渇水のレビュー・感想・評価
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これ現実だったらやだなぁと震えがきた
水道料金払わないなんて考えたこともなかったので、これが現実だとしたら嫌なものだなぁと。
生田斗真も良かったが、子役の演技が秀逸でした。引き込まれるものがある。
お札をぐしゃぐしゃにして捨てるシーンは、流石に腹立たしかったなぁ…。
生きるための責任というか、その重さは人によってこんなにも違うのかと思い知らされました。演技も良かったし、テーマもオリジナリティある題材だったので、結構いい時間をもらえた気がします。
(6月5日追記分あり)取り上げた話題の「影響範囲」が広すぎて収束できていない…。
今年176本目(合計827本目/今月(2023年6月度)1本目)。
※ 原作小説があるとのことですが、解釈は現行の法律(令和5年4月1日施行基準)によるものとします。
いわゆる取水制限が取られるほどの雨不足に見舞われた市の、水道料金の未払い者(滞納者)に対する(給水)停水執行に関するお話です。
…といいつつ、それ以上に書きようがないのがこの映画の特徴でもあります。ネタバレありで書かれている方が触れている通り、ラストにいたる主人公のとった行動はかなり突飛で(民法上の事務管理と解するのも妥当か??)、ここから変な解釈になる上に、映画で述べたかった点を多々入れすぎて解釈を一つに定めることも難しく、この映画で取り上げられている「水道」に関することは極めて影響範囲が広いからです。
さっそく採点にいきましょう。4.3を4.5まで切り上げたものです。
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(減点0.7/映画が述べたい趣旨に対して考察すべき点が多すぎ、放映時間に対して問題提起も解釈も足りていない)
・ 結局ここにつきる点があり、映画館で映画を見ることを娯楽として見る立場(私もそれは完全には否定はしません)では「短くてコスパのいい映画がいいよね」ということになろうかと思いますが、映画で取り上げられている題材(水道法と、未払い者に対する停水執行の話)はかなり「重たい議論」で、この問題提起も(映画なりの)解釈も不完全なまま終わり、ラストはへんちくりんな方向になるので、結構厳しいです。かといってインド映画のように3時間級にすると(映画館の事情として)難しいし、どうしたものかな…というところです。
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(個々事情/水道法と市町村の条例の解釈について)
・ 水道法は15条で「正当な理由がなければ給水を拒否できない」とし、一方で「料金を支払わない場合には、手続きを踏んだ上で給水を停止できる」(15条の3)とし、その具体的な「手続き」は各市町村の条例にお任せというタイプの法律です。
一方で、水の摂取は人の生命の維持にかかわることなので、水道法にいう水道の供給は憲法が保障する生存権(25条/直接これが現れるのが、生活保護法)にかかわる、きわめて特殊な法律です。
また、水道は基本的に市町村が行うことを前提とする(水道法6条の2)公的なサービスの意味合いが強く、この意味で、単なる他の法律による一般的な契約とも、あるいは何かと解釈がもめるNHKの公共料金等との法律とも違う、「行政と私人(住民)の純粋たる契約」とはいっても、扱いが違います。学問上は「行政契約」と呼ばれる、行政機関(市町村)と水道供給を受けたいものとの「私人の立場での契約」に当たりますが、上記の事情から、他の法律とはかなり異なった構成になります。
つまり、水が人の生命に欠かせないという当然の前提である以上、供給者(市町村)は正当な理由がなければこれを拒めない(15条)という、人の命に直接影響するほどの事項を扱うがために、停水執行に関しても各市町村の条例で個別に決まっていますが(停水執行のルール自体も、例えば何回滞納したら、等もすべて市町村ごとに違います)、概して上記の「生命の維持機能に直接関係する」法律であることから、「滞納に関しても、一切の理由を考慮して給水を続けることができる」とするのが各市町村の条例です(これは水道法の役割を考えたときの特殊な論点)。
※ 映画内でも示されるように、水道料金の滞納というのは(水道の誤使用(出しっぱなし)等を除けば)滞納4か月でも2~4万円にしかならないので、回収プロセス等を考えればコスパの悪い事業であり、一方で全員が滞納するとどうしようもなくなるので、「道徳的観点での対応」という意味合いが非常に強いです。
※ そして、多くの場合、当事者が行方不明であるとか、すでに亡くなっているという場合も多くのケースで考えられるので(水道法の性質から)、その場合に法定相続人に求償するのかとか言い始めると面倒なことこの上ありません(なお、マンション等で「(引っ越した)前の住居者が滞納していた場合、新住居者に対して支払いをもとめられるか」に関しては、法の質疑応答で「できないものと解される」という扱いになっています)。
