけられる。
大きな事件が起きたり、どんでん返しがあったり、感動的な出来事がある映画ではありません。
でも、小さなことでも自分が行動を起こすことで、たとえ問題が解決しなくても、もしかしたら何かが変わったり、誰かが救われることがあるのかもしれない。
そう思わせてくれる作品でした。
共感しました
河林満さんを思い出させてくれる秀作!
渇水というテーマですから、太陽がギラギラ輝いているものと想像していましたが、画面はとても穏やかで色彩が抑えられていたのが、独特の雰囲気を醸し出しておりました。映像では出演者の顔のアップがとても多く、表情で心の渇きを表現しようという試みが切々と伝わってくるようでした。河林満の作品は、30年前に上梓されたものですが、立川市の市役所時代の経験が下敷きになっているとはいえ、令和の時代でも、観るものに訴えかけてくるものは、ほとんど違和感がないストーリー展開です。貧困、家庭不和、不幸の連鎖、理不尽な仕事の執行は、今だに常に私たちを取り巻いています。それは、人間が生きて行く上で、避けて通れない事象なのでしょう。この作品では生田斗真が、理不尽に水道代を払えない人たちの「停水執行」を、極めて事務的に行う中で、多くの人々の罵詈雑言、悪口、暴力を受けることによって、どんどんと病んでいきます。また、自らの家族の不和、育児放棄された姉妹の苦悩などが積み重なり、ついにストレスが爆発します。その小さな反乱は、姉妹の「大人や社会が大嫌い!」の言葉が引き金となりますが、姉妹の社会に対する不満と生田斗真の不満が、化学反応を起こしたようなものでした。小さなテロは、あっけなく終焉しますが、その時になんと日照り続きの大地に雨が降ってくるのです。それは渇水が満たされていく吉兆のような展開でした。このシーンが一番の見どころなのかもしれません。そして、やがて姉妹も生田斗真も希望の未来へ走り出します。不幸に見えることも、必ず温かい春が来るということを示唆しているようで、穏やかな感動に包まれました。
早く見に行って下さい
何故か上映される劇場が少ない、しかし見に行きました。姉妹泣けますね、特にお姉ちゃん抱きしめたくなります。生田斗真君は今回リアルに共感できたし、磯村君は可愛いし売れっ子なはず。見に行く映画全て出てますもんね、応援してます。物価は上がっても給料上がらず、うさばらしに公園の水ぶちまける気持ち解ります。是非とも早く見に行って下さい。
ディハイドロオキシジェン
どこかの評に書かれていた通り生田・磯村の目の死に方が見事だし,長女もフランキー・コリオ@「アフターサン」ほどではないにせよ,なかなかの逸材とお見受けする。
日本はライフラインやインフラ,治安維持,医療,防災等日常生活を支える基本的な公共サービスが,その存在すら時々忘れてしまうほど充実しているが,その網にどうしてもかからない人たちを救うために,壊れてしまう現場担当者がいることに思いを馳せたい。
最後に待望の降雨があって様々なものが潤い,水に流してしまうところがいかにも日本風か。
プール、水、鉄と火、タバコ、そして、雨、の匂いがします。
勘違い映画
雨降って…
門脇麦がYOUで、お姉ちゃんが柳楽優弥みたいな話になるのかよーと思ったよー(監督が是枝裕和じゃなくて良かったねー)
公共料金で水道は最後の砦、自分も若い頃止められた経験があったことを思い出す(遠い目)
いつまでもあると思うな親とカネ(教訓)
小さなテロ
水道料金を滞納している人々の家の水道を止水する水道局員ととある姉妹との物語です。
自分はあまり自宅にいないので、水道代がかからない生活をしているので、滞納なんてした事もないんですが、今作に出てくる人たちはかなり滞納している人たちが出てきます。しかもわりかし逆ギレする人たちが多いのも特徴的でした。
メインは水商売で生計を立てるシングルマザーと幼い姉妹の一家、他にも家庭の事情や経済的問題、身勝手な理由で滞納する人たちがぞろぞろ出てきます。滞納している理由に同情できる人はほとんど出てきません。というか滞納なんて余程のことがない限りしないと思うので、それなりに問題がある人が滞納してるのかなぁとなんとなく現在とリンクしたなと思いました。
主人公も過去に家庭を置き去りして過ごしていた事をこうかいしつつも、流れるように仕事をしている事で色々中和している人物だなと客観的に思えました。
水道を止める事には抵抗は無いけれど、生きている意味を実感しているようには思えないのもなんだか辛い描写だなと思いました。
姉妹の健気に生きる姿が美しくも見えて、それでいて痛々しくも見えてしまいました。最初は水を汲んだり、節約に励んだりと、ダメな母親を頼らずとも強く生きているのですが、後半になってくると万引きに手を出したり、他人の家から水を盗んだり、犯罪紛いのところまで手を出してしまっていたので、母親に近づいていってしまうのではないかと危惧してしまいました。
姉妹と主人公と同僚が一緒にアイスを食べたり、金魚の水替えをしたりするシーンは微笑ましかったです。
