渇水のレビュー・感想・評価
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特に潤わなかった
正しい正しくないなのは分かっている。
でも私は潤わなかったし、主人公の乾いた心が潤ったようにも思えなかった、公園のシーン。
万引きはちゃんと店長さんに咎められた方が良い。
その上でネグレクトが公になった方が良い。
全て流して水を流しても、何にもならないよ。
と言うかお母さんが帰宅してないと知った時点で通報してよ大人で、父親なんだからさ…
でも、水は雨を呼ぶ。
あのシーンくらいの水で雨は降らないだろうけど、無意味と言い切ることもできない。
久しぶりの雨は、乾いた大地や皆に等しく降り注いで、あの瞬間の水は、まさに0円。
そして、辛く険しい表情のお姉ちゃんの顔が雨と涙に濡れつつ和らいでいくのを見ると、しょぼいテロにも意味があったのかなと。
妹のために背伸びして無理して無理していたお姉ちゃん、転んだ瞬間「あ、限界きたな」と。
大人にもああいう瞬間ってあって、誤魔化しきれなくなる些細なキッカケで爆発するけど結局何も変わらなくて、また引っ込めて耐えるみたいな。
あのシーンが一番胸にきました。
しかし、せっかく奥さんに会いに行ったのにロクなことも言えずに終わったあのシーンの後、海に行きたいに至るのは何でだ。
色々思うことはあったけど、特に潤わなかったと言いながら、なんやかんや響いている、そんな作品でした。
自転車二人乗り、万引、不法侵入姉妹
子供達を救済することで、自分を救済するお話
東京、本日曇り。
と思ったら、途中から雨になりぴえん。
単館作品だよなと思つつも、ご近所全てシネコン上映。
これまたぴえん。
思った以上に子供達が痛々しくて、もう少し早く救済してくれと思い観てたが
考えてみれば、これは「怪物」と違い、
子供がメインではなく、生田斗真くんがメインの物語。
子供達を救済するというていで、
過去と今の自分を救済するのだから、救いが遅くなっても仕方ないのか。
その割には子供達がメインに進んでいくものだから、なんか全体ぼやけてしまった感じが…もごもご。
門脇麦ちゃんの湿っぽさ、磯村くんの等身大なお芝居。
いつも好きです。
水道局員の家族関係についての描写は不要だったような気がする。もうす...
水道局員の家族関係についての描写は不要だったような気がする。もうすこし水道を止める仕事についての掘り下げがあっても良かったかも。それにいくら、雨が降っても水道料金の延滞が免除されるわけではないのだ。水道料金は設備を維持管理するための費用だということがどうしてわからないかなあ。水道料金を払いたくない人は、雨水を貯めてそれを使わざるを得ない(そのためのタンクや配管や衛生管理費を自腹でやるというのがいかに大変か)。昨今、水道事業を民営化するじゃせんじゃの話が出てきているが、人間の生命に関わる事業は民営化には向かないんじゃないかなあと思う。
生命線である水道を止めるという仕事
姉妹の好演が光る。
生きとし生けるすべてのものにとって最も大切なもの。それは「水」ライフラインの最後の砦である水を止めるということは即ち命に直結する。日照り続きの乾いた街で水道料金滞納者に対し粛々と停水を執行する水道局員たち。
自らの生い立ちや現在の家庭に問題を抱える表情まで乾ききった掴み所のない水道局員の岩切。岩切が出会うネグレクトにより2人だけで生きる幼い姉妹。全て分かっている姉と純粋な妹。まるで現代の清太と節子のようです。岩切が起こした真夏の暴挙。恵みの雨がもたらすものが希望でありますように。そう信じたいラストだった。
16ミリフィルムで撮影された本作。ザラザラとした質感がテーマによくマッチしていた。いろんな方が出演してますがせっかくの門脇麦なので、姉妹と母のストーリーをもっと見たかったかな。
本当に求めているのは水ではない
刺さる人と刺さらない人で、評価がかなり分かれる作品ではないだろうか。
