最後の決闘裁判のレビュー・感想・評価
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不要な男らしさと女性らしさ
前評判通りの凄い作品。
史実に基づき描き出された物語の中に愛はなく、あるのは自分のことしか考えず、プライドを最優先し、時代に迎合するものばかり。青みを帯びて終始暗いトーンも相まって、とても冷たくよりどころの無さを感じます。
三者それぞれの視点から同じ出来事を映す三つのパートで構成されていますが、描写には少しずつ違いがあり、それぞれの思い込みや妄想、自己肯定感が反映され、とても繊細に描き分けられているのが素晴らしい。
被害者であるマルグリッドのパートが真実に最も近いものであるはずなのに、結局のところ真実がどうだったかではなく、それぞれの守りたいもの・譲れないものをかけた決闘裁判になっていて、時代の異常さや抗えなさ、女性の立場を見せつけられた印象です。
人間関係や時代背景、心理描写はもちろん、クライマックスの決闘シーンは緊迫感溢れる迫力のアクションでしたし、一つ一つの美術や衣装も素晴らしく、全編通してとにかく見応えのある凄い作品でした。
みんな平等に悪い
「誰が一番悪いのか」と言えばみんな平等に悪いです。全員完全な悪ではないんです。善も悪も持ち合わせているけど、つい自分に都合よく考えてしまう。ごく普通の人々ばかりです。そこに他人の悪意や煽りも加わり、こじれまくった末の決闘裁判だったんだなと思いました。自分は現実の世界を生きているけど、物事は常に俯瞰して見るようにしようと思いました。
とは言え嫌悪感という点ではル・グリがピカイチです。日本にもこういう犯罪者がいましたよ。そいつは乱暴の後で被害者に「連絡して」と名刺を渡して逮捕されました。相手も喜んでいるはずと思っていたわけですよね。ル・グリの場合はさらに酷くて、「人妻との恋に懊悩する自分」に陶酔しているようにも感じました。こういう男は女性からするとものすごく怖いし気持ち悪いです。あんな行為で相手が愛を感じると思うのか?どうしてそこまで都合よく思い込めるのか?何が悪いのかもわかってない気がします。
それからマルグリットへのセカンドレイプや女性達からの無理解が怒りを通り越して悲しいです。「あなたも感じてたでしょ?」「ハンサムだと褒めてたそうですね。まんざらでもなかったでしょ?」とか無理です。私だったら戦えず泣き寝入りしています。彼女はあの時代のこの人々の中で本当によく戦いました。
他には中世の騎士階級の生活が垣間見えて興味深いです。普段着はすごく地味。というか着古しでぼろぼろに見えます。戦いのない時は使用人と肩を並べて働いてたり金策に悩んだり。召使いも馬車で一度に運べるくらいしかおらず、優雅な生活とは程遠い。中小農業経営者なんですね。
けんかをやめて
羅生門方式で三者三様の目線で語られる作品でしたが、アメリカ映画らし...
長さを感じさせない
飽きない
完成された極上のエンタメ
壮絶なNTR
迫力があり、観てよかったとは思うものの、長かった!
打ち切りも近そう。さっさと観に行きましょう
史実がどうだったのか調べて驚いた
まずは映画の感想を。
一応史実をベースにしているということだったが、映画の構成に驚いた。
それぞれの視点からみた内容が少しずつ変わっていて、描き方がうまい。
最後の決闘も迫力があり、神の審判はどっちに?というような内容ではあるのだが、よく考えるとスッキリするようでスッキリしない中々モヤモヤもあり、色んな人に満足される映画なのではないかと思う(ただのポリコレと受け取るのは男女どちらの視聴者にとってももったいない)。
映画鑑賞後、Wikiなどで史実はどうだったのか調べて驚いた。
暴漢はマスクを被っていて、実は○○だった?
本人が後で自白した?
つまり、破れた彼は被害者?
だから、決闘裁判は廃れた?
