ある男のレビュー・感想・評価
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☆☆☆☆(秀逸なラストに★1つ追加で) 原作読了済み。 [序]で始...
☆☆☆☆(秀逸なラストに★1つ追加で)
原作読了済み。
[序]で始まる原作。その部分を〝 そこ 〟に持って来るか〜と…つい。
映像化はこの[序]ではなく《里枝と大祐》の出会いから始まる。
この話の主人公は弁護士の城戸で。原作の大半は、不慮の事故で亡くなった〝 謎の男 〟の正体を彼が探る話。
従って、未亡人となってしまう里枝と。亡くなった大祐を実際の父親ではなかったのだが、懐いていた息子の悠人の苦しみを中心とした話は中盤と最後に少しだけある。
主人公の城戸は在日帰化した弁護士。
その為に原作自体は、在日差別等の問題点も描かれている。
その辺りの描写は映像化にも描かれてはいた。
だがしかし、関東大震災時に起きた《朝鮮人残虐事件問題》は、何かと【右翼】だ【パヨク】だ…と、ここ数年間で矢鱈に《陰謀論》と《愛国心》の言葉を持ち出しては、雪崩現象を起こしつつある〝 右翼化への流れ 〟へと、社会変化して行く事への憤りを、原作者自身のペンを持っての怒りが込められていた。
それゆえに、製作者側は日和ってしまったのか?完成された映画本編では、それらの問題点をそこまでは踏み込めなかった様に思える。
この辺りの描写は。原作者自身が、最近のSNSでの発言を知れば、「どうしても描いて起きたい!」問題なのだろうけれども。
しかしそれにより、ストーリー自体は。在日差別問題を少しばかり排除した事で、1人の男の人生を探る話としてシンプルにまとまっていた様にも思う。
大祐を探す城戸は《なりすまし》の人生を選んだ【謎の男】同様に。自分自身も《在日》である事実を、心の何処かで隠し持ち〝 ある種のなりすまし〟 なのだろうか?…と言った、疑念を持ち続けている人物だったのかも知れない。
だからこそ、収監中の柄本明には一瞬で心を見透かされてしまい「イケメンのマヌケな在日弁護士!」と貶されてしまう。
そしてもう1つ、城戸には決定的な欠点があった。
それが、原作だと冷え切った状態にある妻との夫婦関係。
もとより堅物で真面目な性格。
映画だと、小藪演じる同僚の中北から(確か原作にはなかったと思う)言葉は違うのだけれど「もうちょっと上手くやり〜な!」的な対応を常にされている。
だかしかし、自分の経歴にはどうしても泥を塗りたくはない為。どうしようもない夫婦関係ではあっても、絶対に離婚だけはしたくない。
多少はイケメンであるのは自覚しているのか?(多少の》浮気願望は持っているのか?里枝の指輪であり、美涼の〝 ある一部分 〟についつい眼が行ってしまう。
その辺りも柄本明には一瞬で見抜かれてしまったのであろう(原作だとヌード写真)
※ 1 更に言うと、美涼が作った大祐の《なりすましアカウント》
映像化ではカットされていたが。原作だとこのアカウントには兄の恭一がアクセスして来て、美涼に対するストーカーとなる。
嫌がる美涼は城戸に相談する。それによって美涼に会う口実が出来る事から、少しばかりのウキウキ感を持つ城戸の心に宿る《なりすまし感覚》
全ての謎は解け〝 謎の男 〟の正体は明かされる。
悠太は父親の過去を知り、未来に向かって歩き出す。
そして城戸も、過去を変えた〝 謎の男 〟の資質に感化されたのか?(原作だと)夫婦関係の改善を図る。
だが、、、最後の最後に!
城戸は元々、気の強い妻との口論はしたくない【ことなかれ主義】の男。
原作でも1つめのエピローグ的な妻に送られて来た〝 意味深なLINE 〟
この描写は。原作の中盤に、妻との関係に疲れ。ふと一時、未亡人となった里枝との隠微な関係性を想像する場面が存在し。この後、里枝の大祐への愛情溢れる想いを知るにつれ、ほんの一度だけBARで大祐に《なりすまし》てみるエピソードがあるのですが。
そんなLINEのエピソードを、映画本編では最後のエピソードに至る直前のキッカケとして配置する事で。元々、同僚の中北からも推奨されていた〝 上手くやる 〟術を持ち得る〝 狡賢さを発揮する男 〟へと変貌する。
それが後々での、原作での【序】にあたる部分へと帰結するのですが。そんな城戸の姿を眺める大祐の姿がそこに居た。
果たして、「この人に見つけて貰えて良かった!」…と思っているのか?