したがって、映画内で主に述べられる「事実上、子供だけで住んでいる子」に対して水道法や各市町村の条例を形式的に当てはめて停水執行ができるのか?というときわめて微妙なところがあり(そもそも、停水執行をこのような家庭で行うことを、法も各条例も想定していない)、映画の述べる論点は結局ここに収束されますが、この点の踏み込みが足りない一方、それをどうこう言い始めると映画自体が成立しないところがあり、やや配慮が足りていないのでは…というところです(各市町村条例でも「一切の考慮をして給水を続けることができる」等という規定があるのは、こういう(想定はしていないと思いますが)特殊な事案に対応することができるように、という「特殊な状況を想定した規定」とも言えます)。
こういった部分にやはり配慮がないので、ただ単に「法や条例を形式的に順守すること」と、「形式的には法や条例に抵触していても、その根本原因が何なのか」という比較論が何もないので、どうしても法律系資格持ちには薄っぺらく見えてしまうのです。
(減点なし/参考/停水執行の解除と料金の支払い)
・ 上記のように、水道法の性質は「行政契約」です。したがってその解釈にはまず民法が最優先で適用されます(もちろん、契約といっても行政と個人との契約になるので、余りに私人に負担がかからないよう、公法(憲法・行政法)と私法(民法ほか)のミックス的な解釈になるように配慮はされます)。
ここで、一般的には(映画でも描かれている通り)、停水執行を止めて再び給水を受けるようにするには、料金の支払いが必要ですが、これは民法上の「同時履行の抗弁権」によるものです。
ただし上述の通り、水道法の特殊性上、「滞納分の半額以上の支払いがある」「確実な返済計画が遂行可能と認められる計画表を提出する」等にも認める、個々それと違った「緩やかな規定」を設けているところもあります。これは民法の大原則の「契約自由の原則」のあらわれであると同時に、水道法の特殊性故(憲法が定める生存権にかかわる)によります。
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(参考/減点なし/この映画がPG12であるのはなぜか)
・ おそらく推測ですが、物語中盤で、主人公だったかが包丁で野菜を切っているときに指を切るシーンがあり、そこが引っ掛かったのではないか?と思えます(一応、PG12なりの配慮はあります)。
(参考/減点なし(今回に限り)/「児童自立支援施設」の果たす役割について、映画の述べる記述がやや曖昧)
「児童自立支援施設」は、その性質上、非行が確認できた児童を一時的に入所させたり、あるいはこの映画のように、個人に帰責性のない「家庭環境の悪化等で一人にしておけない」児童が「同時に」入所する施設です。当然前者と後者とでは扱いが違いますが、同じ施設の中にいます。
したがって、上記の事情から、スマホの所持・購入が制限されたり、あるいは、一般的な年齢の児童が一般的に知っているであろう文化に触れられないといった制約があり(もっと身近なところでいえば、「保護者」が常に付き添うわけではないので、自由に映画に行くことができない(各都道府県条例))、これは少年院ほかと違った別の意味で「本人に帰責性のあるもの、ないもの」が両方同時に入所しているという「ある意味ねじ曲がった状態」があるのは、映画内ではちらっと描かれますが具体的な問題提起はなし…。
ただここは、リアル日本でも問題提起されているところでもあり、どう解釈するかは判断が分かれます(原作が小説である以上、あることないこと付け加えることはできない)。
主人公のブチ切れる様に同調できない
水道料金は、生きていくために必要な最低限度の費用だから、それを払えない者は、ほとんどの場合、本当の生活困窮者なのだろう。
そのため、料金未納で水道を止める係の人が、仕事とはいえ罪悪感を感じてしまうというのは、そのとおりなのだろうと思う。
主人公は、「流される」まま、機械的に仕事をこなす水道局員で、表向きは料金未納者の事情には立ち入らないようにしているが、内心では葛藤を抱えていることが伝わってくる。
そんな主人公だから、母親からネグレクトされた幼い姉妹には救いの手を差し伸べるのだろうと思って観ていると、なかなかそういう展開にはならず、少しイライラする。
ラストになって、ようやく行動を起こす主人公だが、「流れを変えたい」という気持ちは理解できるものの、なぜ、ブチ切れたのか、なぜ、あのような行動を取ったのかがよく分からない。
主人公が、それほどまでにフラストレーションを溜め込んでいたようには見えなかったため、その突然の爆発に、共感することも、納得することもできないのである。
主人公の行動にしても、そこは、お金をあげたり、水をまいたりするのではなく、「まずは児童相談所に通報だろう」とツッ込みたくなる。
「火垂るの墓」や「誰も知らない」を彷彿とさせるような姉妹の姿が胸に迫るだけに、大人たちの描写が歯がゆいだけなのは残念だった。
“水”で表現する絶望と希望
KADOKAWA様からご招待いただき、鑑賞しましたー!!
