【2022年文化の日】アート、美術ファンにおすすめの映画12作

2022年11月3日 13:30


「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」
「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」

今日は文化の日。全国各地の美術館や博物館に無料入場できたりと、文化芸術を身近に楽しめる祝日です。そんな1日にぴったりなアート、美術ファンにおすすめの映画12作を紹介します。


<波乱万丈な芸術家の人生を描いたドラマ>

■「モンパルナスの灯」(1958/ジャック・ベッケル監督)

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夭逝の画家モディリアーニの悲劇的な晩年を描いた伝記ドラマ。第1次世界大戦後のパリ、モンパルナス。売れないイタリア人画家モディリアーニは画商ズボロフスキーの友情に支えられながらも、貧困と病苦を酒で紛らわす日々を送っていた。ある日、モディリアーニは画学生ジャンヌと出会い恋に落ちるが、彼女の父親によって2人の仲は引き裂かれてしまう。病を悪化させたモディリアーニはズボロフスキーの勧めもありニースで療養することになり、ジャンヌは家族を捨てて彼と一緒に暮らし始める。ジャンヌの愛情と励ましを受け、自身の人生と芸術に前向きに取り組もうとするモディリアーニだったが……。

2022年12月2日スタートの「ジェラール・フィリップ生誕100年映画祭」で上映。


■「永遠の門 ゴッホの見た未来」(2018/ジュリアン・シュナーベル監督)

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画家ビンセント・ファン・ゴッホを描き、2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で、ゴッホ役を演じた主演ウィレム・デフォーが男優賞を受賞した伝記ドラマ。画家としてパリで全く評価されないゴッホは、出会ったばかりの画家ゴーギャンの助言に従い南仏のアルルにやってくるが、地元の人々との間にはトラブルが生じるなど孤独な日々が続く。やがて弟テオの手引きもあり、待ち望んでいたゴーギャンがアルルを訪れ、ゴッホはゴーギャンと共同生活をしながら創作活動にのめりこんでいく。作品が世に理解されずとも筆を握り続けた不器用な生き方を通して、多くの名画を残した天才画家が人生に何を見つめていたのかを描き出していく。


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■「FOUJITA」(2015/小栗康平監督)

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1920年代からフランスを中心に活躍した日本人画家・藤田嗣治の半生を、オダギリジョー主演で映画化。「泥の河」「死の棘」の小栗康平監督が10年ぶりに手がけた長編監督作で、日本とフランスの合作映画として製作された。共演は中谷美紀加瀬亮岸部一徳ら。1913年、27歳で単身フランスへ渡ったフジタは、「乳白色の肌」で裸婦を描き、エコール・ド・パリの寵児となる。そして40年に帰国し、戦時下で戦争協力画を描くことになったフジタは、日本美術界の中で重鎮として登り詰めていくが、疎開先の村で敗戦を迎える。


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■「バスキア」(1996/ジュリアン・シュナーベル監督)

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多くの人に愛されながら、27歳の若さで他界した天才画家ジャン=ミシェル・バスキアの生涯を、彼が駆け抜けた80年代のホットなNYアートシーンを背景に描いた伝記映画。バスキアの親友ジュリアン・シュナーベルの監督・脚本で映画化。音楽はジョン・ケイルがスコアを書き、彼やデビッド・ボウイ、ローリング・ストーンズ、ブライアン・イーノら多彩な楽曲全35曲を挿入歌として使用。バスキア役に舞台出身でこれが初の映画主演作となるジェフリー・ライト。ほかにデニス・ホッパーゲイリー・オールドマンクリストファー・ウォーケンウィレム・デフォーベニチオ・デル・トロコートニー・ラブら豪華キャストが共演。


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<困難を背負いながらも傑作を残した女性アーティストたち>

■「カミーユ・クローデル」(1988/ブルーノ・ニュイッテン監督)

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19世紀末、愛と芸術の葛藤の中で生きた彫刻家カミーユ・クローデルの後半生を描く。「近代彫刻の父」と称される巨匠ロダンとともに傑作を生みだすが、カミーユの作品はロダンの模倣として扱われ、妻のいたロダンと恋愛関係にあったことからも精神のバランスを崩していく。フランスの名優イザベル・アジャーニジェラール・ドパルデューが共演し、数々の賞を受賞した。


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■「フリーダ」(2002/ジュリー・テイモア監督)

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メキシコを代表する画家フリーダ・カーロの激動の半生を、同国出身のサルマ・ハエックが主演・製作を務め映画化した伝記ドラマ。1925年、メキシコ。18歳の陽気な娘フリーダは、交通事故に巻き込まれ瀕死の重傷を負ってしまう。寝たきりの生活を強いられる中、フリーダは両親から贈られた画材道具で自画像を描くようになり、絵の才能を開花させていく。やがて彼女は有名な壁画家ディエゴ・リベラと恋に落ち、結婚するが……。2003年・第75回アカデミー賞で作曲賞とメイクアップ賞を受賞。


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■「TOVE トーベ」(2020/ザイダ・バリルート監督)