それとも、、、
「こんな男に里枝を取られなくて良かった!」
…と思っていたのか?
様々な考え方が出来る、実に秀逸な締めくくりだったと思っています。
2022年 12月18日 TOHOシネマズ錦糸町オリナス/スクリーン6
※ 1 映画化では30前か?と言える美涼の年齢だが、(おそらくは)原作だと40歳前後か?だから年齢的に近い城戸は、美涼と会う機会にウキウキ感を持っているのだと思う。
その年齢ゆえ、自分の性癖すら城戸に露わに話す美涼に対し。それに顔には出さずとも嬉々として接してしまう自分の姿には、自分で自分がわからなくなり、ついつい戸惑いを隠せない。
映像化では美涼は元◯人と会う事が出来る。
原作だと、始めにこの人物と城戸が会い、その後に入れ替わって美涼が会う。
(原作では)その2人が会う瞬間を城戸は見てはいないので。映画本編での城戸は、(その年齢的な違いの設定ゆえに)美涼と元◯人に対しては、父親的な感覚に有る為、この後に見せる城戸の〝 いやらしさ・狡猾さ 〟は際立つとも言えるし。反面では、唐突感にも繋がっているとも言え、この面でもちょっと悩ましい。
仲野太賀の無駄遣いで原作を読みたくなった。
ストーリーの組み立て方が素晴らしい
曾根崎義彦は誰じゃ
ある男とは誰のことなのだろう
当然ながらこの作品から見るにXさんのことだと思われます
しかし「ある男」、この表現だと男であれば誰でも当てはまってしまうのです
主役はどうやら妻夫木さんのようです
彼も生い立ちを気にして生きている
多かれ少なかれ私達は何かしら気にしているのでしょうね
それに関しては性別すら関係ない
この作品を深読みするととんでもない世界的な社会問題にぶつかります、しかし私たちの身近にあることばかりなのです
メディア、報道、野次馬、うわさ、陰口、いじめ、虐待、差別、人種、罪、恐怖、逃避、ごまかしそして幸せ
人生の最後を幸せに暮らせた人はいいかもしれない
息子や娘は? 妻は?
心から許さなければこの先の幸せはないのでしょうね
簡単ではない
私はたまにアンケートなどで偽名を使うことがあります
やはり佐藤や鈴木は定番になってしまいます
今度はもっと楽しい名にしてみよう
谷口大祐
意味深な終わり方に絶句した
この物語の主人公は、作品の途中から登場する妻夫木くん演じる弁護士だ。
彼が登場したとき、彼の役を妻夫木くんがしていたことで違和感が走った。
在日3世という逃げようない血筋と、そのことを妻の父にまで軽く言葉にされてしまうのは、彼にとってはどこまでも付いてくるレッテルだ。
彼は安藤サクラ演じる理恵の夫が何者なのかを調査することになる。
彼が妻に話したように、彼自信この事件にのめり込んでいくのは、「X」という人物がなぜ身分詐称をしたのかということと、彼に罪はないものの、そのどうにも逃れられない事情を知りたいと強く思ったからだ。
やがて、理恵の夫は谷口大祐ではなく原誠だということが判明するが、その逃げようのなかった人生に深く共感する。
同時に本物の谷口大祐を見つけ出すが、彼もまた老舗温泉旅館の次男坊という肩書を変えたいと思っていたのだ。
作品の面白さの一部は、誰が主役なのかわからないというのか、主役が交代していくように描かれているところだろう。
これはヘイトスピーチ、つまりレッテルや差別と同様だ。
他人からの決めつけとレッテルこそ、この作品のテーマだろう。
身分を変える 他人と交換する 身元ロンダリング
「そうしなければならない人がいる」
この作品の一番強いメッセージだ。
理恵は弁護士に「知ってしまってからなんですが、本当のことなんか知る必要などなかったのかもしれません」
つまり、夫は彼ら家族が見たそのままの人で、見た通りの人だった。それ以上でも以下でもない。名前さえ、どうでもいいのだろう。彼と過ごした3年9ヶ月こそたった一つの真実なのだ。
さて、事件が解決してまた幸せを噛みしめるような日常を取り戻した弁護士だったが、妻の携帯の着信を見てしまう。
