ダ・ヴィンチは誰に微笑む

劇場公開日:

ダ・ヴィンチは誰に微笑む

解説

レオナルド・ダ・ビンチの最後の傑作とされる絵画「サルバトール・ムンディ」が史上最高額の510億円で落札された2017年の出来事をもとに、アート界の闇を暴いたドキュメンタリー。ある美術商が名もなき競売会社のカタログから13万円で落札した1枚の絵。彼らはロンドンのナショナル・ギャラリーに接触し、その絵は専門家の鑑定を経てダ・ビンチの作品として展示される。お墨付きを得たこの絵に、投資目的の大財閥や手数料を騙し取ろうとする仲介人、大衆を利用して絵の価値を釣り上げるマーケティングマンと利用されるハリウッドスター、国際政治での暗躍が噂される某国の王子など、それぞれ思惑を抱えた人々が世界中から集まってくる。その一方で、「ダ・ビンチの弟子による作品だ」と断言する権威も出現。そしてついに510億円の出所が明かされるが、それはルーブル美術館を巻き込んだ新たな謎の始まりだった。今なお謎が深まるばかりのこの絵画にまつわる疑問をひも解いていくと共に、知られざるアート界のからくりや闇の金銭取引の実態を生々しく描き出す。

2021年製作/100分/G/フランス
原題または英題:The Savior for Sale
配給:ギャガ
劇場公開日:2021年11月26日

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映画レビュー

4.5「ダ・ビンチ・コード」など今なお世界を魅了し続けるレオナルド・ダ・ビンチ。これを見ると、「最後の傑作」とされる「男性版モナ・リザ」の様々な経緯が分かる!

2021年11月26日
PCから投稿

本作のキャッチコピーは「13万円だった絵が史上最高額510億円に」とあります。
そもそもこの絵画自体は1500年頃に描かれたものです。
その絵画を2005年にオークションでアメリカの美術商が約13万円で買い取ります。
ところが、それが、わずか12年後の2017年には、オークションで美術史上最高額の約510億円という金額にまで跳ね上がった現実の出来事があるのです。
なぜこのような事態が起こったのか?
それは、「ダ・ビンチ・コード」など今なお世界を魅了し続けるレオナルド・ダ・ビンチによる「最後の傑作」とされる「男性版モナ・リザ」であるからです。
ただ、この話は意外と深く、そもそも「本当にレオナルド・ダ・ビンチ本人が描いたものなのか?」というところから検証が必要になってきます。
描き方や時代背景等を考えると、レオナルド・ダ・ビンチに関連した作品であることは間違いなさそうですが、レオナルド・ダ・ビンチ本人か、彼の工房の弟子によるものなのか、が微妙なラインだったりするのです。
しかも、1500年頃に描かれた絵画で、保存状態も良かったわけでもないので、修復作業などもされています。
「世界の救世主」である「イエス・キリスト」を描いた肖像画とされていて、レオナルド・ダ・ビンチによる「最後の作品」というのはどこまで本当なのでしょうか?
レオナルド・ダ・ビンチによる「モナ・リザ」は誰でも知っている作品ですが、まさにその対となるような「男性版モナ・リザ」であるのなら(手数料込みで)510億円という価値があるのかもしれません。
ただ、この美術史上最高額で購入したのは誰で、今その絵画がどこにあるのか、も公式には知られていないという信じ難い事態になっているのです。
象徴的な出来事は、2019年にパリのルーブル美術館で「ダ・ビンチ没後500年記念」という大規模な展示会で、その「男性版モナ・リザ」が展示される、という噂がありました。
まさに、この時の舞台裏を関係者らに詳細な取材をしているのです!
このように、本作は、とことん当事者や関係者にインタビューをして、どのような経緯で「13万円だった絵画が史上最高額510億円になったのか」を明かしているのです。
ちなみに、その過程では、レオナルド・ディカプリオも思わぬところで登場したりします。

本作は、同時に、そもそもの物の値段の考え方や情報の裏取りの大切さも実感させてくれます。
これはネタバレになるのでボカシて書きますが、この絵画の購入者は、ある国の人物だという事がスクープされています。
作中の、ジャーナリストや広報関係者のインタビューで、それが事実だと分かりますが、映画の中で「経済的な事情」とサラッと語られている点は、その国の経済事情も合わせて知っておくと、より楽しめる部分で、それが無かったのは少し惜しいところです(ここで解説もできますが、ネタバレも関係するので自重します)。
いずれにしても、平凡なドキュメンタリー映画ではない、かなり今後のニュースにも関係のある知っておきたい情報が満載の作品でした!

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共感した! 14件)
細野真宏

5.0ダ・ビンチは誰に〜 そしてキリストは誰に微笑む?

