渇水のレビュー・感想・評価
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お天道様の気分次第
観るのが辛い
不幸な子供をネタに心がひりひりする「万引き家族」の類の社会派家族ドラマ。子役がうまいだけに観ていて辛い。生田さんも「土竜の唄」とは打って違ったシリアスな演技、熱演でした。
ある種、現代社会の歪にメスを入れたかった社会派映画なのだろうが社会的弱者の悲劇は日々のニュースでも目にするし、正直、映画にしてまで観たいとは思わない。山田洋二監督が重苦しい時代だからこそ楽しく見られる家族の映画をつくりたいと言っていたが同感です。
(脱線)
水は生きるのには欠かせないが水道料を払わなければ止められる、現代社会では必然の道理なのにNHKはスクランブルで止められるのに垂れ流し、放送法の矛盾も突いて欲しかった。
やるせなさMAX
目が死んでる
原作モノ映画の方向性の難しさ
公開時見ようと思っていて見逃した作品ですが、早速配信されていましたので鑑賞しました。
原作は未読ですが、他のレビューで原作とは結末がまるで違うとの書き込みがあり、本作はあくまでも映画作品としての感想となりますが、個人的にもちょっと変わった作品という印象があり、見るべきポイントが多過ぎて焦点が定まり難い作品の様に思えました。
この映画版は希望を残したラストになっていました。
でも、この物語の設定を考えると甘さが残ります。物語って時に残酷で厳しい結末で終わるからこそ問題が明確化され、ずっしりと重くそしてずっと心に残ることもあります。
この点については見る者の好き嫌いもあるでしょうし、本作が作品的にダメだとも思っていませんが、個人的にこの結末(作品の方向性)では恐らく一ヵ月後には殆ど忘れて記憶の彼方に追いやられていることと思います。
ショボいテロに感動
ずっと見たいと思っていた作品
思っていたよりも行政の業務と未払いの理由、社会問題提起のポイントなどにしっくり来なかった。
水道代を支払わない生活というのはどういうものなのか。
電気 水道 ガス 電話 市民税 国民健康保険
そういったものは 払うべきものとして当初の給与から先に支払って残りで暮らす人。
(これはどういうわけだかもらう金額にあまり関係がないように思う)
定職が長く続かずに収入が小刻みに途絶えてしまう事が原因でそれらを支払う仕組みが根本から崩れてしまい 挙句にその日暮らしの給与の中からは 月払いの公共料金に回す事ができづらくなる。
そういった支払わない側の理由があまり描かれず、ネグレクトで残された姉妹のみのストーリーに重みが置かれて行き、
だからと言って 彼女たちの貧困は全然リアルじゃなくて
貧乏な割にオシャレな自転車で 妹の麦わら帽子もオシャレで 電気はとっくに切れてるだろうにクーラーのない暑さを全く感じない。
出だしの 空プールでエアー泳ぎする映像も ただの監督の自己満足かと思える退屈さ。
生田斗真も磯村勇人もすごくいいし
二人の姉妹特にお姉ちゃんは今後立派な女優さんになられる事でしょう。
滝藤賢一はストーリー上無駄遣い。
傘屋などは、ないわけじゃないのに払わない感は出てるな、と思ったが、
雨が降らない土地の渇水と水道料金の不払いの話が、私にはチグハグに感じられた。
雨が降れば水道代の滞納がチャラになるわけでもないし
不特定多数の誰かが水道代を滞納してるから節水しろとか雨がふらないとかな訳でもないので
雨降りました。
ちょっと解決。
みたいな雰囲気出されても 少しだけ首を捻ってしまった。
この二人は夏休みじゃなくて学校行ける日なら給食食べて学校の水飲むんだよね。
つまりこれはこの ひと夏の乾いた夏のお話というわけで全般的な滞納とは軸が違うように思うのだ。
脚本が 甘い。
そういう風に思えた。
原作の多世界解釈
原作とセットで体験して初めて価値がわかる作品。
つまり、映画だけ見てもこの作品の良さは味わえないわけで、それは映画としてどうなのか?と苦言を呈したくなる。
とは言え、原作を読んでトラウマ級の鬱展開をくらった経験のあるものとしては、この映画版はひとつの救いだった。
原作では、小出家の姉妹二人が線路に横たわって自殺を図ったところで話が終わる(妹は電車に轢かれて即死、姉は吹っ飛ばされて重体)。全く救いがないエンディングだが、現実世界を見れば、それが起こり得ない悲劇だとは言えない。だから原作者がそのようなラストを選択したことは理解できる。芥川賞の選評では「成功作と思われたが、ラストの姉妹の自殺で失望した」などと評されていたが、あまり適切な選評には思えない。
映画版では、主人公の岩切が「流れを変える」と宣言して、はたから見れば奇行とも思えるようなショボいテロをする。その結果、皆に少しだけ明るい未来が見えたように思えたところで映画は終わる。映画版だけを見ればなんとも中途半端なラストだが、岩切の決断が、実は原作のようなラストになることを防いでいたのだと思えば、その決断の価値は計り知れない。つまり原作の悲惨なラストと、映画のまぁマシなラストを横並びに比較して始めて、岩切のショボいテロ行為が感動的なものだと理解できる。
恐らく本映画の制作者達は、原作との対比、原作のアナザーストーリーとしてこの映画を作ったのだと思う。エヴァンゲリオンみたいに。
だが、こんな映画はありなんだろうか?