水不足により、日々節水を推奨されている日本、水道代を払わない人の水道を止める職員。そして、育児放棄の被害かつお金のない姉妹。彼らの絡み合う先にあるものは?
現代日本社会の負の部分を“水”を軸に描いた物語。
良いことも悪いことも、“水”で表現している。
普通の人達が普通ではなくなる、その様が恐ろしく、ちょっとした絶望にも震えた…。もちろん希望がある人もいるから、プラス面もある。
当たり前のことかもだけど、他者のために何かをすることの大切さを教えてくれる。
なにかの、誰かの“流れ”を変えたくなる、好きな考えです。
また、この物語は、ありそうでない、微妙なリアルさが良かった。
あなたは渇いてない?
前橋市水道局で働く男達の話。
ある家族の姉妹二人と水道局で働く岩切(生田斗真)、マニュアルに忠実な岩切だけど姉妹との出会いで心の変化が、後輩の木田(磯村勇斗)を交えた切ない、ちょっと悲しいストーリー。
原作は小説、30年越しの映画化。
本作の映画予告を観た時に凄く楽しみにしてた1本。個人的には同日公開の「怪物」よりも楽しみにしてた!
水道料金を支払えない家庭や店舗を周る岩切と木田、本作だと4ヶ月滞納で停水執行の為家庭、店舗と周ってたけどリアルも4ヶ月が限度で停水執行なのか?
水道料金を支払えないある家庭、そこに住む姉妹二人と出会い「停水執行」をする事になるんだけど、その家の母親(門脇麦)が、いい加減、いつまでも女、多少の小遣いは娘に渡すんだけど家には帰ってこない。そんなことから長女の気持ち荒んでく、長女ながらに妹を守ろうと万引き、人の家から水を盗む(真夏のカンカン照りでダムの水が少なくなり給水制限の為、公園の水が止められてる為)など。
姉妹二人が慰め合うこの描写を観て率直に思った感想はこんな幼い子達にこんな思い、気持ち、こんな事をやらせないでくれ!って、作品とわかっていながらも感情移入してしまった。
この万引きをしてる長女の姿を見た岩切、それまでマニュアル忠実、独り独りに情をかけてもしょうがないって考えだったんだけど、長女に言われた「大人、こんな社会大嫌い!」と言われた事で吹っ切れた岩切、止められてた水の止水栓を開け、最終的には会社の人間に取り押さえられる...だったんだけどその岩切の行動には人間らしさ、優しさがあり笑顔を失ってた長女の顔も笑顔を取り戻せてたから結果良かったのかな!?
岩切自身の渇いた心も少し潤って最後笑顔になれてたみたいだったから良かった!
長女の女の子がめっちゃ推しのノンに似てるなと思った!
【今作は前半は"停水"のシーンの度に心の潤いがドンドン無くなるが、後半は徐々に心潤う作品。孤独な水道局の男を演じた生田斗真さんのどこか寂しき佇まいから、”ある決意”に至る過程は宜しき作品でもある。】
ー 水道局の”停水”を行う仕事は、精神的にキツイだろうなあ、と思いながら観賞。-
◆感想
・夫に逃げられながら、娘達にはパパは船の長旅に出ていると言いながら売春をしている母親(門脇麦)。水道料金を滞納して”停水”。
ー ”中卒の夫に逃げられた女に、どんな真面な仕事があるんだよ!”と水道局の岩切(生田斗真)に啖呵を切るが、脳内で”子供を産んだ責任をキチンと取れよ!”と毒づく。門脇麦さんって、ヤサグレた女性を演じても巧いなあ。
それにしても、喫茶店で男(篠原篤)に優しくしてもらったからって、あんなに簡単に子供を置いて出ていくかな。
”アンタは夫と同じ水の匂いがする。あの人は鉄と火の匂いがするから大丈夫。”は印象的な台詞である。-
・マンションに住むボンボンが水道料金を滞納して”停水”直前まで行くシーン。で、恋人に水道料金を出して貰い、岩切に3万をクシャクシャにして目の前に捨てるシーン。
ー 無茶苦茶、腹が立ったシーンである。お前は一生”停水”だ!-
・岩切と一緒に”停水”に回る若き水道局員(磯村勇斗:毎週、この人が出演している映画を観ている気がする。良いもんなあ。)の情の厚さにやや心潤う。
ー ”停水”した上記女性の二人の娘を気遣い、アイスを買って上げたり・・。ー
<今作で、心が乾いていくシーンの幾つか・・。>
■岩切自身が妻(尾野真千子)と別居しており、彼自身の心が”愛しているのに上手く接する事の出来ない自分に似て来た息子”と会えずに干からびているのが伝わって来るからである。
そして、彼自身が幼い頃から親と上手く関係性を構築出来なかった事も彼の台詞から分かるのである。
■母親に捨てられた長女が、お金のない中、万引きするシーンは切ない。そして彼女が叫ぶように言った言葉。”大人なんか、大嫌い!”