個人的には、似たような仕事をしているのもあるが、お金、夫婦仲、子どもとの接し方など、まさに「こうならないように」生活してきたので、あまり共感はできなかった。
作品の完成度は高いと思うが、PG12の割にあまり踏み込んだ描写が無かったのが、少し物足りなく感じた。姉妹の普段の生活や、門脇麦、外回りを外してもらった同僚などに、もっとエグいエピソードがあればとも思ったが、作品の趣旨から逸れてしまう気もして、結果、全体的にバランスが良いのかもしれない。
冒頭、水のないプールを前に、帰ろうと言う妹と、泳ごうという姉。
確かにプールを求めて来たのだが、極論、水を求めていた訳ではない。冷たくて気持ち良いと感じられる、心の癒しが得られればそれで良い。
最後まで、「本当に欲しいもの」への姿勢が揺るがない姉。その描写、本人(子役)の演技は見事だと思う。
水道局員にとってできることは、事前に伝えることだけ。
どうするかは、本人が決めること。
生田斗真だって、奥さんから何度も「通知」を受け取っていたはずなのに、無くなってからその重要さに気づく。
姉にとっては、周りの大人が、みんなそんな風に写るのだろう。
(延滞料金を)いくらかでも払って欲しい、というセリフは、そのまま、姉が母親に言う「髪を切ってくれたら」に対比する。
そんな些細な愛情でいいから欲しい。
水やお金が欲しい訳じゃない。
愛情が欲しいだけ。
水のように低きに流れていく人からは、水の匂いが、自らを叩き上げ続ける人からは、火と鉄の匂いがするのだろう。
結果的に、お父さんもお母さんもいなくなって、あの姉妹は、幸せなのか。いや、これから自ら幸せを掴みにいくに違いない。
ただ、どうにも生田斗真だけが救われたようなエンディングが、もやもやしてしまう。
テーマがわかりにくいと感じた
この映画の物語を通じて、何を言いたいのか、僕にはわかりませんでした。
何かが変わったのかといえば、何も変わりません。
主人公の水道局員の岩切さんは、自分を抑えつけることに耐えきれなくなって、暴走した結果失職しましたが、それによって行政の何かが変わったということはありません。
姉妹も、行政サービスに保護されただけで、母親や父親と幸せになったわけでもないし、大人を信じられないと言ったお姉ちゃんも、岩切さんの暴走くらいで心が晴れるわけはないです。
母親から、アンタくらいの歳には親のこともわかっていたと言われて、歳のわりに大人びて世の中のことを理解していた賢いお姉ちゃんが、たまたま偶然にタイミングよく降った雨だけで、成長するとも思えません。
岩切さんの息子から電話で、海へ行きたいと言われたのも、「その結果のためにどんな努力をしたのか?」っていうと、ヒマワリ持って会いに行ったけど、奥さんや子供には受け入れてもらえずに「考える時間が欲しい」といって追い返されただけです。
物語を通して観客に対して訴えたい何かがあるのかというと、テーマはとても理解できません。
ただ、公務員という仕事の救いの無さを淡々と描いたように見えます。
公務員はただ仕事を任されただけの作業員に過ぎず、公務員の裁量で市民へのサービスが不平等に偏ることは許されません。
姉妹がどんなにかわいそうでも、自分のやった業務の結果、幼い少女が万引きに手を染めてしまったことを目の当たりにしても、なんなら姉妹が生活苦から売春行為に走っているところを目撃したとしても、仕事は仕事です。
人間として耐え難く、ついには暴走してしまうほどに苦しいとしても、それが公務員の仕事です。
そのような苦しい仕事をしていても、市民からは「税金で給料をもらっている」といって後ろ指を差される。
お金のでどころが税金だろうが会社の顧客だろうが、労働者にとって給料は「労働の対価」であって、公務員だって仕事をしてお給料をもらっているのだから、本来ならそのような中傷を受けるべきではないのに。
何かを伝えたいというより、理不尽を見せたかったのでしょうか?