母親は全くを持ってダメ親なので、子供たちの面倒は見ているようでほとんど放置していますし、金稼ぎの水商売ではなく、恋愛としてに軸を移してしまっているので、完全に子供達のことは置き去りにしているのもダメだなぁ、救いようがないなと思いました。
終盤、流れを変えたくなったという変化と共に、主人公が姉妹と一緒に小さなテロを起こします。止めている水道を解放してばら撒くのはなんだか爽やかな絵にも見えました。結局取り押さえられて警察へ突き出されますが、どっちかって言うと児童を連れ回した方が事件性としてはデカいのかなと思うと、しっくりこない部分もありました。
出所までのスピードだったり、突然の留置所へのぶち込みだったり、色々と急で雑だなと思いましたが、オチへの持って行き方は良かったなと思います。
姉妹も行くべき場所が決まり、同僚は守るものが出来て、主人公は息子と再会する、ヘビーな内容だった中盤からは想像できない光の射すラストでした。
役者陣の演技も素晴らしく、生田斗真さんの死んだ魚のような目をした、それでも流れを変えるために生きる表情の変化が素晴らしかったです。
門脇麦さんもダメな母親の熱演が最高でした。そこまで登場シーンは多くないですが、とても印象に残りました。
最近観た「なぎさ」にも出演されていた山﨑七海さんも良い味を出していました。儚げな表情、背伸びして妹を守ろうとしている姿がとても良かったです。これからの邦画界を担っていく存在になっていくと思います。
良いところもあれば、引っかかるところもある作品でした。水道代が無料になれば良いのになという気持ちはありつつも、水道局の人たちの生活のためにしっかり支払った方が良いんだろうなという何重にも考えさせられました。
鑑賞日 6/4
鑑賞時間 13:50〜15:40
座席 G-1
謎が多過ぎて良く解らない映画。 本年度ベスト級。
ぶっちゃけ全く心に響かず。
多分、登場人物の心を「渇水」に比喩させた感じの作品だったけど満足度は低め。
役所に勤める生田斗真さん演じる岩切。
水道料金未納な家を周り、料金の催促や停水を行う展開。
未納の家の人達が皆逆ギレするワンパターンな展開に飽きる(笑)
お目当てだった門脇麦さんは謎多き母。
何かあるかと推測するも、知らないうちにフェードアウト?
お化粧姿は綺麗だったけど、もう少し彼女のストーリーを加えて欲しかった感じ。
彼女の2人の子供達は頑張って演技していたと思います。
特に長女の表情は良かった。
でも、その姉妹の結末も何だか微妙な感じだった印象。
女房、子供と別居中の岩切。
終始、笑顔が無くまさに心が渇水状態。
その流れを変えようとする行動も何だかショボい。
ラストの電話もどうしてそうなったのかも良く解らず。
流れを変えた行動がそうさせたのかとも思えず呆気ないラスト。
自分は水の匂いがするのか?
気になります( ´∀`)
水分では補えない、心の渇きを潤すのはなに?
その年の関東地方はまさに異常気象。
降雨の無い日が延々と続くことによる水不足で
給水制限が発令される自治体が続出。
なかでも群馬県前橋市は
ただでさえ最高気温が高い地域。
市営プールは閉鎖となり
公園の噴水も止められ、
市民の不満はいやがおうでも高まるばかりで、
その憤懣は至る所に波及する。
市の水道局に務める『岩切(生田斗真)』は
『木田(磯村勇斗)』とペアを組み
水道料金の未納世帯を訪れ督促をするのが業務。
四ヶ月の滞納で「停水執行」となり、
水道を止めなくてはいけない。
はなから払う気のない
鼻もちならい住人も居る一方で
困窮家庭では他の公共料金も払えぬケースもアリで
その行く先々では様々な葛藤が生まれる。
しかし、そうした相手にも丁寧に応対し頭を下げる業務に、
心身をすり減らす職員も出て来るのが実態。
そんなおり、二人は育児放棄を受けている幼い姉妹に出会い、
業務の範囲を超えた救いの手を差し伸べる。
『岩切』自身も妻子とは別居状態になっており
表向きの態度とは異なり、心の中はささくれ立っていたのかもしれない。
そうした乾いた胸の中にぽつんと落ちた水滴のように
主人公の内面に次第に変化が訪れる。
からからに乾燥した空気と
『岩切』の満たされない心の内を「渇き」と表現。
彼自身も、親からはあまり良くない扱いを受けた幼少期の体験があり、
自分の子供にどう向き合って良いのかの戸惑いが。
姉妹の存在は、そうした思いを変える潤いとなりはするのだが・・・・。
最後はある種の大団円へと繋がるものの、
その過程で主人公が取った行動は唐突に過ぎ納得感は皆無。
加えてそれへの褒美のようにもたらされる結果にも
前触れも連続性もなく、結末を急ぐための流れのようで釈然としない。
もうちょっと上手い落としどころを見せてくれないと、
人間ドラマとしてのカタルシスは得難いのではないか。
幼い姉妹を演じた『山﨑七海』と『柚穂』が
出来過ぎなほどの演技。
なまじ周囲の大人が芸達者で固められているだけに、
第二の主人公とでも言うべき二人の成否の作品への影響は大。
これを引き出した監督の『髙橋正弥』は
多くの作品で助監督を務めており
その成果が花開いたとの感想。
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