■岩切が、毎日水をやって育てていた向日葵の花束を持って妻に会いに行くも息子からは敬遠され、海に行こうと言っても断られるシーンも切ない。
ー けれど、このシーンがラスト心潤うシーンに変わるのである。-
■何かが壊れた岩切が、”停水”の道具を壊し公園中に水を撒くシーン。
ー 虹が切ない・・。-
<警察に拘留され、水道局の上司から辞職を求められ、応じる岩切。
だが、彼の表情は何故か吹っ切れたように爽やかだ。
母親に捨てられた、施設に入所する事になった娘達からの絵手紙。
そして、息子から掛かってきた電話”海に行こうよ!”
今作のラストはやや心潤された作品でもある。>
子供たちを悲しませないでください
考えさせられる現実と白石マジック
今年の邦画作品では、現時点だがまずベスト作品だろう。日本社会の問題を場面ごとに散りばめつつ、幼い姉妹との交流をもとに生きるとは何か改めて考えさせられた作品。監督でおなじみの白石氏が、今度はプロデュース。白石マジックを見せつけられた作品。その特徴が俳優生田斗真の平凡な前橋市水道局役での演技。彼の演技も素晴らしかった。ストーリーも文句なしだし、姉妹の母親役の門脇麦の演技も見事。姉妹の子役の演技は素晴らしかった。現時点では今年の邦画作品ではベスト作品。
中々本質を突いた映画でしたね
白石和彌のDNA
お姉ちゃんが健気すぎた
キレるのが良いのか?悪いのか?
長女よ、長子を頑張り過ぎないで
早く児相に通告してくれぇ!
トークイベント付き試写会にご招待頂きました。
原作は未読。
本作はPG12指定されていますが、画的には過激な描写はないです。ですが、さらっと残酷。
主人公は水道局員。水道代金を支払わない家庭の水道を止めるのがお仕事。水道は電気と違い止まると命に関わる可能性があるため、電気より停止までの猶予期間が長く設定されている。そんな水道を止めるということは死刑宣告と同じ。
毒親育ちの主人公はどこか渇いていて家庭をもっても上手く馴染めずにいたが、とある母子家庭の親子と出会い変わっていく。
全体として印象に残ったのは役者さんたちの演技。皆それぞれ自分の役割をばっちりこなしていて安心感があった。特に子役の子達の演技が光っていました。
役者さんたちの演技が良い分もっと観たいと思ってしまうが、ちょっと出てきては消えていくので消化不良気味に。
その割に100分というそれほど長くない上映時間が長いと感じてしまったので、配分にやや難あり?
現実的に結構残酷な場面もあるが、登場人物が皆さっぱりとしているからかそこまで残酷に見えない。でも、そのさっぱりが説明不足というか、映画の中に入りきれない原因にもなっているのかなとも感じた。
トークイベントで知ったのですが、原作から時代を合わせるためにちょこちょこと改編が加えられているようです。特にラストはガラッと変わっているそうで原作も読んでみたくなりました。
しかし改編が加えられているからか少しチグハグ感も感じました。人々の考え方や暮らし、ファッションがモロ昭和なのに現代のものが出てきて、昭和と現代が混在しているような落ち着かない感じ。
この話を現代に合わせるのは難しかったのかなとも思いますが、現代に変えたからこそラストは救いのあるものになりえたのでその点は良かったです。
孤独を抱えた水道局員と たった二人取り残された幼い姉妹。 給水制限...
生きるとは
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