そして映画の冒頭のとあるお店に誰かが現れ、あの変な絵画へと戻って来るシーンがエピローグとなる。
そのとき妻夫木が何者なのかはわからないが、そこはバーで、彼は初めて会う客と雑談する。
彼は「私は伊香保にある老舗温泉宿の次男です」という。「名刺を切らせて、あいにく…」
在日3世… 妻の浮気… 彼は仕事で得た知識を使い、谷口大祐になったのだ。
その過程は描かれてないが、彼の顔には「その二番目の人生を楽しみたい」と書いてあるようにしか見えなかった。
若干オソロシイ…
出てくる男みんなの代名詞
窪田正孝さんのファンになった
構図に拘りを感じる。
カメラワークが良い。
BGMはナチュラル。
今作を視聴して窪田正孝さんのファンになったし、パンチグローブが欲しくなった。
妻夫木聡さん演じる城戸章良と小藪千豊さん演じる中北の二人がいいコンビ。
子役達の演技が良い。
柄本明さん演じる小見浦憲男が面白い。
安藤サクラさんの小石の蹴りかたがカッコ良い。
仲野太賀さんは一瞬しか出てこないが存在感がある。
絵画展での講演「国家が死刑執行する理由は、前提として人は変われないからであるが、しかし、人は変われる云々...」をもっと聞きたい。
陰謀論者が北朝鮮の誘拐だと言っていたがシロ。
だが3.11の話は...劇中ではセリフでシロとして上手に処理しているが...氣になる。
戸籍問題、行方不明者、帰化人、なりすまし、殺人犯の子など、興味のあるワードが沢山出てくる作品。
世にも奇妙な物語
とても面白かった。
導入から怪しげな雰囲気を醸し出す
窪田さんが素晴らしかったし、
事故からの展開もどうなって行くのかドキドキしながら
観れました。
妻夫木さんのパートでは一気にミステリーになり
物語が加速し、在日と言うキャラクターもラストに
生きてて唸りました。
これは男だから分かるのか、それとも全員に当てはまるのかは分からないけど、
普通に生きてても、この場から逃げたい、この立場、
この責任から逃げたいと言う気持ちが湧く時がある。
ラストは賛否ありそうな、急な世にも奇妙な物語みたいなオチだったけど、
誰も知らない所でやり直したいと言う気持ちは分からないでもない。
難しい題材を簡単に分かりやすく、だけど映像や空気感は重厚でとても面白い映画でした。
ヘイトヘイト言うのが不自然に感じる
原作者の平野啓一郎は作風が合わないので芥川賞受賞作以来読んでないしきっと今後も読む予定はない。
物語は面白い。
窪田正孝側の事情はよく分かったんだけれど、仲野大賀の方がなぜ戸籍を交換したのかはわからないまま、確かにお兄さん嫌なやつだし清野菜名の涙目は言葉もないくらいではあるが。
妻夫木の顔で在日の顔って、それはちょっとないよなと思う。
そういう事言う人たちも何ものべつまくなし言うわけじゃないからね。
だからと言って心ない人からそう言われ続けて生きるストレスというのは言葉にし難いの程なのだろうし、いつか何かで発散する日はやってくるのだ誰もが。
この物語に在日コリアンのくだりを入れると話はややこしくなる気がする。
とは言え、原作にあるのなら やらない訳にはいかない。
自分ではどうしようもない事実を背負って生きる人間の苦しみ、
昔 宮崎勤という凶悪小児性愛の連続殺人鬼がいて
彼の行動の異常性は世間を嫌と言うほど騒がせた。
その父親は自殺し 結婚を控えていたきょうだいはもちろん破談になった(のちに遠方で幸せになっていると聞いた事もある)
そういう その人本人には全く罪のない事情で生きづらくなるのはやはり間違っているので
昨今 何かの事件があっても全国的にテレビで公表される事はなくなっているような気がする。
と思う。
というか 最近私はワイドショー見ないのでわからないだけかもしれないが。
そういう題材に在日を入れ込むのは なんとなく今の時代では方向が違うような気もしなくない。
真木よう子の配役も見ただけで これは真っ当にはいかないよねって分かっちゃうしね。
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