劇場公開日 2021年10月15日

「不要な男らしさと女性らしさ」最後の決闘裁判 まだまだぼのぼのさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0不要な男らしさと女性らしさ

2021年11月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

前評判通りの凄い作品。
史実に基づき描き出された物語の中に愛はなく、あるのは自分のことしか考えず、プライドを最優先し、時代に迎合するものばかり。青みを帯びて終始暗いトーンも相まって、とても冷たくよりどころの無さを感じます。

三者それぞれの視点から同じ出来事を映す三つのパートで構成されていますが、描写には少しずつ違いがあり、それぞれの思い込みや妄想、自己肯定感が反映され、とても繊細に描き分けられているのが素晴らしい。
被害者であるマルグリッドのパートが真実に最も近いものであるはずなのに、結局のところ真実がどうだったかではなく、それぞれの守りたいもの・譲れないものをかけた決闘裁判になっていて、時代の異常さや抗えなさ、女性の立場を見せつけられた印象です。

人間関係や時代背景、心理描写はもちろん、クライマックスの決闘シーンは緊迫感溢れる迫力のアクションでしたし、一つ一つの美術や衣装も素晴らしく、全編通してとにかく見応えのある凄い作品でした。

まだまだぼのぼの