凄く説得力のあり、モヤモヤしているところがすべて解消した気分になった。
これが本当だったら凄い話なのだが、実際、史実がどうだったのかは調べてもよくわからなかった。
日本人が書いた本に書かれているらしいのだが、この本は絶版。
図書館で借りられたらまた追記したい。
ジェイソン・ボーンvs.カイロ・レン
中世ヨーロッパの歴史物と言えば、リドリー・スコットの得意分野だけに、なかなか骨太で見応えのある作品でした。彼は、低迷が続いていたのでファンとしては嬉しい限りです。冒頭から騎馬による決闘が始まり、テンションが上がります。その後、貴族の奥方が乱暴されるスキャンダルから決闘裁判に至る過程を、貴族とその奥方、貴族の旧友の視点で順番に描いていくのが面白い所です。一見、黒澤明の『羅生門』のようですが、裁判での証言の食い違いではなく、視点を変えることで事件やその背景、登場人物のキャラを浮き彫りにしていく感じです。当然ながら同じ画面が続くけど、微妙な視線のやり取りやセリフを言う人物を変えるなど、色々工夫があって面白いです。最後の決闘シーンは、リドリー・スコットらしい迫力あるアクションで見せてくれるし、敗者への情け容赦ない扱いも凄いです。役者では、マット・デイモンもアダム・ドライバーも自己チューでイヤな奴を見事に演じています。でも、何よりも奥方役のジョディ・カマーの硬質な毅然とした美貌には参りました。
ル・グリは部下としたら優秀な人だ
14世紀、日本は鎌倉・室町時代かな。
日本も権力闘争に明け暮れた時代、ヨーロッパは百年戦争。
衣装や小物や武器、武具、装飾品が素晴らしく目をひいた。
ストーリーは人が100人いれば100通りの真実がある、となるのは当たり前で、みんな言いたい放題。
自分は正しい、と思わねば生きていけないのは騒乱の世の常かもね。(同じ期間に上映中「燃えよ剣」もそうだよね)
真実かどうかは神が決めること。
日本は勝てば官軍。
どちらにしろ死人に口なし、なのね。
ジャンのお坊ちゃん気質の自己中な視野の狭さ。
ちっちゃい男だなぁと思った。
かたや、ル・グリの謙虚に自分の出来ることを増やして上司の無理難題をこなしていく柔軟さ。加えて美男子。
謙虚さが続けば最高なんだけど、やはりちょっと天狗になる時はあるよね。
でもジャンとの友情を大切にし、友人支えて影から助けて、良い男だと思った。
友人の妻だから余計に欲しくなった、というのもあるんだろうけど、欲しいものを手に入れる行動力もたいしたものだと思った。ただ、自惚れに身を滅ぼすことになるのは計算外だったんだろうな。まぁ、モテる男は一途な女の気持ちだけは理解できないんだろうなぁ。
でも、世の中できるひとが落ちていく理由って自惚れて足をすくわれて、だよね。
謙虚さ、って大切だなぁ。
ということで、人間はいつの時代も地球上で同じことを繰り返してるんだなぁと思った。
女の扱いは世界中どこもあんなもんでしょ。
男女平等が叫ばれたのは歴史でいったら最近の話だものね。
14世紀にこんな声が通ったのが、確かにドラマになる、語り継がれる話なのはわかる、すごいと思う。
真実はどこに?提示される3視点以外の見方もある
黒澤明監督の「羅城門」をヒントに製作された今作は、史実に残るセンセーショナルな出来事を元にリドリースコットらしいリアルさと映像技術をもってして厚みのあるサスペンスとも歴史物とも取れる作品となっている。
内容は複雑なようでいて単純なのだが、他のレビューにも書かれているように、歴史的な背景を知っていないと読み解けないキャラクターの行動が散見しているため、是にとも簡単でもいいので予習してもらいたい。
我々に提示される視点は三人分。しかしその視点も俯瞰であって主観ではないため、実のところは分からない。ただの戦争馬鹿と罵られているが実は形勢逆転にスキャンダルを利用した狡猾さがあったのだとしたら? 美男で秀才だがクズだとされているが実は本当に罠にはめられたのだとしたら? ラストのワンカットシーンでおや?彼女が座っている場所は? 実はすべて仕組まれていたと勘繰れなくもない。
歴史的なミステリーとしても深く楽しめる秀作です。
伊藤詩織さん事件を思い出した
この映画の舞台は14世紀。
女性が訴え出たのは史上初のことらしい。
裁判の席では女性が傍聴者の前でエロ質問への答えを強要されたり、夫が戦いに負けたら妻は大衆の前で全裸にされて火炙りにされるという訳のわからない条件が言い渡されたり…火焙りはともかく全裸って…
まぁ、800年近い昔のことだから、そんなもんかな?とは思うけど…。
でも今の日本は火焙りこそないけど、レイプされた女性が勇気を出して告発すると異常とも言えるバッシングをされ、胸元が開いた服を着ていたことだけで非難されるわけで…。
しかも加害者とされた山口敬之氏への逮捕状が突然権力者の手により取り消されたわけで…。
800年前と今とで全然変わらないって、どういうこと?と思ってしまった。
人間の意識を変えるって、並大抵のことじゃないんだな…と妙に納得。
映画は一見難解そうに感じるかもしれないが、3人の当事者の視点から同じシーンが繰り返されたりすることもあり、結構わかりやすい。
長時間映画だが、飽きずに疲れることなく見ることができました。
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