やがて海へと届く
劇場公開日:2022年4月1日
解説
彩瀬まるの同名小説を岸井ゆきの主演、浜辺美波の共演で映画化。引っ込み思案な性格で自分をうまく出すことができない真奈は、自由奔放でミステリアスなすみれと出会う。2人は親友になったが、すみれは一人旅に出たまま突然姿を消してしまう。すみれがいなくなってから5年、すみれの不在をいまだ受け入れることができずにいる真奈は、すみれを亡き者として扱う周囲に反発を抱いていた。ある日、真奈はすみれのかつての恋人である遠野から彼女が大切にしていたビデオカメラを受け取る。カメラに残されていたのは、真奈とすみれが過ごした時間と、真奈が知らなかったすみれの秘密だった。真奈はもう一度すみれと向き合うため、すみれが最後に旅した地へと向かう。真奈役を岸井、すみれ役を浜辺が演じるほか、杉野遥亮、中崎敏、鶴田真由、中嶋朋子、新谷ゆづみ、光石研が脇を固める。監督は「四月の永い夢」「わたしは光をにぎっている」の中川龍太郎。
2022年製作/126分/PG12/日本
配給:ビターズ・エンド
スタッフ・キャスト
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手の温もりが伝わるアニメーションで幕を開ける冒頭から、この映画が一体どのような境地や風景へと我々をいざなおうとしているのか、すぐには想像がつかない。ミステリアスとも浮遊的とも言いうるタッチで浮かび上がるのは、二人のヒロインが人知れぬ思いを抱えながら歩み続ける人生だ。なぜあの時、彼女は声をかけてくれたのか。なぜ彼らは無二の友になれたのか。そして私(主人公)は親友のことを一体どこまで知っていたのかーーー。他人の心を理解するのは難しい。ましてや当人が亡くなると、残された者はこの答えなき問いをずっと抱えることになる。それは時に悲しくて、苦しい。しかし本作は、ずっとその人を思い続ける、忘れない、という一つの決意と寄り添いを優しく、尊く描いていく。若き女優たちの移ろいながら葛藤し続ける存在感に魅了された。そして観賞後はなぜか自分の人生における”もう二度と会えない人々”の思い出がなぜか強く思い出された。
2022年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
生命の流転が私たちの生きる社会の日常レベルで描かれていることにおどろいた。震災の日から戻らない友人を想う主人公の旅を通して、観客がたどり着くのは、生命は自然に還り、海を経て、そこかしこに偏在しているという万物を見通す視点だ。そのことを描くためにアニメーションが決定的な役割を果たしている。震災で死んだと思われる友人は主人公にとって決定的な喪失だったはずだが、彼女の残したビデオ映像という記憶を記録する装置と、自然に還り、変化してゆく生命のあり方という二つが主人公の人生を前向きなものにしていく。固定された過去の記録映像を実写、自然に還り変化していく可塑的な生命はアニメーションで表現する。現実を切り取り固定化する実写と、変化するものを描くアニメーション。実写とアニメーションの両方の素晴らしさを最大限に活かしている。記録という点では震災の経験の語りを記録するシーンも示唆に富んでいた。しかし、記録できずに流されていったものもある。それをアニメーションで描いている。中川監督は新世代の作家の中でも本作で一つ抜けた存在になったと思う。
2023年5月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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身近な人を亡くしたとは言っても、その長幼の序に従って両親を亡くしただけで、しかも両親とも病を得て、遺族にはその死期の予測がついていたという評論子の場合には、かけ替えのない人を突然に失ってしまった人の喪失感は、おそらく、評論子が察する以上のものなのだと思います。
いわば「現地を踏む」ことによって、真奈が初めて現実を受け入れる端緒をつかんだのも、その由縁と思いました。
その切ない心情を、岸井ゆきのの(若い彼女ながら)落ち着いた所作(演技)が素晴らしく、本作は、佳作としての評価に値する一本だったと思います。評論子は。
(追記)
本作の「見せ方」について。
本作の宣伝(予告・解説)では、すみれが遺したビデオカメラの映像に、本作が秘めている「謎」を解くカギがあると言わんげなつくりになっていましたけれども。
しかし結局、真奈が東北にまで足を運んですみれが消息を断った事情が、作中人物には暗黙のうちに?前提とされていたかどううかはさて措くとしても、観客には初めて明らかになるというのであれば、この宣伝は、どうにも、評論子には、いただけません。
直接には被災していない真奈にまで、震災の影響(重荷)が及んでいることを本作は静かに…しかし、ありありと伝えているのですから、そのことを「売り」にしても良かった…否、そうすべきであったと思います。評価子は。
けっきょく、本作の予告・解説は「羊頭狗肉」の謗りを免れないように思えてなりません。評論子には。
2023年4月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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前情報を入れずに観てしまったので
3.11が話に絡んでくることを知らなかったので浜辺美波演じるすみれが何故いなくなってしまったのか考えながら見ていて
理由がわかってくると3人の関係から消えたのでは無く本当にある日突然もう会えなくなってしまったということが
とてつもなくやりきれない気持ちになってしまって
これは岸井ゆきの演じる真奈のように気持ちの落としどころがわからず
答えが出ないなと思ってしまった
原作では震災で帰ってこなくなった…とあらすじが始まるが
映画ではアニメーションから始まり
あのアニメーションも最初は何も知らなかったので美しいけど何処かこわいアニメーションだなと思ってたけど
後半流れたアニメーションは理解していたので恐さの理由はそういうことかと思いながらも自然に帰っていくそれをみて
少し安心を覚えた。
ある程度知った上で見るべきだったのか
知らずに見るべきだったのかはわからないし
見た側で全然感想は違うであろう落としどころだったであろう映画だったけど
たまたま映画ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌を見ていて、それを引きずっている事もあり泣いてしまったし、真奈は過ごした大切な時間を忘れないだろうと感じました
ボクはこの映画好きです