2024年8月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

美術品の争奪戦だ。
ドキュメンタリーとして秀作。
スピーディーで、画面も鮮明。飽きさせない。

僕はボストン美術館に、ゴーギャンの大作「我々はどこから来たのか〜」を観に行った事がある。
ボストンは、館の目玉にするためにあの絵がどうしても欲しくて、1936年、オークションで抜け駆けして、《必ず落札するためによそでは太刀打ち出来ない額面を最初から提示した》というエピソードの作品だ。
なんせ、あのゴーギャンを飾るために現在の本館の大壁が設計されている。

競売代理店 CHRISTES
美術商 ART DEALER
学芸員 CURATOR
専門家 EXPERT
研究者 RESEARCHER
美術館 MUSEUM
財閥 オリガルヒ
サウジの王族
広告代理店
無関税 フリーポートの金庫室

彼らは威信をかけてそれぞれの思惑と仕事に邁進する。真贋論争の場こそ彼らの社会的評価を左右する“腕の見せどころ"となるわけだ。

そこで
白黒をはっきりさせる者もいれば、曖昧さを残して自分の経歴と信用を守る安全策に出る者もあり、同じ分野の研究者同士でもそのお互いの存在への「牽制」と、そして「仲間割れ」が興味深い。

つまり、値が吊り上がるほど、彼ら自身のステータス価格も、オークションアップするのだ。

広告代理店は、
内覧会における観覧者の感激の表情や、涙を流して手を合わせ サルバドールを礼拝する人々の様子を「特ダネCM映像」として編集するし、
同名のレオ様も人寄せパンダとして呼ばれている。

美術館はといえば、
イギリスのロンドンのナショナル・ギャラリーは真筆との太鼓判で展示した。
けれどもかたやフランスのルーブルは、その逆の判断をなして、この絵のレオナルド銘での展示受け入れを断った。美術館の威信を賭けた一騎打ちは迫真だ。

そしてすべての事象に金銭が関わってくる。
この絵のトレード・パニックは、投資と 転売と 名誉の箔付け。金儲けの嵐なのだ。
世は実体不在の「先物取引」と「ビットコイン」のバーチャルまみれだから、
「絵がいまどこに有るか」なんて、投資家にはもうどうでもいいことなんだろう。

+ +

でも面白いのは、この絵の“主人公"がそっちのけだったこと・・(笑)

幾度もキリストの顔がアップで大写しになるのだが、登場する専門家たちは自らの主張を大声でまくしたてるばかりで
蚊帳の外に置かれる当のモデル=キリストさんには、まったくもってお気の毒としか言いようがない。

骨格はダ・ヴィンチを思わせる。しかし
「目」が変だ。
明らかにそこだけ筆遣いが違う。
権威を示す右手や、体躯。そして水晶玉に掛けたデッサンの力が「目」には無い。バランスがとてつもなく悪い。
別人が、別の時代に、何かの意図をもってこの目を描いたのか、
あるいはこの目が先に描かれてから、付随して体躯が描き足されたのか。
そんなことさえ想像させないだろうか。

逆に言えば
「目だけが 生きている」。

ダ・ヴィンチの手によるものかどうかは分からないのだけれど、
この目。焦点が合わなくなり、もはや涙も涸れ果てたその目と、そして
憔悴し切った表情は、何かを物語っているように見えて仕方がなかった。

では、“口を封じられた くだんのナザレのイエス"はなんと言っていたか、聖書を調べてみると ―
【マタイによる福音書19:16〜ほか】
=裕福な者が神の国に入るよりはラクダが針の穴を通るほうがたやすい。
=では誰が救われることが出来るのでしょうか?
=持っている物をすべて売り払って貧しい者たちに施し、私に従って来なさい。
=それ以来、多くの弟子たちがイエスを離れた。

投資狂想曲。
皮肉な話だなぁ。
いろんな人が、それそれの思惑で、心に自分の神マモンを描いている。

秋には汐留にルオーを観に行こうと思っている僕だ。
ルオーのキリストは目を伏せているから
絵の前に立つと、きっとそこには
リフレクト=映し出される 自分の心が見えてくるだろう。

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きりん

4.0レオナルドも観に来てた(デカプリオ)

2024年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

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共感した! 5件)
Mr.C.B.2

3.5☆☆☆★★ お金!お金!お金!お金!お金!お金〜〜〜! この世にお...

2024年3月20日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆★★

お金!お金!お金!お金!お金!お金〜〜〜!

この世にお金がある限り…芸術よりもお金にしか興味がない人に、芸術は蹂躙される運命は続いて行く。

悲しいかな、、、

2021年12月24日 TOHOシネマズ/シャンテシネ3

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松井の天井直撃ホームラン