個人的には制作してくれたことに感謝しているが、30年前に発表されたほぼ無名の原作を読んでいなければ、内容を深く理解出来ないなんてのは、作品として無理があるだろう。
勿論、この作品が今の時代に必要とされていることは良くわかる。昨今のトー横界隈に流れ着いた子達が、最終的に命を断つという行動に陥らざるを得ない現代だからこそ、この作品を映画化しようとしたのだとは思う。だが、伝わらなければ意味がない。できれば映画単体で、自分が味わったような深い感動を与えてくれると良かった。
いち公務員のささいな抵抗
男の一生
市の水道課で働く職員の男を通して、見る人間の本質に迫った作品だと思いました。
街では、日照りが続き水不足に堕ちいっていた。
そんな中で水道の支払いが滞ってる人の家に行き、水道料金の催促に向かう。
それに答えてくれない相手に対しては、強制的に水道を止めてしまう。
水というのは、人間にとって最も大切なもので有り、それを止めるという事は、「死」をも招きかねない大変な事だと感じた。
この男性も本心では、街の人達が快適に住み良い街になってくればと願っているのだけども自分が任せられている仕事がそれと逆行している自分に葛藤していた。
主人公の男性は、そんな事もあり家族との生活の中で自分が自分でないような死んだような目をして、生きていた。
そんな事で愛想を尽かされでていてしまった妻と子。
自分が求めているものが今の仕事にあるのか?
このまま誰かの生活を狭めるような行為ばかりが正しいのか?
水がある(家族がある)というのは、とても有難い。
普段何気なく身近にある(愛情)からこそ、気付かない内にそれが枯渇してしまっているのかもしれない。
悲しいけど、足りないと感じた時には、既に遅いのかもしれない。
ちょっとずつでもいいから気づける自分でありたいなと思いました
水不足に悩む水道局職員という面白い設定ながら比喩や内容が浅薄
水を愛の比喩として、降水量の足りない夏に水不足による給水制限に悩む街の水道局職員の男が、料金未納で給水停止した家庭の幼い姉妹に水を上げることで、自分や周囲への愛を取り戻していく過程を描いた作品。
男は家族と別居中、姉妹は父親はおらず母親からも半ば育児放棄に遭っている。双方とも水不足と愛情不足に苦しみ、男は生活に行き詰まりを覚え、姉妹は万引きしなければならないほど追い詰められていく。
限界を感じた男は姉妹を連れて公園に行き、勝手に給水制限を破り、ホースで噴水のように水を噴き出させ、姉妹に浴びせかけ逮捕されてしまう。男の好意を信頼した姉妹は男に愛情を返し、男はその後別居した妻とも復縁できる。
設定は面白いし、主演の生田斗真、子役の山崎七海は好演で魅力的だ。しかし、原作や脚本のせいもあるのだろうが、あまりに単純な比喩と単純なストーリーではないか。
水=愛のない生活の描き方が薄っぺらいし、給水制限されるほど水不足なのに、市内の川は豊かに水を湛えて涼しげに流れているし、子供たちは楽しそうに水遊びしている。
しかも、水道局の職員たちは「太陽と空気と水はタダでいいはずだ」とか、「未納家庭の給水停止をするたびに人間は変わっていく」などと、何とも幼稚なことを口走る。要は内容が浅薄に過ぎるのである。
つまらない恋愛映画が量産される中で、こういう傾向の作品をつくるのは難しいだろう。志はよしとして、次回作に期待するとしよう。
「もう大丈夫。何にも心配いらないからね。」なのか。
母は知らない。
今日、娘の乳歯がぬけたことを。
夜中の公園で姉妹が生活の水を汲むことを。
生きるために、妹を守るために
いけないと知ってる万引きを姉がしてしまうことを。
何日も帰らず?
逃げた夫とおなじ水の臭いがしない男を嗅ぎつけ…
うまくいく?
あの子達の父親の代わりを掴むまで?
それともそれはあなたのため?
それより先に
姉妹がいま一番必要なのは何?
それはたぶん
水でもない。
電気でもない。
ガスでもない。
喉から手がでるほど欲してるのは
目の前のあなたに、ずっと言えないでいる形のないものだ。
そして大人がフォーマットの流れにあてはめた役割に安心しながら
「もう大丈夫。何にも心配いらないからね。」
という。
何にも…ってなんだ。
あのこたちの何かって
きっとそんなに簡単ではない。
養護施設の職員を待つ姉妹は、なみなみと水が溜められたプールに気づき手をつなぎ笑顔で飛び込む。
節水解除後のラストシーンだ。
お姉ちゃんが泣く妹をみて慌てて自分の涙をぬぐいながら
「泣かないで。それだってお水だよ。もったいないじゃん。」と言ったシーンを思い出しながら、
あれだけ待ち侘びた水が、姉妹をようやく抱きしめ涙のない世界に連れ去ってしまうような未来を感じ、私の涙はもう止めれなかった。
生田さんがゼロの華やかさで葛藤に挑んだ苦悩づくめの顔と磯村さんの若々しくからりとした優しい青年像、姉妹役の二人の辛い立場に迫る姿、門脇さが醸し出す境界のわかりにくいリアリティ、尾野さんがみせる強いシビアさは、皆それぞれに前を向く。
心の渇きを潤すものを求め静かに強く運ばれるこの広い世界の、ある切ない物語でした。
水道局の仕事
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