たしかに世の中は夢と希望に満ちてなんかいないけれど、こういう現実を見せつける内容は陰鬱な気持ちになって楽しくありません。
評論家とか、頭の良い偉い人には良いのかもしれないけれど、映画にエンターテイメントを求める多くの観客にとっては、胸糞悪く感じられるのではないでしょうか。
渇いた心を潤すものは何なのか。
初日舞台挨拶の回を鑑賞。
16mmフィルムでの撮影とのことで、設定は令和ながらも昭和の映画を観ているような感覚に陥る。それがジリジリとした暑さを感じさせ、渇いた街や人を上手く表していた。
長期滞納者の水道を止める業務を行う水道局員と、水道を止められた姉妹。
人形のように感情のない目をした先輩生田と、人間味ある後輩磯村のコンビが良い。
姉妹役の2人は芝居が凄く上手いというわけではないのだか、作り込みすぎていない感じで、長女の表情や目力には惹きつけられる。
大きな事件が起きたり、どんでん返しがあったり、感動的な出来事がある映画ではありません。
でも、小さなことでも自分が行動を起こすことで、たとえ問題が解決しなくても、もしかしたら何かが変わったり、誰かが救われることがあるのかもしれない。
そう思わせてくれる作品でした。
共感しました
河林満さんを思い出させてくれる秀作!
渇水というテーマですから、太陽がギラギラ輝いているものと想像していましたが、画面はとても穏やかで色彩が抑えられていたのが、独特の雰囲気を醸し出しておりました。映像では出演者の顔のアップがとても多く、表情で心の渇きを表現しようという試みが切々と伝わってくるようでした。河林満の作品は、30年前に上梓されたものですが、立川市の市役所時代の経験が下敷きになっているとはいえ、令和の時代でも、観るものに訴えかけてくるものは、ほとんど違和感がないストーリー展開です。貧困、家庭不和、不幸の連鎖、理不尽な仕事の執行は、今だに常に私たちを取り巻いています。それは、人間が生きて行く上で、避けて通れない事象なのでしょう。この作品では生田斗真が、理不尽に水道代を払えない人たちの「停水執行」を、極めて事務的に行う中で、多くの人々の罵詈雑言、悪口、暴力を受けることによって、どんどんと病んでいきます。また、自らの家族の不和、育児放棄された姉妹の苦悩などが積み重なり、ついにストレスが爆発します。その小さな反乱は、姉妹の「大人や社会が大嫌い!」の言葉が引き金となりますが、姉妹の社会に対する不満と生田斗真の不満が、化学反応を起こしたようなものでした。小さなテロは、あっけなく終焉しますが、その時になんと日照り続きの大地に雨が降ってくるのです。それは渇水が満たされていく吉兆のような展開でした。このシーンが一番の見どころなのかもしれません。そして、やがて姉妹も生田斗真も希望の未来へ走り出します。不幸に見えることも、必ず温かい春が来るということを示唆しているようで、穏やかな感動に包まれました。
早く見に行って下さい
何故か上映される劇場が少ない、しかし見に行きました。姉妹泣けますね、特にお姉ちゃん抱きしめたくなります。生田斗真君は今回リアルに共感できたし、磯村君は可愛いし売れっ子なはず。見に行く映画全て出てますもんね、応援してます。物価は上がっても給料上がらず、うさばらしに公園の水ぶちまける気持ち解ります。是非とも早く見に行って下さい。
ディハイドロオキシジェン
どこかの評に書かれていた通り生田・磯村の目の死に方が見事だし,長女もフランキー・コリオ@「アフターサン」ほどではないにせよ,なかなかの逸材とお見受けする。
日本はライフラインやインフラ,治安維持,医療,防災等日常生活を支える基本的な公共サービスが,その存在すら時々忘れてしまうほど充実しているが,その網にどうしてもかからない人たちを救うために,壊れてしまう現場担当者がいることに思いを馳せたい。
最後に待望の降雨があって様々なものが潤い,水に流してしまうところがいかにも日本風か。
プール、水、鉄と火、タバコ、そして、雨、の匂いがします。
勘違い映画
雨降って…
門脇麦がYOUで、お姉ちゃんが柳楽優弥みたいな話になるのかよーと思ったよー(監督が是枝裕和じゃなくて良かったねー)
公共料金で水道は最後の砦、自分も若い頃止められた経験があったことを思い出す(遠い目)
いつまでもあると思うな親とカネ(教訓)
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