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「ムーミン」の原作者として知られる、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの半生をつづったドラマ。1944年のヘルシンキ。戦時中、防空壕の中でおびえる子どもたちに語った物語からムーミンの世界を作ったトーベ・ヤンソンは、爆風で窓が吹き飛んだアトリエで暮らしを始める。彫刻家の厳格な父の教えとは相反する型破りな彼女の生活。そして、自分の表現と美術界の潮流とのズレが生じていることへの葛藤、めまぐるしいパーティや恋愛を経て、トーベとムーミンは成長していく。そして、トーベは舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラーと出会い、互いに惹かれ合っていく。


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■「草間彌生∞INFINITY」(2019/ヘザー・レンズ監督)

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世界的に著名な前衛芸術家・草間彌生の半生を追ったドキュメンタリー。彼女の芸術への情熱を理解されなかった家庭環境、第2次世界大戦下の日本での生活、単身アメリカへ渡った以降も芸術界における人種や性の差別、自身の病など、草間彌生に降りかかるさまざまな困難。しかし、それらを乗り越えて、70年以上にわたり創作活動にすべてを捧げた彼女は、さまざまな分野で輝かしい功績を残してきた。そんな草間彌生の幼少期から、渡米後のニューヨーク時代に苦悩しながらおこなった創作活動、そしてそれらが国内外でどのように評価されたかなど、草間彌生の知られざる過去をアメリカ人女性監督、ヘザー・レンズの視点で切り取っていく。


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<美術鑑賞がもっと楽しくなるドキュメンタリー>

■「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」(2018/クラウディオ・ポリ監督)

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ナチスドイツにより奪われた美術品と、それに関わる人々の運命を描いたドキュメンタリー。1933年から45年にかけて、ナチスがヨーロッパ各地で略奪した美術品の総数は約60万点にものぼり、戦後70年以上が過ぎた現在でも10万点が行方不明と言われている。権力は芸術をも支配できると盲信するナチスによる美術史上最悪の略奪と、今なお続く奪還をめぐる戦いを、歴史家や美術研究家、関係者らの証言をもとに描き、ヒトラーの思想の背景と略奪品がたどった闇の美術史を浮かび上がらせる。イタリアの名優トニ・セルビッロが案内人を務める。ベストセラー「怖い絵」シリーズの著者・中野京子が日本語字幕監修を担当。


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■「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」(2015/フレデリック・ワイズマン監督)

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ドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマンが、ロンドンのトラファルガー広場にある世界最高峰の美術館ナショナル・ギャラリーの秘密に迫った一作。ダ・ビンチ、モネ、ゴッホ、ミケランジェロなど西洋美術屈指の名作がそろう同美術館で、3カ月にわたって取材を敢行。英国ロイヤルバレエ団と絵画のコラボレーションや、専門家による工夫を凝らしたギャラリートーク、斬新なアイデアに満ちたワークショップなど、来館者の知的好奇心を満たす様々なプログラムをはじめ、美術品を展示するまでの過程や高度な技術を駆使した修復作業、X線分析によって名画の下から別の絵が浮かびあがってくる様子など舞台裏も映し出し、同美術館が190年以上にわたって人々から愛され続ける理由を紐解いていく。


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■「バンクシーを盗んだ男」(2017/マルコ・プロゼルピオ監督)

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ロンドンを中心に世界中で神出鬼没な活動を展開する正体不明なグラフィティアーティストのバンクシーと、数千万円~1億円という超高額で取引される彼の作品が人びとに及ぼす影響力に肉迫したドキュメンタリー。パレスチナ・ヨルダン西岸地区にあるベツレヘム。紛争地区に指定されているその場所にはパレスチナとイスラエルを分断する高さ8メートル、全長450キロを超える巨大な壁が存在する。その壁にバンクシーが描いた「ロバと兵士」の絵は、パレスチナの住民たちの反感を買い、絵が描かれた壁はタクシー運転手のワリドによってウォータージェットカッターで切り取られてしまう。ワリドはその壁画をオークションに出品し、最高額の入札者への売却を試みるが……。ナレーションをミュージシャンのイギー・ポップが務める。


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■「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」(2021/アントワーヌ・ビトキーヌ監督)

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レオナルド・ダ・ビンチの最後の傑作とされる絵画「サルバトール・ムンディ」が史上最高額の510億円で落札された2017年の出来事をもとに、アート界の闇を暴いたドキュメンタリー。ある美術商が名もなき競売会社のカタログから13万円で落札した1枚の絵。彼らはロンドンのナショナル・ギャラリーに接触し、その絵は専門家の鑑定を経てダ・ビンチの作品として展示される。お墨付きを得たこの絵に、投資目的の大財閥や手数料を騙し取ろうとする仲介人、大衆を利用して絵の価値を釣り上げるマーケティングマンと利用されるハリウッドスター、国際政治での暗躍が噂される某国の王子など、それぞれ思惑を抱えた人々が世界中から集まってくる。その一方で、「ダ・ビンチの弟子による作品だ」と断言する権威も出現。そしてついに510億円の出所が明かされるが、それはルーブル美術館を巻き込んだ新たな謎の始まりだった。今なお謎が深まるばかりのこの絵画にまつわる疑問をひも解いていくと共に、知られざるアート界のからくりや闇の金銭取引の実態を生々しく描き出す。


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