劇場公開日 2021年10月15日

「真実はどこに?提示される3視点以外の見方もある」最後の決闘裁判 Ko Fuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5真実はどこに?提示される3視点以外の見方もある

2021年10月31日
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黒澤明監督の「羅城門」をヒントに製作された今作は、史実に残るセンセーショナルな出来事を元にリドリースコットらしいリアルさと映像技術をもってして厚みのあるサスペンスとも歴史物とも取れる作品となっている。
内容は複雑なようでいて単純なのだが、他のレビューにも書かれているように、歴史的な背景を知っていないと読み解けないキャラクターの行動が散見しているため、是にとも簡単でもいいので予習してもらいたい。
我々に提示される視点は三人分。しかしその視点も俯瞰であって主観ではないため、実のところは分からない。ただの戦争馬鹿と罵られているが実は形勢逆転にスキャンダルを利用した狡猾さがあったのだとしたら? 美男で秀才だがクズだとされているが実は本当に罠にはめられたのだとしたら? ラストのワンカットシーンでおや?彼女が座っている場所は? 実はすべて仕組まれていたと勘繰れなくもない。
歴史的なミステリーとしても深く楽しめる秀作です。

Ko Fu